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朝が来る

監督:河瀨直美×原作:辻村深月 『朝が来る』映画化決定

クランクアップは6月上旬

辻村深月原作小説「朝が来る」が映画化決定、キノフィルムズより、制作・配給することがわかった。河瀨直美監督がメガホンを取る。

朝が来る

樹木希林さんを主演に迎え、国内外でヒットとなった『あん』(15)、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出、同映画祭にてエキュメニカル審査員賞を受賞したオリジナル脚本による『光』(17)、ジュリエット・ビノシュを迎えオール奈良ロケで挑んだ『Vision』(18)。
これらに次ぐ新作として河瀨監督が題材に選んだのは、辻村深月氏による長編小説「朝が来る」。

長く辛い不妊治療の末、自分たちの子を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。
中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。
それぞれの人生を丹念に描いた原作小説は、第13回本屋大賞にて第5位に選出され、17万部を超えるベストセラーとなった感動のミステリードラマだ。

既に4月16日に都内でクランクインをしており、東京の湾岸エリア、栃木、奈良、広島、似島(広島市)、横浜と、日本全国6か所での撮影を敢行中。クランクアップは6月上旬を予定している。
後日予定されているキャストの情報解禁を待ちたい。

映画化発表に際し、監督と脚本を務める河瀨直美監督と原作の辻村深月氏からコメントが届いた。

河瀨直美監督 コメント

撮影中、涙する場面に遭遇する時がある。
それは、俳優達がその日常を生きて、脚本からもはみ出る感情を発露させた瞬間。
こういった現場は自分にとっても稀だと実感している。とにかく俳優が素晴らしい。生きているのだ。息づいているのだ。
日本全国6か所のロケ場所で撮影は決行されている。
海があり、森があり、都市があり、旧所名跡があり、それぞれの街の特長が四季を通して旅の記録を「記憶」するように映画を
創っている。
生まれるはずのなかった命はやがて望んでも我が子を授からない夫婦の元にやって来る運命。
そこに差し込む光、眩いばかりのそれが、雨上がりの世界を浄化させてゆく光景と相まって、人々の運命を切り開く物語。
原作『朝が来る』をこの世界に誕生させた辻村深月の才能に嫉妬する。その物語を映画化できる喜びに打ち震えている。
小説の中で、二人の母をつなぐ子供「朝斗」のまなざしが表現されている部分を読んだとき、ああ、この世界を映像化できれば素晴らしいなと感じた。その「まなざし」が見る未来を美しく描くことができればと願っている。
誰しもが誰かの「子」であり、「母」から生まれてきた事実を思えば、この物語の根幹で心揺さぶられる感情があるだろう。
そこには、この世界を美しいと想える、無垢な魂が見た、世界の始まりがある。

河瀨直美監督

河瀨直美監督

原作:辻村深月氏 コメント

「この映画を撮るにあたって、朝斗のまなざしというものは必要不可欠だと思っています」
河瀨直美監督と初めてお会いしたホテルのラウンジで、正面に立った監督が開口一番、私をまっすぐに見つめて、そう言った。
まだ互いに自己紹介もしていない、目が合った瞬間のことだった。
原作『朝が来る』はよく、産みの母親と育ての母親、「二人の母の物語」だと言われてきた。しかし、河瀨監督はそこに、幼い
「朝斗」のまなざしなくしては成立しない世界をはっきり見ておられた。
その瞬間、震えるような感謝とともに、この人に、朝斗と二人の母親を、『朝が来る』の世界を託したい、と強く思った。
脚本を読みながら、河瀨監督に何度も感謝を覚えた。
それは、彼らの物語を最初に生み出した私以上に、朝斗の、ひかりの、佐都子の、清和のことを考え、彼らの思いがより強く届く
ためにどうしたらよいのかを、心を砕いて考えてくれている人がいるということに対する途方もない感謝だ。作家として幸せを感じた。
ラスト、「原作でもこうすればよかった」と思える構成がある。けれど私が小説で書いてもきっとその光景には届かなかった。映画だからこそ監督が彼らをここに送り届けてくれたのだということが、はっきりわかる。
映画『朝が来る』。
私が見たもの、河瀨監督がその先に見たもの、幼い子ども「朝斗」が見た世界を、できることなら、あなたにもぜひ見てほしい。

辻村深月氏

辻村深月氏

映画『朝が来る』

【監督・脚本】河瀨直美
【共同脚本】 高橋泉
【原作】辻村深月『朝が来る』(文春文庫)
【制作・配給】キノフィルムズ(木下グループ)
©『朝が来る』Film Partners

2020年 全国ロードショー

監督プロフィール:河瀨直美(かわせ なおみ)
映画作家。生まれ育った奈良で映画を創り続ける。大阪写真専門学校(現ビジュアルアーツ)映画学科卒業。映画表現の原点となったドキュメンタリー『につつまれて』(92)、『かたつもり』(94)で、95年山形国際ドキュメンタリー映画祭国際批評家連盟賞などを受賞し、国内外で注目を集める。1997年劇場映画デビュー作『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭カメラドール(新人監督賞)を史上最年少受賞。07年『殯(もがり)の森』でカンヌ国際映画祭 グランプリを受賞。09年には、カンヌ国際映画祭に貢献した監督に贈られる「黄金の馬車賞」を受賞し、12年には日本人監督として初めて審査員を務めた。13年には『2つ目の窓』がカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に4度目となる正式招待を受け、好評を博す。
15年1月には、フランス芸術文化勲章「シュヴェリエ」を叙勲。最近作は樹木希林主演、国内外でヒットを記録した『あん』(15)、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品、同エキュメニカル賞を受賞した『光』(17)、ジュリエット・ビノシュを主演に迎えた『Vision』(18)など。映画監督他、CM演出、エッセイ執筆などジャンルにこだわらず表現活動を続け、なら国際映画祭ではエグゼクティブディレクターとして奔走する。

原作者プロフィール:辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。04年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞を受賞。
そして18年には『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。また、『映画ドラえもん のび太の月面探査記』においては、自身初となる映画脚本を手掛け、小説版も執筆し、話題に。
他の著書に『ぼくのメジャースプーン』 『ふちなしのかがみ』 『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 『オーダーメイド殺人クラブ』 『島はぼくらと』 『盲目的な恋と友情』などがある。

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