この日のために新曲8曲書き下ろし。大友良英×のん×Sachiko M、レアでユルく熱いお祭りライブ
2019年12月28日、新宿PIT INNにて「のんとも。M」とタイトリングされたライブが行われ、大友良英、のん、Sachiko Mが出演。のんは、この日のために次々と新曲を書き下ろし、それに刺激されたかのように、Sachiko M、大友良英も曲を書き下ろし。演奏された全18曲のうち、8曲がという新曲合戦のライブとなった。(フォトギャラリー)
「のんとも。M」は、大友良英年末恒例4デイズ8連続公演のうち、12月28日夜の部公演。タイトルの由来は、“のん”+“大友良英”+“Sachiko M”の名前からそれぞれ抜き出して合わせたもの。
この日のために、のんは5曲、Sachiko Mは2曲、大友良英は1曲、それぞれ新曲を書き下ろしたが、特にのんは、「のんとも。Mに向けて作るぞ!ってなった時になんでも大丈夫だって思えて、いっぱい発想が浮かんできた。」と語った。
ただ、その次から次へと湧き出るアイディアは夜中に集中するらしく、大友良英は「夜中の2時くらいになると曲がいっぱい送られてくるんだよ。『あれ、また来た!また怒ってる詞だ』みたいな(笑)」と、のんの勢いに押され気味だったことを明かし、会場を沸かせた。
カバー曲は、アグネス・チャンの「ひなげしの花」などの往年の歌謡曲から、古井戸の「さなえちゃん」、そしてハナ肇とクレージーキャッツの「ハッスルホイ」まで、バラエイティに富む全6曲が演奏された。
みっちりと事前練習した曲もあればそうでもない曲もあったようで、曲によっては演奏前にアレンジの方向性を確認したり、あるいは演奏しながらアドリブで対応することも。即興演奏感がありつつ、でもユルい雰囲気もあり、緊張と緩和のバランスが素晴らしいライブとなっていた。
大友良英は「親戚の集まりの忘年会感があるよね。」と楽しそうに語り、のんも「温かい!」と自由な雰囲気のライブにとても満足げ。“音楽”という言葉の通り、まさに“音を楽しむ”という表現がピッタリのライブに、観客も笑ったり、拍手喝采したり、会場全体が楽しい雰囲気に包まれていた。
書き下ろしの新曲たっぷり、そしてカバー曲、既存曲も特別アレンジでの演奏など、まさしくこの日のためだけのとても貴重なライブだったと言える。今後、年末恒例ライブとなることを期待したい。
ライブレポート
大きな拍手の中、のん、大友良英、そして少し遅れてSachiko Mがステージに登場。
M1. わたしは部屋充(ボサノババージョン)
2019年11月14日に発売となった「忘れらんねえよ」柴田の書き下ろしの配信限定デジタルシングル曲。
大友良英のアコギによるスローテンポなボサノバ風アルペジオの前奏で始まり、のんは、着席のまま、しっとりと歌い上げる。
歌い終わり、「のんとも。M」に向けてたくさんの曲を書き下ろしたことをのんが話すと、大友良英は、「夜中の2時くらいになると曲がいっぱい送られてくるんだよ。」と明かした。
M2. とどめ (のん新曲)
大友良英、速いテンポのカッティングでアコギをかき鳴らす。のん、激しく歌う。
“♪笑顔でなんとかごまかそうなんて甘い考えはない。とどめを刺せ!”
