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本気のしるし

メ~テレドラマからカンヌへ。深田晃司監督と森崎ウィンが本気で取り組んだ“共感度0.1%”の『本気のしるし〈劇場版〉』初日舞台挨拶

10月9日(金)、都内にて、映画『本気のしるし〈劇場版〉』の初日舞台挨拶が行われ、主演の森崎ウィン、土村芳(つちむらかほ)、深田晃司監督が登壇。作品について振り返ると共に、それぞれが思わず本気になってしまうことなどを明かした。

本作は、深田晃司監督(『淵に立つ』『よこがお』)が、自身初のコミック原作(星里もちる)の映像化に挑んだ異色作。
もともとは2019年10月より、メ~テレ(名古屋テレビ)制作の連続テレビドラマとして放送がスタート。放送直後から、既存のドラマの枠から逸脱するクオリティの高さと登場人物の行動が予想をことごとく裏切り、「先が読めなさすぎ!」と大きな反響を呼んだ。
その後、新たに劇場用にディレクターズカット版として再編集したところ、コミック原作、地方局の深夜ドラマとしては異例となる、カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選出されるという快挙を成し遂げた。
また、10月31日から行われる第33回東京国際映画祭の「Japan Now」でも上映されることが決まっている。

舞台挨拶レポート

本気のしるし

森崎ウィン/土村芳/深田晃司監督

森崎ウィン(辻一路/つじかずみち 役)
皆さまのおかげでカンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション2020に選ばれたこの作品、ご覧なっていかがだったでしょうか?
(観客から拍手)
森崎ウィンです。今日はよろしくお願いします。

土村芳(葉山浮世/はやまうきよ 役)
まさかドラマとして始まったこの作品が映画としてまた新しい姿でこうして皆さんにお届けすることができてすごく嬉しく思います。

深田晃司監督
この作品は、20年前に初めて漫画を読んで映像化したいと願ってから本当に二十年をかけて、本当に願いはかなうものなんだなと実感しています。
今日、皆さんに観ていただけてとても嬉しいです。

■「共感度0.1パーセント」

-本作は「共感度0.1パーセント」というキャッチコピーがついていますように演じられた辻くんも善人なのか悪人なのかわからない。女性に対しても二股だったり三股だったりという八方美人のような役どころ。森崎さんは役作りはどのように?

森崎ウィン
これは個人的に思うことでもあるんですけれども、僕もウィンとして生きている中で、ウィンっていうのはどういう人間なんだろうかって自分で紐解いても100%は紐解けない瞬間があります。
辻くんに関しても100%と理解してるかって言われたらそうとも限らず、現場では、女性陣の俳優さんたちとの会話・芝居のキャッチボールを楽しみながら純粋に演じさせていただきました。
ひとつだけ勘違いして欲しくないのは、僕は二股、三股はしません。あんまりウケなかったな(笑)

森崎ウィン

森崎ウィン

-映画の中でも優柔不断でいつも受け身だった辻が、浮世という存在によって、自ら人生を選び取っていくというようになっていくのも見どころでしたよね。

森崎ウィン
実際の人生では、恋愛に限らず、仕事場でもたくさん出会いがあります。それこそ、僕は今回、土村さん、そして深田晃司監督に出会って、また役者として一つ変わった自分もいます。そういう意味では人と出会うことによって、人は変化していくんだなっていうのをこの作品を通して僕自身も勉強させてもらったと思っております。

-土村さんが演じる浮世という役は観る人のイライラをどんどんどんどん加速させていくようなそんな役だったと思います。ただ、浮世自身はいたって悪気がないと言うか天然と言うかかなり難しい役どころ。土村さんの役作りについて教えて下さい。

土村芳
おそらく大多数の方がなんだこの女性はと思ったと思います。確かにそのめちゃくちゃな行動がすごく目立つ女性ではあるんですけど、私はすごく興味を持って浮世という女性を追いかけてしまったんです。
なんでそうなってしまうのかなって考えた時に、その一見めちゃくちゃな行動は、浮世の表面的な部分であって、その行動の裏には、ひたむきさ、ピュアな部分があって、それで憎みきれないのかなって。
演じる上でも、彼女の行動の裏に見え隠れしている部分っていうのも意識しました。

土村芳

土村芳

-土村さん自身は浮世に似てるなと思うところありますか?

土村芳
いえ、全くありません。

森崎ウィン
出演している役者全員が、みんな否定しますよ。

深田晃司監督
石橋けい(細川尚子 役)さんは、撮影現場で、土村さんを見ながら「本当にいいキャスティング」って言ってましたね。だからと言って、土村さんが浮世みたいっていうわけではないんだけど、キャスティングは評判良かったですね。

土村芳
喜んでいいのか、戸惑ってしまうんですけど。

-浮世の内側にあるひたむきさとか、ピュアさというのは、土村さんが持っているものがそのまま表れたんじゃないかなと思いました。

深田晃司監督
そこですね、注目したのは。

土村芳
そうかもしれませんね。

■“浮世”は男性社会で擬態のように自分を守っている

-20年前にこの原作と出会ってどうしても映像化したいと思い続けてこられたということですが、原作のどんな部分に惹かれてこの映像化を熱望されたのですか?

深田晃司監督
まず、ストーリーの運びとかキャラクターの作り方とかがめちゃくちゃうまくて、これはすごいなと思ったんですけど、もともと、星里先生の漫画は、好きでした。
劇中、森崎さんが「夢かもしれないよ」、「結婚しようよ」って言うセリフは、星里作品から引っ張ってきていて、ファンの方にはわかってもらえると思います。
そして、それまでラブコメが得意だった星里先生が一切そのコメディの部分を封印して本当に何かヒリヒリするような恋愛だけを描くっていうのがものすごく異様で迫力があると思ったんです。
『本気のしるし』って、星里先生も本当に本気だなっていうところにすごく惹かれて、#MeTooの時代を経て振り返ってみると、青年誌の中で浮世という女性の描き方は、今から見ても現代的だったなと。
男性社会の中で擬態のように自分を守る術のように男性を惹きつけるようなことを言うことでしか身を守れないタイプの女性の守り方のような感じでそこがすごく面白かったですね。

深田晃司監督

深田晃司監督

■“本気のしるし”→“イライラ”

-作品をご覧になった方の大きな反響をどのように感じてらっしゃいますか?

深田晃司監督
想定以上にイライラする方がすごく多かったみたいで、ドラマの放送時にも“本気のしるし”で検索しようとすると関連ワードで勝手に“イライラ”ってサジェスションされるので、本当にイライラしてる人が多いんだなってことは思いました。
それでもみんな観続けてくれて、その印象が後半になるにつれて、どんどん発展していくのが面白くて、後半になればなるほど、むしろ浮世よりも辻の方がやばいかもって思ったりして。そこを視聴者と一緒に見届けられたのが昨年のドラマの放映時は面白かったです。そして、今回イッキ見してみて、みなさんどうだったのかなって感想を聞きたいです。

■役を100%理解して演じるのが正しいとは限らない

-森崎さん、土村さん。撮影中、深田晃司監督の演出で心に残ってるようなことはありますか?

森崎ウィン
僕はレストランのシーン。浮世がご飯を食べていなくて「私、辻さんに油断しているのかな」っていうセリフを言う時に、監督が「この時、浮世は目を見て言うのか、外して言うのか、目の前に座ってる辻くんとしてどう思う?」って聞いてきた時に、純粋に僕は目を外してるんですよね。
演出で、そういうことを聞かれたの初めてだったのですごく印象に残ってます。
確かオーディションの時もあのシーンでしたよね。

深田晃司監督
そうですね。森崎さんにも、土村さんにも、オーディションの時に別々でしたけどやってもらいました。とても核になるシーンだと思います。

本気のしるし

(C)星里もちる・小学館/メ~テレ

-土村さんはいかがですか?

土村芳
撮影中、私の中で迷いがあった部分があったので、監督にご相談した時に、「そもそも役っていうのを100%理解して演じるのは、必ずしも正しいとは限らない」っていうお話をしていただいて。
その話を聞いた瞬間、私も浮世に対しての向き合い方がわかったような気がしました。言葉ではうまく言えないのですが感覚的な余白というものを存在させると浮世さんとしての魅力も表れてくるんじゃないかなと。

■それぞれの“本気”

-さて、『本気のしるし』というタイトルにかけまして、皆様思わず自分が本気になってしまうことを教えてください。

森崎ウィン
僕は常に0か100かの人でして、やるならとことんやる。やらないならもうやらないっていう。逆に辻くんとはちょっと真逆にいて、あまり優柔不断という言葉が自分には合わないなと思うんですけど・・・。
今日1日ちょっと本気を出したら、またTwitterでも書かれているみたいですけど、森崎ウィンが本気を出したら雨が降るっていう。

森崎ウィン

深田晃司監督
雨も降るし台風も来るって書いてありました。ファンの方はむしろ、台風になって喜んでいるっていう、なんか不思議なツイートでした。

森崎ウィン
マネージャーが僕に見せてくれたのが、検索トレンドに「台風」「森崎ウィン」ってあったんです。
「台風も来て、ウィンもきてるね!」ってマネージャーが、つまらないギャグを。以上、森崎ウィンでした。

-土村さんはいかがですか?

