
倍賞千恵子、木村拓哉ら豪華キャスト・山田洋次監督が語る撮影秘話と忘れられない出会い。映画『TOKYOタクシー』初日舞台挨拶【超詳細】レポート
2025年11月21日、丸の内ピカデリーにて、映画『TOKYOタクシー』初日舞台挨拶が行われ、主演の倍賞千恵子、木村拓哉をはじめ、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、山田洋次監督ら豪華キャスト・スタッフが登壇し、ついに公開初日を迎えた心境や、撮影中の貴重なエピソード、そして人生の「忘れられない出会い」について語った。
本作は、松竹創業130周年記念作品である山田洋次監督の91本目となる最新作。
初日舞台挨拶【超詳細】レポート
1. 公開初日を迎えての挨拶
登壇者全員が、全国220箇所の映画館で見ている観客も含め、来場者への感謝を述べた。
‐ 公開初日を迎えられた今のお気持ちと、ご挨拶をお願いします。
倍賞千恵子(高野すみれ 役)
本当にドキドキしていました。今朝早く家を出たのですが、ふと振り返ると富士山がとてもよく見えました。私はこの映画『TOKYOタクシー』は、その日本一の富士山をも超えるような、素晴らしい映画になったのではないかと自負しています。
木村拓哉(宇佐美浩二 役)
今日、会場にお集まりいただいた皆さん、そして全国220箇所の映画館でご覧の皆さん、本当に感謝しています。作品を受け取ってくださり、ありがとうございました。本日をもって、『TOKYOタクシー』は確実に客席の皆さんのものになると思います。その瞬間を見届けるために来ました。
蒼井優(若き日のすみれ 役)
皆さんと、この会場だけでなく、別の映画館でも同じ時間を共有できることをとても嬉しく思っています。私は山田組が大好きなので、再び山田監督とこの場に立たせていただいていることが本当に嬉しいです。
迫田孝也(小川毅 役)
今日はご覧いただきまして本当にありがとうございます。個人的な感想ですが、撮影中は幸せでした。今日は短い時間ですが、よろしくお願いいたします。
優香(宇佐美薫 役)
この映画に参加できて、とても嬉しく思っています。今日は皆さんと楽しみたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
中島瑠菜(宇佐美奈菜 役)
今日こうして初日を迎えられたこと、そして画面の奥の皆さんと一緒に時間を過ごせること、とても嬉しく思います。
神野三鈴(高野信子 役)
日本中の映画館で、皆さんとこの『TOKYOタクシー』の発進を見届けていただけること、本当に嬉しく思います。役者として山田組に出るのが夢でした。今日は自分にとっても新たなスタートの日だと思っています。
山田洋次監督
去年の秋、イチョウが色づく頃から準備を始め、ようやく1年経って今日この封切りの日を迎えました。ここにいる大勢の俳優さん、そしてたくさんのスタッフ全員が、老監督である私のことを気遣ってくれました。その思いの丈が、この映画となって結晶したのではないかと思っています。もしこの映画に良いところがあるとすれば、それは関わった全ての人々の思いが伝わったからではないでしょうか。
2. 撮影時のエピソード
‐ 撮影時を振り返り、今心に残っているエピソードを教えてください。
倍賞千恵子
たくさんあるのですが、一番印象に残っているのは、私の初日が柴又の門前から始まったことです。『男はつらいよ』が柴又で終着駅を迎えたように、『TOKYOタクシー』の初日も柴又の門前から始まったということが、私にとって生涯忘れられない思い出です。新しいスタート地点に立っているという気がしています。
木村拓哉
山田監督が、私たちや現場スタッフ全員に言ってくださった言葉が心に残っています。「今回の『TOKYOタクシー』に携わった人々の思いが、結局は作品の艶(つや)になっていると思うんだ」と。今回の作品は本当に艶に恵まれた作品になった、という監督の言葉に、自分はすごく良い場所に参加できたのだという思いに溢れました。
蒼井優
私もたくさんありますが、迫田さんと一緒に緊張するシーンがたくさんありました。重たいシーンのはずなのに、迫田さんがとても面白くて、毎日現場に行くのが楽しいくらい笑わせていただきました。
ちなみに、山田監督から「ここはもうちょっと情けない男でやってほしいんだよ」と言われた迫田さんが、「こういうの得意」と私にこそっと言って、いざスタートしたらすぐに監督に「あ、違う違う」と止められたっていうこともありました(笑)
