
「声だけの演技への憧れと難しさ」オリジナルアニメ映画『ホウセンカ』完成披露舞台挨拶
2025年9月4日、新宿バルト9にて、オリジナルアニメ映画『ホウセンカ』完成披露舞台挨拶が行われ、小林薫、戸塚純貴、満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧、木下麦監督が登壇。(動画&フォト)
小林薫と戸塚純貴は、W主演として独房で孤独な死を迎えようとしていた無期懲役囚の男・阿久津の過去と現在を演じる。
阿久津のパートナー・永田那奈の過去と現在の声を務めたのは満島ひかりと宮崎美子。
阿久津に話しかけた人の言葉を操るホウセンカ役のピエール瀧。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画レポート
■ダイジェストフォトレポート
満員御礼の中で行われたこの日、主人公・阿久津の現在パートを演じた小林は「ささやかな事が凄く大事で、幸せなことだと思わせる作品です。僕自身も作品を観た後はとても良い気持ちで帰りました」と手応え。
普段の実写演技との違いを感じたそうで「役を演じた実感がないというか、スタンドマイクの前に立って画面を見て声だけを出すことは違和感を伴う。声だけの表現なので気合を入れようと踏ん張るけれど、それに疲れて終わった後は放心状態で家に帰りました」と熱演を報告した。ちなみにピエールも収録後は徒歩で帰宅したそうだが、小林曰く「僕が感じたものと同じ放心状態を感じて徒歩で帰られたのかなと思ったら、ピエールさんは普段から歩いて帰っているとの事でした」と勘違いに照れ笑い。
これにピエールは「単に僕は歩いて帰るのが趣味なので…。それを小林さんは勘違いされた」と加えて(観客を)笑わせた。
人の言葉を話すホウセンカを演じたピエールは、小林にアニメーション声優のイメージがなかったことから、収録時には小林に対して台本のページの捲り方などをアドバイスしたという。
だが「後から『あ、ジブリをやっている人だ…!』と思って。そんな方にアドバイスしたことが恥ずかしくなった」と反省。
小林との共演を振り返り「2人で2日間声を当てさせていただき、濃密に芝居をする貴重な経験をさせていただきました」と感激していた。
主人公・阿久津の過去パートを演じた戸塚は本作が声優初挑戦。
「普段の芝居とは違う作り方でした。先に(小林)薫さんの声が収録されていて、その声を聞いてから僕が過去の阿久津を演じるということで、二重にわからなくなった。でも薫さんの声を乗せた阿久津がヒントにもなって、そこに僕が繋げるような気持ちで臨めばいいのかと思った」と2年前に行われた収録を回想した。
阿久津のパートナー・那奈の過去パートを演じた満島は、かつて声優を務めた『ONE PIECE FILM GOLD』での経験に触れて「その時にアニメーションの現場に圧倒されて、日本の素晴らしいクリエイターがここにいるんだと思った。アニメの世界のスタッフたちに魅了されて、そこからアニメを学ぼうと思って8年くらい毎日何かしらの作品をずっと観ているくらい、アニメ作りの世界に感動し続けています」と告白。
本作については「フィルム時代の日本映画のような、美しい余韻のある作品に参加することが出来て本当に嬉しいです。わたしは、完成作が大好きになりました」と太鼓判を押していた。
また満島は初共演の戸塚について「10年くらい前に何かの作品で拝見した時に、昔の役者さんが現代にタイムスリップしてきたような役者さんだなって、白黒時代の若者みたいだなって勝手に思っていました。今回は(戸塚さんの演じた過去の阿久津が)良い意味で空っぽな声に聞こえる場面がいくつかあって、それが愛おしく感じます。空っぽな声が出てくるけれど、それが、情報で自分自身を反芻して見ていないように感じられてとても素敵で。その阿久津の空っぽさに救われました」と独特な味わいに感動していた。
現在の那奈を演じた宮崎は「実写映画に出演するよりも、今ドキドキしています」と率直な思いを述べながら「アフレコ収録時は隣の人と喋ろうとするシーンでは、ついつい横を向いてしまう。画面の中の人が喋っているわけだから私はマイクから外れてはいけないのに…。ほんの小さなことだけれど、声の仕事はあたふたとすることがありました」と慣れない声優業の面白味を感じているようだった。
なんとこの日、9月4日は小林の74回目の誕生日。
木下監督から描き下ろしの小林の似顔絵イラスト、戸塚からは花束が贈呈された。このサプライズ祝福に小林は「こんなに嬉しい事はありません。このイラストは家宝にします」と喜色満面だった。
