• HOME
  • News
  • 音楽
  • 【ライブレポ】“明日の朝が怖くなりませんように” 春風詩音、バンドセットでワンマンライブ《私色に染めて》開催@下北沢MOSAiC
春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

【ライブレポ】“明日の朝が怖くなりませんように” 春風詩音、バンドセットでワンマンライブ《私色に染めて》開催@下北沢MOSAiC

人気上昇中SSW春風詩音(はるか しおん)が4月8日、下北沢 MOSAiCで上京後初となるバンド体制でのワンマンライブ《私色に染めて》を開催。同日にCDリリースされた、2022年6月の改名以来初のEP「23.」に収録されている楽曲を含めながらも、バンドセットならではのセットリストとなっており、彼女の1ページとなるライブとなった。

春風詩音 ワンマンライブ《私色に染めて》@下北沢MOSAiC ライブレポート

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

サポートには、キーボード「アマアラシ」、Gt「ふま(glumble glumble)」、Ba「ありさ(あるゆえ)」、Dr「さのひろのしん(あるゆえ)」と、楽器隊にも錚々たるメンバーが揃っている。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

東京、下北沢MOSAiC。会場が暗転し、なんとも言えないあの緊張感が会場を包んでいく。
いつもと同じように弾き語りで始まった「静寂を明日へ」。楽器の音が重なり、曲が持つ“もがいてもいい、苦しんでいい”そんな彼女らしいメッセージが重みを増して聴こえる。続けて、 4月8日に発売された1stEPでは弾き語りで演奏されている「大人になってしまったんだ」が披露された。先行してサブスクでの音源解禁がされており、オーディエンスたちは新鮮さを感じながらも、軽快なバンドサウンドに身体を揺らしていく。熱を帯びたライブハウスをなんとも言えない切なさで包んだのは、失恋をポップに書き上げた「もう会えないね。」。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

「おはよう!今日は来てくださってありがとうございます」と観客に挨拶をすると、昼公演であったこともあり早起きのエピソードを展開。バンドメンバー紹介を行い彼らの存在感が光る楽曲たちへと続く。力強いバンドサウンドのアレンジが特徴で、誰かを羨ましく思う気持ちをストレートな歌詞で表現する「ブルーライト」、“手首を強く切りつけた 溢れ出した赤色 私はまだ生きてる”と強烈なフレーズから始まる「もういいや」。名前の通り、会場が青から赤のライトへとコントラストしていく。エッジの効いた歌声が光る「感情」でこのフェーズを締めくくる。彼女の中にある“強さ”。ネガティブな感情にも目を向け、どこか聴き手を強くしてくれるような春風詩音らしさを改めて感じた楽曲の並びだった。
「アドレナリンでMCが飛んでしまった」と彼女らしさが溢れるMCを挟み、「歌いたくてうずうずしている」と「低体温のせい」を弾き語りで始める。恋愛の感情と体温をリンクさせた表現で冷たさを感じる会場に軽やかなギターのカッティングが鳴り響く。続く「待っていた。」はタイトルの通り、恋人を待ち続ける切なさが描かれた楽曲が心地よいテンポで流れていく。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

短大時代、SNSで自分よりも年下の18歳の子がフェスに出るという情報を見かけ、悔しさを覚えたという経験から、彼女の過去を回想するエピソードが語られる。自分の人生なのにずっと誰かの脇役でいた。そんな中で音楽に出会った。「あなたは自分の人生の主人公になれていますか?私はここに立っている今は主人公になれている気がします。けど、明日が来るのが怖いです。」とリアルな感情を吐き出し、みんなが主人公になれる曲と「18歳」へ繋げる。

「神様お願いこの生き方が正しいって言ってよ」。誰しもが人生の中で劣等感を抱きながらも、自分を信じて生きていく描写が浮かんでくる。主人公は自分じゃない。聴き手がいて初めて成立する彼女の楽曲はライブで初めて成立し、本当に伝わるものになるのかもしれない。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

手持ち3万円と小さな荷物と好奇心。それだけ持って上京した3年前。彼女が上京後初めてライブをしたのはカメラ3台の前だったという。コロナ禍に上京した彼女が感じた、これまで語られなかった日常が語られた。バイトは働きどころが見つからず、慣れない一人暮らしに悪戦苦闘し、家族の偉大さを感じながらも、音楽で仕事が来るまで岡山には帰らないという彼女の意志から1年以上は実家に戻っていないという。彼女自身の上京後を描いた「23.」が「この曲を聴いて今日の夜が、明日の朝が怖くなりませんように」という言葉と共に鳴り響く。MCで「春風詩音」という1人の人間に近づいたからこそ、この曲が持つ意味や伝えたいメッセージがより伝わるものとなっていた。
変わっていくものと、変わらないもの。本当に大切なものはいつまでも変わらない場所にあり、彼女にとって「音楽」というものこそが変わらずに向き合い続けていくものだという決意を感じた。
主人公は自分になっていると語っていたが、新生活が始まりネガティブになりがちなこの春に、「23.」はあなたの心をも強くしてくれるのではないだろうか。
ライブの本編は幕を閉じ、アンコールの拍手が鳴り響く。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

アンコールで登場したのは春風詩音1人。このライブ唯一の弾き語りでEPの5曲目に収録されている「眠る子」が初披露された。愛情の欠損を幼き頃と大人になってからの両面をリンクさせるような歌詞を丁寧に歌い上げる。
弾き語りの披露後、バンドメンバー登場のタイミングでBa「ありさ(あるゆえ)」からサプライズでケースが手渡される。このライブの1週間前に誕生日を迎えた春風詩音のバースデーケーキであった。会場がお祝いムードに包まれる中、ライブを締めくくる最後の楽曲へと続く。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

「最後1曲お願いします!」という呼びかけと共に、リズミカルなドラムが響き渡り、会場からは手拍子が鳴り「光ヲ」が披露される。サビでは春風詩音の「手挙げられますか」という呼びかけに対して、オーディエンスが拳を突き上げる。バンドメンバーを含め会場に一体感が生まれた瞬間だった。曲の歌詞にもある通り、「光ヲ操って」熱狂させたライブは幕を閉じた。

春風詩音「私色に染めて」@下北沢MOSAiC

当日の物販スペースではEP「23.」を多くの人が購入する姿が見受けられた。また、同日よりタワーレコード渋谷店、4月17日からは、タワーレコード名古屋パルコ店、梅田NU 茶屋町店での展開が開始。名古屋パルコ店ではタワクルにて初週1位。4月23日渋谷店で行われた無料のインストアライブは多くの人が足をとめ、幸先の良いスタートを切っている。
これからもEP「23.」が多くの人に聴いてもらえることを願いたい。
さらに、8月12日には彼女のホームである下北沢Lagunaにて弾き語りのワンマンライブ“8899日目の今日”を開催することも発表されている。「春風詩音」が持つ、“弱さをも認められる強さ”は多くの人の心を本当の意味で肯定してくれるに違いない。今後の活動に注目しつつも、まずは8月12日のワンマンライブに是非足を運んでほしい。
チケットURL:t.livepocket.jp/e/xl_ia

[記事:野原大誠/写真:Piso]

春風詩音《私色に染めて》@下北沢MOSAiC SET LIST

01.静寂を明日へ
02.大人になってしまったんだ
03.もう会えないね。
04.ブルーライト
05.もういいや。
06.感情
07.低体温のせい
08.待っていた。
09.18歳
10.23.

ENCORE
01.眠る子
02.光ヲ

私色に染めて

Apple Music:https://onl.sc/TdRM2qE
Spotify:https://spotify.link/uBc52HCGQyb

ライブフォトギャラリー


NEW EP 「23.」
https://linkco.re/p14peZZC

春風詩音

EP「23.」


春風詩音 リットリンク:https://lit.link/harukashion

 

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA