吉永小百合「大泉さんが聞き上手なので、ついついプライベートな話を」映画『こんにちは、母さん』大阪舞台挨拶
2023年7月10日、あべのアポロシネマにて、映画『こんにちは、母さん』舞台挨拶が行われ、吉永小百合、大泉洋が登壇。先に行われた記者会見に続き、撮影秘話を明かした。
舞台挨拶レポート
『母べえ』『母と暮せば』に続き、『母』三部作の集大成とも言える作品に仕上がった本作だが、吉永は「今回の作品は、今までにないような監督の気合いを感じました。“新しい映画を作るんだ”という想いが込められていて…。時には厳しい演出もありましたが、新しい家族の物語に仕上がったんじゃないかと思います」と自信をのぞかせていた。
そんな吉永と本作で初共演を飾ったのが、息子・昭夫役を演じた大泉。今回の共演について、「今こう並んでいると親子には見えないかもしれませんけれども、不思議と現場に入ると小百合さんのお力か、母親にしか思えなかったですね。撮影の二ヶ月間、こんなに素敵な母と過ごせたのが幸せでした」としみじみと語り、喜びを表していた。
さらに大泉は山田組にも今回が初参加となったが、監督とは密にコミュニケーションを重ねていたそうで、撮影はとにかく楽しかったと振り返る。「山田監督は色々なことをお話ししてくださるんですよね。撮影に入る前に、“こういうことがあったからこのシーンを書いたんだ”といった背景を教えてくださるおかげで、役も膨らませていくことができました」と貴重な舞台裏でのエピソードも明かしていた。
吉永は、今回本作で初の“おばあさん役”に挑戦。役作りについて特別意識したことはないという吉永だが、「今回は足袋屋のお母さん役。夫を亡くして、下町で一生懸命に生きている人という役どころだったので、そういうおばあちゃんの気概みたいなところは出したいなと思いました」と役への想いを語る。
さらに「昭夫に対しても“お前”っていうセリフがあるんですが、映画の中で“お前”って呼びかけるのも初めてで。振り返ってみると新鮮でしたし、演じていて楽しかったですね」と笑顔を見せていた。
大泉扮する昭夫は、大企業の人事部長を務めるサラリーマンという役どころ。「人事部長という立場の辛さから、実家に帰るシーンがあるんですね。ストレスからお母さんに辛く当たってしまう場面もあったり。私も実家に帰ると母親に愚痴みたいなものをこぼしてしまったり、些細な会話から言い合いになってしまうようなこともあったりするので、共感する部分もありましたね」と振り返る通り、同年代の男として昭夫と重なる部分も多かった様子。
親子役ということもあり共演シーンも多かった二人だが、自然と撮影の合間には話をする時間も多かったそう。
「私は普段あまりプライベートのお話はしないんですが、大泉さんが聞き上手だったので、ついついあらぬことまで話してしまいました(笑)」と笑みをこぼす吉永。一方大泉は、「特に今回小百合さんはご自身のセリフも多いので、撮影の合間に控えに戻られることも多かったんですね。集中なさってるんだろうなと思いつつ、たまに控えから出てこられた瞬間はもう記者のように張り付いてましたよね。“朝起きる時間は?若さの秘訣は?”なんて聞いたり」と貴重な吉永との時間を逃さまいと質問攻めにしていた様子を明かし、会場の笑いを誘っていた。
さらにトークは二人が観客に注目してほしいシーンについての話題に。
吉永は「劇中で昭夫さんが追い詰められて私のところへ逃げてくるシーンがあるんですね。私が庇ってあげて、昭夫さんが私の後ろに隠れるというお茶目なシーンがあるので、ぜひ見逃さぬよう見ていただきたいです」とプッシュ。すると大泉も「宮藤官九郎さん演じる木部が怒るシーンで、思わず母(吉永)を盾にするシーンなんですよね。ちょっと“大泉洋”が垣間見えていたシーンかもしれません」と茶目っ気たっぷりに反応。
そんな大泉は福江が酔っ払ってしまうシーンを挙げ、「切なくも可愛らしいお姿が印象的でしたね。何日かかけて撮影したシーンだったんですが、素敵なシーンに仕上がっていると思います」とコメント。
さらに作品全体としても、「爽やかな物語が描かれているので、どの世代の方々が観ても元気になれると思いますし、いくつになっても人を好きになる素晴らしさを感じられる作品になっていると思います」と魅力を語り、見どころをアピールしていた。
そして最後にはフォトセッションが行われ、「山田監督らしさは残しつつ、監督の新しい挑戦も感じられるような面白い作品に仕上がっていると思います。今は配信だったり、一人で映画を観る機会も多くなってきていると思いますが、たくさんの人たちと映画館で観る楽しさもあると思いますので、多くの方に劇場へ足を運んでいただけたら」(大泉)、「山田監督の作品では今までになかったような珍しい撮影の仕方もしましたし、ちょっぴり新しさも感じられる作品だと思います。今回も本当にお心を込めて、素敵な作品を私たちに出演させてくれて、導いてくださったと思います。気に入ってくださったらぜひ周りの方におすすめしていただけたら嬉しいです」(吉永)とこれから本編を鑑賞する一般客に向けメッセージを送り、舞台挨拶は幕を閉じた。
■フォトギャラリー
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映画『こんにちは、母さん』
【概要】
2020年、100周年を迎えた松行映画。『男はつらいよ」シリーズをはじめ、その長きに渡る歴史の中で松付が描き続けてきたのは、人の温かさを描いた人情の物語であり、【家族】の物語でした。
そして、2023年。変わりゆくこの令和の時代に、いつまでも変わらない【親子】を描く映画『こんにちは、母さん』が完成しました。
本作のメガホンを取るのは、時代とともに家族の姿を描き続けてきた山田洋次監督。
91歳にして90本目の監督作となる本作では、いまこの令和を生きる等身大の親子を心情豊かに描きます。
主演を務めるのは、1972年に公開された『男はつらいよ 柴又慕情』をはじめ、『母べえ』(08)『おとうと』(10)『母と暮せば」15)など約50年間に渡って数々の山田洋次監督作品に出演し、日本映画界を共に牽引し続けてきた吉永小百合。映画出演123本目となる本作で、下町に暮らす母・福江を演じます。
その息子・昭夫を演じるのは、数々の映画やNHK大河ドラマ「赤倉殿の13人」での好演が記憶に新しい、国民的人気作優・大泉洋。山田洋次監督映画への出演、吉永小百合との共演はともに初めてとなります。
「母べえ』『母と暮せば」に続く『母』3部作として、日本を代表する名女優・吉永小百合の集大成ともいえる本作。日本映画史に残る新たな名作が誕生致します。
原作は日本を代表する劇作家であり、演出家としても数々の名優と舞台を創ってきた永井愛の人気戯曲「こんにちは、母さん」。01年と04年に新国立劇場で上演され、07年にはNHK土曜ドラマにて映像化されるなど、多くの演劇ファンから人気を博した名作が現代の下町を舞台に映画になります。
【物語】
大会社の人事部長として日々神経をすり減らし、家では妻との離婚問題、大学生になった娘(永野芽郁)との関係に頭を悩ませる神崎昭夫(大泉洋)は、久しぶりに母・福江(吉永小百合)が暮らす東京下町の実家を訪れる。
「こんにちは、母さん」
しかし、迎えてくれた母の様子が、どうもおかしい…。割烹着を着ていたはずの母親が、艶やかなファッションに身を包み、イキイキと生活している。おまけに恋愛までしているようだ!久々の実家にも自分の居場所がなく、戸惑う昭夫だったが、お節介がすぎるほどに温かい下町の住民や、これまでとは違う“母”と新たに出会い、次第に見失っていたことに気付かされてゆく。
監督:山田洋次
脚本:山田洋次 朝原雄三
原作:永井愛
出演:吉永小百合、大泉洋、永野芽郁、寺尾聰、宮藤官九郎、田中泯、YOU、枝元萌
撮影:2022年9月30日~11月17日
配給:松竹
©2023「こんにちは、母さん」製作委員会
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/konnichiha-kasan/
公式Twitter:@konnichihakasan
特報映像
2023年9月1日(金)全国ロードショー
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