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『渇水』公開直前ティーチインイベント

生田斗真&門脇麦、観客からの質問に直接回答。「今日は良いイベントだった」とイベント後に感想も。映画『渇水』公開直前ティーチインイベント【詳細レポ】

2023年5月24日、神楽座(東京都千代田区)にて、映画『渇水』公開直前ティーチインイベントが行われ、生田斗真、門脇麦、髙橋正弥(監督)、白石和彌(企画プロデュース)が登壇。観客からの質問に答えた。
客席からの熱心な質問に、イベント後のフォトセッション準備中の雑談で、門脇は「今日はとっても良いイベントだったね」と生田に語りかけ、生田も大きく頷いていた。
本作が描くのは、人と人の関係が希薄になってしまった現代社会に、真の絆とは何かを問いかけ、観る者を生への希望で照らし出す珠玉のヒューマンドラマ。

イベント詳細レポート

生田斗真(水道局職員・岩切俊作 役)
楽しんでいただけましたでしょうか?この映画の撮影中、ずっと雨が降っておりました。先日やった完成披露試写会でも大雨でございました。僕はこの映画のキャンペーンは“雨男キャラ”で行こうと思っていたのですが、今日ものすごく晴れてしまって、キャラが崩壊しました(笑)
どう宣伝すればいいのかわからないので、みなさんのお力をお借りしたいと思います。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

生田斗真

門脇麦(姉妹の母親・小出有希 役)
いよいよ公開間近ということで嬉しく思います。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

門脇麦

白石和彌(企画プロデュース)
映画を見終わってからのティーチインが今回初めてなので、色々な話をできればと思います。隣の部屋で控えている時に、ラストの曲が流れて、生田さんがドアにへばりついて聞いていたのが印象的でした(笑)

『渇水』公開直前ティーチインイベント

白石和彌(企画プロデュース)

髙橋正弥(監督)
ようやく一般の方々に見ていただく機会がまいりまして、来週末公開になるのですが、皆様のご感想を聞いたり、ティーチインはとても緊張しておりますので、どうぞお手柔らかにお願いします。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

髙橋正弥監督

■本作への参加への決め手は?

生田斗真
日本映画界でとんでもないおもしろい脚本があるんだというのが噂になっていたようで、そんな脚本が時を経て自分の元に回ってきて、その時に感じたのは中身の良さもあるんですが、たくさんの人の想いや作品への愛情が詰め込まれた、ただならぬオーラをもった脚本でした。
参加しないと後悔するだろうなと思って、即座に参加させてもらうことを決めました。

門脇麦
台本を読ませていただいて、なんていい本なんだろうと思ったのと、白石さんと何度もご一緒しておりまして、白石さんが“門脇さんで”と言ってくださっていると言うのを聞いて、断る理由がありませんでしたね。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

白石和彌(企画プロデュース)
3、4年前に本を読む機会があって、やはり素晴らしくて、さらに髙橋監督と一緒に飲んだ時に、お人柄に人惚れしてしまって、僕が入ることで一歩でも進むのならば参加させてくださいという話になりました。

髙橋正弥(監督)
映画として、原作の魅力、社会的な魅力を含んだテーマだったので、映画にして皆さんにお届けしたいなというのがありました。本当に白石プロデューサーと生田さんが、映画の制作に参加してくれるというのが決まって、動き始まったので感謝してますし、その次に門脇さんの快諾もいただいて、自分の中で力になって、制作を始めさせていただきました。

■役を演じる上で心掛けたことは?

生田斗真
岩切は自分のせいで大切な家族と離れて暮らすことになってしまって、そのことをきっかけに、彼の人生がストップしてしまって、思考も止まっていたような気がします。
自分がどこにいて、何をしていて、何のために働いていて、どうして人の家の水を停めなきゃいけないのか、そういうことに蓋をしていて、無理をしている。そういう男の悲しい、独特なオーラが滲み出てくるといいなと思ってやりましたね。

門脇麦
ネグレクトをしているという難しい役柄だったので、地に足がついていて実在感があるように、私とは遠い登場人物と感じましたが、そう見えないように演じました。彼女にもそういう行動をとってしまった理由があって、ただの悪い人ではないので、0.1秒だけでもいいので、娘たちを見守る瞳が哀しみが滲めばいいなと思って演じました。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

■相思相愛のキャストと監督

-髙橋監督の演出について、印象に残ったことは?

