「ここに三浦春馬くんがいないのが悔しすぎる」『映画 太陽の子』公開初日舞台挨拶
2021年8月6日、TOHOシネマズ六本木にて『映画 太陽の子』公開初日舞台挨拶が行われ、主演・柳楽優弥、有村架純、黒崎博監督が登壇した。
本作は、2020年に自死した三浦春馬の遺作のひとつ。本作撮影を振り返って、柳楽優弥、有村架純は撮影当時の思い出を振ると共に、今ここにいない三浦春馬への思いを明かした。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画
■最初のあいさつ
柳楽優弥(石村修 役)
2年前に撮影を行って、いよいよ今日初日を迎えられて、皆様にお届けできて本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。
有村架純(朝倉世津 役)
今日は足を運んでいただいてありがとうございます。柳楽さんもおっしゃってましたけど、2年前に撮影をしていて、公開するまではあっという間だなという思いと、今日この日が広島に原爆が落とされた日ということで、そんな日にこの映画が公開できることがとても意味のある日になったなと改めて思いました。
黒崎博監督
今日、この会場の大きさと、こんなにたくさんの方々に集まっていただけたことで胸がいっぱいな思いです。
最初にこの企画を考え始めてから、12、3年くらいの時間を要してしまったので、今日こうやって大きなスクリーンで皆さんに観ていただくことができて、キャスト皆さんとここに立つことができて本当に光栄に思ってます。
■共演を振り返って
-共演を振り返って感想をお願いします。
柳楽優弥
本当にたくさん思い出があります。3人で食事に行ったり、撮影していない時でも距離感が役柄に似てるような感じでした。
有村架純
色んな話しましたね。京都ロケに行ったりとかもして。
柳楽優弥
川沿いを僕と春馬くんが一緒に走ってるシーンがあるんですが、春馬くんの体力がすごいタフで、僕がなかなか追いつけなかったっていうのが、キャラクターとリンクしていて、僕はとても好きなシーンでした。
黒崎博監督
春馬くんは体力が無限にあるのかなっていうぐらいすごくて、ほんとにキャラクター通りでした。鴨川でのロケでしたが、3テイクぐらい撮った時に、柳楽くんが「もう無理
有村架純
現場は、とても温かい方たちばかりでしたし、穏やかな雰囲気の中撮影が進んでいった印象があって、私は柳楽さんや春馬さんや、田中裕子さんとのシーンもたくさんあって、科学者の方たちとはあまり会うことはなかったんですけども。
柳楽さんは一緒に現場に過ごしていて思ったのが、とても周りを巻き込む力がすごい強い方だなと。
それは自ら能動的に動いてっていうよりも、そこにいるだけで周りがどんどん引っ張られていく、柳楽さんの中心にある部分に勝手に吸い込まれていくような感覚がありました。空気が変わるってこういうことなんだなって現場でも思いましたし、春馬さんはまたそれとは違って、いろんな空気、いろんな個性がある空気を全て調合してまた新しいものを作ってくれるっていう雰囲気を感じて。だから春馬さんがきっとどの現場に行っても、みんなが気持ちよく場が流れていくというか、そういう空気を作れる役者さんなんだなっていうことも感じました。一緒にお芝居をさせてもらって。柳楽さん含めて二人ともとっても素敵な役者さんだなと思いました。
■思い出のシーン
-数式を書くシーン、これは撮影当日に聞かされたということですが?
柳楽優弥
はい、撮影当日の朝に監督から「これ、覚えられるかな?」と言ってお話がありました。
数好きの書き方は、京大生の日々の慣れが出るみたいで、そういうところも教えていただきました。
-この海辺のシーン、すごく大きな発見があったとか?
有村架純
すごく大きな蜂の巣があったんです。撮影してたら、蜂が多いなって思ってたんです。そしたら蜂の巣を発見して、スタッフさんに言ったら、頑張って取ってくださって、みんなが救われたっていう話です(笑)
柳楽優弥
砂浜から蜂が飛び出してくるくらい、蜂がいました。
-撮影を振り返ってこのシーンはいかがでしたか?
柳楽優弥
撮影じゃないと、なかなか行けないようなところですし、京丹後の海の色が本当に綺麗で、それこそ服を脱いで入りたくなっちゃうような綺麗な海でしたし、とても楽しかったです。
有村架純
たしか、京都ロケが始まって最初に方でこの海での撮影がありました。そこで初めて三人の幼なじみの空気感が出るようなシーンで、ここは戦時中っていうことを忘れて、三人が子どもに帰ったような気持ちで過ごす時間っていう、とても重要なシーンでもあって。なんですけど、すでにもう空気感ができていて、アドリブもやり取りの中であったりとか、そういうシーンに仕上がったので、とても印象には残っています。
-有村さん、このシーンをご覧になっていかがでしたか?
有村架純
現場で段取りから見ていたんですけども、この時の田中裕子さんは、一言もセリフを発してないんです、日頃から私自身も台詞のない部分っていうのを丁寧に考えるようにはしているんですけども、改めて言葉で表現もできない思いっていうのがやっぱりあるんだなっていうことを確信しましたし、より、自分自身も台詞にとらわれず、言葉で発する以外の思いっていうのを、もっともっと熱量を高めて表現していきたいなと、勉強させていただいたシーンでした。
柳楽優弥
裕子さんの演技ももちろんなんですけど、やっぱり春馬くんの雰囲気っていうのも、やっぱり素晴らしいなって見てました。
■ピーター・ストーメアからの手紙
ピーター・ストーメア(アルベルト・アインシュタイン 役)
オーディエンスの皆さん、ようこそ。今夜は参加できずに申し訳ございません。しかしながら、私の愛する妻と娘は参加させていただいております。
もちろん、私の魂も皆さんと共にここにあります。
この作品は、才能あふれる黒崎監督の情熱から生まれたものです。日本、そして米国から様々な人々が参加し、この価値のある映画が作り上げられました。この作品に参加できたことは、私にとっても名誉なことであります。他の作品の撮影の最中に本作ナレーション収録がカナダのトロントで行われました。私が参加できるよう、黒崎監督はわざわざカナダまでお越しくださいました。
我々人類が学ばなければいけいないこと、そして、その学びから明るく希望溢れる未来を創造していかなければいけないことを伝えることの作品に参加でき、自分自身を誇りに思いますし、とても嬉しく思います。
是非『映画 太陽の子』をお楽しみください。お越しいただきありがとうございました。
ピーター・ストーメア プロフィール
1953年生まれ、スウェーデン出身。『ファニーとアレクサンデル』(1982)で映画デビュー。90年には東京グローブ座の舞台監督に就任し、「ハムレット」などのシェイクスピア劇を演出。2008年に広島出身の日本人女性と再婚し、2009年に娘Kaiya Bella Lunaが誕生、ロサンゼルスに3人で暮らす。
■ここに春馬くんがいないのが悔しすぎる
黒崎博監督
難しいテーマもはらんだ物語ですけど、敵と味方の話じゃなくて、それを超えたところで人間みんなの問題として見てもらえる映画にしたいと思って、日米合作ということもそうだし、日本人だからとか、何人だからとかというところを超えたところで理解して感じてもらえるように演じていこうということで柳楽君ともたくさん話をしました。有村さんも、普遍的な未来へ向かって生きる女性の姿を演じてもらいたいと思ってお話して、そのように演じてくれました。
こうしてここに立って、正直に申しますと、足りないじゃないかって思います。何で春馬くんがここにいないんだろうって。それは悔しすぎるっていう思いもあります。
この事を僕たちがコメントするのとても難しくて、今日はそれをお伝えしたいなと思って、すごく悔しい気持ちもあります。
ただ、見ていただいた皆さんに感じていただけたら嬉しいのは、本当にこのスクリーンの中で一緒に走りきったその姿は、完全に残っていて、今でもこうやって僕達話しても、本当にリアルタイムにお互いを感じながら話をすることができるのはすごいことだな、とても幸せだなと思ってます。
ですので、柳楽君も、有村さんも、春馬君ももちろんだし、その他のキャストみんなで言いたかったのは、とにかくどんな難しい状況でも、最後はもう生きて生きて生き抜くしかないっていうこと。本当に馬鹿みたいに、そのストレートなメッセージだけは少しでも皆さんに届いて残るとこんなに嬉しいことはないなと思っています。
有村架純
この作品においては、本当にたくさんの伝えたいメッセージというものがあって、戦時下の話ではあるんですけど、当時を生きた若者たちが未来を作るために懸命に生き抜いていくという、青春のお話でもあって。
その未来というのが、今は正直先行きが不透明で、なかなか考えるのにもちょっと疲労してしまうという、そういう状況だとは思うんですけども、そこで考えることを諦めてしまうのは私としては心苦しいなと思います。
春馬さんもよくおっしゃっていた、「自分たちの仕事、役目は、想像力を届けることだ」ということを改めて自分も、皆さんにも一緒に考えていけたら嬉しいなと思います。
柳楽優弥
この映画があるということがとても大事だなって感じますし、今日広島で行われた式典での小学生の方のスピーチがとても印象に残ったんですけども、「別れるというのは、出会えなくなるからではなくて、忘れられるからだと思います」っていう言葉。これがとても印象的でした。
それは、対人に対しても、対歴史に対しても、忘れていくということが、一番怖いなって、今日感じました。
ですので、このように映画を通して皆さんに伝えられてるっていうのは、改めて平和への第一歩なのかなって感じました。本日はありがとうございました。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/動画・記事:桜小路順]
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『映画 太陽の子』
僕らは、未来を作っていると思ってた――悩んで、泣いて、笑った3人の300日!
ストーリー
戦況が激化し、最終局面を迎えた1945年の夏。軍から密命を受けた京都帝国大学・物理学研究室で研究に勤しむ実験好きの若き科学者・石村修(柳楽優弥)と研究員たちは、「今研究しているものが完成すれば、戦争は終わる。世界を変えられる」と、託された国の未来のために情熱的に原子核爆弾の研究開発を進めていた。
研究に没頭する日々が続く中、建物疎開で家を失い、修の家に住むことになった幼馴染の朝倉世津(有村架純)。
時を同じく、修の弟・裕之(三浦春馬)が戦地から一時帰宅し、3人は久しぶりの再会を喜んだ。3人でのひとときの幸せな時が流れる中、戦地で裕之が負った深い心の傷を垣間見た修と世津。
一方で物理学研究の楽しさに魅了されていた修も、その裏側にある破壊の恐ろしさに葛藤を抱えていた。そんな二人を力強く包み込む世津はただ一人、戦争が終わった後の世界を考え始めていた。
それぞれの想いを受け止め、自分たちの未来のためと開発を急ぐ修と研究チームだが、運命の8月6日が訪れてしまう。日本中が絶望に打ちひしがれる中、それでも前を向く修が見出した新たな光とはーー?
柳楽優弥 有村架純 三浦春馬
イッセー尾形 山本晋也 ピーター・ストーメア
三浦誠己 宇野祥平 尾上寛之
渡辺大知 葉山奨之 奥野瑛太 土居志央梨
國村隼 田中裕子
監督・脚本:黒崎博
音楽:ニコ・ミューリー
プロデューサー:コウ・モリ 土屋勝裕 浜野高宏
エグゼクティブプロデューサー:井上義久 山口晋 佐野昇平 森田篤 松井智 有馬一昭 東原邦明
共同プロデューサー:山岸秀樹 松平保久 淺見朋子
ラインプロデューサー:小泉朋 撮影:相馬和典 照明:鈴木岳 録音:弦巻裕 美術:小川冨美夫 衣装:宮本茉莉 ヘアメイク:永江三千子 スクリプター:天池芳美
助監督:柿田裕左 制作担当:篠宮隆浩 キャスティング:おおずさわこ 編集:大庭弘之 サウンドデザイン:マット・ヴォウレス カラリスト:アロン・ピーク
VFXスーパーバイザー:オダイッセイ
制作:KOMODO PRODUCTIONS 宣伝:KICCORIT 配給:イオンエンターテイメント
製作:「太陽の子」フィルムパートナーズ
Presented by ELEVEN ARTS STUDIOS / NHK
(C)2021 ELEVEN ARTS STUDIOS / 「太陽の子」フィルムパートナーズ
公式サイト:https://taiyounoko-movie.jp/
特報
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