ドラマ『HEART ATTACK』

【インタビュー】寛一郎×三浦透子「1から新たな世界観を作れた日本のSFドラマ」『HEART ATTACK』

FODで配信中の近未来SFドラマ『HEART ATTACK』。フジテレビと米スカイバウンドがパートナーシップを構築され制作された本ドラマで主演を務める寛一郎と三浦透子に話を聞いた(読者プレゼントあり)。
 
本作は、近未来の日本を舞台に超常的な能力を持ち世間から迫害されているヴァリアントが抑圧や権力と闘い、運命的な愛情をスリリングな展開と刺激的な映像演出で描いたドラマ。
ヴァリアントの人々は、“奈落”という集落に隔離され、VCU(ヴァリアント犯罪課)という組織に常に監視されている。
主人公・ウミン(演:寛一郎)は、ヴァリアントでありながら、VCUのスパイとして活動。
もう1人の主人公エマ(演:三浦透子)は、インフルエンサーユニット“L”のメンバーとして、日々MAKUMAという動画配信プラットフォームでヴァリアントの自由と権利を求め動画を配信している。
微々たる特殊能力しかなかった2人が偶然出会い、手が触れると…。

寛一郎×三浦透子 インタビュー&撮り下ろしフォト

■ディストピアな環境を実感できたロケ現場

‐それぞれ、ご自身が演じられたキャラクターをどう捉えて演じられましたか?
 
寛一郎(ウミン 役)
ウミンの紹介文を読む限りでは、とても冷たい人間に感じるんですけど、彼は親に捨てられた孤児ではあるものの、人の愛情に一切触れてこなかったわけではなく、岸谷五朗さんが演じる劉(りゅう)に、歪んではいますけど、愛情を持って育てられた青年。なので、ロボットっぽい無感情な人物にはしたくなかったんです。
すなわち、表面上は、人に心を開くことなく、排他的、閉鎖的な人物なんだけども、エマと出会うことによって、彼がその内面に元々持っていた人間的な温かさが出てくるということを意識しました。
ドラマ『HEART ATTACK』

寛一郎

三浦透子(エマ 役)
エマは“奈落”という隔離・監視された場所に住んでいて、その奈落の環境や、ヴァリアントが置かれている状況を良くしていきたいと思い、自分にできることは何かを一生懸命模索して実際に行動に移している、とても強い女性だなと思います。
その一方で、年相応の弱さ、脆さ、迷いもあって。そういう2つの側面があるところが、彼女の魅力だなと感じて演じました。
ドラマ『HEART ATTACK』

三浦透子

‐完成映像ではディストピア感溢れる映像になっていますが、実際の撮影現場で印象に残っていることを教えてください。
 
三浦透子
素晴らしいロケーションを見つけてくださったなと驚きました。美術も含めて、エマ達が“奈落”というディストピアな環境に生きている人達なんだということが強く実感できるような空気感をスタッフの皆さんが作ってくださっていて、本当にありがたかったです。
 
‐撮影後の編集だけでなく、そもそも現場がそういう雰囲気として作られていたということなんですね。
 
寛一郎
完成した映像の世界観はディストピアなんですけど、撮影現場はとてもいい雰囲気で、退廃的とは真逆でした(笑)
透子さんが言ったように、美術がすごいんです。“奈落”の外のシーンのほとんどは沖縄のとある路地裏の一本道で撮っているんですよ。そこに、昔のテレビやなにかの残骸のような装飾がたくさん施されていました。
映像で見ると、奈落の全てがそうなってるように見えてすごいマジックだなと思いました。僕らが現場で想像してるより、遥かにスケールが大きくなっています。
 
三浦透子
もちろんVFXの力もたくさんあったと思います。「ここの道は、後々こうなります」という説明も細かく受けながらの撮影でしたが、それでもやっぱり、ロケーションと美術、小道具などでリアルに世界観を作り込もうという意思は現場にいる時からすごく感じていました。
 
‐このドラマは、米国のスカイバウンド・エンターテインメントが制作に関わっていますが、普段お二人が経験されている日本の映画やドラマとの違いとして感じられたことはありましたか?
 