生田斗真
雨で撮影がストップしちゃった日も、撮影が思うようにいかない日も、髙橋監督はずっと嬉しそうでしたね。
この映画を撮れているという幸せに満ち溢れていて、一番潤っているのは監督かなって思っていました(笑)髙橋監督の人柄に惚れて、この現場が進んでいったなと思います。

髙橋正弥(監督)
映画を作ることは楽しい作業ですので、雨で恨めしい時もありましたが、映画が中止になったわけではないので、自分としても励みというか、次は面白いシーンを撮ろうという気持ちでいたのかもしれないですね。

門脇麦
姉妹二人の役者さんが台本をもらっていない状況で進んでいって、監督がおふたりにつきっきりだったので、寂しかったです(笑)
でも、映画をご覧いただいた方は分かると思うのですが、あたたかい監督の雰囲気が滲み出るような現場で、楽しい映画ではないかもしれないけど、現場は居心地が良くて楽しかったですね。

髙橋正弥(監督)
今回は本当にいい俳優さんたちに巡り会ったので、細かく表現して欲しい、こう演じて欲しいというのは、現場では僕の中で感じなくて、生田さんは岩切だし、門脇さんは有希だし、演者皆さんの芝居が好きだったということで、言わなかったということだったと思います。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

髙橋正弥監督

■苦労したシーンは?

-一番大変だったシーン、苦労したシーンは?

生田斗真
磯村くん、そして子役のお二方とアイスを食べるシーンがありまして、長回しの撮影だったので、アイスを何本も食べて頭が痛くなりましたね(笑)
特に磯村くんは食べ切らなきゃいけないという使命があったので、あの時期にはなかなか見れない、震える磯村勇斗というのがみえました(笑)

門脇麦
撮影中雨が多くて、一番最後に生田さんと対峙して家を出ていくシーンが、雨なので今日は撮れませんというのが2、3回あったので、最後ようやく撮影できた日は、清々しい気持ちでした(笑)
大切なシーンだったので、撮って不安な気持ちを終わらせたいと思っていたので、撮れた時は本当に清々しかったです。

生田斗真
麦ちゃんは僕の出会った女優さんの中で一番帰るの早いんですよね。走って車に帰るんですよ(笑)
早く帰る秘訣ってあるんですか?

門脇麦
段取りをちゃんと組むことですね。走りながら、脱げるものは脱いでおくのは一番大きなコツです(笑)

『渇水』公開直前ティーチインイベント

■劇伴と主題歌を手がけた向井秀徳の音楽

生田斗真
映画がバーンと終わって、そこから“This is 向井秀徳”のギターの音が流れてくると興奮しますね。初号試写の時に、向井さんもいらしてくださって、映画見終わった後に、飲み行こうって声かけていただいて、飲みに行きました。向井秀徳に誘われた!と思って、めちゃくちゃ嬉しかったですね。

門脇麦
えぇっ!?いいなぁ♪
私は、とても向井さんが好きで、ライブも行かせていただいたことあるのですが、映画を見ていて、最後にジャンと音が入ると、ずっと続いていた低い気持ちが、一回冷静にこの映画を振り返るきっかけになって、試写で見た時に鳥肌が立ちました。

■客席からの質問コーナー

-撮影されていて、ハッとした、思ってもいなかった変化のあったシーン、もしくは忘れられないシーンはありますか?

