映画初主演・渡辺いっけい「映画の世界ってどうなんだろうってずっと気になってた」満を持して東京舞台挨拶『いつくしみふかき』
11月13日、映画『いつくしみふかき』の初の東京での舞台挨拶が行われ、映画初主演の渡辺いっけいらの他、スケジュールの都合で6月の公開記念記者会見には登壇できなかった金田明夫も登壇。やっと叶った東京での舞台挨拶についての心境を語ったほか、同じ作品に出たことはあっても、がっつり芝居をしたのは初めてという2人のシーンについても明かした。
本作は、2018年の『カメラを止めるな!』に続き、2019年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019で観客賞である「ゆうばりファンタランド大賞」の作品賞を受賞し、カナダのファンタジア国際映画祭の長編初監督コンペティション部門に正式出品された。
新型コロナウィルスの影響での公開延期を経て、6月19日よりテアトル新宿ほかにて公開し、10月までに全国で動員1万人を達成。満を持して11月13日よりテアトル新宿にてアンコール上映が決定し、念願の東京での舞台挨拶開催となった。
舞台挨拶レポート
大山晃一郎監督の、「『鬼滅の刃』は8秒位で達成したけれど、我々は5ヶ月かかって動員1万人を達成しました」というジョークから始まった、満を持して東京で初の舞台挨拶。
主演の渡辺いっけいは、「舞台挨拶は前回の上映の時に状況的にやらせてもらえなかったんですが、こうやってキャスト大勢集まってお客さんを前にすると感慨深いものがあります。ここに座っていらっしゃる方で、何回かもう見てくださった方もいるかと思います。印象に残る映画だと思いますので、楽しみにしていただければと思います」と挨拶。「今日は13日の金曜日。『悪魔』と言われた男の映画にようこそ!」と言うと会場から拍手が沸き起こった。
監督に「20kg太ったので、多分いっけいさんの隣の方が遠山だと思いますが」と紹介されたのは、本作でW主演と企画を務める遠山雄。
「テアトル新宿で映画をかけたくてかけたくて、交渉して、だいぶ時間がかかりました。4月に公開ができなくなり、6月のテアトル新宿での公開の際、僕は東京にいなかったんです。車で全国を走り回って、ようやく東京の舞台挨拶に立つことができました。本当に感慨深いです。20kg太ったんじゃなく、20kg落として映画に出ているので、ナチュラルなのはこっちです」と言って、こちらも会場から笑いを誘った。
遠山が「7年かかって今日に至るんですが、この状況じゃないですか。明日は監督といっけいさんと湯布院映画祭に行きますが、いつもは体一つで全国飛び回っています」と言うと、監督が、「(遠山は)東京に戻ってきてしまうと、(コロナを持ち込むと嫌がられ)地方の映画館にいけないので、3月から東京に戻ってこずに、車で車中泊とかをしながら、来ていいよと言われた映画館を回っている」と補足し、渡辺は、「一人電波少年的」と名付け、会場の笑いを取った。
渡辺演じる広志の舎弟・浩二役の榎本桜は、プロデューサーとしてバックアップしながら、出演もした。「この作品を色々なところでかけられ、楽しいです。やっと東京に戻ってこれたので、楽しんでいってください」と挨拶。
遠山演じる進一の悪い叔父・義孝役を演じた小林英樹は、「人生で言ったことがないようなセリフを言った」と撮影懐かしんだ。
榎本と同じく、広志の舎弟である北別府みのる役を演じた牛丸亮は、「4月17日公開予定がずれて、6月19日から3週間とプラス3日上映していただいて、前売りの売れ行きでまだまだ見てくださる方がいるということでアンコール上映させていただき、ありがたいです」と感謝の想いを伝えた。
車椅子の、神の子房子役を演じた羽鳥友子(ともこ)は、「撮影地の飯田市出身で、この映画を制作すると聞いた時に、『出れたらいいな』と言いふらしていたら、ご縁で出演させていただいてうれしかったです。」と奇跡的な縁について語った。
本作で親子2人を取り持つキーとなる牧師・源一郎を演じた金田明夫は、「役作りを失敗しちゃってね、『鬼滅の刃』があんなに当たるんだったら、竹を咥えた方がよかったかな。『鬼滅の刃』に負けない芝居になっていますから、どうぞお楽しみにしてください」とこちらもジョークを交えて挨拶。
