グラデーション

【監督・キャストインタビュー】「いろんなものが壊されて新しいものが生まれる」映画『グラデーション』

椎名零監督映画『グラデーション』が池袋シネマ・ロサ「新人監督特集vol.7」にて6月19日より上映される。本作が劇場公開デビューとなる椎名監督に、本作の着想について、そして芝居経験がないというキャスト2人に、撮影のことを振り返ってもらった。

本作は、福岡インディペンデント映画祭2020にて入選、第32回早稲田映画まつりにて観客賞を受賞し、幅広い年代から支持を受けている。
古き良き住宅街・碑文谷と再開発の真っ只中にある武蔵小山の街が舞台となっており、目黒門前囃子保存会や晩杯屋武蔵小山店の関係者をはじめとする多くの地域住民の協力のもとに制作され、地元感あふれる作品になっているのが特色。
椎名監督は、出身地でもある作品舞台の街で、背を伸ばすタワーマンションを日々眺めているうちにその異質さに惹かれ、そこから着想を得て脚本を執筆。監督の目に映る風景をそのまま舞台に≪再開発の波と古き伝統が共存する街の段階的変化グラデーション≫や≪大人と子供、男と女、恋と友情の境界が曖昧グラデーションな若者≫といったテーマを盛り込み、じんわりと響くみずみずしいブロマンス(*)映画に仕上がった。
*男性間の親密な関係性を指す、 brother(兄弟)と romance(ロマンス)からなる造語。

監督&キャストインタビュー

グラデーション

椎名零監督、斉藤拓海(ジュン役)、岡﨑至秀(ヤス役)

■本作着想のきっかけとタイトル『グラデーション』に込めた思い

「突然高層マンションがそびえ立っていた」

-本作の撮影時期は?

椎名零監督
2019年の8月から10月にかけてです。

-監督のコメントに「地元の住宅街にそれを伸ばすタワーマンションの異様さに惹かれて着想を得た」という部分について、説明をお願いします。

椎名零監督
武蔵小山という私の地元の町があって、駅前がゴールデン街を小さくしたような感じだったんです。戦後の闇市のままドヤ街になったような雑然とした飲み屋街があったんですが、それが全部一掃されて、新しいタワーマンションが立つという街の再開発プロジェクトが数年に渡ってありました。
私が留学をしていた時期にその工事が行われたんです。留学に行く前は、工事が始まったばかりだったものが、帰ってきたら、突然高層マンションがそびえ立っていたんです。
私が住んでいる街は、そこから少し離れていて、住宅街なので、高い建物が何もないところなのですが、そこに、パーンっと高いタワーマンションが建つようになって、とてもびっくりしました。
劇中にも「この町にはそぐわないよな」というセリフがあるんですが、とても違和感があったんです。でもそれを見てるうちに面白いなとか、綺麗だなとか、そういう気持ちもだんだん芽生えてきました。
そこで、これは映像に残しておいた方がいい風景だと思いまして、その気持ちありきで脚本を書きました。家の前から、今までなかったタワーマンションが見えるっていうのは結構びっくりしますね。

-『グラデーション』というタイトルは、監督のコメントにもあるように、再開発と古き伝統が共存するその段階的変化を表しているわけですね。そこから、人の感情や心をテーマに盛り込んで、大人・子供、男・女、恋と友情の境界があいまいな若者…といったところに進んでいます。住み慣れた街の変化から、心の境界線という話に移っていった繋がりにはどういった経緯があったのでしょうか。

椎名零監督
そのときに自分が考えたことをそのまま書いた感じです。
劇中のセリフは、その時に自分が考えていたことでしたし、そもそもジュン(斉藤拓海)っていう人物設定も、当時の私ほとんどそのままです。例えば立ち飲み屋でバイトしている設定で、撮影場所も私のバイト先です。
お囃子や笛を吹いている点は、私も10年ぐらいずっと笛を吹いていまして、劇中の笛の音は私が吹き替えています。なので本当にその時の自分を切り取って、それを脚本という形にパッケージした感じです。

グラデーション

椎名零監督

■「BLとは全然違う!」

-“ブロマンス的な青春映画”というキャッチフレーズがついています。“ブロマンス”が耳慣れない言葉だったのですが、この言葉を使った理由について教えて下さい。よく耳にする“BL”とは異なるものだとは思ったのですが。

椎名零監督
BLという言葉は、この映画には違うと思っています。この映画を撮影している時期に、「椎名さん、いまBL映画を撮っているんですよね?」と言われことを小耳に挟みまして、自分としては「全然違うんだけど!」と思ったことがありました。
この2人の関係が恋愛かどうかも曖昧で、つまり、BLのLではないじゃないですか。なので、そこも曖昧ですし、男と男が恋愛していることに意味があるというよりは、ジュンとヤスさんというたまたま出会った二人が、そこで何があったか、どんな気持ちになったかという話を私はしたかったんです。なので、BLとかゲイとかっていう言葉ではないと思いました。
でもやはり、“恋愛映画”と謳うのも、違うと思ったので、どうしようかと考えていたときに、ブロマンスという言葉があるのを思い出したんです。それは映画ができたすぐ位に観てくれた中に一人、「私はこれはブロマンスだと思います。」と言ってくれた子がいたんです。確かにそれはまったくもって、この映画と合致してるな、齟齬がないなと思ったのと、目新しい言葉でもあるので、取り入れてみようと思って使いました。

■芝居経験のない2人をキャスティング

-本日は、キャストのお二人、斉藤拓海(さいとうたくみ)さん(大学生・ジュン役)、岡﨑至秀(おかざきよしひで)さん(キャバクラのボーイ”ヤスさん”役)が同席されていますが、キャスティングはどのように行ったのでしょうか?

椎名零監督
先にお伝えしておくこととして、今回の作品のキャストは基本的にみんな素人で、特にこれから演技したいという人も誰もいません。特に役者をやっていますという人を連れてきたというのは今回は一切ない状況です。
主演の斉藤くんに関しては、半分くらいあて書きのような感じでした。脚本を書きながら、この役は斉藤くんじゃないと無理だなという気持ちで書いていたので、そのままお願いしました。ただ、一度、断られたんですけど、「本当にお願いします!」という具合に泣きついて、彼には無理をさせてしまったのですが、受けてもらえました。
岡﨑さんのヤスさん役に関しては、脚本段階では、全く誰も決まっていなくて、脚本が書き上がった後に友達何人かで呑んでいたときに、「脚本書いたんだけど、1人キャストが決まってなくて、退廃的な陰のあるイケメンみたいな人を探しているんだけど」と話したんです。そうしたら、「そんな人いないでしょ。」とみんなに言われてしまったんです。そこで、その場にいた友達みんなが名前と顔を知っているサークルの先輩の岡﨑さんを例えとして口に出したら、「じゃぁ、岡﨑さんに頼んだらいいじゃん」と言われたんです。
そこで、「あぁ、そうか...」と思って連絡をしようと思いました。ただ、それまでもあまり連絡をしたことがなく、久しぶりの声がけだったので不安だったのですが、事情を説明したらOKをいただいて、そのままトントン拍子に進みました。

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メインビジュアル

-皆さん早稲田大学の映画サークルに所属されていたそうですね。

椎名零監督
はい、私と拓海くんは同じサークルで、岡﨑さんは違うサークルです。私が1年生の頃、岡﨑至秀さんの方のサークルにも入っていたこともありました。拓海くんは私の2個上で、岡﨑さんが1個上です。

-お2人の活動状況をネットで探してみたのですがあまり見つけることができませんでした。芸能活動は今もされていないのでしょうか?

斉藤拓海(ジュン役)
SNSの活動は行っていません。役者としての出演経験もほとんどありません。演技経験もなく、これからもするつもりもないです。

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岡﨑至秀

■本作のメインテーマのひとつ。「撮る・撮られる」関係

-ヤスがかつては写真家を志していたことを知ったジュンが、写真について語り合える唯一の存在としてヤスに憧れを抱くといった流れがこの作品にはあり、カメラと写真が二人の共通点となっていますが、キャストのお二人は写真を趣味として撮影されますか?

