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弟とアンドロイドと僕

阪本順治監督「僕にとって作らざるを得なかった作品」豊川悦司×安藤政信初共演映画『弟とアンドロイドと僕』完成報告イベント

2022年12月14日、都内にて、映画『弟とアンドロイドと僕』完成報告イベントが行われ、本作でロボット工学者の主人公を演じた豊川悦司、腹違いの弟役である安藤政信、本作の脚本・監督を務めた阪本順治監督が登壇が登壇した。(動画&フォト)

監督として円熟期を迎えた阪本順治が、「これを撮らなければ自分は先に進めない」という覚悟で取り組んだ本作。自身の人生観や思索の後が色濃く反映した禁断の問題作となっている。主人公の桐生薫を演じたのは豊川悦司。阪本監督は脚本執筆前から主演に豊川をイメージ。ルックスや空気感も含め、役者としての持ち味を生かしつつ特異なキャラクターを創造した。義理の弟役には、エッジの利いた芝居に磨きがかかる安藤政信。いつも何かに苛立っている厄介者の危うさを、色気たっぷりに表現してみせた。そのほかの共演者には吉澤健、風祭ゆき、本田博太郎など個性的な演技派がしっかりと脇を固めている。

イベントレポート

弟とアンドロイドと僕

安藤政信/豊川悦司/阪本順治監督

■映画でしかできない世界観を持った作品

豊川悦司(孤独なロボット工学者・桐生薫 役)
この映画はもう2年ぐらい前の撮影になるんですが、コロナ禍もあり、なかなか公開に至らず、来年の1月7日にやっと皆さんの目に触れてもらえることができるようになり嬉しいです。
とても個性的な映画ですが、逆に映画でしかできない世界観を持った作品だと思っています。

弟とアンドロイドと僕

豊川悦司

安藤政信(桐生の腹違いの弟・山下求 役)
僕は阪本監督作品の豊川さんのファンなので、今回初共演という形でご一緒できてとても嬉しいです。

弟とアンドロイドと僕

安藤政信

阪本順治監督
俳優の方々から叱られる覚悟で言いますが、この撮影の頃の僕はちょっとおかしかったかもしれません。
自分の私小説的な映画でもありますけど、逆に自分を理解してないところもあって、それで俳優部の方を惑わしたりもしたなと。

弟とアンドロイドと僕

阪本順治監督

■阪本順治監督「きっかけは、25年近く前に書いた走り書きのプロット」

-エッジが効いて、究極の孤独をも描いた本作の脚本を読んだ時の印象は?

豊川悦司
阪本監督の『一度も撃ってません』を撮ってる時に、監督から来年一緒にやりませんか?と声をかけてもらって、監督とがっつり一緒にやるのは久しぶりだったので、すごい嬉しいなって思ったんです。
けれども、この映画のプロットをいただいた時には本当にびっくりしてしまって、監督にタイトルを三度ぐらい聞き直した覚えがあります。
一人称で書かれたとても不思議なプロットで、阪本さんのまた新しい一面を改めて見せつけられたような感じがあって、正直すごく迷いました。

弟とアンドロイドと僕

安藤政信
撮影に入る年に、知らない携帯番号の着信があって誰なんだろう?と思って出なかったんですけど、留守電を聞いたら阪本監督でした。
「弟とアンドロイドと僕」というタイトルだけ伺って、不思議なタイトルだなって思いましたが、『亡国のイージス』(2005)からずっと阪本さんとはお会いしてなかったし、当時の僕はドラマ出演が続いていて、また映画をやりたいと思っていた時でした。
その時の僕は事務所を辞めてフラフラしてたので、自分の家の住所を言って脚本を送っていただきました。それで読ませていただいて、「やらせてください」と返事しました。
阪本さんの今までの作品とは違って、ビターな感じもしたし、大人になったなって思いました(笑)
阪本さんがこういう作品をやるんだととても興味を惹かされました。その作品に是非自分が立ち会いたいと思ったんです。

弟とアンドロイドと僕

-この作品のきっかけは?