M3. 沈んでく (のん新曲)
大友良英、のん、ともにエレキに持ち替え演奏。憂いを感じさせる歌詞とブリティッシュ・ロック風なメロディー。
“♪まっすぐ続く一本道が不器用なままに落ちていく”
“沈んでく沈んでくゆっくりと音もなく”
演奏が終わると、客席から「かっこいい!」の掛け声がいくつも。
M4. 真夜中のギター(1969年、千賀かほる)
大友良英が選曲した「真夜中のギター」。大友が小学3年生の頃の曲で、いい感じで始まるのに途中でなんで演歌みたいになるの?ってところが、この曲が好きな理由だという。
続けて、アグネス・チャンのカバー曲に。
M5. ひなげしの花(1972年、アグネス・チャン)
M6. 白いくつ下は似合わない(1975年、アグネス・チャン)
のんの歌声は、アグネス・チャンをイメージしてか、清楚感があるハイトーンで、かつてのアグネス・チャンを彷彿とさせる。
歌の途中、“今はきみだけしか見えないと云ったのはうそなの?”のところで、のんは軽く睨むような表情で客席を指さす。
曲のエンディングは、大友の演奏しながらの一声で、のん、Sachiko Mとも構成変更に即座に対応する。
演奏が終わり、大友良英が「今日のチケットを取ることが大変だったと聞きました。今日いらっしゃる皆さんは粘り強い方々ですね。」と会場に呼びかけた後、今度はのんに向かっておもむろに、「のんちゃんは、納豆好き?」と問う。
“粘り”繋がりのその質問に、のんは、「好きです。私は関西だったので、私以外の家族はみんな嫌いで家では食べたことが無かったんですけど、給食で出て好きになりました。」ということを明かした。
M7.いつでも君は (のん新曲)
大友良英、のん、共にアコギ。
明るく前向きな雰囲気の曲調だが、歌詞の内容は、確かな道が見えなくても既成概念に囚われず、前へ進めと鼓舞する内容。でも楽しく行こうと、のんらしいメッセージも込められている。
“♪決まりきった理論がすり減って 残った分が自分の言葉になる”
“♪突き破れ 突き破れ 私の頭 走って行け 走って行け 君の心 動かせ 動かせ 君の明日”
“♪ひっそり浮かぶ頼りない道も 楽しく急ぐ”
M8. Snow Dance (Sachiko M新曲)
Sachiko Mが「のんとも。M」のために書き下ろした新曲。Sachiko Mはそもそも作曲しない人だったらしく、「のんちゃんに出会ってから曲を書き始め、そしてのんちゃんのためなら凄い勢いで書く。」と、大友良英が明かした。
のんが「素敵な曲」と評した「Snow Dance」の演奏がスタートすると、のんは、エレキを弾きながら歌う。爽やかな希望と夢に溢れた前向きな歌だ。
“♪Snow Dance 白い羽根広げて そっと空に飛び立とう”
“♪君と舞い踊るよ”
M9. 夜明けの太陽 (1967年、ザ・スパイダース)
のんが、テレビで堺正章の特集をやっていたのを見て、かっこいい!と気に入ってセレクトしたという曲。
M10. さなえちゃん (1972年、古井戸)
古井戸(加奈崎芳太郎&仲井戸麗市のユニット)のカバー曲。大友良英は、「のんちゃんは、チャボ(仲井戸麗市)さんと一緒に(2019年2月、クラブチッタで)やってるんでしょ?」と改めて、のんの音楽活動の幅広さに感嘆のコメントを述べた。
この曲は大友良英が、アコギを弾きつつボーカルを担当。のんは、パフパフラッパを持って立ってリズムを取り、サビでバックコーラス。
“♪大学ノートの裏表紙に さなえちゃんを描いたの”
“♪でも鉛筆で描いたから いつのまにか消えたの”
2番以降は、「さなえちゃん」の名前の部分だけを、客席にも問いかけ、変えながら続ける。
そして最後に名前を“のんちゃん”に、Sachiko Mが歌う。
“♪大学ノートの表表紙に のんちゃんを描いたの”
“♪マジックペンで描いたから、全部のページに写ったの”
“♪大学ノートをめくったら のんちゃんでいっぱい もう消えないの~ 絶対に消えないの~”
のん愛に溢れるSachiko Mの替え歌に会場も一体となって歌う。
M11. ギャップ (のん新曲)
大友良英が「のんちゃんが作った曲の中でいちばんアバンギャルドかも」と評したこの曲は、のんが夜中に寝なきゃ!と思い布団に入ったものの、「曲を作りたい!」という気持ちが抑えきれず、眠れなくなって書き上げた曲だそう。
大友良英は、のんがギターを弾いている手元を見ながら、エレキでギュインギュインと即興演奏のように。Sachiko Mも、シンセで不協和音な打楽器風演奏。のんが「こんな編曲は初めて」と評するほど、二人とも前衛的で、まさしくアバンギャルドな編曲での演奏。
“♪相変わらずいつまでも噛み合わないギャップ 何もかも違うルール 興味がない全部 全部”
“♪輝く未来の説教はいらない”
“♪冷めたフリして笑ってたけど もうガマンできないから さっさと先に向かおうか 今日しかない 進め!”
M12. めぐる (のん新曲)
大友良英、本曲もエレキでギュインギュインとエフェクト的演奏。大友が20歳の頃に手に入れたという電気部品でギターを叩くように演奏する姿に、のんも「へぇ!」という表情で見つめる。
M13. 眠れない (大友良英新曲)
“ラララ~”で始まる明るい感じのブルース調。大友がのんがいつも「眠れない」って言ってくるのをイメージして書き下ろしたという新曲。Sachiko Mが書き下ろした「Snow Dance」は、天使なのんをイメージしたというのに対し、大友は「堕天使かも・・・」と自虐的に笑い、会場を沸かす。
“♪眠れない 眠りたい でも眠れない テレビはいつも同じ顔 “本音”という名の嘘 ネットのニュースにコメントなんてしてんじゃねぇよそこの親父! ”
“♪明けない夜はないって言うけど 私は夜が好き 朝なんて来なけりゃいい~明日は晴れるといいな”
M14. ハッスルホイ(1963年、ハナ肇とクレージーキャッツ)
のん選曲のカバー曲。大友からカバー曲の選曲依頼をした時、のんが真っ先に候補にあげたという。
のんは、「この曲はヒゲが必要ですね。スーツとネクタイがあったらもっと良かった。」と言いつつ、パフパフラッパとタンバリンを持って立って足踏みダンスしながらとても楽しそうに歌う。
のん
みんなで!
“♪ハッスル ハッスル ハッスルホイ!”パフッ!
M15. クリスマスソング (作詞・作曲 のん)
12月14日に発売となったデジタル配信限定シングル曲。のんが幼少の頃のプライベート映像が挿入されたMVも評判になった。
大友が「画期的に明るいし、優しいですよね。こんなのんちゃんもあるんですね。」と語ると、のんは「クリスマスソングを作ろう!って思って作りました!」と返した。
M16. La La La にちようび (Sachiko M新曲)
これもSachiko Mがのんのために書き下ろした新曲。のんが「めっちゃ素敵な曲ですよね。みんなでLa La Laを歌ってほしい。」と会場に呼びかけ、演奏が始まる。
“♪月曜の僕は起きるだけで精一杯~水曜は君と秘密の場所へ行こう”
“♪世界に届け 風に乗って 世界に届け 空に揺られていつかきっと La La La La 今日はにちようび”
のん
ありがとうございました!「のんとも。M」でした!
<アンコール>
のん
アンコールありがとうございます!
楽しいですね。
大友良英
親戚の集まりの忘年会感があるよね。
のん
そうですね。温かい!
それでは、アンコールは、Sachiko Mさんと大友さんが作ってくださった曲をそれぞれ1曲ずつ。
M17. RUN!!! (作詞・作曲 Sachiko M)
のん2ndシングル曲(2018年1月1日発売)。のんと出会うまで作曲をしなかったというSachiko M作曲。しかも作詞・作曲を同時にこなす、というのもSachiko Mにとってこの曲が初だそう。2020年東京五輪の聖火ランナーのひとりに選出されたのんにピッタリの楽曲タイトル。
この日の演奏は、オリジナルとは打って変わって、スローテンポでアコースティックアレンジで、のんはゆったりと歌う。ちなみに、このスローバージョンのアレンジは、本番直前のリハで急遽決定した。
大友良英
最後の曲は、私とSachiko Mで作りました「おやすみ」という曲を。
M18. おやすみ (作詞・作曲 大友良英/Sachiko M)
のん
ありがとうございました!
大友良英さん!
Sachiko Mさん!
「のんとも。M」でした!
ファンクラブ限定でライブ動画公開
この日のライブのダイジェスト映像は、のんファンクラブ「Non Knock」会員限定で公開中!
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フォトギャラリー
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[写真:Ichigen Kaneda/文:Jun Sakurakoji]
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