斎藤工&趣里がやってられないこととは?竹中直人監督10作目映画『零落』完成披露プレミア上映会舞台挨拶
2023年2月8日、テアトル新宿にて、映画『零落』完成披露プレミア上映会舞台挨拶が行われ、斎藤工、趣里、玉城ティナ、竹中直人(監督)、浅野いにお(原作者)が登壇。原作コミックに惚れ込んだ竹中直人が斎藤工に主演をオファーした経緯を語ったほか、本作にちなんで、斎藤工と趣里は、「もうやってられないよ!」エピソードを明かした。
本作は、青春漫画の金字塔『ソラニン』を放ち『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』のアニメ化が決定したカリスマ漫画家・浅野いにおの新境地にして衝撃の問題作の実写映画化(3月17日公開)。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画
動画概要欄に頭出し用の【見どころチャプタータイム】を記載しています。
■フォトレポート
“ビンシゲユキ”43歳による前説!
この日の上映会のチケットは即完売!駆けつけた観客を前に、まずは竹中直人監督扮するアフロ男が元気よく登場。アフロ男は観客に「中央線国分寺駅からやってきた“ビンシゲユキ”です!こう見えて43歳です!」ユーモアたっぷりな挨拶をしながら、この日の司会者を紹介するというサービス精神旺盛なパフォーマンスで舞台挨拶をスタートさせた。
斎藤工 もがきながら自分と向き合う“大人の思春期”に大いに共感
スランプに陥る漫画家・深澤薫役の斎藤工は、5、6年前に原作漫画に出会い心を掴まれたといい「もう自分に心あたりしかなくて…。ミドルエイジ・シンドロームという中年のもがきみたいな言葉があるらしく、まさにそれだと思った」と強い共感を寄せて「深澤薫の気持ちは痛いほどわかる。もはや自分のことではないかと思うくらいで、漫画家と俳優という立場は違えども、零落という感覚は大いに共感しかない。現在進行形の出来事と思うくらい共鳴しました」と運命的出会いと確信。
演じる上で斎藤は「その心あたりを頼りに現場にいました。辛いような楽しいような…辛い時間だったけれど、完成したものを観て間違っていないと思った」と確かな手応えを得ていた。
山田孝之が演じていた可能性もあった?
斎藤も監督として参加した映画『ゾッキ』PRの帰り道に竹中監督は斎藤に『零落』映画化のアイデアを話していたそうで、竹中監督は、「工が『その漫画大好きです!』と言ったときのその顔で、この映画は一気に進む気がした。あの瞬間のことを何度も思い出します。もう深 澤薫は斎藤工しか考えられなかった!」と当時を回想。
すると『ゾッキ』には山田孝之も参加していたことから、斎藤は「その時に山田孝之さんが『好きです!』と言っていたら、ここには山田さんが立っていたのかと思うと…震えます」と冗談を飛ばして笑わせた。
趣里「竹中監督の演出に感謝」
澤薫の前に現れる風俗嬢・ちふゆ役の趣里は、浅野漫画のファンといい「ちふゆを演じられるのは光栄だと思うと同時に、プレッシャーでした」と好きだからゆえの心境を吐露。
撮影時には竹中から作品をイメージした楽曲などが送られてきたそうで「そのお陰で内側からちふゆができた気がしました」と竹中監督の“演出”に感謝していた。
“猫顔の少女”
深澤薫に特に印象を残す“猫顔の少女”を演じた玉城ティナは、「(深澤薫は)才能があるからこその残酷さは感じ取っていただろうし、猫顔の少女、ちふゆ、深澤はそれぞれ想いが一方通行。関係の終わりも残酷」と関係性を分析しつつ「身勝手を自分で許しているところが可愛いと思った」と零落していく深澤薫に人間味を感じていた。
「浅野いにおさんは漫画界の芥川龍之介」
映画『無能の人』から数えて監督作10本目の竹中監督。原作漫画を手に取った途端に映画化を決意したそうで「私小説的であり純文学を読んでいるかのように思った。浅野いにおさんは漫画界の芥川龍之介。ご本人に会って痺れて映画化に突き進んだ。この映画ができるまで、いにおさんに向かって生きてきた感じ。浅野いにおという一人の観客に向かって作りました」と感無量の表情を浮かべていた。
その浅野は、今回の映画化について「みんなが面白いと思うような性格の漫画ではないので、誰に向けて描いているのかと思うときもあったけれど、巡り巡って竹中さんに辿り着いた」としみじみ。「竹中さんのフィルターは通しているものの本質は失わず。竹中さんがいなければ映 画化もされなかったと思うし、とても満足しています」と太⿎判を押していた。
<もうやってらんねえよ、うんざりだよ>エピソード
また、作品の内容にちなんで<もうやってらんねえよ、うんざりだよ>と思ったエピソードを聞かれた斎藤は「タクシーを捕まえようとして空車だと思っていたら、迎車だったという…。意味の違う言葉なのになぜ同色系で表示をされているのか?どうにかして色味を変えてほしい」とタクシーあるあるに苦笑い。
一方の趣里は「掃除をしてもしても、何故か髪の毛が落ちている。あれ?さっき?なぜ?となる」と掃除あるあるを口にして「皆さんもわかりますよね?ほら頷いている!」と観客を巻き込んで共感を集めていた。
“癒やし”は?