最後に木下監督は「静かで力強くて美しい映画になりました。最後までお楽しみください」と本作をアピール。
戸塚は「この映画に参加し、完成作を観た時にとても感動した思いが皆さんにも届いてほしいです。『ホウセンカ』という輪が広がって欲しいと、心から自信を持ってお伝えしたいです」と呼び掛けた。
小林も「本作に対する出演者の皆さんそれぞれの思いはあると思いますが、観ていただいた皆さんにもほんの少しだけ幸せな気持ちになって御帰りいただけたら幸いです」と期待を込めていた。
■フォトギャラリー
- ピエール瀧/満島ひかり/小林薫/戸塚純貴/宮崎美子/木下麦監督
- ピエール瀧/満島ひかり/小林薫/戸塚純貴/宮崎美子/木下麦監督
- 小林薫
- 小林薫
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- 小林薫
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- 戸塚純貴
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- 満島ひかり
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- 宮崎美子
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- ピエール瀧
- ピエール瀧
- 木下麦監督
- 小林薫/木下麦監督/戸塚純貴
- 小林薫/戸塚純貴
- 満島ひかり/小林薫/戸塚純貴
[動画・写真:三平准太郎]
オリジナルアニメ映画『ホウセンカ』
《INTRODUCTION》
予測不能なストーリーで話題を呼んだオリジナルTVアニメ「オッドタクシー」を手掛けた、クリエイタータッグ・木下麦×此元和津也と、国内外の映画祭で注目を集めた『映画大好きポンポさん』『夏へのトンネル、さよならの出口』を手掛けた制作スタジオ・CLAPが出会い、唯一無二のオリジナルアニメーションが誕生!
W主演は、主人公・阿久津の“過去”と“現在”を演じ分ける小林薫と戸塚純貴。
共演には満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧といった実力派俳優が集結!
さらに安元洋貴、斉藤壮馬、そしてお笑い界から村田秀亮(とろサーモン)、中山功太が参加。
多彩なキャストがキャラクターたちに魂を吹き込んだ。
圧巻の花火とともに幕を開ける、象徴的なオープニングテーマ「Moving Still Life」。
全編を通して、創造性に富んだceroの音楽が物語を鮮やかに彩る。
男が人生を懸けた“大逆転”とは何か。
その先に浮かび上がる物語があなたの心を満たす。
《STORY》
「ろくでもない一生だったな」
無期懲役囚の老人・阿久津が独房で死を迎えようとしていたとき、声を掛けたのは、人の言葉を操るホウセンカだった。
“会話”の中で、阿久津は過去を振り返り始める。
1987年、夏。海沿いの街。
しがないヤクザの阿久津は、兄貴分・堤の世話で、年下の那奈とその息子と、ホウセンカが庭に咲くアパートで暮らし始めた。縁側からは大きな打ち上げ花火が見える。
幸せな日々であったが、ある日突然大金を用意しなければならなくなった阿久津は、組の金 3億円の強奪を堤と共に企てるのだった――。
「退路を絶ったもんだけに、大逆転のチャンスが残されてんだよ」
ある1人の男の、人生と愛の物語。
- メインカット
出演:小林薫 戸塚純貴 満島ひかり 宮崎美子
安元洋貴 斉藤壮馬 村田秀亮(とろサーモン) 中山功太
ピエール瀧
監督・キャラクターデザイン:木下麦
原作・脚本:此元和津也
企画・制作:CLAP
音楽:cero/髙城晶平 荒内佑 橋本翼
演出:木下麦 原田奈奈
コンセプトアート:ミチノク峠
レイアウト作画監督:寺英二
作画監督:細越裕治 三好和也 島村秀一
色彩設計:のぼりはるこ
美術監督:佐藤歩
撮影監督:星名工 本䑓貴宏
編集:後田良樹
音響演出:笠松広司
録音演出:清水洋史
制作プロデューサー:伊藤絹恵 松尾亮一郎
宣伝:ミラクルヴォイス
配給:ポニーキャニオン
製作:ホウセンカ製作委員会
2025年10月10日(金)新宿バルト9 ほか全国ロードショー
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