
髙橋海人「もう一人の俺だ!」苦しい時に再会した芳根京子に。映画『君の顔では泣けない』大ヒット祈願!公開直前トークイベント【詳細】レポート
2025年11月10日(月)に、芸能にご利益があることで有名な赤城神社(東京都新宿区)にて、映画『君の顔では泣けない』の大ヒット祈願!公開直前トークイベントが開催された。全国公開を4日後に控えた本作より、主演の芳根京子(坂平陸 役)と共演の髙橋海人(水村まなみ 役)が登壇し、劇中に登場する喫茶店「異邦人」をイメージしたセットで、撮影秘話や作品への想いを語った。
イベント【詳細】レポート
オープニングと公開直前の心境
‐ まずは皆さんにご挨拶をいただきたいと思います。坂平陸役の芳根京子さんからお願いします。
芳根京子(坂平陸 役)
皆さんこんにちは。坂平陸役の芳根京子と申します。今日は、この作品の魅力をたくさんお話しして、皆さんに広めてもらえたら嬉しいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
‐ 続いて水村まなみ役の髙橋海人さんです。お願いします。
髙橋海人(水村まなみ 役)
皆さんこんにちは。水村まなみ役の髙橋海人です。もう公開が迫っているということで、この映画のことを細かく皆さんにお話しし、たくさん広げていっていただけたら嬉しいです。楽しい時間にできるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします。
芳根と髙橋は、劇中の喫茶店「異邦人」を再現したセットに着席。髙橋は劇中同様にコーラ、芳根はアイスコーヒーで乾杯した。
‐ 東京国際映画祭など、この1ヶ月の広報活動を経て、公開直前の今、作品への思いや心境はいかがですか?
芳根京子
1ヶ月間、たくさんの取材を受けさせてもらったり、バラエティ番組にお邪魔したりする中で、このタイトルを聞いて「面白そう」と言ってくださる方が多いのがすごく嬉しいです。
本当にたくさんの場所にお邪魔させてもらったのですが、髙橋君がいる日はすごく安心なんですよ。一人だと全部頑張らなきゃと思いますが、二人だと「ちょっと力抜いて行こうか」という温度感になれるというか。この1ヶ月、撮影の時もそうでしたが、またさらにたくさん助けてもらったなという印象です。
‐ 芳根さんのコメントを受けて、髙橋さんはいかがですか?
髙橋海人
いや、もう僕の方こそですよ。芳根ちゃんがいるとすごく元気になれるし、楽しい方じゃないですか。お互い褒め合っていますが、イベントの前日などは「やった、明日は芳根ちゃんだ」と、遊園児みたいな感覚でワクワクします。
ただ、撮影中は本当に役と「向き合い散らかす」というか、周りを見る余裕がなかったんです。常に「まなみ」に脳みそを持っていかれるくらいの覚悟でいないと置いていかれる感覚があったので、今はやっと人間として喋れている感じがします。撮影中、芳根さんがここまで不思議で楽しい方だとは知らなかったですね。
物語と役柄へのアプローチ
‐ オファーを受けた際、この「15年間入れ替わったまま」という独自の設定の物語を初めて聞いた時、どのような感想を持ちましたか?
芳根京子
マネージャーから「入れ替わりもので、15年間入れ替わったままです」と聞いた時に、「ってことは、ずっと男性の役ってことだ」とドキドキワクワクしながら脚本を読ませてもらったのを覚えています。
内容としては、ファンタジーなんだけどリアルで、クスッと笑えるけれどコメディではない。どこかにこんな二人が本当にいるのかもしれないと思える、不思議な感覚になりました。この感覚を皆さんにちゃんとお届けできなきゃならない、というプレッシャーを感じたことを鮮明に覚えています。
‐ 髙橋さんも、この独自の設定を持つ物語に接した時、どのように感じましたか?
髙橋海人
芳根さんと同じように説明を受けましたが、僕は特にタイトルが引っかかっていたんですよ。「君の顔では泣けない」?。入れ替わりものだから、そういうことなのかな?と理解しそうで、なかなか理解しきれない、どういう意味なんだろう?と考える作業が楽しかったです。
また、入れ替わってから15年間、しっとりと二人で生活を「サバイブしていく」感じが描かれていたので、これは並大抵の覚悟では出演できないだろうなと思って本を読ませていただきました。
‐ 入れ替わったまま人生の転機を経験する役柄は非常に複雑ですが、役作りや演技の難しさ、また怖さについて教えてください。
芳根京子
本当に普通の役作りができませんでした。「この感情だ」というものが一つもないからです。どのシーンも、2つや3つの感情を同時に持っているような感覚でした。
髙橋海人
常に反対の感情も一緒に持っている感じでしたね。楽しかったら苦しい気持ちも一緒に持っている、というように、感情が一つではないのがすごく難しいだろうなと感じ、入る前はめちゃめちゃ怖かったです。
‐ その「怖さ」はどのように乗り越えられたのでしょうか?
