世界遺産で“史上初のレッドカーペット”実施決定『なら国際映画祭 2020』
世界遺産での史上初のレッドカーペット実施
8 月 4 日(火)11 時から、東大寺の全面的な協力により、東大寺大仏殿前で「なら国際映画祭 2020」オンライン記者会見が開催された。オンライン記者会見には、なら国際映画祭 中野聖子理事長および、エグゼクティブディレクターの河瀨直美監督がライブ配信を行い、「なら国際映画祭 2020」 開催決定の報告を行った。
中野聖子理事長は、9月18日(金)の『なら国際映画祭 2020』の初日には、世界遺産の東大寺大仏殿にて“史上初のレッドカーペット”の実施決定を発表。
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスによる世界的な混乱の中、多くの人々が孤独と不安を抱えている。そんな中だからこそ人々を勇気づける映画祭を開催したい、本当に大事なものは何なのか、それぞれが自らに問う機会を作りたいという考えから、オンラインを使い、コロナ禍における新しいスタイルでの映画祭開催となる。映画祭の今年のテーマは“トレジャーハント”「宝物はなんでしょう?」。「映画祭は自分の中に眠っている宝物を探すヒントを得る体験になるのでは?」という考えに基づいている。
また、東大寺および盧舎那仏像(奈良の大仏)は、奈良時代に発生した疫病(天然痘)の大流行を鎮めるために、聖武天皇が建造を命じたとされており、昨今の世界の状況を考えると感慨深いものがあるとその意義を述べた。
■映画を愛する人たちの思いをつなげるトレハンジェクトプロジェクト
『TREHUNJECT(トレハンジェクト)』とは、なら国際映画祭にとって、かけがえのない人たちと、映画を愛する全ての人たちへの想いを繋げたいという思いから企画されたプロジェクト。なら国際映画祭の今年のテーマである、“トレジャーハント”「宝物は何でしょう?」に基づく。
TREsure「宝」、HUNting「探し」、ProJECT「プロジェクト」、大切なものに一緒に出会いたい、ワクワクしたい!との想いを込め“宝探し”と名付けられたという。このプロジェクトでは、これまで映画祭に参加した映画関係者から「あなたの宝物」として、映画をつくる上で影響されるもの、それぞれが心に思う宝物を5~15秒でビデオ撮影してもらい、それを一つの映像にまとめる試みがなされた。今、Social Distanceによって会えない、映画館に行けない、撮影できない、映画が大好きな人たちと映像で繋がりたいという思いを形にしたものだという。
■若い世代に繋げていくこと
中野聖子理事長は、コロナ禍において「我々が生きる今を伝えること。そして、次の若い世代につなげていくこと。」の大切さを語った。「ユース(若い世代)にスポットをあてる」という側面から、今年も「ユース映画制作ワークショップ」が開催される。ゲスト講師に、『四月の永い夢』(2017年制作、主演:朝倉あき)、『わたしは光を握っている』(2019年制作、主演:松本穂香)の中川龍太郎監督を招き、奈良の町を舞台に中高生が、構想・脚本・出演・撮影・編集・上映・舞台挨拶といった映画が生まれるまでの全ての過程を体験する。この映画制作ワークショップは、8月16日(日)から8月23日(日)の日程で開催が予定されており、完成作品は、9月の映画祭最終日のクロージングセレモニーにて上映される。
今年のワークショップにはリピートする参加者もおり、定員の12名は満席ですでに締め切られている。今年は奈良県や京都府からの参加が多いが東京都からの参加者もおり、昨年は海外から参加された方もいたとのこと。
ワークショップ参加者は、「映画を作りたい」という強い目的意識を持ち、今年の特徴として、参加者12名に対して11名が女性の参加者だという。
■メッセージ
●河瀨直美 なら国際映画祭 エグゼクティブディレクター
奈良は、神様のお庭に、鹿も人間もみんなで仲良く暮らしている世界遺産の町です。
私たちはこの町で映画を通して小さな4つのお庭を育んでいます。1 つ目は、ハレの日の「本祭」、2 つ目はケの日の「ならシネマテーク」、3 つ目はハレとケをつなぐ「ナラティブプロジェクト」、4 つ目はキタル日の「ユースシネマプロジェクト」。
お庭にはそれぞれの想いがあり、そして世界への扉があります。2020 年は世界中の人々が小さなウィルスの脅威を実感することとなりました。けれど、そんな時だからこそ、私たちは、この庭に今年も小さな種を撒くことにします。それは、これらの庭から世界への扉を開き、今こそ、本当の意味での国境を超えたつながりを実感したいからです。そして「日本」を改めて誇りに思いたいからです。私たちは、この地球という同じ船に乗った人々です。78 億の人々の心に芸術の光が宿り、世界を照らすことができますように。皆様とともに、この庭を育むことができれば幸いです。
●中野聖子 なら国際映画祭 理事長
いつも「なら国際映画祭」に格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。まずはこの度、東大寺大仏殿でなら国際映画祭の記者発表をさせて頂くお許しを賜りましたことに深く感謝申し上げます。聖武天皇が大仏造顕の詔を発せられて以来、今日に至るまで、国家の安寧、世界の平和、生きとし生けるもが栄えることを祈り続けてこられたこの場所から世界へなら国際映画祭の想いをとどけられることに感動しております。
おかげさまで法人を立ち上げて 12 年、第1回目を開催してから 10 年の月日が経ちました。この間、映画を通じて海を越え、世代を越えた数多くの出会いがございました。新しい作品の創造の場にも立ち会うことができました。それは感動と奇跡が積み重ねられた道程でございました。困難はあれど、毎回開催できたことの喜びは深く、志高く歩みを進められたことはご支援くださる皆様のおかげと深く感謝しております。
そして今、第6回を開催するにあたり、世界は未曾有の状況に立たされました。新しい日常という言葉を前にして、私共は立ち止まって考えを深める時間を長く持つことになりました。神仏と自然と人とが共生する奈良のまちであればこそ、今、奈良から世界へ手を伸ばしていく映画祭が必要なのではないか。そんな考えに至りました。これまでの経験の上に、新しい「なら国際映画祭」をお届けしたい、今はその気持ちでいっぱいです。どうか皆様のご理解とご協力賜りたく存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
なら国際映画祭とは
奈良の平城遷都 1300 年目となる 2010 年、映画作家の河瀬直美をエグゼクティブディレクターに迎え始まった「なら国際映画祭」。2 年に 1 回開催される映画祭の企画運営の他、国内外の若手監督と奈良を舞台とした映画制作や、こども・海外学生とのワークショップ、奈良市内を移動する映画館「ならシネマテーク」など、映画の魅力を伝える数々のプロジェクトを実施しています。今年(2020年)は、 9 月 18 ~ 22 日に、第6回なら国際映画祭を開催する。
なら国際映画祭公式HP: https://nara-iff.jp/
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