木村拓哉が運転する劇中タクシーで倍賞千恵子が登場！山田洋次監督が語る「芝居」の真髄。映画『TOKYOタクシー』タクシーセレモニー詳細レポート

2025年10月20日、山田洋次監督の91本目となる最新作『TOKYOタクシー』（2025年11月21日全国ロードショー）の公開に先立ち、東京タワーの野外スペースにて「タクシーセレモニー」が開催され、主演の倍賞千恵子、木村拓哉をはじめ、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、山田洋次監督が登壇した。
本作は、人生の終活に向かう85歳のマダム・高野すみれ（倍賞千恵子）と、冴えないタクシー運転手・宇佐美浩二（木村拓哉）が、たった1日の東京周遊の旅を通して人生を大きく動かしていくヒューマンドラマだ。

イベント【詳細】レポート

木村拓哉、タクシーを運転し、倍賞千恵子をエスコート

イベントのハイライトとして、木村拓哉が運転する、劇中のタクシーに倍賞千恵子を乗せて登場し、会場に敷かれたピンクのカーペットをエスコートした。

その後、各キャストらの華やかな登場の後、登壇者全員が一言ずつ挨拶を述べた。

倍賞千恵子（高野すみれ 役）
こんなにたくさんの皆さんがお越しくださって、本当にびっくりしています。高野すみれ役を演じました、倍賞です。どうぞよろしくお願いします。

木村拓哉（宇佐美浩二 役）
宇佐美浩司役をやらせていただきました木村拓哉です。降っていた雨もやんでくれて本当によかったです。今日は短い時間ですがよろしくお願いします。

蒼井優（若き日のすみれ 役）
すみれ役を演じさせていただきました蒼井優です。本日お越しいただきありがとうございます。短い時間ですがよろしくお願いします。

迫田孝也（小川毅 役）
態度が豹変していく小川毅を演じました迫田です。私、小雨男なのですが、山田監督の隣で緊張しているせいか、雨も上がり、いい天気になりました。今日は、暑くなく涼しく過ごせるという意味で、よろしくお願いします。

優香（宇佐美薫 役）
宇佐美薫役をしました優香です。皆さんに楽しみにしていただける作品になっていると思います。よろしくお願いします。

中島瑠菜（宇佐美奈菜 役）
宇佐美奈菜を演じました中島瑠菜です。本日はよろしくお願いいたします。

山田洋次監督
ようやく、封切りの日が近づいてきました。ここにいらっしゃる大勢の素敵な俳優さんたちと一緒にこの映画を作りました。たくさんの人が見てくれたらいいなと思っております。今日は素敵な集まりに参加していただいてありがとう。

撮影エピソード

‐本作の撮影以来となる木村さんの運転でご登場いただきましたが、倍賞さんにとって、ドライブはいかがでしたか？

倍賞千恵子
もう安心しきっていました。木村さんはとても真面目な方なので。（タクシーに乗る際に）普通は後部座席に乗るところ、木村さんが「助手席に乗ってください」とおっしゃって、少しやり取りがあった後、「前で」ということになりました。
本当に運転がお上手なので、安心して乗ってまいりました。

‐木村さんはいかがでしたか？（倍賞さんを助手席に乗せての登場について）

木村拓哉
撮影以来のこの車（すみれタクシー）の運転だったので、「懐かしいな」と思いました。
劇中では、倍賞さん演じるすみれさんは後部座席に座られていたので、今回のように助手席に乗っていただくのは雰囲気が全然違いましたね。
皆様の前に登場することができて非常に光栄です。
あと、蒼井優ちゃんからは「木村さん、できるんだったらバック（後退）でお願いします」と言われてたんですが、本番はぶっつけ本番だったので、前からということになりました（笑）

‐実写では初共演となる木村さんの印象は？

倍賞千恵子
アニメ映画『ハウルの動く城』でご一緒した時は、それぞれ個別の収録だったので、ほとんど会えませんでした。でも、当時、プロデューサーに頼んで１日だけアフレコを一緒にさせてもらったのですが、その時もあまりお話ししませんでした。
でも今回は、毎日木村くんとタクシーの中でセリフのやり取りをしていたので、とても満足しています。いろんな話をしましたが、本当に真面目な方なんだな、ということを今回初めて知りました。彼は勉強熱心で、いつも何かを考えている方で、とても真面目で優しい方だということが、今回初めて分かりました。

‐木村さんから見て、倍賞さんの印象はいかがでしたか？

木村拓哉
私は幼少の頃から拝見させていただいていた方ですし、山田組の現場でお会いする倍賞さんというのは、やはりまた格別な思いをさせていただきました。ありがとうございます。

倍賞千恵子
そんなにしっかり言われると困っちゃいますね。でも私も楽しく過ごさせていただきました。

‐蒼井さんは７年ぶりの山田組で、「楽しんでやりたい」という目標を掲げられたそうですが、クランクアップ時に「リテイクはないか」と尋ねるほど名残惜しかったそうですね。

蒼井優
今まではどうしても緊張が先行してしまい、「これでよかったのだろうか」と、自分の中で殻を破りきれたかということばかり考えていました。
今回は、先輩方の胸を借りて「とにかく楽しんでやりたい」という目標があったので、その通りに楽しみました。
そうしたら、終わるのが本当に寂しくて、「来年あたりセリフをリメイクしたいです、このメンバーで」というくらいです。本当に素敵なチームに参加させていただけて、これほど幸せなことはないなと思いました。

‐蒼井さんは倍賞さんの若き日を演じられましたが、ご一緒できたご感想は？

蒼井優
昔、共演させていただいたことがありますが、いつも一緒にお芝居をする場にいなかったんです。今回こそ一緒だと思っていたら（現代と過去で）合わなかったので、（倍賞さんが）年を取ったすみれ役をしっかり演じていらして、安心して（過去を）演じることができました。
私がどう演じても、その先に倍賞さんが待ってくださるという安心感があったので、思いっきり演じることができました。

倍賞千恵子
（蒼井優さんが）若い時をしっかり演じてくださっていたので、安心して年を取れました。

‐迫田さんは、蒼井さんとは夫婦役で初共演でしたが、山田組の雰囲気はいかがでしたか？

迫田孝也
役の上では、いわゆる昭和の男、一家の大黒柱という、多少バイオレンスも入る役どころでしたが、私個人としては、蒼井さんに頼り切って、おんぶに抱っこで甘えきった撮影現場でした。
山田組では緊張の方が強くて、OKをいただいても「果たしてこれで良かったのかな」と思っていました。
そんな時、蒼井さんがニコニコしているので、「多分良かったのかな」と自分を慰めながら過ごしていました。

蒼井優
迫田さんとのシーンは重たいものが多かったのですが、迫田さんのお人柄のおかげで、なんだかずっと笑いが絶えない現場になりました。

迫田孝也
逆に、僕は本当に緊張してどうしていいか分からず、初めての挑戦のようなシーンもありました。そんな時に、蒼井さんが全て受け止めてくれるような空気を作ってくれたので、思いっきり演じることができたんです。

‐優香さんは初の山田組参加でしたが、山田監督の演出や現場の雰囲気はいかがでしたか？

優香
私と（中島）瑠菜ちゃんだけが初めての参加だったので、緊張に包まれている現場でした。
でも、スタッフの皆さんが山田さんのために一つ一つ丁寧に撮影されていて、監督にも細かく指導していただけて、本当に夢のような幸せな時間でした。

‐中島さんは初めての山田組で、木村さん・優香さんとご一緒されましたが、いかがでしたか？

中島瑠菜
本をいただいた時からずっと緊張しっぱなしだったのですが、現場に入ると木村さんと優香さんが本当に家族のように温かく迎え入れてくださって。スタッフの皆さんも優しくて、泣いてしまった時もありましたが、楽しく温かく撮影に挑めてよかったです。

‐山田監督から見て、主演のお二人（倍賞さん、木村さん）の演技や雰囲気はいかがでしたか？

山田洋次監督
このお二人の芝居を見るのは、僕にとって大変楽しみでした。僕の書いた脚本を、お二人がセリフを喋り、演技をしてくれる。それを見ているだけで、いい気持ちになってしまうのです。
昔から映画界では「脚本がよくできていて、気に入ったキャスティングができたら、その映画は8割方成功している」という有名な言葉がありますが、この素敵な俳優さんが揃った時点で、この映画はかなりうまくいくのではないかと思っています。

‐木村さんは、今回の現代劇への参加、そして新しい役柄への印象はいかがでしたか？

木村拓哉
以前参加させていただいた作品（『武士の一分』）は時代劇でしたが、今回は現代劇です。そして、アングル的に言ったら目線を下げたローアングルで、実際にいるかもしれない人たちを描いている、そんな現場でした。
ものすごいテクノロジーの撮影手段も使いましたが、プログラミングに時間がかかった際、監督は「早く撮りたい」というモチベーションで「行こう行こう」とおっしゃっていました。
そんな時、監督が「僕はテクノロジーを撮りに来ているんじゃなくて、芝居を撮りに来ているんだよ」とおっしゃったんです。
その言葉を聞いた瞬間、運転席の僕も、後部座席の倍賞さんも、二人とも背筋が伸びたのを覚えています。

山田洋次監督
僕、そんなこと言ったかな？（笑）

倍賞千恵子
言いましたよ。本当にそのくらい元気で、「もっともっと」って言って撮影していましたもんね。

山田洋次監督
そうでしたか（笑）

クロージングメッセージ

木村拓哉
今日は、お集まりいただき本当にありがとうございました。11月21日に公開になりますので、ぜひ、山田監督が作りたかったというものを、僕らで具現化させていただいたので、ぜひご覧になって欲しいと思います。よろしくお願いします。

倍賞千恵子
『TOKYOタクシー』は11月21日、全国で公開されます。どうぞ皆さん劇場に足を運んでこの映画を見ていただけたら嬉しく思います。
そして、劇場から出てきた時に、誰かと目が合ったら、こうパッとハイタッチをするという。そうすると何かとてもいいことがあるような気がしているんです。どうぞそれをお楽しみください。今日はありがとうございました。

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■フォトギャラリー

[記事・写真：三平准太郎]

映画『TOKYOタクシー』

《INTRODUCTION》
山田洋次監督の91本目となる最新作『TOKYOタクシー』が、2025年11月21日（金）より公開いたします。
長きにわたり日本映画界で活躍し続け山田監督作品には欠かせない名女優・倍賞千恵子、そして『武士の一分』以来19年ぶりの山田組参加となる木村拓哉の豪華共演が実現、さらに蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、笹野高史などの豪華実力派俳優が揃いました。

《STORY》
毎日休みなく働いているタクシー運転手の宇佐美浩二（木村拓哉）。娘の入学金や車検代、家の更新料など次々にのしかかる現実に、頭を悩ませていた。
そんなある日、浩二のもとに85歳のマダム・高野すみれ（倍賞千恵子）を東京・柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送るという依頼が舞い込む。
最初は互いに無愛想だった二人だが、次第に心を許し始めたすみれは「東京の見納めに、いくつか寄ってみたいところがあるの」と浩二に寄り道を依頼する。
東京のさまざまな場所を巡りながら、すみれは自らの壮絶な過去を語り始める。たった1日の旅が、やがて二人の心を、そして人生を大きく動かしていくことになる―

出演：倍賞千恵子　木村拓哉
蒼井優　迫田孝也　優香　中島瑠菜
神野三鈴　イ・ジュニョン　マキタスポーツ　北山雅康　木村優来　小林稔侍　笹野高史
監督：山田洋次
脚本：山田洋次　朝原雄三
原作：映画「パリタクシー」（監督 クリスチャン・カリオン）
配給：松竹
©２０２５映画「TOKYOタクシー」製作委員会
公式サイト：https://movies.shochiku.co.jp/tokyotaxi-movie/
公式X：https://x.com/tokyotaxi_movie

予告編

2025年11月21日（金）全国ロードショー