土村芳
つい先日の話なんですけど、食器棚が新しく届きまして、一晩かけて夢中で組み立てたことです。
扉を取り付けるんですけど、観音開きの扉の高さとか合わせるのが結構難しいんですよね。やったことある方いらっしゃらないかな、微調整するのがすごく難しくて、でもなんかもう寸分の狂いなく合わせたくなってしまって。

土村芳

森崎ウィン
あれって、元々あるところに差し込んで、ネジをまわすだけじゃないんですか?

土村芳
ネジを回した後に部品の高さも調節してちょっと高さだったりを。

森崎ウィン
日曜大工にハマっているってことですか?

土村芳
すごくハマっています。カムロック(「カプラー」と「アダプター」を接続し使用する継手)というのがすごく難しいんです。

崎ウィン
カムロック… ちょっとわからないですけど…

-共感できてますかね(笑)「共感度0.1%」というキャッチコピーという話題に持っていくところが素敵ですね。深田晃司監督はいかがですか?

深田晃司監督
もちろん仕事に対しては本気だみたいなことは言っておくんですけれども。思わず本気になることっていうと、映画を撮り終わって宣伝に入る段階で、、宣材物を勝手に作るってのは趣味でやっていてます。
監督は基本的には宣伝部じゃないから宣伝部に任せればいいんですけど、Photoshopっていうソフトで画像を入れたりしていると、お絵描きしている感じで楽しいんです。ハマり始めると徹夜で作っていたりとかして、そういう時は大抵脚本とかが煮詰まってる時で、逃避なんですけど(笑)

-この映画のポスターも、監督がおつくりになったとか。

深田晃司監督
はい。これはドラマ版放送時に、何か盛り上げられないかって考えて、ドラマだと、毎週感想が届くのが面白くて、その感想を貼って周りに並べてやろうと思ったんです。それでTwitterからいろいろ拾ってきて、輪郭に合わせて切り抜いたりっていうのが意外と地道な作業で楽しいんですよ。
その時は単に趣味で、日曜大工的な感じで作ったんですけど、それが結局今回映画版をつくるということになって、きちんとデザイナーの方が整えて作り直してくれました。こんな感じのものをドラマ版の時にも作りました。

本気のしるし〈劇場版〉

■最後にメッセージ

深田晃司監督
今のこのパネルの絵も星里先生が俳優をイメージして原作のキャラクターを描いてくれました。
この作品は星里先生あってのものです。先生もこのドラマや映画を楽しみにしてくれていていろんな絵を描いてくれているので、出演者のTwitterを見てみてください。
今回劇場版にしたいと思った理由の一つが、ドラマは東海三県と一部の地域でしか放送されていなかったので、全国の方に届けたかったからです。
今、全国の映画館がコロナで大変な状況になっていてお客さんが減っていて、そういう中で是非多くの方に来てほしいです。
この映画は、テレビでのスポットCMをやっているわけでもなく、本当に皆さんの口コミが大事です。ぜひ、今日見てちょっと面白いなとか琴線に触れる部分があればそのことを友達や家族やご同僚やSNS等で拡散していただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

本気のしるし

映画『本気のしるし≪劇場版≫』

英題:The Real Thing

<あらすじ>
その女、出会ったことが事故だった―
退屈な日常を過ごしていた会社員の辻一路はある夜、踏み切りで立ち往生していた葉山浮世の命を救う。
そこから、不思議な雰囲気の女性・浮世と辻の泥沼の関係が始まった。
辻は分別のない行動をとる浮世を放っておけず、浮世を追ってさらなる深みに嵌っていき、破滅への道を歩みだす…。

出演:森崎ウィン 土村芳
宇野祥平 石橋けい 福永朱梨 忍成修吾 北村有起哉
原作:星里もちる「本気のしるし」(小学館ビッグコミックス刊)
監督:深田晃司
脚本:三谷伸太朗/深田晃司
音楽:原夕輝
撮影:春木康輔 照明:大久保礼司 録音:岸川達也 美術:定塚由里香 助監督:鹿川裕史
スタイリスト:キクチハナカ ヘアメイク:RYO 編集:堀善介 制作統括:戸山剛
チーフプロデューサー:高橋孝太 太田雅人
プロデューサー:松岡達矢 加藤優 阿部瑶子(マウンテンゲート・プロダクション)
制作協力:マウンテンゲートプロダクション 製作:メ~テレ 配給:ラビットハウス
(C)星里もちる・小学館/メ~テレ

2020年10月9日(金)より全国順次公開

本気のしるし〈劇場版〉

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