迫田孝也
監督のこの映画に対する姿勢や熱意を一番感じていましたが、今、目を閉じて思い出すと、やはり一番残っているのは蒼井優さんの笑顔ですね。楽しそうにやられているので、重いシーンや暗いシーンも二人でちゃんと作れていると感じることができました。
優香
私は家族のシーンで、休憩時間に控室で木村さんや中島さんと3人でグミを食べたりしました。
また、喧嘩するシーンがあったのですが、監督に「優香さんは旦那さんと喧嘩したりするの?」と聞かれ、「はい」と答えたら、「家族は大切にね、旦那さんは大切にね」とおっしゃったのが心に響きました。
木村拓哉(宇佐美家での撮影について)
『TOKYOタクシー』のクランクイン自体が、宇佐美家の生活空間、ダイニングとキッチンがある場所から始まりました。山田監督の撮影手法で驚くのは、台本の1ページ目から撮影していく、完全に順撮りだということです。そのため、この家族3人でいる温度感を、監督に調節していただきながら、探っていったという感じがあります。
中島瑠菜
撮影中も撮影外でも、木村さんと優香さんがたくさん話してくださり、本当に家族の時間をどんどん作っていっているような気がして、毎回撮影が特別な思い出になりました。
特に印象に残っているのは、撮影中に私が少し落ち込んでしまった時、お二人が本当に優しいお顔を見せてくれたことです。「あ、お母さんとお父さんだ」と思いながらいられたのが、一番印象に残っています。
‐ 優香さん、そんなこともあったんですね。中島さんがご苦労されていた時ってことですよね。
優香
(中島さんは)とても根性のある素敵な方だなと思いながら、もう見守るしかないので私は本当に頑張れ頑張れと思いながら居ました。
中島瑠菜
(感激の涙)
神野三鈴
現場に入ってから、監督のエネルギーと熱量、そしてきめ細やかさに感動しました。
また、スタッフの方々が、エキストラとして店で食事をする役を演じている時も、皆さんが自分の役柄のバックグラウンドまで作って会話をずっと続けてらっしゃる。美術についても、私が使わないかもしれないお菓子の入れ物の中まで、信子が食べるだろうおやつが入っていたりしました。その豊かな濃密な空間の中で、「これが山田組なんだな」と感動し、背筋が伸びる思いでした。
3. 山田洋次監督に聞く:91本目の作品について
‐ 本作は監督にとって91本目の作品となりました。『TOKYOタクシー』は監督にとってどのような作品になりましたか?
山田洋次監督
91本撮ってしまいましたが、どんな映画ができたかということは、作り手には全く分からないのです。一生懸命作ったものの、人を笑わせる映画になったのか、胸がキュンとするような映画になったのか、それは分からない。
作り手は、人間がこんな時にどんな表現や顔つきをするかを正確に映し取ろうと努力するのですが、感動的になったか、おかしくなったか、泣けるかといった効果は、全く分からないし、また分かるべきではないと思っています。
映画が完成し、観客の皆さんが「楽しかった」「面白かった」「涙が出ちゃった」と言われて初めて評価が下されるものです。
ですから今、僕は映画を見終わった皆さんの前にいる気持ちは、非常に緊張していて、まるで被告が判決を受けるような気持ちでいるわけです。
4. 忘れられない出会い
‐ 本作は奇跡の出会いを描いていますが、皆様にとって忘れられない出会いがあればお聞かせください。
倍賞千恵子
私の映画出演178本のうち、70本が山田さんの作品です。山田さんの作品で一番最初が『下町の太陽』でした。初めて山田さんにご挨拶に伺った時、山田さんはハンチングをかぶって、2階にいる俳優さんに演出をつけていらっしゃいました。
私がご挨拶した時、山田さんはハンチングが落ちそうになるのを気にしながら、「よろしくどうも。はい、それでね」と、演出している俳優さんの方を気にされていました。そういう集中しているときに、私は邪魔をしてしまったかな、という思いもあります。
この山田さんとの初めての出会いが、今の私を形作っています。今、皆さんの前で話ができること、映画の中でお芝居ができること、そして木村拓哉さんにお会いできたことも、山田さんのもとで仕事させていただいたことが忘れられません。
‐ 山田監督は、倍賞さんとの初めての出会いを覚えていらっしゃいますか?
