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映画『浮かぶ』

“見ること、見られること”。好評につき延長上映決定の映画『浮かぶ』田中なつ×芋生悠×諏訪珠理×吉田奈津美監督 特別対談

初監督作『ひとひら』で、The 5th Asia University Film Festival 審査員特別賞受賞、そのほか多数映画祭受賞の実績を残した、吉田奈津美監督の映画『浮かぶ』アップリンクふ吉祥寺での公開が、好評につき2023年2月16日までの延長上映が決定。あわせて、主演・田中なつ×芋生悠×諏訪珠理×監督・吉田奈津美の特別対談が解禁となった。

実在する町を舞台にほぼオールロケで撮影した本作。
その土地の持つ魅力を甘美な映像で捉えながら、主演の三人をまるでその町で実際に生活する十代かのように映し出し、自分の思いを口に出せず孤独にもがく不器用な年頃の複雑な心情を細やかに表現。最低限まで削られたセリフがその繊細な心の機微を際立たせている。
またその一方で、視線を受ける側と送る側の相互理解の難しさに切り込んだ内容は、その先にあるかすかな希望を映し出し、現代社会において視線を受ける人々に対する周囲の見方が本当に正しいものであるのか、これまでになかった切り口から世の中へ問いかけている。
主人公の結衣役はデビュー作『アイスと雨音』(松居大悟監督)で注目を集め、本作が長編映画の初主演作となった田中なつ(本作の撮影当時の芸名は「田中怜子」)。
結衣の妹・佳世役を『ソワレ』(外山文治監督)や『ひらいて』(首藤凛監督)などで知られ、吉田監督のデビュー作『ひとひら』から続けての出演となった芋生悠(本作では題字も担当)。姉妹を見守る少年・進役を、本作が長編映画デビュー作となり、のちに『裸足で鳴らしてみせろ』(工藤梨穂監督)で初主演を務めた諏訪珠理が演じた。

田中なつ×芋生悠×諏訪珠理×吉田奈津美監督 対談

映画『浮かぶ』

前列:田中なつ/諏訪珠理、後列:吉田奈津美監督/芋生悠

~見ること、見られること~

-2019年に撮影した映画『浮かぶ』、が現在劇場公開中ですが、長い期間を経てようやくの公開、皆さんどんな心境でしょうか。

田中なつ(主人公・結衣 役)
素直に、すごく嬉しいです。普段、映画の撮影に参加していても3、4年越しに作品をスクリ-ンで見るという事はあまりないので、こうやって時間が経った時に振り返れるということも良いことだと思いました。また、一時期は新型コロナウイルスの影響もありどうなることかと心配しましたが、無事に、しかも劇場で公開できることになって、色々な人に観ていただけることが嬉しいです。

映画『浮かぶ』

田中なつ

芋生悠(結衣の妹・佳世 役)
3年半前に撮影していた作品で、今見ると幼く、顔も全然違い、人としてもちょうど転換期である大人と子供の狭間のような時に撮っていたので、恥ずかしい部分もありますが、その時にしかできなかったものが詰まっています。実は完成したものを観るのがちょっと怖かったのですが、すごくやってよかったなと思う作品に出来上がっていたので、公開が嬉しいです。

映画『浮かぶ』

芋生悠

諏訪珠理(姉妹を見守る少年・進 役)
とても嬉しいです。長編映画への出演が『浮かぶ』が初めてでそれまで経験がなかったので、誰かに届くということを想像できずに、ただがむしゃらに演じていたこともあって。そんな作品が本当にお客さんに映画として届くんだということがすごく幸せです。

映画『浮かぶ』

諏訪珠理

-吉田監督に質問です。映画『浮かぶ』はどのような作品ですか?

吉田奈津美監督
この3年半、ずっと向き合い続けていたのがこの映画『浮かぶ』で。
この作品は2019年の春、社会人になる直前に同世代のスタッフキャストと一丸となって撮影しましたが、新型コロナウイルスなどの影響もあって、1年半の編集期間を経て完成しました。
大学4年生当時に脚本を書いて撮影をした作品とここまで長期間べったりと向き合うことになることは想像していませんでしたが、最後まで粘りきったことによって、映画づくりにおいてたくさんの発見を得ることができました。
いつも頭のどこかでこの作品のテ-マについて考えながら生活をしていたように思います。

映画『浮かぶ』

吉田奈津美監督

-ポスタービジュアルにも《あの子にとって見られることは何を意味するのだろうか?》という印象的な一文があるように、この物語は「見ること・見られること」をテ-マにした作品であると伺いましたが、なぜこのようなテ-マで作品を作ろうと思ったのでしょうか?

 吉田奈津美監督
おっしゃるように『浮かぶ』は「見ること・見られること」について多面的に描いた作品を作りたいと思って挑戦した作品です。
そして、視線を送る側がそれを受ける側を消費している、という単純な構造ではなく、その間にある双方の認識のずれや思い違いなど、「見ること・見られること」を取り巻く難しい複雑な関係性を、他者の内面を想像することの難しさと結びつけて描きたいと思ったことがきっかけとなって、この田舎町に住む結衣・佳世・進の3人の物語を考えました。
視点の違う他者同士が理解し合うことの難しさ、それ自体も「見ること・見られること」というテ-マにもつながっているのではないかなと思います。
映画『浮かぶ』ポスタービジュアル

映画『浮かぶ』ポスタービジュアル

-キャストの皆さんは、初めてこのテ-マを聞いたとき、どのように感じましたか?

芋生悠
私たち役者は出る側なので見られる機会が多いですが、私は役者をやっている上で、見ていただいたことによって存在が確立すると思っていて。それが自分の中では生きていると感じる瞬間でもあるので幸せというか。それこそカメラの前に立つことや、写真として残ること、映像の中に存在が残ることが、すごく幸せなので、そういった部分では佳世と近いものがあるのかなと思いました。見る見られると分けるとしたら、見られる側としての視点が大きかったと思います。

田中なつ
実は、この作品をやるまでそれほどお芝居の経験がなかったこともあって、あまり見られているという意識がなく、そのままカメラの前にいることが多かったです。
なので『浮かぶ』の撮影を通して、目の動きから全部見られている、撮られているなということを初めて意識しました。
撮影中、吉田監督に言葉で伝えていないのに、自分がお芝居中に思っていることを当てられたことがあって。見られているだけでなんでも分かってしまうんだと思いました。
そんな風に何度も撮影を重ねていくうちに、それと同じように自分のことを全てカメラを通して見られているんだと思って、初めて見られるということに対して意識を持った瞬間でした。

吉田奈津美監督
お芝居をしてカメラの前に立つことも見られていると。

田中なつ
人に見られてるんだと、そこで意識が芽生えました。

吉田奈津美監督
見る見られるということを日常で考えたりすることも『浮かぶ』に入るまでは意識がなかったということ?

田中なつ
なかったです。『浮かぶ』の前もお芝居のお仕事はしていましたが、カメラの前に立っている意識があまりなかったので。

-諏訪さんはどうですか?

諏訪珠理
撮影当時は自分自身としても、見るということで何かを搾取しているような意識がずっとありました。
例えば僕が吉田監督を見た瞬間に、勝手に僕の中の吉田監督が僕の世界に作り上げられるわけで、それは本当の吉田監督ではなくて僕の中の吉田監督でしかないのに。それって勝手なことだなということを考えていた歳ではありました。

吉田奈津美監督
撮影当時、諏訪さんから進を演じている時に自分も同じように罪悪感を感じる、という話をしたことがあったけれど、そこに繋がっていたんですね。

諏訪珠理
多分そうだと思う。好きな人を勝手に自分の中で解釈している感じがすごく嫌でした。

-続いて撮影中のエピソ-ドに関してお伺いさせてください。当時主演の田中なつさんは長編初主演、そして諏訪珠理さんは当時初めての長編作品への参加だったと伺いましたが、その時の心境など教えてください。

田中なつ
この『浮かぶ』という作品は、スタッフのみんなを含め、みんなで一緒に作り上げたものであるという感覚が大きいです。スタッフ・キャストの年齢も近いし、監督含めスタッフの方々も自分と違う大人の人という感覚が全くなく、初めての長編でも変なプレッシャ-のようなものは全くありませんでした。もはや主演だという感覚もなかったし、3人で主演ですという感じです。

-諏訪さんはどうですか?

諏訪珠理
撮影中はずっと劣等感がありました。

吉田奈津美監督
え、どうして?