髙橋海人
怖さという感覚は、撮影が終わるまではずっとありました。自分のアプローチが合っているのだろうか、と常に考えていました。
だから、お芝居をしている相手の芳根さんの表情などを見て、「ああ、何かを引き出せたな」と思ったら、自分の中では合格だと感じていました。
あとは、坂下監督は多くを語る方ではないのですが、「オッケーです」という言葉をもらったら、「大丈夫だったのかな」と、その感覚を信じてやっていました。
‐ 入れ替わった人生を演じる上で、事前のリハーサルはどのような意味を持ちましたか?
芳根京子
リハーサルに入る前は、一人でとにかく考えている時間が一番怖かったです。リハで髙橋君や監督、プロデューサーチームの皆さんとお会いして、一度この作品について話し合えたことが大きかったです。
最初は「男性らしく」「女性らしく」ということばかり考えていましたが、話し合ううちに、そうじゃないよねと。「この物語は、陸やまなみの心の方を追求することが大事であって、外見の話ではなく中身の話だよね」という共通認識にリハでたどり着けたのは、すごく大きかったと思います。
‐ 友達でも恋人でもない、お互いの人生を生きる「共闘関係」という、この特殊な関係性をどのように構築していきましたか?
芳根京子
まず、陸もまなみも全力で生きているということがベースにありました。
陸は不器用で真っ直ぐ、がむしゃらで、それがまなみと対になる。お互いが全力で生きているからこそ衝突が起きるのだと思います。
陸とまなみのように「あなたしか理解者がいない」という関係が、髙橋君と私にもリンクしました。言葉にするのが難しい、複雑な「苦しい」という感情を「苦しい」と言うだけで、それを分かち合えているような感覚があったんです。すごくおこがましいけれど、生き方が似ているのかも、と思う瞬間が何度かありました。
髙橋海人
現場やリハでは、そこまで多くを語ることはありませんでした。
ただ、「これ難しいね」「どういう感情なんだろうね」と、役に対して二人で一生懸命突き詰めていく時間が、マインドを一緒にセットできていた空間でした。抱えているジレンマが一緒だったからこそ、ずっと同じ方向を向きやすかったのだと思います。辛いねという会話だけで心が楽になるように、陸とまなみも、二人だけにしか分からない悩みや葛藤を共有していた状況が、私たちとすごくリンクしていました。
‐ 一つの役を二人で理解し合うというプロセスの中で、発見や面白かったことはありますか?
髙橋海人
リハで、もし自分だったら陸をこうやるのか、まなみをこうやるのかを試す「まなみ/陸トリック」というものがあって面白かったですね。芳根さんが「陸として」やるのを見て、「あ、それを芳根さんはこうやるんだね」という発見があったり、現場でも「あ、そういう表情をするんだ。俺だったらちょっと違うかも」と感じたり。
芳根京子
お互い正義と価値観があり、正解もなくて、どちらの感情も正しいと思えるから、すごく苦しかったです。当事者になっちゃうと自分がこうと思ったことを貫きたいのも分かる。だから、ぶつかるシーンの後には、何度も髙橋君に「ごめんね」と思いました。
‐ 髙橋さんは芳根さんを「もう一人の俺」と感じた瞬間があったそうですね。
髙橋海人
今年の頭に別の作品を撮影している時、廊下で芳根さんにばったり会ったんです。僕はその時、難しいシーンの撮影日で、すごく戦っていたみたいで、芳根さんを見て思わず「もう一人の俺だ!」と言って駆け寄りました。
芳根京子
私は「もう違う人生だよ!」って言いましたけどね(笑)
でもそれぐらい、この映画は本当に戦った作品で、「共闘」という言葉がふさわしいです。抱えていた感情は一緒だったと感じます。
喫茶店「異邦人」のシーンとセリフ
‐ 今、背景に再現されている、二人の待ち合わせの場所である喫茶店「異邦人」での撮影は特に大変だったと伺いましたが、いかがでしたか?
芳根京子
「異邦人」の撮影は、1日の分量がすごく多くて、基本的に2人芝居だからずっと喋っているシーンが何シーンもありました。
しかも21歳だったり30歳だったり、時代を超えなきゃいけない。
正直、「異邦人が来るぞ…!」という印象でした。台本を覚えるのに時間がかかった作品で、状況確認から落とし込む時間が必要でした。
そんな中で、「異邦人」の撮影日に台風でスケジュールを変えてもいいかとマネージャーに言われた時、初めて「私無理かもしれない」と言ったほど、追い込まれていた記憶があります。1日単位で乗り越えて生きていた感覚でした。
‐ 髙橋さんも「異邦人」のシーンでは集中力が必要だったとお考えですか?
髙橋海人
現場に行くとどうしてもギアが上がってしまう環境なのですが、そこでのボディランゲージや仕草一つに集中していないと、隙が生まれてしまう空間でした。
だから「ちゃんとしよう」と思うとやりすぎになってしまう。15年経つと慣れては来るけど、受け入れきれてはない、というさじ加減が難しかったですね。意図的にやっているのか、自然にやっているのか、そのバランスに気をつけました。思い出すだけでゾクゾクします。
‐ タイトルにも繋がる「俺の顔で情けなく泣かないでくれる?」という陸(芳根さん)のセリフについて、どのように解釈されましたか?