斉藤拓海
最近、カメラを買いました。特にこの映画の影響というわけではなかったんですけど、撮影の際は写真は趣味ではありませんでした。流行りのフィルムカメラとかを使ってはいましたけど。2、3ヶ月前に、デジタルカメラを買いました。FUJIFILMのX-T1というカメラです。
撮影対象は、人を意識して撮っています。撮影時の「ハイ、チーズ!」の感じが好きで、スナップ撮影をするような人が写真が上手なイメージがありますが、「ハイ、チーズ!」の少しおどけてしまう感じが好きで、わざといつも掛け声として使っています。

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場面写真(ジュン)

岡﨑至秀(ヤス役)
私は、カメラについては素人です。撮影の最後の方にいろいろと教えてもらいました。

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斉藤拓海

椎名零監督
小道具としてカメラがあったのですが、あまり触っていなかったですしね。

-劇中に出てくる写真集にはどういったエピソードがあるのでしょうか?

椎名零監督
あの写真集は、撮影日が別の日程でありました。映画の中ではちらっとしか映っていませんが、とても良い出来で、もったいないくらいなんです。素敵に仕上がったので、もっと使いたかったです。

-監督にとってカメラ・写真とは、どんな立ち位置なのでしょうか、何か思い出はありますか?

椎名零監督
映画を撮る人として、被写体として撮られることを考えたり・考えなかったりというのがあります。自分はそんなにカメラが趣味とかではないです。
ただ映画サークルの先輩で、もうすごくスチールカメラが上手な方がいて、一緒に出かけて散歩して回って、一日写真を撮って、こんなに撮れたねみたいなのをやる先輩です。
その先輩と、年に何回か写真を撮る日があることが続いていて、すごく知識もある方なので、いろいろと「撮る・撮られる」の話をお互いしていくうちに、自分の中で考えが固まってきて、それが映画にも反映されますし、『グラデーション』を書いたときには、自分の中でメインテーマだったんでしょうね。カメラっていうものを1個入れたら面白くなるかなと。
やはり、被写体と撮っている人の関係性が写真に出るじゃないですか。そういうのがおもしろいなって、映画を撮るときもそういうことを考えなくちゃいけないなと思っていたので、そういう意味としてのカメラでした。

グラデーション

場面写真(ジュンとヤス)

■撮影中に変わるセリフ

-撮影中にセリフが変わることが多そうですが、大変ではなかったですか?

椎名零監督
移動中にiPhoneにセリフを書いて、キャストに送っていましたね。

岡﨑至秀
監督の指示が細かいというか演出をきちんとつけてくれましたし、僕はセリフをすぐに覚えられるので、やりやすかったですね。

斉藤拓海
僕にはあまり指示・演出がなかったですよ。なので、そのまま演じました。

椎名零監督
確かにゼロ演出でしたね。そのまま生きてくれていたらそれでいいよという感じでした。斉藤くんが他の人の演技に引っ張られることがあったので、そこは調整した記憶はあります。

斉藤拓海
岡﨑さんは、自分の3個上の先輩で、初対面でまだ仲良くなっていなくて、ヒロキ役の谷口昌英くんとは仲良しなので、現実の関係性によって引っ張られた部分がありました。映画と現実の境目があまりなかったです。自分が生きている世界ととても近いところに演技の世界があって、現実が撮影の進行とともに深まっていくリアリティがありました。

■監督・キャストコンビで主題歌を作詞・作曲

-主題歌が『蜃気楼』で、作詞が監督で、作曲は斉藤さんだそうですか。曲作りのエピソードはありますか?

斉藤拓海
映画とは違うサークルの集まりでみんなでいる時に、2次会でカラオケに行ったんです。終電を逃す人とかも出てきて、朝までのコースを楽しもうという感じで歌っていて、監督の隣に座ったときに、「タクミくんに主題歌を頼みたいんだよね。」と頼まれました。

椎名零監督
そんな風に頼んでいないと思うんだけど、悪意あるよね(笑)彼はこの話をよくするんですけど、私は全く覚えてないんです。

斉藤拓海
確かにその時なんです。当時はギターは好きですけど、曲作りをきちんとやったことがなかったので、自信はありませんでした。頼まれたので断れないなと思って、それで作りましたね。今回の曲以外にも、SoundCloudへ曲をアップロードしています。

椎名零監督
斉藤くんは歌がうまいし、自分で曲も作っていて、インスタライブもしていたんです。私は昔のアイドル映画みたいに、主題歌を入れるのが好きで、「グラデーション」の前の映画では自分で作詞・作曲をして、主演の子が歌ってくれたんですけど、彼が作曲できるなら私よりいいと思ったのでお願いしました。その後、斉藤くんがつくった曲を私が気に入って、PVを撮らせてほしいとオファーして、YouTubeに上がっているもの(「木になっちゃった」URL:https://youtu.be/pTAi36f_oYw)もあります。

-曲作りのお二人のエピソードはありますか?

椎名零監督
斉藤くんの曲が先でした。ダミーの歌詞をつけてくれた曲に私が実際の詞を書きました。レコーディングは、サークルの部室にギターを持ってきてもらって、iPhoneのボイスレコーダーで歌ったものを録音しました。その時、私自身が書いた歌詞に納得がいかなくて、その場で歌詞を何度も変えました。3テイクぐらいでようやく歌詞が固まるといった流動的な曲作りでした。
脚本も当日の全体の流れはもちろんできているんですけど、セリフが当日の朝まで決まってないことばかりで、ギリギリに自分を追い込んでいることが多かったです。

■知り合いに助けてもらったロケ地

-劇中に映るぶどう園にはエピソードはありますか?

椎名零監督
脚本では山梨という設定になっているぶどう園ですが、撮影したのは狭山市になります。実家がブドウ園の後輩がいたので、駄目元で映画の撮影をお願いしたら快諾してくれて、撮らせていただきました。とても綺麗なブドウ園です。私達の腕では、映像に残せないぐらいきれいでした。ぶどうを食べてしまう可愛い犬もいました。

グラデーション

場面写真(ぶどう園)

-バイト先の居酒屋について

椎名零監督
映画を撮る半年ぐらい前に、自分が映画を撮っていることをバイト先の店長に言いました。その時に冗談半分で、「ここで撮ったりとかできないんですかね?」と言ったら「全然いいんじゃない」という感じで、それをなんとなく覚えていてここで映画を撮りたいなと思ってあたためていて、脚本があがったときに社長に相談して、OKをいただきました。

ー監督のバイト先で撮影してみていかがでしたか。

岡﨑至秀
また足を運んで酒を呑みたいなって思います。

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岡﨑至秀

斉藤拓海
撮影時は実際に呑んだりもしましたね。

グラデーション

斉藤拓海

椎名零監督
地元で撮影して機材を持ったまま、地元でそのまま呑みました。
撮影している時に話しかけられたりもしました。撮影した後にバイトしていると、お客さんから、「何かやってたよね、あれ何?」ってきかれたので、「映画の撮影です」と言ったら、「映画!?」みたいな反応を受けたり。街中が見守ってくれている感じでした。実際にお店の営業中に撮影したんです。撮影のための使用料を払っていない代わりに、店の邪魔をせずに営業時間内に撮影しました。

グラデーション

椎名零監督

■椎名監督の身近にあった映画文化土壌

-椎名監督の経歴に関して、お聞かせください。曽祖父やお祖父様が映画監督だったり、演劇に関わる方々でしたが、影響を受けたことはありますか?

椎名零監督
曾祖父は年齢的に会ったことはないですし、祖父も私が幼い時に亡くなったので、直接、例えば映画にまつわる影響はありません。ただ、文化的土壌がある家庭だったと思います。なので、影響は多少あったと思います。
また、祖母が六本木で文化人が集うバーを開いていました。著名な作家とか劇作家の方が、祖母には知人・友人として数多くいるので、そういう雰囲気をなんとなく味わいながら育ったところがあります。

初めて語った“零”の意味

-椎名零(しいな れい)とうペンネームもお祖父様の苗字からとっていると思いますが、“零”にはどういった意味が含まれていますか?

椎名零監督
私は、『太陽を盗んだ男』という映画が好きなのですが、その映画のヒロインが“零子”と言いまして、そこから取っています。また『グラデーション』のテーマに近いのですが、プラスでもマイナスでもなくニュートラルな感じでいたいというのがあったので、この名前をつけました。このことは、初めて話しましたね。

■作品紹介と好きなシーン・見どころ、お客様へのメッセージ

斉藤拓海
この映画を僕は、とても2019年ぽいと思いました。社会的に、「なにか、来るぞ!」という大きな年が2020年だったと思います。いろんなものが壊されて新しいものが生まれるという時期の雰囲気みたいなものが、2019年にはあったなと感じています。