諏訪珠理
自分以外の、田中さんや芋生さんは2人ともお芝居されている姿を別の作品で観たことがあったし。
あとは、みんなが仲が良かったので、僕が出ていないシ-ンも自分からモニタ-チェックしたりできる雰囲気で。そこで2人を見たりするたびに、自分は映る側の人間じゃない、と思いながらやっていました。

吉田奈津美監督
諏訪さんのお芝居は、ちゃんと地に足がついているお芝居だと見てて感じていたので、そういうふうに思っていたなんて意外です。

諏訪珠理
多分、進自体が自分を許せていない男の子で。父親に対して葛藤があると、自分の存在自体に葛藤が生まれてきてしまったり、一緒にいるだけだけど、佳世へどうしたらいいかわからなくなってしまうとか、そういう許せない男の子だと思って彼を演じていたので、自分自身がそういうモ-ドになってしまっていたと思います。

吉田奈津美監督
ちょっと進の方に引っ張られてた?

諏訪珠理
かもしれない。

芋生悠
気づかなかった。

諏訪珠理
だから田中さんと芋生さんの2人をすごいなって思っていました。

田中なつ
諏訪さんは、普通に話していたらすごくふざけるけど、撮影始まった瞬間の切り替えがすごいから、私その時の諏訪さんは怖くて近づけなくて。

諏訪珠理
スタ-トがかかった後?

田中なつ
そう、1人だけ異様な雰囲気が出てたから。カットがかかるとまたふざけていたけど。

吉田奈津美監督
田中さんもそうじゃない?みんな結構、よ-いハイ、って始まる前まではふざけているけど、始まると雰囲気がガラリと変わっていた印象がある。

田中なつ
それは、結構進が怖かったこともあるかもしれない。いつも結衣に対して口にはしないけれど何か思っているんだろうなって、もやもやがすごく伝わって。もうその存在がなんだか怖かったです。(笑)

諏訪珠理
すいませんでした…(笑)

芋生悠
面白いね。

田中なつ
だから佳世と進のシ-ンが和やかすぎて、羨ましかったな。私は地下の暗室で一人で佳世の写真を見ているのに、2人はバッティングしてるのか!いいなあって(笑)

芋生悠
確かに(笑)すごく楽しかったね。

吉田奈津美監督
でも、逆に芋生さんは2人のことを撮影に入るまでどう見ていたの?

芋生悠
田中さんも諏訪さんも、2人とも好きな俳優さんなので、全く不安がなくて、むしろ頼っていたくらいかもしれない。

田中なつ
でも2人だけでは絶対できなかったと思う。芋生さんがいるだけで安心できた。

芋生悠
じゃあお互いそうだったんだね。

映画『浮かぶ』

芋生悠/田中なつ/諏訪珠理

-吉田監督、今作のキャスティングはどのようにされたのですか?

吉田奈津美監督
わたし個人的に『アイスと雨音』の田中さんが…もうものすごく好きで。

芋生悠
ずっと言ってたね。

吉田奈津美監督
ずっと言ってた?(笑)劇中での田中さんの佇まいにすごく惹かれるものがあって、『浮かぶ』への出演をオファ-しました。よく知っている芋生さんと、スクリ-ンの中で初めて見た存在の田中さんが一緒に並んでるのは感慨深かったです。
そういえば顔合わせの時、私が田中さんに緊張しすぎて何も喋れなくなって、芋生さんが通訳してくれました(笑)

田中なつ
そうだ(笑)

-諏訪さんはどのような経緯で?

吉田奈津美監督
諏訪さんは、芋生さんが紹介してくれました。当時は出演作品がまだ少なくてたくさんお芝居を見て、ということが難しかったけれど、お会いしてお話をした時の諏訪さんの人柄に惹かれるものがあって、この方と一緒に話をしながら一つの作品をつくってみたいなと。不安はなかったです。

-芋生さんは吉田監督の前作、映画『ひとひら』から引き続きの出演ですが、何か前作と変わったことや、変わらないことなどありましたか?

芋生悠
『ひとひら』は吉田監督と自分、私たちの映画という気持ちが自分の中ではあって。「芋生さんのご出演された映画は何がありますか?」と聞かれたら、「『ひとひら』です。」と最初に出てくるくらい自分の中では大事な代表作だったので、次に吉田監督と作品を作る時は、それもあって逆にどういうふうに関わろうかなと。
でも『浮かぶ』は作品的に面白い、ということもあるし、自分の演じた佳世という役どころが『ひとひら』とは全然違う世界線だけれど、自分の成長とともに『ひとひら』という作品自体からの成長のようにも取れて。やってみたいな、一緒にチャレンジしてみたいなと思いました。
基本的に自分が撮影に入った時には、諏訪さんと田中さんが引っ張ってくれていて、もう出来上がっていたので、二人を支えていきたい、という『ひとひら』とは違った立ち位置で関わることにはなったと思います。