三浦透子
正直、私たち演者側の体感としては、海外の手が加わっているということを実感する瞬間はあまりなかったですね。
ただ、いったん撮影が終わった後も、「もう少しここをこうしてほしい」「この部分が足りないから追加してほしい」という意見が出たときに、それを実現するための変更や、追加の撮影ができる環境があったのは特別だなと思いました。もちろん、作品をより良くするために必要なものを補うということは、日本の作品の作り方でもありますが、でもそれをそれやり切るって結構大変なことだと思うんですよ。予算的なこともあると思います。
それを確実に、スピード感を持って実現していく力を、私は今回の作品に感じました。
 
寛一郎
透子さんの言う通り、現場では僕らの肌感としてはあまりわからないっていうのが正直なところですが、僕らにとって、とてもお芝居しやすい現場だったというのは言えます。
そして、2次元的に台本で読んだ段階と、実際に現場に入った時の肌感覚が必ずしも一致するわけじゃないんですが、これも透子さんが言ったように、追加のシーンが欲しいってなった時、普段の現場だったら作品の決められた枠内でだけで台詞を変えてみたりということをしますが、この作品では例えば、ウミンの過去のシーンは追加で撮影しましたし、こういうことが実際にできるっていうことは、いいことですし、豊かな制作状況だったなと思います。
 
‐撮影期間はおおよそどのくらいだったのでしょう?
 
寛一郎
2023年12月にクランクインして、3月にクランクアップしたので、3ヶ月ちょっとぐらいでした。
 
‐なるほど。ではその期間のなかで、追加撮影もあったと。
 
寛一郎
はい、そうです。
ドラマ『HEART ATTACK』

寛一郎/三浦透子

■平気で女子会に入れるタイプ

‐寛一郎さんと三浦透子さんは初共演ということですが、撮影を終えてみて、お互いの印象はどうですか?
 
三浦透子
同じ事務所ということもあって、あまり初めて会ったという感じがしませんでした。気さくで親しみやすいキャラクターですし。
以前から知っていたような気持ちで撮影にのぞめたので、とても良かったです。
 
‐その印象は、撮影前も撮影後も変わらなかったと。
 
三浦透子
そうですね。どこにいても、誰と一緒にいても、今のこの感じのまま変わらない(※)。自分の思ったことを正直に話すので、気持ちがいいんですよね。そうは言ってるけど、実はこういう風に考えてるんじゃないかとかっていう、変な気遣いをしなくて済むような気がして。ちゃんと言ってくれるから、私もちゃんと言おうみたいな、シンプルに良い会話、コミュニケーションが取れるっていうのが、私は居心地が良かったです。
※この日のインタビューでも、寛一郎さんはスタッフはもちろん、初対面の記者やカメラマンにも気さくに話しかけ、差し入れを勧めるなどの気配りも見せていた。

ドラマ『HEART ATTACK』

‐なるほど。逆に、寛一郎さんの三浦さんの印象は?
 
寛一郎
ほんとに素敵です。これまで作品を観ても、素敵だなっていうことは感じてましたから、今回初めての共演だっていう気は僕もしなかったですね。それと同い年なんですよ。それもあってか、すぐに打ち解けられた気はします。
僕のことを気さくだって言ってくれましたけど、透子さんも作品で演じられてきている役の印象とは違って、実際はとても気さくで、撮影期間中、いろいろお話していました。

ドラマ『HEART ATTACK』

‐先ほど、ディストピアな映像に反して、現場は過ごしやすかったというお話がありましたが、他の共演者の方々含めて撮影現場全体の雰囲気はいかがでしたか?
 
三浦透子
これは褒め言葉なのですが、私が演じたエマが参加しているインフルエンサーユニット“L”のメンバーを演じた彼女たち(向里裕香、SAKURA、めがね)はギャルの精神を持っているというか(笑) みんなオープンで、ただ人間としてそこにいるっていう感じがしました。今まで経験してきた芝居の現場とは空気感が違いました。
だから、彼女たちとは、もちろん作品のことも話しましたけど、全然関係ないプライベートの話もたくさんしましたし、寛一郎も平気で女子会に入れるタイプなので一緒に(笑)
 
‐平気で女子会に入れるってすごい(笑)
 
寛一郎
それは、彼女たちが本当に裏表がないからです。いい意味で気を遣わなくていいし、フラットに居られました。

ドラマ『HEART ATTACK』

■ヴァリアント能力は持っていなくても・・・

‐本作にちなんでの質問ですが、“ヴァリアント”のように、小さくてもなにかの能力を持てるとしたらどんな能力がいいですか?
 
