中川奈月監督長編デビュー作『彼女はひとり』に黒沢清監督、諏訪敦彦監督、森崎ウィンらから絶賛コメント到着
田辺・弁慶映画祭セレクション2020で上映される、中川奈月監督長編デビュー作『彼女はひとり』に、黒沢清監督、諏訪敦彦監督、森崎ウィンらから絶賛コメントが到着した。
田辺・弁慶映画祭セレクション2020は、テアトル新宿にて 11月29日(日)より開催。この中のプログラムのひとつ「中川奈月監督特集上映4DAYS」にて、『彼女はひとり』が上映される。
本作は、カンヌ国際映画祭2020に選出、絶賛された深田晃司監督『本気のしるし』にて、森崎ウィン演じる辻⼀路を翻弄する同僚、みっちゃんを演じた福永朱梨の主演作。
誰にも愛されない孤独と悲しみから、他人を傷つけ、暴走していく澄子を繊細、かつ圧倒的な力で演じ、田辺・弁慶映画祭2019では俳優賞を受賞。
澄子に執拗に責められる秀明を、『きらきら眼鏡』主演、大河ドラマ『麒麟がくる』に浅井長政役に選ばれた金井浩人が演じている。
監督の中川奈月は、立教大学大学院にて篠崎誠監督に師事し、修了製作としてこの作品を撮影。学生映画かつ初長編にも関わらず、脚本の面白さが認められ、黒沢清監督、深田晃司監督、沖田修⼀監督の作品などを多く手掛ける芦澤明子キャメラウーマンが参加。作品の完成度を⼀層高めている。
コメント
この度コメントを寄せたのは、東京藝術大学大学院時代の恩師に当たる黒沢清監督、諏訪敦彦監督、また、『リング0』『おろち』鶴田法男監督、主演の福永朱梨さんの出演する『本気のしるし』主演、森崎ウィン、入江悠監督『シュシュシュの娘』が控える根矢涼香、『恋とさよならとハワイ』まつむらしんご監督、『Dressing Up』『蒲田前奏曲』安川有果監督ら。
黒沢清(映画監督)
恋に悩む高校生たちの物語だと思って見ていたら、青春という言葉からはるか隔たった、あまりにもダークで狂気的な世界観に震撼していた。これは凄い。少なくとも日本映画で、このレベルに達した学園ドラマを私は他に知らない。
諏訪敦彦(映画監督)
破壊することでしか触れることができない世界を生きる、その絶対的な孤独こそが世界=映画を再生させるはずだという覚悟が全編に漲っている。そして「彼女はひとり」ですべてを敵に回し、否定することで世界を抱きしめるという離れ業を堂々とやってのけるのだ。驚嘆した。
森崎ウィン(俳優)
こんなにドキドキした1時間、味わった事がない。ストーリー運び、俳優が吐く言葉、凄く好きです。脚本が欲しい。女優、福永朱梨さん、素敵過ぎました。本人には恥ずかしくて直接言えないのですが、そう強く思えた作品に出会えました。
根矢涼香(女優)
福永朱梨さん演じる澄子の、時折訴えかける眼の奥の寂しさに心が消え入りそうになる。
皆が皆、好き勝⼿に吐き出して、散らかして、残されたものは顧みずに踏みつけて歩いていく。
誰もこの声など聞こえていない、見ていない。
どこにもいない。幽霊はどちらかわからない。
引っ掻き回された世界で⽬を回さずに歩くために、
世界をかき回し直す彼女の視界は、明るくなるどころか依然混沌として、
周囲を巻き込みながら淀んだ川の底へと、ゆっくり沈んでゆく
鶴田法男(映画監督)
死の淵から帰還した少女が、ある町のおぞましい人間関係を暴いて崩壊させていく。イーストウッドの『ペイルライダー』と横溝正史の世界が出会ったようなおぞましい物語なのに、若い女性監督が作った爽快なまでのギャップに度肝を抜かれる必見作!
まつむらしんご(映画監督)
ひとりの少女の復讐劇にみえる。
彼女の動機が徐々に明かされる綿密な脚本。
行き場のない孤独と苛立ちを⼀瞬で伝える俳優の眼差し。
ヘビーな世界観に⼀筋の光を差し込む繊細な演出。
あえて⼀言でまとめるなら…傑作。
安川有果(映画監督)
「彼女はひとり」、冷たくて突き放した響きのするタイトルだと思ったけど、そうではなかった。
彼女が周囲の偽善を暴き、拒絶し、破壊すればする程、カメラがその孤独に寄り添って、変化の兆しが訪れるのをじっと見守っているようだったのが心に残った。
このとんでもない映画を初めての長編で撮ってしまった中川監督は、⼀体今後どうなってゆくのだろうかとちょっと心配になる。
映画『彼女はひとり』
INTRODUCTION
本作は、田辺・弁慶映画祭2019にて、主演の福永朱梨が俳優賞を受賞。また、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2018、国際コンペティション部門に唯⼀の日本映画として選出され、SKIPシティアワードを受賞。TAMA NEW WAVE2019ある視点部門、ドイツニッポンコネクション2019での上映など、国内外多数の映画祭で注⽬されている話題作。
あらすじ
高校生の澄子(福永朱梨)はある日橋から身を投げた。しかし、死ねずに生還してしまった。
学校に戻ってきた澄子は、幼馴染の秀明(金井浩人)が教師である波多野(美知枝)と密かに交際していることを知り、秀明を執拗に脅迫し始める。その行為は日々エスカレートしていくが、そこには澄子が身を投げた理由、秀明との過去に関わる、ある少女の幻影があった…。
出演:福永朱梨、金井浩人、美知枝、山中アラタ、中村優里
監督・脚本:中川奈月
公式Twitter:@kanojo_hitori
作品紹介ページ(テアトル新宿サイト内):https://ttcg.jp/theatre_shinjuku/movie/0669800.html
予告編
「中川奈月監督作品特集上映4DAYS」は、11月29日から4日間、テアトル新宿にてレイトショーで開催。
期間中は、『彼女はひとり』のほか、東京藝術大学在学時に撮影された2作品、青木柚主演の短編『昼の迷子』(11月30日併映)、本年のニューヨークジャパンカッツ2020、ニュージェネレーション部門に選出された新作長編、田中佐季主演『夜のそと』(12月1日単独上映)も上映。
田辺・弁慶セレクション2020
開催期間:2020/11/13(金)~11/15(日)
劇場:テアトル新宿
公式サイト:tbff.jp/
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