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夕陽のあと

越川道夫監督(『海辺の生と死』)最新作『夕陽のあと』メインカット&コメント解禁

『海辺の生と死』(2017)も記憶に新しい越川道夫監督最新作『夕陽のあと』が11月8日(金)より新宿シネマカリテほかにて公開することが決定した。公開にあたって、本作のメインカット、並びに出演者の貫地谷しほり、山田真歩、越川監督のコメントも解禁となった。

母親であることを手放した女と、母親になると決心した女
――夕陽に染まった海原の向こうに、ふたりの願いが交差する

夕陽のあと

豊かな自然に囲まれた鹿児島県長島町。1年前に島にやってきた茜は、食堂で溌剌と働きながら、地域の子どもたちの成長を見守り続けている。一方、夫とともに島の名産物であるブリの養殖業を営む五月は、赤ん坊の頃から育ててきた7歳の里子・豊和(とわ)との特別養子縁組申請を控え、“本当の母親”になれる期待に胸を膨らませていた。そんな中、行方不明だった豊和の生みの親の所在が判明し、その背後に7年前の東京のネットカフェで起きた乳児置き去り事件が浮かび上がる……。
茜役を演じるのは『くちづけ』の貫地谷しほり。五月役には『アレノ』の山田真歩。対照的な人生を歩む二人の女性を、映画やテレビドラマの第一線で活躍する二人の女優がひたむきに演じる。
監督は『海辺の生と死』の越川道夫。現実社会でも後を絶たない DV や乳児遺棄、いまだに表立って議論されることが少ない不妊治療や養子縁組制度などの問題に正面から挑みながら、登場人物たちの心の機微をすくいとる演出によって、すべての世代・性別・立場の観客にあたたかな感動をもたらす普遍的な人間ドラマを作り上げた。
今回、解禁されたメインカットには、貫地谷しほり演じる茜が、山田真歩演じる五月の里子、豊和を自転車の後ろに乗せて、幸せに満ちた表情で長島の港を自転車で走る姿が採用されている。ひとりの子供をめぐり、ふたりの女性がどのように“母親”になっていくのか、本編に期待が高まるところだ。

出演者、監督コメント&プロフィール

佐藤茜役:貫地谷しほり(かんじや・しほり)

様々な状況の中で多様な選択肢があるはずなのに、それにしか手を伸ばせなかった現実。
この企画書を頂いたとき胸が苦しくなりました。
善悪だけでは判断できない、それぞれの葛藤への決断。
演じていて毎日心が波立っていました。
私だったらという気持ちは捨てて毎日現場に居ました。
私ではない誰かはどう思って過ごしていたのか。
想像だけでは推し量れない貧困の中に居る人々の生活、選択。
もしかしたら隣の誰かかもしれない。
自分に起きても不思議ではない。
そんな思いで参加した作品です。
少しでも届いたら幸いです。

プロフィール
1985年生まれ、東京都出身。2002年、映画デビュー。映画『スウィングガールズ』(04)で注目され、NHK連続テレビ小説「ちりとてちん」(07)でヒロインを務めた後、映画、ドラマ、舞台、ナレーションなど幅広く活躍中。初主演映画『くちづけ』(13)でブルーリボン賞主演女優賞受賞。その他、主な出演映画に『夜のピクニック』(06)、『ジェネラル・ルージュの凱旋』(09)、『パレード』(09)、『白ゆき姫殺人事件』(14)、『悼む人』(15)、『望郷』(17)、『この道』(19)などがある。『アイネクライネナハトムジーク』(19)が9月公開予定。

貫地谷しほり

貫地谷しほり

日野五月役:山田真歩(やまだ・まほ)

九州の海に浮かぶ長島では、いまも日が暮れるまで遊ぶ子供たちの姿が見られる。どの家も玄関の鍵は開けっぱなしで、夜になれば近所の人たちが釣った魚や夕食のおかずを持ち寄って共に食べたりもする。島全体がまるで一つの家族のよう。
私が道ですれ違うおばあちゃんに会釈すると、ニコニコと両手を大きく広げて抱きしめられた。この島の人たちの心には鍵がかかっていないんだ、と思った。
みんな大らかで元気。自給率 120 パーセントの豊かな島。そんな土地から生まれた映画『夕陽のあと』が、私だけでなく、少しでも多くの人の“心の鍵”を開くような作品になればいいなと願っている。

プロフィール
1981年生まれ、東京都出身。2009年に映画『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』でデビュー。主な出演作にNHK連続テレビ小説「花子とアン」(14)、『架空OL日記』(17)、映画『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)、『ヒメアノ~ル』(16)、『菊とギロチン』(18)、『ピンカートンに会いに行く』(18)など。越川道夫監督の前2作『アレノ』(15)、『二十六夜待ち』(17)にも出演し、『アレノ』では高崎映画祭最優秀主演女優賞を受賞した。

山田真歩

山田真歩

越川道夫(こしかわ・みちお)監督

僕は「町」で育ちました。
生まれたのは地方の海沿いの地方都市で、実家が駅前の商店街で洋品店を営んでいたのです。
店の大人たちは忙しく、だからと言って少しも寂しいと思ったことはありません。
なぜならば、僕はその町の人たちに寄ってたかって育てられたようなものだったからです。
僕は「丸三洋品店の息子」であると同時に、「商店街の子ども」であった、と思っています。
しかし、その町も高度成長とバブル経済の成長と崩壊の過程の中ですっかりその姿を変えてしまいましたが…。
企画を受けて、映画の準備のために訪れた長島に、自分にとっては懐かしい大人と子ども関係が、島の人たちの中に生き続けているのを感じました。
そして、「子どものことは、子ども自身が決めるのです」と言う取材させていただいた児童相談所の職員の方の確信に満ちた言葉が、この映画の始まりでした。
僕はもう随分長く生きて、大人になりました。子どもではありません。大人が子どもにできることは何なのでしょう?
そんな問いを、自分自身に、二人の母を演じる貫地谷しほりさん、山田真歩さんに問いかけるようにして『夕陽のあと』を作りました。

プロフィール
1965年生まれ、静岡県出身。助監督、劇場勤務、演劇活動、配給会社シネマ・キャッツ勤務を経て、1997年に映画製作・配給会社スローラーナーを設立。ラース・フォン・トリアー監督『イディオッツ』(98)、アレクサンドル・ソクーロフ監督『太陽』(05)などの話題作の宣伝・配給を手がける。また、数多くの映画賞を受賞した熊切和嘉監督『海炭市叙景』(10)、ヤン・ヨンヒ監督『かぞくのくに』(12)などをプロデュース。2015年、エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』を現代日本を舞台に翻案した『アレノ』で劇場長編映画監督デビュー。2017年には作家・島尾敏雄と島尾ミホの出会いを描いた『海辺の生と死』、居場所をなくした少女と少年のロードムービー『月子』、佐伯一麦の小説を原作とした『二十六夜待ち』の3本の監督作品が立て続けに公開。また、本作に先駆け、監督・脚本・撮影・編集を手がけた『愛の小さな歴史』が10月19日に公開予定。

映画『夕陽のあと』

養子縁組と血のつながり、悲願と現実。
選択と決断の狭間で生まれる希望ー〝家族〟とは何か。

監督:越川道夫(『海辺の生と死』)
出演:貫地谷しほり 山田真歩/永井大 川口覚 松原豊和/木内みどり
脚本:嶋田うれ葉 音楽:宇波拓 企画・原案:舩橋淳 プロデューサー:橋本佳子 長島町プロデュース:小楠
雄士 撮影監督:戸田義久 同時録音:森英司 音響:菊池信之 編集:菊井貴繁 助監督:近藤有希
製作:長島大陸映画実行委員会 制作:ドキュメンタリージャパン 配給:コピアポア・フィルム
2019 年|日本|133 分|カラー|ビスタサイズ|5.1ch
©2019 長島大陸映画実行委員会
公式 URL:yuhinoato.com

11月8日(金)より新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー!以降全国順次公開

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