三浦透子
現場でもその話をしたんだけど、何だったかな?
 
寛一郎
何だったかな。(記者さんは)何かありますか?
 
‐以前、別のインタビューで似た話題になったとき、行きたいところに楽して行ける能力がほしいとおっしゃった方がいました。
 
寛一郎
どこでもドア的な能力ですね。
いや・・・、でも移動を省いちゃうと、移動中のできごと、体験が全部なくなってしまうか。そうすると『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』(1995年公開映画)みたいな(男女の)出会いがなくなってしまうわけで、それって寂しいですよね。
 
三浦透子
人に言わせといて、強めに否定するって(笑)
 
寛一郎
俺ってサイテーだぁ(笑)
 
三浦透子
(笑)
現場で話していたことのひとつを思い出しました。ものすごくちっちゃい能力なんですが、今着てる服の一番下の服だけをすぐ脱げる能力。
いくつか重ね着しているとき、いちいち上着を脱がなくても、インナーだけ脱いで、温度調節したいとか、そういう話を現場でしていました。いちいち木陰なんかに隠れて着替えなくていいし。
 
‐たしかにヴァリアントらしい、もしできたらちょっと便利な能力でいいですね。さて、寛一郎さんは?
 
寛一郎
考えたんですけど、特殊能力がなくても、今僕は幸せなのかもしれない。
 
三浦透子
ズルいなぁ(笑)
 
寛一郎
特殊能力はほしいとは思いますけど、今、考えてもすぐに出てこないということは、特殊能力を持ってなくても大丈夫なのかな。
記者さんご自身はどんな能力がほしいですか?
 
‐さっき、寛一郎さんが否定されたどこでもドア的な能力はほしいですけどね。
 
寛一郎
それは、正直僕もほしいです(笑)
 
三浦透子
やっぱり!(笑)

ドラマ『HEART ATTACK』

■最後にメッセージ

‐最後に、このドラマをご覧になる方へ、見どころ含めたPRメッセージをお願いします。
 
寛一郎
日本のSF作品の歴史があまり多くない中で、1から新たな世界観を作れた作品に携われたことがまず幸せだと思います。
そして、日本の方、海外の方に関わらず、この作品を観る方々にとっては、日本でもこういうSF作品が作れるんだという新しい発見につながると思います。それによって、新たな扉が開けられたらなと思っています。
 
三浦透子
こだわりの詰まった奈落の世界観が見どころです。食事ひとつとっても、細かく作り込まれています。あと、クラブのシーンでのダンスにも注目してみてください。奈落で流行ってるダンスというのを1から考えて作っているんですが、現代のダンスと似ているようでどこか違う。そういうことも細かく観てみたら楽しいんじゃないかなと思います。
ドラマ『HEART ATTACK』

寛一郎/三浦透子

■寛一郎さん&三浦透子さん 直筆サイン入りチェキ読者プレゼント

寛一郎さん&三浦透子直筆サイン入り撮り下ろしチェキを抽選で1名様にプレゼントします。
NB Press OnlineのX(旧Twitter)アカウント(@NB_Press_Online)をフォローの上、下記の本記事紹介&プレゼント応募告知ポストのRP(リポスト)で応募完了。
ご当選者には、XのDMにてお知らせいたします。(参考:個人情報の取扱いについて
応募締め切り:2025年4月27日(日)23時59分

ドラマ『HEART ATTACK』

題字は寛一郎さん記載

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:三平准太郎]
 
寛一郎(かんいちろう)プロフィール
1996年8月16日生まれ。東京都出身。2017年に俳優デビュー。映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で第27回日本映画批評家大賞 新人男優賞、翌2018年には『菊とギロチン』で第92回キネマ旬報ベストテン 新人男優賞など多数受賞。主な出演作に映画『心が叫びたがってるんだ。』、『せかいのおきく』、『首』、『身代わり忠臣蔵』、『ナミビアの砂漠』、主演映画『プロミスト・ランド』、『シサㇺ』、ドラマ『グランメゾン東京』、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』など。2025年後期のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』に出演する。
 
三浦透子(みうらとうこ)プロフィール
1996年生まれ、北海道出身。2002年「なっちゃん」のCMでデビュー。第94回アカデミー賞の国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』では、三浦個人としても第45回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の賞を獲得するなど、国内外で注目を集める。歌手としても活動しており、映画『天気の子』(19/新海誠監督)では主題歌にボーカリストとして参加し、同年、第70回NHK紅白歌合戦にも出演。主な出演作は、主演映画『そばかす』(22/玉田真也監督)、『月子』(17/越川道夫監督)、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(22)、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22)、ドラマ「エルピス‐希望、あるいは災い‐」(22/カンテレ・フジテレビ系)など。5、6月には舞台『星の降る時』への出演も決定。
 

関連動画
YouTube player
 

ドラマ『HEART ATTACK』(全8話)

《INTRODUCTION》
本作は、近未来の日本を舞台に超常的な能力を持ち世間から迫害されているヴァリアントが抑圧や権力と闘い、運命的な愛情をスリリングな展開と刺激的な映像演出で描いたドラマです。
フジテレビは、2023年9月に、スカイバウンドとパートナーシップを構築し、その第1弾として、スカイバウンドオリジナルのグラフィックノベルシリーズ『HEART ATTACK』を共同制作でドラマ化することを発表しました。
 スカイバウンドは、ドラマが120カ国以上で視聴されるなど世界的に画期的で魅力的なコンテンツを生み出し、コミック、ゲーム、テレビ、映画、デジタルメディアなどあらゆる分野のコンテンツを多角的に制作しているマルチプラットフォームエンターテインメント企業です。
本ドラマは、フジテレビが制作を主導し、スカイバウンドが全世界に配給します。
原作となる『Heart Attack』は、『インジャスティス2』や『モータルコンバット』などのゲームで知られるスカイバウンドのクリエイター、ショーン・キッテルセンと、『ハウス・オブ・エル』の画家として高い評価を得るイラストレーター、エリック・ザヴァツキが共同執筆した作品で、世界的に大ヒットしています。
 
《STORY》
ヴァリアントの人々は、“奈落”という集落に隔離され、VCU(ヴァリアント犯罪課)という組織に常に監視されています。
主人公・ウミン(21歳)は、ヴァリアントでありながら、VCUのスパイとして活動。
もう1人の主人公エマ(23歳)は、インフルエンサーユニット“L”のメンバーとして、日々MAKUMAという動画配信プラットフォームでヴァリアントの自由と権利を求め動画を配信しています。
微々たる特殊能力しかなかった2人が偶然出会い、手が触れると…。
 
出演:寛一郎 三浦透子
  水間ロン 早乙女太一 向里祐香 SAKURA めがね 阿部久令亜
  白宮みずほ 詩羽 山田健人 松浦りょう 米本学仁 清水くるみ 富田健太郎 ピエール瀧
  三浦誠己 村上淳 西田尚美 岸谷五朗 他
原作:Skybound Comic Book『Heart Attack』by Shawn Kittelsenand Eric Zawadzki
監督:丸山健志 / 八神隆治(5話・7話)
脚本:大浦光太 / 高徳宥介
主題歌:冨岡愛「強く儚い者たち」
オープニング曲:bed「Kare Wa」
エグゼクティブプロデューサー:石井浩二 下川猛
Executive Producer:Robert Kirkman David Alpert Rick Jacobs Glenn Geller Ash Nukui
Co-Producer:Wes Mazda
プロデューサー:加藤裕将 鹿内植 ビョンハジョン 梶原富治
制作プロダクション:ROBOT
制作著作:フジテレビ Skybound Entertainment
配信:3月20日(木・祝)正午からFODにて全話一挙配信予定
ドラマ『HEART ATTACK』

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA