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ファンファーレが鳴り響く

笠松将「粗探ししがちな世の中で、宝物探しするような映画」ヒロイン・祷キララ『ファンファーレが鳴り響く』

10月17日、都内にて、映画『ファンファーレが鳴り響く』の初日舞台挨拶が行われ、笠松将、祷キララ、森田和樹監督が登壇した。

一見過激に見える本作に監督が込めた思い。そしてその強い思いに応えた笠松将は、「この作品は完璧じゃないけど、自分がやってきた仕事や価値観が変わりました。粗探ししがちな今の時代、宝物探しをする方が面白いと思わせてくれた作品なので、それをみなさんと共有したい。」と語った。

本作は、「されど青春の端くれ」で2019年ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019でグランプリ&シネガーアワード(批評家賞)の二冠を受賞した森田和樹監督の待望の最新作。商業作品デビューとなる森田監督の人生を投影するスプラッター青春群像劇となっている。

舞台挨拶レポート

ファンファーレが鳴り響く

森田和樹監督/笠松 将/祷キララ

-本作製作のきっかけは?

森田和樹監督
4年前に自分が病気を患いまして、治療して就職活動をしたんですが、病気のことを伝えたら、「その病気じゃ無理だね」と一言で片付けられて、社会的弱者になったんだなという気持ちがありました。
翌年ゆうばり映画祭でグランプリを獲って、この映画を作ることになったんですけれど、その時の自分の気持ちを、YouTubeで見た吃音症の方の気持ちに重ねて作りました。

笠松 将(神戸明彦 役)
監督になんでこういう脚本を書いたのかを聞いたら、1日こんなに薬を飲んでいるという話を聞いて、僕にとっては、何個かある作品の内の1つだけれど、目の前にいるこの人にとっては、めちゃくちゃ大切な1つだと思って、原点回帰できました。

笠松 将

笠松 将

-笠松さんは完成した本作を観てどう思われましたか?

笠松 将
(作品中)僕ら二人でいろんな人を殺していくわけですけれど、最後に僕の役は幸せな気持ちになるんです。
いじめられている主人公が人を殺したことによって笑えたわけで、自分の存在した意味があった。
今の社会の中で、周りからの評価と自分を大切する気持ちを分けて考えられていないと思うんです。自分がどうしたいということと周りがどう思うかは別じゃないですか。
その難しいことを、この時代に合わせてバシッとはめてきた。時代を読んでいて、めちゃくちゃ高度なことをやっていると思いました。

-祷(いのり)さんが演じた光莉(ヒカリ)について、狂気をはらんだ役と一言では片付けたくないと聞きました。

祷キララ(七尾光莉 役)
予告やポスタービジュアルとかで、激しい快楽殺人をスプラッターで描いた映画だと受け取る方もたくさんいると思うんですけれど、この映画では、形とか見た目ではなくて、犯した犯罪の裏にあるものだとか、二人が選んでいく道筋の内側にあるものを監督は映像に映したいのかなと思いました。私は映像にそういうものが残る作品になればなと思いました。

祷キララ

祷キララ

森田和樹監督
先ほど話した気持ちを含めて脚本を書いているんで、お二人は現場で一生懸命で、あの時の二人と一緒にやれたことが幸せでした。

-撮影現場ではテストはあまり無かったそうですが?

祷キララ
ここのシーンがバチッとハマらなかったらこの映画は終わりだなと思っていたシーンがそれぞれにあったと思うんですけれど、そういうシーンの時は、「感情をこう作ってください」だとか「こういう風に見せてください」っていう演出はされず、その場で生まれたものが見たいと監督が本番に委ねようとしてくださっているような印象を受けました。

-過保護なお母さん役の黒沢あすかさん、厳格なお父さん役の川瀬陽太さんとの共演は?

笠松 将
気持ちを作って演技をする方もいいんですけれど、「気持ちは体に出るけれど、体も気持ちに出る」という僕が好きな理論を、川瀬さんから感じました。役割を理解して「こういうパフォーマンスをする」っていうのが明確で、すごくやりやすかったです。
川瀬さんがそうやってきてくれるから、そこに僕が乗っかるみたいな。言い合うシーンもあるんですけれど、やっていてテンポがよくて気持ちが良かったです。
黒沢さんは、カットがかかってもめちゃくちゃ優しくて、「こんな綺麗なお母さんいる?」と思いながら演じました。

-木下ほうかさんとのシーンは難しい撮影だったのでは?

祷キララ
ほうかさんからも学ぶ部分がたくさんありました。アクションや動きも一緒に試行錯誤してくださって、一緒に考えて作っていけたのが刺激的でした。

ファンファーレが鳴り響く

■最後にメッセージ

笠松 将
インディーズっぽさもあると思うし、インディーズの映画にこんなメンバーが集まったというのは、監督やプロデューサーの器、人間性、これまで培っていったものの塊で、すごいなと思います。
この作品は完璧ではないけれど、監督の想いが詰まっていて、その想いを字にされたものを僕らは読むんですけれど、冒頭で話した出来事(薬の話)が起こり、自分がやってきた仕事や価値観が変わりました。
今の時代って粗探しをしがちな時代じゃないですか。でも、粗なんて誰にでもあると思います。
なので、この作品では、宝探しした方が面白い、と思うくらい、やってよかったなと思った作品なので、皆さんと共有できたらと思います。

ファンファーレが鳴り響く

■舞台挨拶ムービー

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[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]

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映画『ファンファーレが鳴り響く』

【STORY】
高校生の明彦(笠松将)は、鬱屈した日々を過ごしている。持病の吃音症が原因でクラスメイトからイジメられ、家族にその悩みを打ち明けられないどころか、厳格な父親(川瀬陽太)からは厳しく叱咤され、母親(黒沢あすか)からは憐れんで過度な心配をされ、脳内で空想の神を殺しなんとか自身を保っている状態だ。

そんなある日、明彦はクラスメイトの才色兼備な女子生徒・光莉(祷キララ)が野良猫を殺している現場に偶然居合わせてしまう。光莉は、生理の時に見た自分の血に興味を駆られ、他者の血を見たい欲求を持っていた。光莉は「イジメてくる奴らを殺したいと思わない?」と明彦に問いかける。その日から明彦の中で、何かが変わったのだった。

明彦は、自身が学校でイジメられていることをホームルーム中に訴える。そのせいで明彦はさらにイジメグループから追い回されることになり、街中逃げ回るが、ついに追いつめられる。しかしそこで、光莉がまた野良猫を殺していた。そしてそのナイフで、光莉はなんと明彦をイジメている同級生を殺してしまう…。二人はその現実から逃げるように都会へと向かう。その最中に出会う、汚い大人たちをさらに殺していき、二人の血に塗れた逃亡劇は確実に悲劇に向かっていくのだった…。

出演者:
笠松将、祷キララ、黒沢あすか、川瀬陽太、日高七海、上西雄大、大西信満、木下ほうか、他
スタッフ
監督・脚本:森田和樹
製作:塩月隆史、人見剛史、小林未生和、森田和樹
プロデューサー:小林良二、鈴木祐介、角田陸、塩月隆史
撮影:吉沢和晃 録音:西山秀明 助監督:森山茂雄 特殊造形:土肥良成
主題歌:「美しい人生」sachi.
制作・配給・宣伝:渋谷プロダクション
製作:「ファンファーレが鳴り響く」製作委員会
(C)「ファンファーレが鳴り響く」製作委員会

特報

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10月17日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

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