深澤薫を癒す存在として、劇中には可愛らしい猫のチーが登場する。自身の“癒し”について聞かれた玉城は「寒いロケでの癒しは暖かいグッズ。最近は電気ベストとかがあって、そういう暖かいグッズで癒されながら撮影を乗り越えています」と寒い季節ならではの癒しの相棒を紹介。
猫派という竹中監督は「一時期は猫を12匹飼っていたことがあります。今は一匹で、抱っこして自分の布団に入れるとグルグルとか言いながら寝てくれる」と目を細めると、同じく猫派の浅野から「竹中さんはその猫の写真を僕に送ってくれるので、僕も『可愛い!』と 送り返したり…。そんなやり取りをしています」と明かされ、登壇者からは「仲がいい!」との微笑ましい声が上がっていた。
■フォトギャラリー
[動画:三平准太郎/写真:川尻敏晴]
映画『零落』
INTRODUCTION
青春漫画の金字塔「ソラニン」を放ったカリスマ漫画家・浅野いにおの新境地にして衝撃の問題作を完全映画化。2023年3月17日(金)よりテアトル新宿ほか全国ロードショーする。
監督はデビュー作『無能の人』から10作品目となる、竹中直人。主人公の元人気漫画家・深澤薫を演じる斎藤工が、屈折した人物像にリアルな魂を宿す。“猫のような目をした”風俗嬢・ちふゆに息を吹き込むのは、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロインに決定し活躍が目覚ましい、趣里。敏腕漫画編集者で深澤の妻・町田のぞみをMEGUMIが演じ、さらには玉城ティナ、安達祐実、山下リオなど個性的なキャストがスクリーンを彩る。
STORY
8年間連載してきた漫画が完結を迎え、“元”売れっ子漫画家となった深澤。次回作のアイデアも浮かばず、担当編集者からはぞんざいに扱われ、募る敗北感。 すれ違いが生じていた妻との関係は冷え切り、漫画家として切望されることのない現実が始まった。時間を浪費するだけの鬱屈した日々は深澤を蝕んでいく。
虚無感を抱えたまま立ち寄った風俗店で、深澤は猫のような眼をした「ちふゆ」と名乗る風俗嬢と出会う。自分のことを詮索せず、ただ「あなたはあなた」と言って静かに笑う「ちふゆ」に、急速に惹かれていく深澤。ある日、深澤は「ちふゆ」とともに彼女の故郷へと向かうことになり――。
斎藤工
趣里 MEGUMI
山下リオ 土佐和成 吉沢悠 菅原永二 黒田大輔 永積崇
信江勇 佐々木史帆 しりあがり寿 大橋裕之 安井順平 志磨遼平/宮﨑香蓮
玉城ティナ/安達祐実
原作:浅野いにお「零落」(小学館 ビッグスペリオールコミックス刊)
監督:竹中直人
脚本:倉持裕
製作幹事・配給:日活/ハピネットファントム・スタジオ
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
宣伝:ミラクルヴォイス
製作:「零落」製作委員会(日活/ハピネットファントム・スタジオ/小学館)
©2023 浅野いにお・小学館/「零落」製作委員会
公式サイト: https://happinet-phantom.com/reiraku/
公式Twitter:@reirakumovie
公式Instagram:@reirakumovie
2023年3月17日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー
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