山田洋次監督
そのセットでお会いしたことは覚えていませんが(笑)、当時の倍賞千恵子さんというのは、松竹の輝ける新しい、全く今までにないタイプのスターでした。それは私たち若い監督にとってとても憧れだったのです。誰しもがあの人を主役にしたいと思っていました。ですから、僕にとって倍賞さんはその時からすでに憧れの人でした。
木村拓哉
忘れられない出会いはたくさんありますが、選ぶのは難しいです。ですが、きっと今後も忘れることはないだろう、という出会いは、今回のこの作品自体であると思います。
そして、作品を見てくださった皆さんの表情や目がすごく温かいのが、ものすごく忘れられません。いつも上映後の皆さんとお会いするタイミングで、僕らを迎えてくださる皆さんの温かさを感じ、またこういう思いを味わいたくて、次の作品の現場に臨めたら良いなと思います。
蒼井優
私にとって、山田洋次監督との出会いです。一番最初のオーディション(『学校』)はダメだったんです。その後も山田監督の作品が大好きで見ていましたが、自分はお芝居に向いてないかもしれないと心が追いつかなくなり、仕事を休んでいた時期がありました。
1年弱経って、やはりお芝居が好きかもしれない、と思っていた時に、山田監督から『弟』という作品のオファーをいただきました。人生に一度は山田監督の作品に出てみたいという気持ちがあったので、監督にこのお芝居という世界に連れて行っていただいたことにとても感謝しています。
今後の夢として、このチームで「大阪タクシー」「新潟タクシー」「北海道タクシー」「沖縄タクシー」など、46道府県のタクシーシリーズをやりたいです。木村さんと共にこのチームで。
‐ 木村さん、いかがですか?
木村拓哉
ならやろう!
迫田孝也
私にとっての出会いは、俳優を志したきっかけとなった、21歳の時に山田監督とお会いした奄美大島での夏です。この作品のプロデューサーの房俊介さんとも同じ時期に出会いました。それが20数年経って、こうして同じ作品に携われるというのは、まさに奇跡の出会いだと思います。
‐ 山田監督から見て、蒼井さん、迫田さんなど、長きにわたりご一緒されている俳優さんについて、改めていかがでしょうか。
山田洋次監督
監督の運命は、良い役者に巡り合えるかどうかで決まるようなものです。俳優との出会いは私たちにとって大事なことです。芝居のうまい下手はもちろんありますが、何といってもその人間そのものが「素材」として良いか悪いかで決まってしまう。魅力のある人、長く見ていたいような人が良い役者なのです。そういう意味では、今回はこれ以上言うことはないというほど、素敵な俳優さんたちに恵まれたと思っています。
5. 主演二人が語る互いの魅力
‐ 倍賞さんと木村さんは、撮影時もプロモーションでもご一緒する場面が多かったかと思います。共に過ごされた時間を振り返って、お互いの魅力を聞かせていただけますか?
倍賞千恵子
木村さんは、本当に真面目な方です。私が心を投げかけても、ちゃんと受け止めてくれるということが分かったので、とても気楽に、自分のことをそのまま出してお芝居ができて、幸せでした。
バックミラーに映った彼の姿や、覗き込んだ彼の姿、特にバックミラーには、お兄ちゃん(寅さんこと渥美清)よりも大きな、とても素敵な目が映るんです。その目に力づけられて、毎日楽しくお芝居ができました。
木村拓哉
倍賞さんは本当にフラットな方ですし、その経験値は比べ物にならないものだと思います。いつも最終的に物事が笑顔で終わってくださる方なので、疲れていても大変なことがあったとしても、最終的には倍賞さんのすべてをほわっと包んでくれるような笑顔でいつも向き合ってくださいました。
自分的には、その都度その都度、毎日心地良い魔法をかけていただいているような感じがしていました。
6. エンディングメッセージ
木村拓哉
今日は短い時間でしたが、非常に嬉しく、温かい初日挨拶にさせていただけたことを本当に皆さんに感謝しております。ありがとうございました。何度か乗りたくなるタクシーになっていたら良いなと思いますが、是非またタイミングがあったらよろしくお願いします。
倍賞千恵子
今日は本当にありがとうございました。今日劇場を出てから、ふっと横を見てどなたかと目があったら、ちょっとハイタッチするのも楽しいかなと思います。今日は本当にありがとうございました。
山田洋次監督
僕を含めてこの映画に関係している全てのスタッフは、本当に今日の日をドキドキしながら迎えたわけです。昼間のこんな時間なのに、全国の映画館に大勢の方が来てくださっています。これからもどうぞ、この映画を長く愛してやってください。
■紳士・木村拓哉(補足話)
この日の舞台挨拶は、高齢の山田洋次監督の体調を労る形で、全員着席の状態で行われた。
まず登壇時。キャスト全員が揃ったところで、MCが着席を促したが、木村は、山田監督含め、他の全キャストが着席するのを見届けてから最後に着席。
そして、舞台挨拶終了後、キャストらは、下手(しもて)側に、並び順にハケていったが、木村は舞台袖で立ち止まり(この時点で角度的に殆どの客席から木村の姿は見えない)、キャスト全員が戻っていくのを見届け、最後の最後に木村自身もバックヤードに戻っていった。
■フォトギャラリー
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[記事・写真:三平准太郎]
映画『TOKYOタクシー』
《INTRODUCTION》
山田洋次監督の91本目となる最新作『TOKYOタクシー』が、2025年11月21日(金)より公開いたします。
長きにわたり日本映画界で活躍し続け山田監督作品には欠かせない名女優・倍賞千恵子、そして『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉の豪華共演が実現、さらに蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、笹野高史などの豪華実力派俳優が揃いました。
《STORY》
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)。娘の入学金や車検代、家の更新料など次々にのしかかる現実に、頭を悩ませていた。
そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)を東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。
最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道を依頼する。
東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる―
- メインカット
- 場面写真1(浩二、すみれ)
- 場面写真2
- 場面写真3
- 場面写真4
- 場面写真5(小川、すみれ)
- 場面写真6(奈菜、薫)
- 場面写真7(すみれ、信子)
- 場面写真8(すみれ、キム・ヨンギ)
- 場面写真9(浩二、すみれ)
- 場面写真10
- 場面写真11(すみれ)
- 場面写真12(すみれ、誠一郎)
- 場面写真(すみれ)
- 場面写真(浩二)
- 場面写真(小川、すみれ)
- 場面写真(小川)
- ティザービジュアル(横)
出演:倍賞千恵子 木村拓哉
蒼井優 迫田孝也 優香 中島瑠菜
神野三鈴 イ・ジュニョン マキタスポーツ 北山雅康 木村優来 小林稔侍 笹野高史
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 朝原雄三
原作:映画「パリタクシー」(監督 クリスチャン・カリオン)
配給:松竹
©2025映画「TOKYOタクシー」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/tokyotaxi-movie/
公式X:https://x.com/tokyotaxi_movie
予告編
2025年11月21日(金)全国ロードショー
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