芳根京子
このタイトルのセリフは、作中で何度か出てきますが、その都度、意味合いが全然違います。
私がまなみに言ったこのセリフは、心の底でのぶつかり合いでした。あのシーンが終わった後に、二度と髙橋君にこのセリフ言いたくないと思ったほど、感情を強くぶつけるシーンだったからです。
‐ それに対し、まなみ(髙橋さん)から発せられる言葉は、どのような意図が込められていましたか?
髙橋海人
まなみから発する言葉は、陸を包み込むような、エール的な要素が強いと思います。
その言葉を発している間にも、自分の体で人生を過ごしてきた寂しさや、今の自分の体(陸の体)を自由に使うことに対する「何してくれてんねん」という気持ち、そしてこの先戻るかも分からない不安など、たくさんの葛藤が相のように出てきます。相手の人生を借りて生きてきた二人だからこそ言える、すごく複雑な感情をギュッと詰め込んだセリフでした。あれは電話のシーンで良かったなと思います。直接だったら言えていないかもしれません。
人生の交換というテーマ
‐ この作品は、性別だけでなく人生そのものが入れ替わる切なさを描いていますが、このテーマを通して、ご自身の「人生」について改めて感じたことはありますか?
芳根京子
今までは「誰と入れ替わりたいですか?」と聞かれた時に、すごく気楽に答えられていましたが、この作品を経て、それがどれだけ重たいことなのかを痛感しました。
陸で言うと、弟とのシーンで、同じ思い出を持っているのに、今の自分(まなみの体)は血も繋がっていないために支えてあげられない。家族だったら当たり前にできることが許されない状況が苦しすぎました。入れ替わるってすごく大変なことなので、今後は「自分の人生を大切にしたい、入れ替わりたくない」と答えるようになると思います。
髙橋海人
以前は、こういう質問をされるとちょっとお茶らけて返したりしていましたが、今は重く捉えるようになりました。でも、いい意味で考えが変わった方が強いです。
この映画を見て、誰かと入れ替わると思った時に「こういうところはあげたくないな」「自分のこういう要素は奪われたくないな」と思うことこそが、自分の人生をちゃんと生きられている証拠で、それが自分らしさなのかな、という気づきがありました。
‐ 入れ替わった二人が最後に何を選ぶのか、という結末について、どのように考えていますか?また、観客に伝えたいメッセージは?
芳根京子
15歳から30歳という、人生の中で大きなイベントが起きる年齢を相手の体で過ごすわけですから、「本当の自分って何だろう」というところまでいってしまう。過去があってこその今、過去があってこその未来だから、どうしたって(元の自分と)切り離せません。だからこの物語に正解はないと思っています。
ラストシーンを見て、観客の皆さんがどういう風に受け取ってくださるかは人によって全然違うと思いますが、何一つ間違ってはいないと思っています。ぜひ劇場で、皆さんがどういう気持ちになったか教えていただきたいです。劇場の外で待ってようかな(笑)
髙橋海人
この作品は、優しくて温かい空気感で進んでいきますが、伝えられるメッセージは重く、どっしり食らうものになると思います。
見ていただいた後、皆さんが「自分の人生が特別なものだな」と思ってもらえるきっかけになると思っています。
公開されてから最初の3日間(金・土・日)が非常に大事な期間です!自分の人生についてゆっくり考える時間を持っていただけたら嬉しいです。もしご家族で見に行かれる方がいたら、映画を観終わった後に、ご自身の生活の中で素敵なところなどを話し合うきっかけになったら嬉しいです。
クロージング
‐ 公開4日前に迫っています。最後に一言お願いします。
髙橋海人
本日はありがとうございました。短い時間でしたが、撮影のことなどを鮮明に思い出せて、僕自身もこの作品への愛が深まる時間でした。
この作品は、多くの方が自分自身の人生について考え、素敵で幸せな未来へ向かうために、何かを考えられるものになっていたらいいなと思います。金土日、公開されてから3日間が非常に大事な期間です。たくさんの方がこの作品を見て、自分の人生を素敵だと思えるものになっていたらいいなと思います。皆さん、よろしくお願いいたします。
芳根京子
いよいよ公開ということで、なんだか私の手からもうすぐ離れていくんだな、という寂しい気持ちとドキドキした気持ちが入り混じっています。
この作品は、自分の人生をぎゅっと抱きしめたくなるような、自分の人生が愛しくなるような作品だと思います。たくさんの方に届くことを願っています。そんなに派手な作品ではないかもしれませんが、だからこそ是非劇場で、大きなスクリーンで綺麗な音で全身で感じてもらえたら嬉しいです。最初の3日間が大事です!劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。
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- アイスコーヒー(芳根京子)
- 氷が溶けたコーラ(髙橋海人)
[記事・写真:三平准太郎]
映画『君の顔では泣けない』
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