渡辺と金田は、同じ作品に出たことはあっても、がっつり芝居をしたのは初めてだったそうで、金田が「いっけいちゃんが共演拒否していたんじゃ」とジョークを言うと、渡辺は、「(共演がないのは、二人が)同じカテゴリーの役者で被っているからじゃないかって話してたじゃないですか?」と返し、お互い「すごく面白かった」「ずっといっけいちゃんとはやりたいと思っていたんで、ご一緒できて楽しかった」と共演を心から楽しんだ様子。
渡辺は、「映画館でかかる映画としては主演は初めてです。テレビ中心にやらせて頂いていて、ちょっと違うなと思い出した時期にこの話をいただきました。インディーズ系の映画は全然やったことがなかったんです。テレビの現場に映画俳優の方が来た時に、現場で『このシーンはこうじゃないか』とこだわりだして、途中で引っ込めたんです。独り言で『本編(映画)ならこだわるけどな』と言っているのを聞いて、ショックで。この人は映画じゃないと本気を出さないのかなと悔しかったんです。その方が言っている本編の良さがその時わかっていなくって、映画の世界ってどうなんだろうとずっと気になっていて。今『いつくしみふかき』のおかげで結構映画のお話をいただいてやっているんですけれど、すごく性に合っている気がして面白いんです」と映画の魅力を語った。
最後に主演の遠山は、「この映画は、僕の親しい知人の実話をベースに作った映画です。ハードなシーンもあって、万人受けする映画ではないんですけれど、この時期だからこそ見て欲しい映画だと思います。監督の本当のお父さんのエピソードも含まれていて、普段なかなか映画館やテレビで見れるような内容ではないです。楽しんで見てください」、大山監督は、「今、人と関わって生きていくことが大変だと思うんですけれど、この映画を見て、疎遠になっている方のことを思い出していただければ嬉しいです」とメッセージを送り、舞台挨拶は終了した。
映画『いつくしみふかき』
【STORY】
30年前。母・加代子(平栗あつみ)が進一(遠山雄)を出産中に、あろうことか母の実家に盗みに入った父・広志(渡辺いっけい)。
「最初から騙すつもりだったんだろ?」と銃を構える叔父を、牧師・源一郎(金田明夫)が止め、父・広志は”悪魔”として村から追い出される。
進一は、自分が母が知らないものを持っているだけで、母が「取ったのか?この悪い血が!」と狂うのを見て、父親は“触れてはいけない存在”として育つ。
30年後、進一は、自分を甘やかす母親が見つけてくる仕事も続かない、一人では何もできない男になっていた。
その頃父・広志は、舎弟を連れて、人を騙してはお金を巻き上げていた。
ある日、村で連続空き巣事件が発生し、進一は母を始めとする村人たちに、「悪魔の子である進一の犯行にちがいない。警察に突き出す前に出ていけ」と言われ、牧師のいる離れた教会に駆け込む。
「そっちに行く」という母親に「来たら進一は変わらない」と諭す牧師。
一方、父・広志は、また事件を起こし、「俺にかっこつけさせてください」という舎弟・浩二 (榎本桜)に、「待っているからな」と言っても、実際には会いに行かない相変わらずの男で、ある日、牧師に金を借りに来る。
「しばらくうちに来たらどうだ?」と提案する牧師。牧師は進一のことを「金持ちの息子」だと嘘を吹き込み、進一と広志は、お互い実の親子だとは知らないまま、二人の共同生活が始まる。
場面カット
渡辺いっけい 遠山雄
平栗あつみ 榎本桜 小林英樹 こいけけいこ のーでぃ 黒田勇樹
三浦浩一 眞島秀和 塚本高史
金田明夫
監督:大山晃一郎
企画:遠山雄 プロデューサー:清弘樹/榎本桜 脚本:安本史哉/大山晃一郎 撮影:谷康生 照明:阿部良平 編集:菊地史子 録音:高松愛里沙 美術:榊さくら 音楽プロデュース:吉川清之 整音・効果:渡辺寛志 記録:松村愛香 衣装:深野明美 メイク:長縄希穂 制作担当:津崎雄大 助監督:安養寺工/松村卓
演技事務:清水亜紀 ラインプロデューサー:福田智穂 タイトル題字:高田菜月
主題歌:タテタカコ「いつくしみふかき」
後援:長野県飯田市 特別協力:映画「いつくしみふかき」を応援する会 遠山郷 天龍村
配給・宣伝:渋谷プロダクション 2019/5.1ch/JAPAN/DCP/109min
公式サイト:www.itukusimifukaki.com
公式Twitter:@itukusimifukaki
公式facebook:@itukusimifukaki
予告編
テアトル新宿ほか全国順次公開中
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