主演女優賞・のん & 監督賞・大九明子 映画『私をくいとめて』第30回日本映画批評家大賞授賞式
2021年5月31日、新宿文化センター大ホールにて、第30回日本映画批評家大賞授賞式が行われた。本記事はその中から、映画『私をくいとめて』より、主演女優賞・のん、監督賞・大九明子受賞シーンを、写真・動画と共にレポート。
いずれも、選考委員の山口正介氏が選考理由を語ったが、のんの前に立った時、自身がのんのファンであることを明かしつつ照れている様が微笑ましかった。
なお、『私をくいとめて』は、第33回東京国際映画祭(2020年)にて、観客賞を受賞しており、今回の日本映画批評家大賞と合わせると、一般の映画ファン、そしてプロの批評家、両輪で愛された作品であることが証明された形となった。
授賞式レポート
■動画レポート
■主演女優賞 のん『私をくいとめて』
山口正介選考委員
のんさん、おめでとうございます。
なんて言っていいのかな。昔からの(のんさんの)大ファンで(照)
のんさんは役者として、受けの芝居がとてもよくできる方だと常々思っていて、これは一般に主演の役者さんっていうのは、自分を前に出出す、前に出すっていうのがいいように思われてますけども、実は周りにいろんなクセの強い人がいて、その人たちに背中を押されたり、あるいはそれに対して怒ったり、う~んそうなのかって考えたりするっていうのが、実は主演の役者さんのお仕事だと思っています。
それが、のんさんはとてもうまくできていていい感じなので、それが受賞理由です。
のん
のんです。この度はこのような素晴らしい賞をいただき、心から嬉しく思います。
そして大九監督も監督賞を受賞されているということで、そのお知らせを受けた時は、お~、やったぁ!という気持ちでした。
この賞はスタッフキャストの皆様、そして綿矢りささん、全国にいる、みつこさん、みつおさんと獲った賞だと思っています。
そのくらい、みつ子という役が、日本中にいるみつ子的要素を持った方々の心に寄り添った役だったんだなという実感をしています。
私事ではあるのですが、実写映画の主演というのを数年ぶりに務めさせていただきました。
主演のいいところは、たくさん出番があって、ずっと演技していられるという、そんな幸せなところだと思います。
その充実感を久しぶりに味わわせていただきました。
みつ子に選んでくださった大九監督に感謝の気持ちでいっぱいです。
これからも、みなさんに楽しんでいただける演技ができるよう精進して参ります。
映画という娯楽は、人間にとって“必要必須”なものだと思いますので、私もこれからもこの道を頑張っていきたいと思います。
ありがとうございました。
■監督賞 大九明子『私をくいとめて』
山口正介選考委員
監督もすでにずいぶんたくさんの作品を撮っていらっしゃいます。いろいろな映画をいろいろなスタイルで撮ってるように、僕は思ってるんですけど、それぞれがなかなか素晴らしくて。
今は、監督っていうと自分のスタイルみたいの持ってることを重要視されるみたいだけど、大九さんにスタイルがないと言っているわけじゃないんだけど、非常に新しくて、今必要とされてる監督じゃないかと思います。
それからもう一つはあのこの映画の原作は、多分純文学に入ると思うんですけども、得てして純文学って暗い。それを映画化するとさらに暗くなってしまうっていうことがあるんですけども、それをむしろ明るいタッチで描いていただいたということが非常に良かったんじゃないかと思います。
また、今はCGはいくらでも何でもできちゃうんで、多用する方も多いんですけど、程よい、ちょこっと隠し味みたいな感じで使われたところが非常に好感を持てました。
ここで、電撃ネットワークの南部虎弾が花束のプレゼンターとして登場。
「私にはもうひとつお祝いの仕方があります。」として、缶ビールをおでこにくっつけて、コップにビールを注ぐパフォーマンスを行った。
大九明子監督
なんで私だけこんな楽しいサプライズがあったんでしょうか?(笑)
中村ゆうじ(司会)
あなたが昔、芸人だったからです!
大九明子監督
頭が真っ白になってしまいました(笑)
本日は監督賞を頂戴しましてどうもありがとうございます。
今、選考理由でも言っていただきましたが、私が商業映画を撮るようになってから14年ぐらいですが、とにかく映画を作りたい、何か作りたいということを子どもの頃からずっと思っていたもので、やっと見つけた映画を作るという道に関して、しがみつくように、お話を頂戴すると一つ一つ一生懸命作ってまいりました。その度に毎回観ていただくお客さんのおかげで、今まで監督という肩書きを頂戴できていると思います。
監督というのはスタッフがいて、俳優がいて、そしてご覧いただくお客様がいて、初めて形となる職業ですから、本当に一人で撮ったものでもないですし、先ほどのんさんもおっしゃっていただきましたけれども、本当に全てのお客様、全ての俳優、全てのスタッフと一緒に今日の素敵な日を頂戴できたなと思っております。
今、東京都は映画を観てはならないという謎の、まさか自分が生きているうちにこのような時代が来るとはまったく思ってなかったんですけれども、そのような時期に、私の映画を続けて3本上映していただいているミニシアターがございまして、先週、そちらに足を運びました。
そちらでは、ユニバーサルシアターという形で、字幕と音声ガイドを一緒に聞けるということで、白い杖の方や、盲導犬を連れた方、そういった方達と一緒に映画を観るという素晴らしい経験をさせていただき、改めて映画は不要でも不急でもない、やっぱり私にとっても、どの方にとっても必要なものだなと実感いたしました。
これからも映画を一生懸命作っていきたいと思います。どうもありがとうございました。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/動画・記事:桜小路順]
映画『私をくいとめて』
STORY
30歳を越え、おひとりさまもすっかり板についてきた黒田みつ子。みつ子がひとりきりでも楽しく生活できているのには訳がある。脳内に相談役「A」がいるのだ。人間関係や身の振り方に迷ったときはもう一人の自分「A」がいつも正しいアンサーをくれる。
「A」と一緒に平和なおひとりさまライフがずっと続くと思っていたそんなある日、みつ子は年下の営業マン多田くんに恋をしてしまう。
きっと多田くんと自分は両思いだと信じて、ひとりの生活に慣れきってしまったみつ子は20代の頃のように勇敢になれない自分に戸惑いながらも、一歩前へふみだすことにする。
監督・脚本:大九明子 原作:綿矢りさ「私をくいとめて」(朝日新聞出版)
音楽:髙野正樹
劇中歌 大滝詠一「君は天然色」(THE NIAGARA ENTERPRISES.)
出演:のん 林遣都 臼田あさ美 若林拓也 前野朋哉 山田真歩 片桐はいり/橋本愛
製作幹事・配給:日活
制作プロダクション:RIKIプロジェクト
企画協力:猿と蛇
(C)2020「私をくいとめて」製作委員会
公式HP:kuitomete.jp
公式Twiter:@kuitometemovie
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