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大林宣彦

最新作公開予定日だった日に大林宣彦さん息を引き取る。

昨年(2019年)11月、文化功労者に選ばれ、最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の公開を控えていた映画作家・大林宣彦氏(82歳)が、肺がんのため東京都世田谷区の自宅で4月10日(金)19時23分に息を引き取った。2016年8月に肺がんと診断され、余命3ヶ月の宣告を受けてから3年8ヶ月目のことだった。
葬儀・告別式は、家族葬(密葬)を執り行い、後日、お別れの会が予定されている。なお喪主は、妻で映画プロデューサーの、大林恭子氏が務める。
なお、4月10日は、新型コロナウィルスの影響で公開延期決定となるまで、『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の一般公開日として予定されていた。

1938年広島県尾道市生まれの大林宣彦監督は、3歳の時に自宅の納戸で見付けた活動写真機と戯れるうちに映画をつくり始める。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用し、CM作品数は3000本を超える。
1977年に『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(82)『時をかける少女』(83)『さびしんぼう』(85)は“尾道三部作”と称され、世代を超え親しまれ、今も新世代のクリエイターへ大きな影響を与えつづけている。

近年には“大林的戦争三部作”となる『この空の花-長岡花火物語』(11)、『野のなななのか』(14)、『花筐/HANAGATAMI』(17)を発表。『花筐/HANAGATAMI』は、第72回毎日映画コンクール日本映画大賞、第33回高崎映画祭特別大賞など様々な賞を受賞し、第91回キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画ベスト・テン第2位に選ばれ、監督賞を受賞した。大林宣彦監督個人では、2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小綬章受章。2019年、令和初の文化功労者に選ばれている。

肺がんと診断され、余命の宣告を受けたのは、2016年8月。
転移を繰り返すがんと闘いながら、みずからの命を削って、平和をたぐり寄せる映画を完成させた大林宣彦監督の最新作『海辺の映画館-キネマの玉手箱』は、4月10日(金)に公開を予定していたが、コロナウィルスの影響により映画館が休館し、公開延期となっていた。
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』は、近日公開を予定している。

『海辺の映画館-キネマの玉手箱』公開に向けての大林宣彦監督のコメント

「自由に生きよ、それが平和の証だ」と父に言われ、当て所も無く18歳で上京した僕に、形見代りに持たせてくれた8ミリ映画を用い、銀座の画廊の一角で自作の8ミリ映画を上映した所、「新しきフィルム・アーチスト誕生」と世界から認定され、以降60年間テレビCM演出を資金に個人映画を創り続けて来ました。東宝映画からの招きで、門外漢が初めてメジャーの撮影所内で撮った『HOUSE/ハウス』から、ジャンルを選択すれば如何なる純文学も商業映画になり得ると学び、あの太平洋戦争の純真な軍国少年であった体験を元に、様々なジャンルの映画にその思いを潜めつつ「厭戦映画」を作り続けて来ました。
「売れない作家の女房になる覚悟」で61年間、僕の映画を支え「私が最初の観客よ」と世界と僕の映画を結びながら共に生きて来た大林恭子と、11歳で『HOUSE/ハウス』の原案者に名を連ねた長女千茱萸、ご亭主の絵の作家森泉岳土、そして親しい旧・新の世代の仲間たちと、今日も映画作りに励んでおります。時代はいつか、個人映画ばかりになり、僕が願った映画作りの世になりました。その個人の自由と権力者の不自由の証を、愉しんで下されば、と。僕の正体が炙り出されれば、愉しいかな。

大林宣彦監督、近年の舞台挨拶

■今の若い世代にこの映画を届けたい

2017年10月28日 映画『花筐/HANAGATAMI』舞台挨拶(第30回東京国際映画祭 TOHOシネマズ六本木)

花筐/HANAGATAMI - 東京国際映画祭

大林宣彦監督
今後(戦前のように)自由に映画を作れなくなる時が来ないように。そういう思いもこめて自由にこの『花筐』を撮らせてもらいました。特に戦争を知らない若い人たちのためにこの映画を作りました。
僕が理解していることではなく、実感として僕の中にあることだけを正直にこの映画で表現しています。観る方も実感を持って観ていただけたらすごく嬉しいです。

記事URL:https://nbpress.online/archives/4098

■映画は未来を作る生きたジャーナリズム

2019年3月24日 特別大賞『花筐/HANAGATAMI』授賞式(第33回高崎映画祭 群馬音楽センター)

第33回高崎映画祭

授賞式に登壇した大林宣彦監督は、30分以上にわたって熱いメッセージを届けた。

大林宣彦監督
映画は未来を作る生きたジャーナリズム。映画を愛し、育ててくれた高崎映画祭に参加できることを誇りに思う。
(中略)
私は、ステージ4の肺がんで余命3ヶ月のまま、もう3年を迎えましたが、あと30年、映画を作るつもりでいます。

記事URL:https://nbpress.online/archives/18433 (舞台挨拶動画あり)

■映画は素晴らしい!映画を育ててくれたお客さん皆さんに感謝

2019年11月1日 映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』舞台挨拶(第32回東京国際映画祭 TOHOシネマズ六本木)

海辺の映画館―キネマの玉手箱

本作は、新型コロナウィルスの影響を受けて公開が延期されていたが、昨年(2019年)の第32回東京国際映画祭にて、「Japan Now」作品として上映され、大林宣彦監督は舞台挨拶を行っている。

大林宣彦監督
私たち観客が世界を幸せにする力を持っている。それが映画の自由な尊さです。自由を守るってとても難しいことですが、やり遂げなければなりません。
黒澤明さんは、(平和が確立するには)700年かかるとおっしゃいました。そして僕に、「だから大林君、君は僕たちの続きをやってくれよ。僕は(かつての)敵国(アメリカ)のジョン・フォード監督の続きをやったぞ。」ということですのでね、映画は素晴らしい!ありがとう!その映画を育ててくれたお客さん皆さんに感謝です。

記事URL:https://nbpress.online/archives/22300 (舞台挨拶動画あり)

なお、第32回東京国際映画祭では、「大林宣彦監督特集」も組まれており、上記舞台挨拶の他、10月28日に行われたレッドカーペットにも登壇している。
ただ、映画祭では過去作品の上映と共に、大林監督の舞台挨拶も複数予定されていたが、体調の問題で欠席が続いていた。

大林宣彦

第32回東京国際映画祭レッドカーペットに登壇した大林監督夫妻と、『海辺の映画館』のキャストたち。

大林宣彦

大林宣彦

大林宣彦

大林宣彦氏

海辺の映画館-キネマの玉手箱

主演の吉田玲と。(『海辺の映画館-キネマの玉手箱』メイキングカットより)

【プロフィール】映画作家・大林宣彦(おおばやし・のぶひこ)

1938年広島県尾道市生まれ。
3歳の時に自宅の納戸で見付けた活動写真機と戯れるうちに映画をつくり始める。
自主製作映画『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ』(67・16㎜)は全国の画廊や大学で上映され高評価を得る。『喰べた人』(63)はベルギー国際実験映画祭審査員特別賞を受賞。テレビCM草創期にはチャールズ・ブロンソンの「マンダム」をはじめ、カトリーヌ・ドヌーヴなど多くの外国人スターを起用。CM作品数は3000本を超える。1977年『HOUSE/ハウス』で商業映画に進出。自身の古里・尾道を舞台にした『転校生』(82)『時をかける少女』(83)『さびしんぼう』(85)は“尾道三部作”と称され世代を超え親しまれている。『異人たちとの夏』(88)で毎日映画コンクール監督賞、『北京的西瓜』(89)山路ふみ子監督賞、『青春デンデケデケデケ』(92)平成4年度文化庁優秀映画作品賞、『SADA』(98)でベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞、『理由』(04)は日本映画批評家大賞・監督賞、藤本賞奨励賞を受賞。『この空の花-長岡花火物語』(11)、『野のなななのか』(14)、『花筐/HANAGATAMI』(17)は“大林的戦争三部作”となる。『花筐/HANAGATAMI』は、第72回毎日映画コンクール日本映画大賞、第33回高崎映画祭特別大賞など様々な賞を受賞し、第91回キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画ベスト・テン第2位に選ばれ、監督賞を受賞を受賞した。2004年春の紫綬褒章受章、2009年秋の旭日小綬章受章。2019年、令和初の文化功労者に選ばれる。

映画『海辺の映画館—キネマの玉手箱』

映画は未来を変えられる——!!大林宣彦監督が新しい世代へ託すメッセージ。

INTRODUCTION
物語は、尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎え、日本の戦争映画特集を観ていた若者3人が、スクリーンの世界にタイムリープし、戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島を辿り、そこで出会った史実で戦争の犠牲になった移動劇団「桜隊」の悲劇の運命を変えるために奔走するというもの。
メインキャストとして、銀幕の世界へタイムリープする3人の若い男を、厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦が演じる。
3人の男たちそれぞれの運命のヒロインを、本作が映画初出演となる吉田玲、大林組初参加の成海璃子、前作に続く出演となる山崎紘菜が演じている。また、物語の軸となる移動劇団「桜隊」の看板女優を、近年の大林作品を⽀える常盤貴子が演じている。

STORY
尾道の海辺にある唯一の映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日は、「日本の戦争映画大特集」のオールナイト興行。
そこで映画を観ていた若者3人は、突然劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。
戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島へ——。そこで出会ったのは移動劇団「桜隊」だった。
「桜隊」を救うため、3人の男たちは運命を変えようと奔走するのだが……!?

大林宣彦 監督作品
厚木拓郎 細山田隆人 細田善彦 吉田 玲(新人)  成海璃子 山崎紘菜 常盤貴子
製作:『海辺の映画館—キネマの玉手箱』製作委員会(吉本興業/TANAKA/バップ/アミューズメントメディア総合学院)
製作協力:大林恭子 エグゼクティブ・プロデューサー:奥山和由 企画プロデューサー:鍋島壽夫 脚本・編集:大林宣彦 脚本:内藤忠司/小中和哉
音楽:山下康介 撮影監督・編集・合成:三本木久城 VFX:塚元陽大 美術監督:竹内公一 照明:西表燈光 録音:内田 誠 整音:山本逸美
配給:アスミック・エース  製作プロダクション:PSC
©2020「海辺の映画館—キネマの玉手箱」製作委員会/PSC
公式HP:umibenoeigakan.jp
公式Twitter:@umibenoeigakan  #海辺の映画館

予告編

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近日公開

海辺の映画館—キネマの玉手箱

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