映画『ひとひら』

映画『ひとひら』場面写真

『ひとひら』予告編

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吉田奈津美監督
確かに、私も『ひとひら』を終えて、芋生さんと一緒に「次私たちが作品を一緒に作るのは20年後とかだよね。」という話を結構していて。お互いに監督と役者さんとして、成長して、また作品で出会うような人生設計を想定して話していました。
なので芋生さんに『浮かぶ』の話をし始めた当初は、あくまでも親しい友達として、こういう作品を今考えてるんだけどどう思う?という相談でした。
でも、最後に縁あって、芋生さんが佳世を演じていただけることになって。自分たちの想像より早い再会ではあったけれど、それが結果的にすごく良かったと思います。でも、ほんとに佳世は全然違うよね、『ひとひら』のいずみと。
芋生悠
全く違いますね。同じ監督の作品でも役によって現場でのあり方も違って面白かったです。

吉田奈津美監督
芋生さんは自分が出演していないシ-ンの撮影にもついてきてくれて、田中さん演じる結衣のカットをモニタ-で見ていることとかもあって。愛情を持ってこの作品に接してくれているんだなということが伝わってきました。
あと、私と芋生さんは基本的にあまり言葉でコミュニケ-ションしないのですが、それによって私自身が追い詰められてた場面でも、精神的支柱のようでもありました。逆に、田中さんと諏訪さんとは初めての作品だったこともあって、言葉で話す時間をたくさん設けたり。

芋生悠
その時の監督と田中さんと諏訪さんの関係は、『ひとひら』の時の私と青木柚さんのような感じだったよね。

吉田奈津美監督
今思えば確かにそうかも。

芋生悠
人と人なので、1から作り上げていかなけらばいけなくて、だからまずはどう話していこうか、というか…頑張ってるなと思いながら見ていました。

映画『浮かぶ』

吉田奈津美監督/芋生悠

 -劇中では、終始どこか不穏な気配が漂う作品ですが、撮影中はどういった雰囲気でしたか?何かエピソ-ドなどがあれば教えてください。

田中なつ
本当に仲良かった。

芋生悠
家族みたいなぐらい仲良かったよね。

諏訪珠理
うん(笑)

田中なつ
カットかかればみんな仲良い、みんなよく喋るし。

吉田奈津美監督
撮ってる時は不穏だけど(笑)キャストスタッフ関係なく冗談を言い合って、対等に容赦無くツッコミしあうみたいな。

諏訪珠理
うるさかった(笑)

吉田奈津美監督
誰が一番うるさかった?

田中なつ
みんなうるさかった

諏訪珠理
田中さんが一番です(笑)

映画『浮かぶ』

田中なつ/諏訪珠理

吉田奈津美監督
確かに、田中さんを中心に笑いが発生することは多かったです。印象的だったのは、初日に撮影したシ-ンで田中さんが、よ-い、ハイ!って言われていることに気づかず。みんながそれを、しばらくキョトンとして待っててて。

諏訪珠理
あったね(笑)

吉田奈津美監督
で、諏訪さんが「始まってるよ!!」田中さんが、「あれ?始まってましたか?」って。そこでボケとツッコミの関係が確立されました(笑)

田中なつ
あったかも(笑)

諏訪珠理
あったあった。

芋生悠
確かにボケとツッコミでしたね。

-ありがとうございます。劇場公開中の映画『浮かぶ』をどのような方に見ていただきたいですか?

田中なつ
この話は、誰しも体験しているかもしれない、どこにでもあるような話をすごく繊細に拡大して描いているので、誰が見ても三人の中の誰かの立場にはいると思います。姉妹や兄弟で育ったり、もちろん兄弟がいない人でも、誰もが少しは思ったことのある感情がある。言葉が少ないので、初めて見る人は戸惑うかもしれませんが、よく見るとたくさんのことがつまっている映画なので、たくさんの方にぜひ見ていただきたいです。

芋生悠
『ひとひら』の時にも感じたことなんですが、吉田監督が作る映画って、学生を描いていることが多いのでその世代にはまりやすいのかなと思いきや、意外と上の世代の方が見て、共感する感想をくださったりして。『浮かぶ』も大人になってから、子供の頃に感じたことだったり、そこから今も持ち続けている気持ちが、この映画を観て紐解けるような作品になってるのかなと思います。

映画『浮かぶ』

諏訪珠理
『浮かぶ』撮影時、僕は19歳から20歳になる頃で、あの時は自分の悩みや進の悩みはすごく特別で、特殊で、自分だけしか抱いていないと本気で思っていました。
ですが今何年か経って見ると、出来事は進だけのものだけれど、その感情は特別なものではなく、みんなが思っていることだなと思います。演じていた時は、これは自分だけのものだと思って演じていたけれど、そうであってそうではないので。贅沢なことを言ったら、1回20歳くらいの方が見てくれて、10年後くらいにもう1回見ていただきたいです。そのときにきっとまた見方が変わるんだろうなと。
僕が3、4年で変わったので。1人でもいいから誰かのそういう作品になれたらいいなと思います。

-では最後に、未来の観客の皆様に一言ずつ、メッセ-ジをお願いします。

田中なつ
お客さんが登場人物の誰に感情移入するのか、誰を通して『浮かぶ』を見るのかすごく気になるので、観た後に教えていただけると嬉しいです。

芋生悠
この作品は、禁忌というか…触れてはいけないところに触れているというか。でも悪いことではない。普通にただ生きていたらみんな感じてることだったりするので、そういうものがこれを見たら解消されるというか、具体的じゃない人の中に秘めているものを映画化されているのが面白いことだなと思います。
単純に1度はぜひ見ていただきたいです。

諏訪珠理
本当に初めての長編だったし、お客さんに届くなんて想像もせずにやっていたので、それが実際に届くということだけで僕からしたら信じられないくらい奇跡なことだと思います。僕自身皆さんがこの作品に出会ってくれることを楽しみにしています。

映画『浮かぶ』

『浮かぶ』(C)2021 MOEWE 

映画『浮かぶ』

INTRODUCTION
実在する町を舞台にほぼオールロケで撮影した本作。
その土地の持つ魅力を甘美な映像で捉えながら、主演の三人をまるでその町で実際に生活する十代かのように映し出し、自分の思いを口に出せず孤独にもがく不器用な年頃の複雑な心情を細やかに表現。
最低限まで削られたセリフがその繊細な心の機微を際立たせている。またその一方で、視線を受ける側と送る側の相互理解の難しさに切り込んだ内容は、その先にあるかすかな希望を映し出し、現代社会において視線を受ける人々に対する周囲の見方が本当に正しいものであるのか、これまでになかった切り口から世の中へ問いかけている。
主人公の結衣役はデビュー作『アイスと雨音』(松居大悟監督)で注目を集め、本作が長編映画の初主演作となった田中なつ(本作の撮影当時の芸名は「田中怜子」)。
結衣の妹・佳世役を『ソワレ』(外山文治監督)や『ひらいて』(首藤凛監督)などで知られ、吉田監督のデビュー作『ひとひら』から続けての出演となった芋生悠(本作では題字も担当)。姉妹を見守る少年・進役を、本作が長編映画デビュー作となり、のちに『裸足で鳴らしてみせろ』(工藤梨穂監督)で初主演を務めた諏訪珠理が演じた。

STORY
かつて、木々が鬱蒼と生茂る大きな森に囲まれていた町。そこには古くから伝わる天狗の神隠し伝説があった。
主人公の結衣は、町に残る最後の林が伐採されることをきっかけに、
十一年前、神聖な森だったその林で年子の妹である佳世が神隠しにあっていたことを思い出す。
「あの日、佳世の隣には私もいたのに、自分は選んでもらえなかった」
風に揺れる木々に誘われるかの様に、伐採前の林へと足を踏み入れていく結衣。一方姉妹と幼馴染みの進は、そんな結衣の行動に苛立ちを見せるのだった。

出演:田中なつ、芋生悠、諏訪珠理、三坂知絵子、中原潤、小野孝弘、新津ちせ、竹下かおり、手嶋啓子、山岡竜弘、稀、高畑保弘
監督・脚本・編集:吉田奈津美
撮影:杉山綾 照明:林大智 録音:小川賢人、道上哲弘
助監督:森雄大、町田梨華、羽蚋拓未、甲斐力哉
ヘアメイク:ほんだなお スチールカメラ:山田涼香
配給・宣伝:MOEWE
(C)2021 MOEWE
2021年/日本/85分/DCP/カラー/アメリカンビスタ
公式Twitter:https://twitter.com/pucapuca_ukabu

予告編

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アップリンク吉祥寺にて、2023216日までの延長上映中

映画『浮かぶ』ポスタービジュアル

映画『浮かぶ』ポスタービジュアル

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