椎名零監督
私以外の人がそこを感じ取ってくれると思っていなかったので、その感想は嬉しいです。「本当に今しか撮れない現在(いま)」という感じのことを意識していました。コロナ禍に見ると何かもう違う世界のようです。
結構いろんな要素がある作品だと思っています。どんな立場の方が見ても自分に引っかかるところを見つけられると考えています。公開が6月19日なのですが、夏の映画なので、これから夏になるぞっていう時に、気持ちを高められると思います。

斉藤拓海
僕は、オープニングの自転車のシーンが好きです。自転車をゆっくり漕いで、めっちゃ暑そうで、特に何も起きないんです。信号待ちをして、ゆっくり漕いでというように、わりと長めに撮られているんですけど、そこがとてもリアルで、夏休みのうだるような暑さとだるい感じが伝わればと思います。

岡﨑至秀
僕は笛の練習をしている祭りの準備のシーンでの、あぐらを書いている谷口さんの足の指がもぞもぞしている動きが好きです。何かこの映画っぽいと思うんです。役者の身体性というか、スクリーンの中で人間が生きていることの生々しさが出ていると思いました。人間がビビッドにそのスクリーン中で生きているっていうのが、実感できるような映画だと思っています。

斉藤拓海
ジュンはあまり喋らないのですが、グラデーションでいうところの段階的な状態。人間関係における慎重さや臆病さが、ジュンの言葉の少なさに表れていると思います。あまり言葉でわかりやすく言わない作品なので、そんな黙っているところや表情を見てほしいです。

椎名零監督
私はエンドロールがとても好きです。オフショットと本編の間みたいで、ジュンくんとヤスさんなのか、斉藤くんと岡﨑さんなのか曖昧な感じの2人が夜の街を散歩している様子の映像なんですけれど、斉藤くんの作ってくれた主題歌も相まって、とても良い雰囲気で、そこが私は好きなので、最後まで観ていただきたいです。

[聞き手&写真:金田一元]

映画『グラデーション』

イントロダクション
再開発の進む住宅街を舞台に、青年二人の恋とも友情ともつかない交流を描いたひと夏の物語
監督・椎名零の劇場公開デビュー作である本作は、古き良き住宅街・碑文谷と再開発の真っ只中にある武蔵小山の街が舞台となっている。目黒門前囃子保存会や晩杯屋武蔵小山店の関係者をはじめとする多くの地域住民の協力のもとに制作され、地元感あふれる作品になっているのが特色である。
監督は、出身地である住宅街の中で背を伸ばすタワーマンションを日々眺めているうちにその異質さに惹かれ、そこから着想を得て脚本を執筆。監督の目に映る風景をそのまま舞台に≪再開発の波と古き伝統が共存する街の段階的変化(グラデーション)≫や≪大人と子供、男と女、恋と友情の境界が曖昧(グラデーション)な若者≫といったテーマを盛り込み、じんわりと響くみずみずしいブロマンス*映画に仕上がった。
*男性間の親密な関係性を指す、 brother(兄弟)と romance(ロマンス)からなる造語。

あらすじ
立ち飲み屋でアルバイトをしている大学生・ジュン(斉藤拓海)は、趣味であるカメラを片手に街をぶらついたり、悪友のヒロキ(谷口昌英)とだべったりと、だらだらとした夏を過ごしていた。
そんな中、ひょんなことからバイト先の常連客であるキャバクラのボーイ”ヤスさん”(岡﨑至秀)と知り合い、ヤスがかつては写真家を志していたことを知る。ジュンは写真について語り合える唯一の存在であるヤスに憧れを抱き、次第にジュンの生活はヤスを中心に回り始めるが、ある日を境にヤスは立ち飲み屋に現れなくなり……

斉藤拓海 岡﨑至秀 谷口昌英
監督・脚本・編集・音楽:椎名零
撮影:安井彬 助監督:山本藍衣
制作:映像製作集団浪人街
主題歌「蜃気楼」曲・歌:斉藤拓海 詞:椎名零
宣伝美術:飯島みく
2020年/日本/64分

予告編

2021/6/19(Sat.) – 2021/6/25(Fri.) 池袋シネマ・ロサにて1週間限定レイトショー

グラデーション

 

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