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印象に残る映画音楽を。「角川映画 シネマ・コンサート」

4月13・14日、「犬神家の一族」など角川映画初期名作の名場面を、巨匠大野雄二が率いる豪華オーケストラの生演奏で堪能できる、角川映画初期シネマ・コンサートが行われた。
大野雄二は、演奏で出演した他、石坂浩二とのエピソード・トークでは、日本映画音楽を変える意気込みで「犬神家の一族」のテーマ曲製作に挑んだことを明かした。
さらに、松崎しげる、ダイアモンド✡ユカイもステージに登場、「人間の証明」「野性の証明」のテーマ曲を熱唱した。

中央ピアノ演奏は、大野雄二氏

斬新なメディアミックス戦略で日本の映画界に旋風を巻き起こした角川映画の初期3作品のハイライト映像をオーケストラの生演奏とともにライブ感覚で楽しむシネマ・コンサートが2018年4月13日(金)夜、東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールAで幕を開けた。
原作小説、映画、そして音楽の三位一体で世に送り出された角川映画。その先駆けとなった「犬神家の一族」(1976年公開)、続く「人間の証明」(77年)と「野性の証明」(78年)を青春のひとこまとして記憶に刻んだ人も多いはず。

3作の音楽はいずれも劇伴の巨匠、大野雄二が音楽を手がけた。アニメ「ルパン三世」の音楽やジャズピアニストとしても知られる大野が、ジャズ系のミュージシャンや弦楽器奏者ら総勢約50人からなる「大野雄二と“SUKE-KIYO”オーケストラ」を率いて登場し、新たなアレンジを施した3作のテーマ曲や劇中曲を披露した。大野とバンド「Yuji Ohno & Lupitnic Six」で共演を重ねるメンバーを軸に、エリック・ミヤシロ(トランペット)や中川昌三(フルート)らによる分厚いホーンセクション、22人のストリングス、そして鮮烈な音色で物語を彩るハンマーダルシマーや琵琶の奏者などなど、一期一会の豪華な顔ぶれ。そこから繰り出される衝撃的な音圧と切れ味鋭いアンサンブルで、ホールは興奮の渦に。

第1部は「犬神家の一族」からスタート。エキゾチックなハンマーダルシマー(MiMi演奏)のトレモロが印象的な「愛のバラード」や、〝佐清(すけきよ)〟の衝撃シーンが鮮やかによみがえった。

第2部は「人間の証明」と「野性の証明」のハイライトを上映。
「ママ、ドゥ・ユー・リメンバー」の歌い出しでヒットした「人間の証明のテーマ」は今回、ダイアモンド✡ユカイが歌った。
昨年7月に亡くなった母への思いも込めた熱唱に胸を打たれ、涙をぬぐう観客の姿も。

ダイアモンド✡ユカイ

「野性の証明」では、この作品で銀幕デビューした薬師丸ひろ子のあどけない笑顔を背景に、松崎しげるが主題曲「戦士の休息」を歌唱。
故・高倉健が演じた主人公の寡黙で熱い生き様と響き合い、作品の余韻をより深いものにした。

松崎しげる

会場ロビーには公開当時のポスターを始め、撮影で金田一役の石坂が着用した帽子や衣装、市川崑監督の愛用品など貴重な資料も展示された。「スケキヨ像」との記念撮影ができるフォトスポットもにぎわいをみせた。

石坂浩二&大野雄二 スペシャルトーク

「犬神家」の金田一耕助役で主演した俳優・石坂浩二と大野は高校・大学時代からの友人。2人のトークコーナーでは、二人の学生時代、お互いプロとして再会してからの仕事やプライベートのエピソードが披露された。

石坂浩二 / 大野雄二

五社協定のおかげで芸能界に

石坂浩二
私が芸能界で生き残れたのは、五社協定のおかげもあるんです。
当時の5つあった映画会社が、映画関係者はテレビにもラジオにも関わっちゃいかんということになって、テレビ界は役者がいなかったんですよ。私はそのスキをつけた(笑)
で、スキをついているうちにここまで来ちゃった(笑)

最初は「犬神家の一族」のオファーを断った

– 「犬神家の一族」出演のお話を最初は断られたとか?

石坂浩二
私の頭の中にあった金田一耕助のイメージは、背広を来た片岡千恵蔵さんなんですよ。
ピストルをバンバンって撃って、カーアクションがあったりとか。
そんなのはできないと思ったんですよ。
そしたら、市川監督からわざわざ電話をいただいて「あんた勘違いしている。ちゃんと原作を読みなさい。ワシは原作通りやるから。とにかく監督を信用しなさい。」って言われて。
それで引き受けることになりました。

金田一耕助のあの「髪型」のヒミツ

石坂浩二
撮影入るまでに、髪の毛をどんどん伸ばして、色を抜いて、染めて、パーマをかけてまたといて。
それを2回くらいやったら、髪の毛がギシギシになって。そしたらあんな(映画のとおりの)髪の毛になりました。

– それは大変な役作りでしたね。

石坂浩二
メイクさんは顔の色は塗っていますが、髪の毛はいじっていません。
朝起きてあのままの髪型でそれで撮影にのぞみました。

カチン!ときて「犬神家の一族」の音楽に取りかかった

– 大野さんはこの作品は映画音楽としては初めてだったということですが、どんなことを考えてお作りになりましたか?

大野雄二
映画作品は初めてだったんですが、さんざん映画の人に「映画っていうもんはね、テレビとは違うんだよ」って言われて、まずそこの段階で僕は、カチンときました。
僕はテレビドラマも映画も変わりないって思っているんですよ。作り方としては。

これまでの日本映画の音楽は印象に残るものがなかった

– 犬神家のオープニングテーマ曲はどういう意図でお作りに?

大野雄二
怖い映画なんだけど、そこにそのままもってくるというのは絶対にしたくなかったってことと、
それとこれは生意気な意見なんですけど、日本映画の音楽で、「あぁ、あの映画の音楽だ」って印象に残るものはないんですよ。寅さんくらいかな。
僕は外国の映画を観て育ったんだけど、外国の映画は良い音楽が多くて、映画館を出た後も印象に残る。
なので、「犬神家の一族」でもやっぱり、キャッチーで良いメロディーを作りたいと思った。
そこに、少し怖い感じを入れるために、ダルシマーという楽器を使ったんです。
存在感がある音で、それにシンセサイザーの音を混ぜたら面白いかなと思った。

石坂浩二
(ダルシマーは)映画「第三の男」のチターという楽器っぽいですよね。

大野雄二
そうです。似てる楽器だよね。

シネマコンサートに際して全部書き直した

大野雄二
今回のシネマコンサートのために、編曲を全部書き直しました。
サウンドトラックとしてレコードになってる曲はいいんだけど、レコードに入っていない劇伴だけの曲もあるのね。
でも、セリフが入っているところはその部分の音量は小さくされてて聴こえないので、自分で作った曲なのにどんなだったかわからないという(笑)
なので、聴こえないところは作り直してます(笑)
一般のお客さんが聴いたらわからないレベルとは思いますが、実は変えてます。

「角川映画 シネマ・コンサート」
日時:2018年4月14日(土)~4月13日(日)
会場:東京国際フォーラム ホールA

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