阪本順治監督オリジナル脚本『冬薔薇(ふゆそうび)』、主演に伊藤健太郎を迎え製作決定
阪本順治監督がオリジナル脚本で描く最新作『冬薔薇(ふゆそうび)』の製作が決定した。撮影は新型コロナウイルス感染予防対策のもと順調に行われ、まもなくクランクアップを迎える。主演に伊藤健太郎を迎え、来年6月より新宿ピカデリー他にて全国公開予定。
ある港町。専門学校にも行かず、半端な不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはダラダラと生きる渡口淳(伊藤健太郎)。“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男だ。
両親は埋立て用の土砂をガット船と呼ばれる船で運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ませながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。
そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らない人物のものだった……。
阪本順治監督によるオリジナル脚本で、人間の業を切なく儚く紡ぐ映画『冬薔薇(ふゆそうび)』。
主人公の青年・渡口淳(じゅん)を演じるのは、本作が2年振りの映画出演となる伊藤健太郎。阪本監督が伊藤健太郎をイメージして当て書きしたという意欲作だ。
その他にも日本を代表する顔ぶれが出演(詳細は後日発表予定)。撮影は今年11月に行われ、30日(火)にオールアップ。完成は来春を予定している。
コメント
●阪本順治(脚本・監督)
脚本執筆以前、伊藤健太郎に逢い、生まれてからこれまでのことを、SNS上の噂も含め、あれこれと執拗に訊いた。
云いにくいことも多々あったと想うが、彼は、なにも誤魔化さずに応えてくれた。そして、こんな感想を持った。伊藤健太郎は、笑顔を絶やさない賑やかなやつだが、それはもしかしたら虚像かもしれず、実像は、心に捻れをかかえ、戸惑いのまま生きている青年だ、と。
だから、その性質を、脚本に生かそうと想った。彼は怒るかもしれないが、いまはまだ辺境をうろつき、誰かを待っている途上だ。
俳優とは、自身の中に他者の居場所をさがす仕事だ。不遜な云い方だが、そのお手伝いができるとしたら、光栄だと想った。それは、彼のことを気に入ったからだ。それ以外、なにもない。
彼はいま、撮影現場で、俳優としてだけでなく、余力あれば、スタッフとしても働いてくれている。
●伊藤健太郎(主演)
阪本順治監督とは今作の本が出来上がる前に初めてお会いし、2時間くらい沢山の話をさせていただきました。
監督に話した事が本に反映されている部分もあり、読んでいる時点で喜怒哀楽いろんな感情が僕自身の中に巻き起こりました。
監督は、キャストに対してスタッフに対して作品に対して、本当に愛に溢れている方です。常に現場にいてカメラのすぐ横で僕達の芝居を見てくれていますし、いてくださるだけで本当に安心します。
スクリーンで芝居が出来ること、カメラの前に立てる事に感謝しかありません。
観てくださる方々に何かしら受け取って頂けるような素敵な映画に必ずなります。どうか、劇場で見て頂きたいと思います。よろしくお願いします。
阪本順治/脚本・監督 プロフィール
1958年生まれ、大阪府出身。大学在学中より、石井聰亙(現:岳龍)、井筒和幸、川島透といった監督たちの現場にスタッフとして参加する。
89年、赤井英和主演の『どついたるねん』で監督デビューし、芸術推奨文部大臣新人賞、日本映画監督協会新人賞、ブルーリボン賞最優秀作品賞ほか数々の映画賞を受賞。
藤山直美を主演に迎えた『顔』(00)では、日本アカデミー賞最優秀監督賞や毎日映画コンクール日本映画大賞・監督賞、キネマ旬報の日本映画ベスト・テン1位など、主要な映画賞を総なめにした。以降も幅広いジャンルで活躍。藤山直美と16年ぶりに再タッグを組んだSFコメディ『団地』(16)は、第19回上海国際映画祭にて金爵賞最優秀女優賞をもたらした。
その他の主な作品は、『KT』(02)、『亡国のイージス』(05)、『魂萌え!』(07)、『闇の子供たち』(08)、『座頭市THE LAST』(10)、『大鹿村騒動記』(11)、『北のカナリアたち』(12)、『人類資金』(13) 、『ジョーのあした―辰𠮷𠀋一郎との20年―』(16)、『エルネスト』(17)、『半世界』(19)、『一度も撃ってません』(20)、『弟とアンドロイドと僕』(22年1月7日公開)などがある。
伊藤健太郎/渡口淳役 プロフィール
1997年6月30日生まれ、東京都出身。モデルを経て、ドラマ「昼顔~平日午後3時の恋人たち~」(14/CX)で俳優デビュー。
「トランジットガールズ」(15/CX)や『14の夜』(16)への出演を経て、『デメキン』(17)で映画初主演を飾り、以降、『覚悟はいいかそこの女子。』、『ういらぶ。』、『犬猿』、『ルームロンダリング』、『コーヒーが冷めないうちに』(18)、『惡の華』(19)など多数の話題作に出演。
2019年第42回日本アカデミー賞新人俳優賞・話題賞 俳優部門を受賞。
ドラマでも「アシガール」(17/NHK)で爽やかな若君役で好評を博し、連続テレビ小説「スカーレット」(20/NHK)ではヒロインの息子役を熱演。近年の出演作に『のぼる小寺さん』、『今日から俺は!! 劇場版』、『弱虫ペダル』、『宇宙でいちばんあかるい屋根』、『とんかつDJアゲ太郎』、『十二単衣を着た悪魔』(20年)などがある。
映画『冬薔薇(ふゆそうび)』
STORY
ある港町。専門学校にも行かず、半端な不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはダラダラと生きる渡口淳(伊藤健太郎)。“ロクデナシ”という言葉がよく似合う中途半端な男だ。
両親は埋立て用の土砂を運ぶ海運業を営むが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ましながらもなんとか日々をやり過ごしていた。淳はそんな両親の仕事に興味も示さず、親子の会話もほとんどない。
そんな折、淳の仲間が何者かに襲われる事件が起きる。そこに浮かび上がった犯人像は思いも寄らぬ人物のものだった……。
脚本・監督:阪本順治
出演:伊藤健太郎 他
配給:キノフィルムズ
製作:木下グループ
2022年6月、新宿ピカデリーほか全国公開
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