親のお金は誰のもの 法定相続人

【インタビュー】三浦翔平「家族はお金に変えられない大切なもの」

映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』(公開中)で、比嘉愛未とW主演を務める三浦翔平。本作の撮影エピソードや彼が思う家族の価値観、そして俳優としての取り組みなどについて話を聞いた。

本作の軸になるのは「相続」と「家族」。少子高齢化社会と言われる今だからこそ、向き合うべき制度である「成年後見制度」(2000年に発足)の問題を描きつつ、《時価6憶円》の値打ちがある伝説の真珠を巡る、ある家族の大騒動を軸に進むのだが、、、予想外の連続に思わず「学び」、「笑い」、「涙する」真珠を巡るある家族の大騒動を描く。
三浦翔平演じる城島龍之介は、成年後見に注力している弁護士で、あることをきっかけに、比嘉愛未演じる大亀遥海一家と関わりをもつことになる。

三浦翔平 インタビュー&撮り下ろしフォト

■許していないんだけど許す方向に向いて歩き始める

‐小松江里子さんの脚本を最初に読んだ時の最初の印象はいかがでしたか?

三浦翔平(弁護士・城島龍之介 役)
田中監督とお会い機会がありまして、弁護士の役をやってほしいというお話をいただいて、そのときは細かいことはまだ決まってなかったんです。
それからさらに数ヶ月経って、「翔平くんに当て書きもしたから、やっぱりやってほしい」と再度ご連絡をいただき、比嘉愛未さんのW主演と決まった形で台本をいただきました。
その上で感じたのは、田中監督が伝えたいいろんなことが込められているなということです。

‐本作は、お金のこと、家族のことなど様々なテーマが込められていますが、三浦さんご自身に一番響いたのはなんでしょう?

三浦翔平
僕が演じた龍之介の目線から言うと家族愛がテーマです。龍之介は、お金に執着しているんですけれど、その根本は何かと深掘りしていくと、幼少期にネグレクトを受け、家族の愛を知らずに育ったことで性格がねじ曲がってしまったから。でも、田中監督が本作のテーマとしている「許しと愛」のように、龍之介も最後には、許していないんだけど許す方向に向いて歩き始めていきます。

■合法だけど抜け道がある

‐弁護士役としての役作りというのはされましたか?

三浦翔平
弁護士役そのものはこれまでも何度かやってますが、今回は「成年後見制度」もテーマになっているので、弁護士の先生方にそのことや、それにまつわる今の弁護士業界のことについてお話を伺いました。そんなに綺麗な世界のお話じゃないので、ここでは具体的に言えませんが、これまでの弁護士役と比べたら、かなり踏み込んだお話を伺えたかなと思っています。

親のお金は誰のもの 法定相続人

三浦翔平

‐「成年後見制度」自体はご存知でしたか?

三浦翔平
今回の出演を通して勉強しましたが知りませんでした。

‐田中光敏監督と脚本の小松江里子さんとのタッグと三浦さんとの関係は、映画『天外者』(2020)に続いてとなりますが、本作でお二人から役作りについて何かお話はありましたか?

三浦翔平
台本が正本になる前にお二人とお話する機会があって、そのとき、龍之介が心に抱えている闇をもっと出した方がいいんじゃないかという話し合いをしました。もっと極端にヒールに振った方がエッジが効いてくるんじゃないかとか、逆にすごい善人のフリをして、実はめちゃくちゃダークだとか。
最終的には小松さんが、最初はとても嫌なヤツという印象だけど、実は可哀想な内面も持っているという、微妙なニュアンスを表現してほしいとおっしゃって、それをベースに役作りしました。

‐そういう中、演じるにあたって難しかったことはありますか?

三浦翔平
毎回、どんな役も難しいんですよ(笑)今回の龍之介は、技術面で言うと、「サパテアード」(スペインのアンダルシア州地域を起源とするダンス様式)の音に合せて芝居をしてほしいと監督に言われたことです。セリフは無いんですが、「サパテアード」のリズムと龍之介の心情がリンクして見えるように、身体の動きと表情で表現するのは難しかったです。同時に、リズムで芝居をするのは新しいなって思いました。
気持ちの面で言えば、龍之介がずっと憎み続けてきた母親と向き合う瞬間がどこなのかを表現するのが難しかったです。龍之介が自分の本心に気づかないで行動しているフックがまずあって、そしてあることで自分の内面に気づく。そこは監督とも一番話したところなので、是非本編をご覧になって確かめてほしいです。

親のお金は誰のもの 法定相続人

城島龍之介(三浦翔平) 🄫2022「法定相続人」製作委員会

■小手伸也さんは日本神話に詳しくて

‐比嘉愛未さん(大亀遥海 役)との共演はいかがでしたか?

三浦翔平
序盤は共演シーンはほとんど無いんですが、ポスタービジュアルにもなっている終盤で2人が対峙するシーンでは、感情を強く動かしてもらいました。彼女の役は芯のある強いキャラクターですが、比嘉さんはそれを強い眼力で表現してくれました。感情を表に出さない龍之介にとっては、彼女の言葉がズシズシと心に刺さってくるシーンだったので。
このシーンの撮影当時、時折り雨が降る曇りがちな天気だったんですが、田中監督の強いこだわりであご湾の良い景色を見せたいということで、晴れるまで撮影が止まって時間がかかりました。その待機中に比嘉さんとダンスシーンの練習を二人でやっていました。

親のお金は誰のもの 法定相続人

場面写真 🄫2022「法定相続人」製作委員会

‐遥海の義父・大亀仙太郎を演じた三浦友和さんとの共演はどうでしたか?

三浦翔平
友和さんのお芝居にはすごく引き込まれました。役としての雰囲気をテスト前の段階から感じましたし、飲み込まれないようにしなきゃとも思いました。
でも、撮影が終わると、昔の映画のお話をしてくださり、素敵な人でした(笑)

映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』

場面写真 🄫2022「法定相続人」製作委員会

‐相棒役の小手伸也さんとの共演が楽しいですが、実際に共演されてみていかがでしたか?

三浦翔平
何を投げても必ず返してくれる役者さんなので、勝手に安心していましたし、基本は台本どおりの中、演出が付かないところは小手さんは自由にされていたので、そこに乗っかればシーンとして成立していました。小手さんの冒頭のシーンの衣裳には笑いました(笑)
お芝居としては初めましての方なんですけれど、とてもやりやすかったですし、また別の作品でも共演させてもらいたいです。
今回、小手さんとの共演シーンが一番多かったので、いろいろお話させてもらったんですけれど、日本神話にすごく詳しいんです。天照大御神の始まりの神話の部分から、現代の天皇陛下の代まで。諸説ありの部分と、おそらくこうだったんじゃないかという部分と、小手さんがこう思うというところを含めてお話を聞きました。そういうお話を聞いているだけで、映画1本を観ている気になりました。
それで日本神話に興味が出てきて、撮影場所が伊勢志摩だったのもあり、、伊勢神宮や伊勢市にもある天岩戸の場所にみんなで行きました。

映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』

場面写真 🄫2022「法定相続人」製作委員会

‐伊勢での食事は?

三浦翔平
牡蠣や伊勢海老をいただきました。ただ、僕は仕事のスケジュールの関係で東京に戻ることも多く、伊勢いるときはほとんど撮影でしたので、あまりいろんなところには行けなかったです。他の皆さんは、けっこう行かれたみたいで、いいなぁって思いました(笑)

親のお金は誰のもの 法定相続人

■「光る君へ」で大河ドラマ初出演!

‐本作のテーマに関連して、三浦さんが思う家族の価値観とはなんでしょう?

三浦翔平
幸せ、安心、帰る場所。それこそお金に変えられない大切なものです。今の自分自身は幸せですし、僕は愛されて育ってきたんだなって、自分が父親になってよく感じることです。もちろん、今回の役の城島龍之介みたいな家族の愛を知らずに育っている人も少なくないでしょうから、一概に家族とはいいものだよとは言えないですよね。いろんな家族の形があって、必ずしも家族が味方とは限らない場合もあると思うので。

‐そういう中、演じられた龍之介の心情にはどういう想いを感じられましたか?

三浦翔平
可哀想と言うのはどうかなっていうのは思いました。彼は彼なりに史上最年少の弁護士として必死に頑張っていて、それは努力した結果そうなっている。
何がいいのかっていうのは、その人自身じゃないとわからないことだなと思います。

‐来年、「光る君へ」で大河ドラマ初出演となりますが、その意気込みをお聞かせください。

三浦翔平
大河ドラに出演できるというのはひとつの喜びですし、撮影方法もまた違ったものになるんだろうと思うので、新しい現場に行くというひとつの挑戦でもあるし、でもやってみないとわからないことでもあるので、楽しめたらいいかなって思っています。楽しみと緊張と、いろんなプレッシャーもありますけれど、気負わず、与えられたことをまっとうしたいと考えています。

‐よく聞かれる質問だと思いますが、改めて今の三浦さんにとって俳優としての今後の抱負がありましたらお聞かせください。

三浦翔平
我々の仕事は一人じゃできないし、いろんな巡り合わせが重なって初めて仕事になるものなので、今後の抱負は?ってよく聞かれるんですけど、毎回、「わかりません」ってなるんです(笑)

‐三浦さんは役に入りやすいタイプでしょうか?

三浦翔平
抜けやすい方だと思いますけれど、ただ、役によりますね。毎回違って同じことができないので、俳優って何なんだろう?って。ただ、出会った作品、与えられた役に全力で全うするだけです。

親のお金は誰のもの 法定相続人

■今だけじゃなく未来のために、自分だけじゃなく誰かのために、お金ではなくて愛のために。

‐最後に本作の見どころ含めたPRメッセージメッセージをお願いします。

三浦翔平
それぞれの視点で違った見方ができる作品なので、見どころはたくさんあります。これまで話していないことで言うと真珠。そもそも真珠を作るまでにどれほどの手間がかかっているか。いろんな条件が揃わないと良い真珠は作れない。そういう真珠の養殖をしているあご湾を舞台に家族やお金の話など、いろんな要素がつまってる作品です。
いろんな見方ができますが、僕が思う、田中監督がきっと伝えたいであろうことは、台本にもあるんですけれど“本当に大切なものは目には見えない”。監督が言ってたんですけれど、「今だけ、自分だけ、お金だけ」の3つを軸にして、「今だけじゃなく未来のために、自分だけじゃなく誰かのために、お金ではなくて愛のために。」が伝えたいことだと思います。
観る方のそれぞれの視点によっていろんな受け取り方ができる作品だと思います。

親のお金は誰のもの 法定相続人

三浦翔平(みうらしょうへい)プロフィール
1988年6月3日生まれ、東京都出身。
2008年、TVドラマ「ごくせん 第3シリーズ」(NTV)で俳優デビュー。以降、多くの人気作品に出演。主な出演作に、『THE LAST MESSAGE 海猿』(10)で第34回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。その他の出演作に『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13)、『ひるなかの流星』(17)、『魔女見習いを探して』(20)、『天外者』(20)、『嘘食い』(22)、「ホスト相続しちゃいました」(23/カンテレ・CX)、「やわ男とカタ子」(23年8月より放送開始/TX)、大河ドラマ「光る君へ」(24年放送予定/NHK)などがある。

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:三平准太郎]


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《INTRODUCTION》
本作の軸になるのは「相続」と「家族」。少子高齢化社会と言われる今だからこそ、向き合うべき制度である「成年後見制度」(2000年に発足)の問題を描きつつ、《時価6億円》の値打ちがある伝説の真珠を巡る、ある家族の大騒動を軸に進むのだ が、、、予想外の連続に思わず「学び」、「笑い」、「涙する」真珠を巡るある家族の大騒動を描く。
ダブル主演を務めるのは、テレビドラマ・映画・舞台と幅広く活躍する比嘉愛未と三浦翔平。
比嘉は三重県伊勢志摩で真珠の養殖業を営む両親をもつ三人姉妹の三女・大亀遥海を、三浦翔平は認知症の疑いがある遥海の父親の成年後見人として大亀家に関わる弁護士・城島龍之介を演じている。
他キャストには三人姉妹の父親・大亀仙太郎を三浦友和、母親の満代を石野真子、大亀家の長女・珠子を松岡依都美、次女・浜子を山﨑静代、弁護士の井坂を小手伸也、遥海の幼馴染・雄太を浅利陽介、ブローカーの金増を田中要次といった個性豊かな俳優陣が脇を固め、物語に深みを与えている。
メガホンを取るのは『利休にたずねよ』(13)、『海難1890』(15)、『天外者』(20)などで知られる田中光敏監督。『利休にたずねよ』、『海難1890』、『天外者』でタッグを組んだ脚本家の小松江里子と共に、“学びあり”“笑いあり”“涙あり”のハートフル・エンターテイメント映画を完成させた。

《STORY》
家業の銭湯を継ぎ、夫の悟とともに順風満帆な日々を送るかなえ。しかし突然、悟が失踪する。途方に暮れていたかなえだったが、なんとか一時休業していた銭湯を再開させる。数日後、堀と名乗る謎の男が、銭湯組合の紹介を通じて「働きたい」とやって来る。
その日から、住み込みで働くことになった堀とかなえの不思議な共同生活が始まる。
友人・菅野から紹介された胡散臭い探偵・山崎とともに期間限定で悟を捜しはじめたかなえは、悟の知られざる事実を次々と知ることに。それでも、堀と過ごす心地よい時間の中で、穏やかな日常を取り戻しつつあったかなえ。
だが、あることをきっかけに、悟、堀、そして、かなえ自身も閉ざしていた、心の奥底に沈めていた想いが、徐々に浮かび上がってくる。それぞれの心の底流(アンダーカレント)が交じりあったその先に訪れるものとはー。

出演:比嘉愛未 三浦翔平
浅利陽介 小手伸也 山崎静代(南海キャンディーズ) 松岡依都 美田中要次 デヴィ夫人 内海崇(ミルクボーイ) DRAGONGATE 石野真子 三浦友和
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
主題歌:ビッケブランカ「Bitter」(avex trax)
配給:イオンエンターテイメント、ギグリーボックス
🄫2022「法定相続人」製作委員会
公式サイト:https://oyanookane-movie.com/

2023年10月6日(金)より シネマート新宿、イオンシネマほか全国公開

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