阪本順治監督
今は、集団でのものづくりの場にいますけど、本来は幼少期の頃からひとり遊びが好きなんです。自分の妄想と空想でこの空間が満たされるのが好きな人間でした。
きっかけは、25年近く前に書いた走り書きのプロット。
「ある山小屋で、1人の若者が石膏で全身の型をとり、そこにラバー製の皮膚を貼って2人きりで暮らす--。」
それがずっと、喉に刺さった棘のように残っていて、SFをやりたいわけではないんですが、そういう非常に個人的なモチベーションで始まる閉じた閉じた物語をいつかやりたいと思っていました。
還暦になって、これから技量も感覚も体力もどんどん落ちていく前に、もし企画が叶うなら今こそやりたいと思いました。

豊川悦司
この作品の企画は、阪本さんじゃなかったら、たぶんどの映画会社も手を出してなかったと思います。阪本さんだから、キノフィルムズさんはお金を出したんだと思います(笑)
そこまでの高みに到達している阪本さんはすごいし、その阪本さんがこの作品を是非やりたいって言うのだったら、そこは付き合うしかありません。そういう思いでやりました。

弟とアンドロイドと僕

■初共演の豊川悦司×安藤政信

安藤政信
役者の大先輩でもありますし、自分が豊川さんを評するのはおこがましいです。
阪本監督の『顔』(2000)での豊川さんの登場シーンがめちゃくちゃかっこ良くて色気があって大好きなんです。
その阪本作品の中でご一緒できるのはとても楽しみにしていました。
この作品では、役柄的にコミュニケーションは不要だったので、現場ではただ一緒にいるという感じでした。

豊川悦司
僕の中の勝手なイメージでは、安藤さんは、アーティストな面と、一匹狼で無頼な雰囲気を持っている俳優さん。
実際現場で初めてお会いしてみると、やっぱりとても格好良い。同業者から見て格好良い俳優さんって、いそうで意外といないと僕は思っています。
安藤さんは、雰囲気・空気をちゃんと纏っている人だなという印象でした。
役の関係もあって、現場ではほとんどお話はしなかったんですが、安藤さんはずっと音楽を(ヘッドホンで)聴いていて、自分の中を役のために洗浄されてました。僕も同じようなことを思うことがあるので、真似をして僕もずっと音楽を聴いていました。

弟とアンドロイドと僕

■「僕にとっては作らざるを得なかった作品」

豊川悦司
この映画をどう宣伝したらいいのかまったくわからなくてすごく困っています(笑)
でも、そういう映画もあっていいし、むしろそういう映画に出会えるチャンスがあるのがこの2022年のお正月。映画好きの方にとってはとてもラッキーなタイミングだと思います。
この映画が日本に留まらず、いろんな国を旅して、また自分のところに戻ってくる時に、どういう映画になっているのかとても楽しみにしています。

弟とアンドロイドと僕

安藤政信
見て感じ取って答えは明確ではない、いろんな角度の見方がある映画を僕は楽しみたいタイプです。説明過多な作品よりも。
だから、こういう映画がほんとに好きです。自分にとってコロナ禍になる前に撮った最後の作品。その時は役者同士がマスクもなく作品に向き合って共有し合ってた時で、今から思うと愛おしくなりますし、自分の中では特別な作品です。

弟とアンドロイドと僕

阪本順治監督
今は、映画の既成概念に収まらないとなんとなく敗北とされる、そんな時代かなと思って、当然そうはなりたくない思いで作り上げました。
でも、別に横紙破りをやるつもりではなく、なにかお互い強い繋がりを持ってインパクトのある映画を撮りたいという一心でした。
公開が、2年延びて、逆に今の時代に呼ばれたかなと思っています。もしかしたら正解を持たない映画かもしれませんが、観た方々が、またもうひとつの物語を作って、それを楽しんでもらえたらいいかなと思っています。どう受け取っていただけるかドキドキしていますが、僕にとっては作らざるを得なかった作品です。

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安藤政信/豊川悦司/阪本順治監督

■トークノーカット動画

イベントの全トークは、トークノーカット動画で(4K環境がある方は4K画質でご覧いただけます)。

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■フォトギャラリー

[写真・動画・記事:桜小路順]

映画『弟とアンドロイドと僕』

STORY
主人公の桐生薫は、孤独なロボット工学者。子どもの頃からずっと、自分が存在している実感を抱けないまま生きてきた。そんな不安を打ち消すため、今は誰も訪れない古い洋館で、「もう一人の“僕”」として、自分そっくりのアンドロイド開発に没頭していた。
そんなある日、ずっと会っていなかった腹違いの弟が桐生のもとに訪れる。寝たきりの父親。駅で出会った謎の少女。様々な人々が交錯する中、桐生ともう一人の“僕”の間には“ある計画”があった──。

脚本・監督:阪本順治
出演:豊川悦司、安藤政信、風祭ゆき、本田博太郎、吉澤健
2020年|日本|日本語|94分|カラー|シネスコ|5.1ch 映倫:G
提供:木下グループ 配給:キノシネマ
© 2020「弟とアンドロイドと僕」FILM PARTNERS
公式サイト:https://movie.kinocinema.jp/works/otoutoandroidboku

予告篇

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2022年1月7日(金)より kino cinéma横浜みなとみらい・立川髙島屋S.C.館・天神 ほか全国順次公開

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