生田斗真
若い女優二人とのシーンは印象的で、二人は宿でもずっとふたりで寝泊まりを一緒にしていて、関係性が出来上がっていくんですが、僕たちは会話はなるべく避けていたところ、彼女たちの心がつながっていって、一心同体になっていく瞬間を見た時は、とてもピュアなものをみたような、ハッとする気持ちになりました。

門脇麦
私も姉妹との、娘とのシーンですかね。現場に入るまで、現場中も、不安だったのですが、二人が河原で遊んでいるシーンを眺めていた時に、それでも家を出ていくんだ、この姿を見ても家を出ていく人なんだなというのが、役を一掴みできた時でした。

生田斗真
いま思い出しましたが、麦ちゃんの登場シーンは、僕と磯村くんが彼女に声をかけるんですが、そこに佇む門脇麦のなんとも言えない説得力、本物がいるという感じでしたね。まさかその数時間後に走って帰っていく人とは思えない、艶かしい綺麗さがありましたね(笑)

白石和彌(企画プロデュース)
僕は滝のシーンですかね。パキーっと晴れていて、生田さんが神々しかったんです。滝も監督は場所をこだわっていて、美しく撮れていて、髙橋さんはもってないようで持っている人なんだなというのを感じました。

髙橋正弥(監督)
お二人が出ているシーンですが、現場でも編集をしていてもハッとしたのが、生田さんが門脇さんに一言申す時に、門脇さんの「水の匂いがする」という芝居は、最初拝見した時から、ハッとして、編集中も既に見ている世界なのに、すごいな、この二人の丁々発止と思っていました。

-監督とプロデューサーはどんな印象でしたか?

生田斗真
この映画に参加することを決めてから、「(髙橋監督は)本当に優秀だよ」というのを本当に沢山の方から言われまして、映画を撮っているという現実を噛み締めている監督をみているのが幸せでした。

門脇麦
髙橋監督はとにかく柔らかい暖かい雰囲気があって、その中でも緊張感もあって、どのようなモチベーションで撮っているか、そういう熱って絶対に伝わるので、その中で仕事をしているのが幸せでたまらなかったですね。
白石さんとは何度もご一緒していますが、チャーミングな監督で、血まみれのシーンとかすっごい笑って撮っているんです(笑)
物申したいことが腹の中に沢山ある人で、そういう話を具体的にやるんじゃなくても感じるので、ものすごくエネルギーを感じる人です。

白石和彌(企画プロデュース)
(苦笑&照笑)

『渇水』公開直前ティーチインイベント

白石和彌(企画プロデュース)

■16mmの撮影に大興奮!

-16mmフィルムで行われた撮影について、メリット・デメリットを、俳優の立場、監督の立場で教えてください。

生田斗真
フィルムで撮影すると、8分しか撮影できないんです(=フィルム一巻の単位)。
そのリミットが来ると、フィルムチェンジの時間が来て、時間がかかるから待つんですよ。その待っている時間がすごく好きで、待ち時間の間に撮影部や照明部とコミュニケーションできるのがたまらなく好きで、フィルム映画を映画館で観る機会が少なくなってきているので、フィルムでしか刻めない味とか香りを楽しんでいただきたいです。

門脇麦
フィルムってだけでテンション上がります!自分がずっと観てきた、60年代、70年代の大好きな映画のあの監督も役者さんもフィルムチェンジっていう時間を通ったんだっていうのを考えると、(私もそれを経験できることが)すっごい嬉しいし、スタッフの皆さんが嬉しそうなのでこっちも嬉しくなります。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

髙橋正弥(監督)
メリットで言うと、水の表現とか、光に映る水や、太陽、滝のシーンはフィルムで撮って良かったな、というのがありますし、粒子が荒れていて、ざらついていたり、映像の中で粒が見えたりするんですが、そういったところがこの映画の中では非常に有効でした。

■最後にメッセージ

生田斗真
この映画はエンタメ作品ではないし、心を抉られるようなシーンもあると思うのですが、この映画を観る前と観た後では世界が変わって見えると思います。長年かけて完成したこの映画をたくさんの人に見ていただければと思いますので、みなさんお力をお貸しいただければと思います。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

門脇麦
口コミでじわじわ広がる映画、今年絶対ナンバーワンですよね。インタビューも言葉選びが難しかった作品ですが、だからこそ、おひとりおひとりの口コミで本当の良さが伝わってくる映画だと思うのでお願いします。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

白石和彌(企画プロデュース)
現代人って岩切のようにどこか心の中が渇いていて、愛が足りなくて渇いて、色々な状況で渇きがあると思うんです。
この作品は、河林さんが書いた作品を、髙橋さんによって映画化された時点で化学反応が起きていて、渇いた心にちゃんと水を届ける作品になったと言うのを観るたびに感じています。
小説はビターな終わり方なのですが、映画は観て良かったな、もうちょっと人間とか社会を信じてみようかなと言う作品になっているので、是非応援していただければと思います。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

髙橋正弥(監督)
御三方が言い尽くしていただいたのですが、いい原作、いい脚本、16ミリフィルムで撮られて、スタッフ、キャストの皆さんが全身全霊をかけてつくっていただいたので、そういう良い芝居が観れる、良い映像だったと言うことを周りの方々に広めていただければと思います。
本当に僕だけではなくて、スタッフキャストが一丸となってつくった映画なので、そこを感じ取っていただければと思います。

『渇水』公開直前ティーチインイベント

『渇水』公開直前ティーチインイベント

髙橋正弥監督/門脇麦/生田斗真/白石和彌(企画プロデュース)

■フォトギャラリー

[記事・写真:三平准太郎]


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映画『渇水』

《INTRODUCTION》
1990年、第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林 満による「渇水」。
〈生の哀しみ〉を鮮烈に描いた名篇が、『凶悪』(13)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、『孤狼の血』シリーズ(18、21)、『死刑にいたる病』(22)など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続ける映画監督・白石和彌の初プロデュースにより刊行から30年の時を経て映画化した。
監督は、根岸吉太郎、高橋伴明、相米慎二、市川準、森田芳光、阪本順治、宮藤官九郎ら錚々たる監督作品で助監督としてキャリアを重ねた髙橋正弥。
主演には、『土竜の唄 シリーズ』(14、16、21)、『彼らが本気で編むときは、』(17)、『湯道』(23)など数々の映画作品、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)でも話題となり、華やかな人気と、多彩な役どころを変幻自在に演じ分ける実力を併せ持つ俳優・生田斗真。水道料金を滞納する家庭の水を日々停めて回る業務に就く水道局員の主人公・岩切俊作が、心の渇きにもがきながらも“生の希望”を取り戻していくという難しい役どころを体現した。
さらに門脇麦、磯村勇斗、尾野真千子ら実力派俳優が揃い踏み脇を固める。人と人の関係が希薄になってしまった現代社会に、真の絆とは何かを問いかけ、観る者を生への希望で照らし出す珠玉のヒューマンドラマ映画『渇水』は6月2日(金)より全国公開となる。

《STORY》
日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金が滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが――。

生田斗真
門脇麦 磯村勇斗
山﨑七海 柚穂/宮藤官九郎/宮世琉弥 吉澤健 池田成志
篠原篤 柴田理恵 森下能幸 田中要次 大鶴義丹
尾野真千子

原作:河林満「渇水」(角川文庫刊)
監督:髙橋正弥 脚本:及川章太郎 音楽:向井秀徳
企画プロデュース:白石和彌
主題歌:向井秀徳「渇水」
製作:堀内大示 藤島ジュリーK. 徳原重之 鈴木仁行 五十嵐淳之
企画:椿宜和
プロデューサー:長谷川晴彦 田坂公章 ラインプロデューサー:原田耕治
制作担当:土田守洋
企画協力:佐久田修志
製作:「渇水」製作委員会
製作プロダクション:レスパスビジョン
制作協力:レスパスフィルム
配給:KADOKAWA
©「渇水」製作委員会

予告編

YouTube player

2023年6月2日(金)全国公開

渇水

撮影情報
2021年8月29日クランクイン〜9月26日クランクアップ 群馬県前橋市を中心に撮影

原作小説
原作:河林 満「渇水」
河林 満 プロフィール
福島県いわき市生まれ。昭島市や立川市で過ごし、立川市職員となる。1986年に「海からの光」で第9回吉野せい賞奨励賞、 1988年「ある執行」で第七回自治労文芸賞を受賞した。1990年、在職時に執筆した「渇水」が第70回文學界新人賞を受賞し、「文學界」90年6月号に掲載された。同作品は第103回芥川賞候補作にもなった。 93年には、同じく「文學界」に掲載された「穀雨」で再び第109回芥川賞候補作となった。「渇水」はNHK‐FM「FMシアター」でラジオドラマ化され、第28回ギャラクシー賞を受賞。2008年没。

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