広瀬すず・松坂桃李・横浜流星・多部未華子、それぞれの宿命の相手とは?映画『流浪の月』完成披露試写会
2022年4月13日、イイノホール(東京)にて、映画『流浪(るろう)の月』完成披露試写会が行われ、W主演の広瀬すず・松坂桃李、そして横浜流星、多部未華子、李相日(リ・サンイル)監督が登壇。撮影時のことを振り返ると共に、本作にちなんで、それぞれの「宿命の相手」ついて明かした。(動画&フォトギャラリー)
舞台挨拶メッセージ
■トークノーカット動画
動画概要欄に「見どころチャプタータイム」を記載しています。
■フォトレポート
▼広瀬すずの代表作を撮らねば!
-李監督は『怒り』以来、6年ぶりと作品となりましたが、原作のどんなところに惹かれたのでしょうか?
李相日(リ・サンイル)監督
美しい物語でした。ただ綺麗なだけじゃなくて、今を生きる僕たちが直面している社会の状況が鋭い線で描かれてますし、何より人と人の求める力、魂と魂の結びつきっていうんですかね、小説には「名前が付けられない関係」と書いてありましたけど、そういった定義を越えて純粋に繋がろうとするところがすごく美しい小説だなと。
そして何より、広瀬すずの代表作を撮らねばと思ってました。
-前作『怒り』では全力で応えられなかったとおっしゃってましたが、今回の李組はいかがでしたか?
広瀬すず(家内更紗 役)
前回の応えられなかったというのは、ちょっと違くて、当時の私は多分あれが限界まで行った“泉ちゃん”でした。あれ以上できなかった限界だったくらい全部は出し切ったんです。
当時、李監督と1本撮り終えた時、演じるってこういうことなんだと初めて知った現場でした。
今回はそれから六年経って、多分自分もこの六年の中で経験したことを通して、価値観やお芝居の感覚など、いろんなものが私の中でも変わって、その上で監督とお会いした時に、「ちょっとどうしたらいいか分からないです。」と相談しました。
-その時監督はなんと?
広瀬すず
「それじゃあこの映画はダメだね」って言われました(笑)
▼横浜流星、広瀬すずの膝枕は気持ちよかった?
-松坂さんは“文”という役をどう捉えましたか?
松坂桃李(佐伯文 役)
僕史上一番難しくて、ここまで掘っても掘っても答えが見つからない、ずっと霧の中でもがいているような感じでした。
何度もリハーサルを重ねて、李さんも一緒にさまよってくれてたことがとても嬉しかったです。
役に対する熱量や向き合い方、同じ角度で監督が一緒になって挑んでくれることは今まで味わったことがなかったので、僕にとって救われましたし、嬉しい瞬間でした。
-横浜さんは映画化決定前から原作をお読みだったそうですが、“亮”を演じる上でチャレンジされたことは?
横浜流星(中瀬亮 役)
チャレンジしかなかったです。
作品に入る度に、毎回挑戦の繰り返しだと思うんですけど、今回はより自分の前に大きな壁が立ちはだかっている感じがありました。
それは、自分の中に“亮”の要素が一つも無いと思ったからです。それを監督とすずちゃん演じる更紗(さらさ)に引き出してもらってやり切りました。
-たとえばどういうところがご自身とは重ならなかったんですか?
横浜流星
一番は“甘え”の部分です。十数年間ずっと空手をやってきて、人に弱みや涙を見せないよう、男はこうであるべきだってことを叩き込まれてきたので、「甘えって何なんだろう?」というところから始まりました。
リハーサルでは、監督から「二人に距離感をすごく感じるからまずは膝枕してもらえ」と言われ、(すずちゃんに)膝枕してもらったんですけれども、「ちょっとこれだと重いかな?」とか思いつつ、二人で同じ時間を過ごすことができたので、少しずつ距離感も近くなっていけたし、甘えるっていうのはこういうことなのかと、亮を演じてわかってきました。
李相日監督
気持ちよかった?
横浜流星
はい、少し。監督が言っていた、気持ち良さや、甘えると結構楽なんだぞっていうのは、亮をを通して感じることができたので、それは一つの収穫です。
広瀬すず
(笑)
30分くらい、リハーサル室で2人きりで膝枕をやってみたんですけど、その時はまだ会って2回目か3回目で、しかもお互いが多分極度の人見知りで、(流星くんは)多分体重も少ししか乗せてくれないし、敬語でしゃべってるし、なんかすごいカオスでした(笑)
でも徐々に、普通にしゃべるようになって、家族の話をしたりして、距離感や心の開き方が変わりました。やっぱり、肉体的に触れ合うと違いますよね。
▼多部未華子「松坂桃李さんとはもうちょっとしたかった」
-久しぶりの映画出演となった多部さん。それが李組というのはいかがでしたか?
多部未華子(谷あゆみ 役)
お芝居を演じることが久しぶりだったので、監督に「久しぶりにお芝居をするので緊張します」と言ったら、「僕も六年ぶりなので一緒です」っておっしゃって、同じ気持ちで寄り添ってくださった一言がとても嬉しかったです。
-久しぶりの現場で新鮮だったことは?
多部未華子
新鮮というか、今、皆さんの取り組みを聞いて、私は何もしないまま現場に臨んだなって思いました(笑)
松坂桃李
僕たちは膝枕が無かったよね?(笑)
多部未華子
無かったですね。現場でハグして手をつなごうというのはありましたが、もうちょっといろいろしたかった・・・
したかったって言うと変ですけど(笑)
松坂桃李
「もうちょっといろいろしたかった」? すごく意味深な(笑)
多部未華子
(照)
▼多部未華子、実はコーヒーが苦手・・・
-広瀬さんと松坂さんは2作目の映画共演です。今回はいかがでしたか?
広瀬すず
あれ?誰だろう?と思うほどに、お芝居中は文そのもの。でもカメラの回っていないところではフラットなまま。不思議な方でした。
松坂桃李
いやいや、それはこちらもです。前の現場とは印象が全く違くて、こっちが広瀬すずなのかと思いました。お芝居をする時も、お互いのはらわたを見せ合わないとできないよね、という認識の上でやっていくところもありました。
広瀬すず
松坂さんはお芝居になるとぜんぜん違うので、役へのアプローチの仕方に感動すら覚えました。
-横浜さんは広瀬さんの最初の印象は?
横浜流星
パブリックイメージとして明るい印象がありましたが、実際に会ってみると、陰の部分というか、何かを持っているなと感じました。
実際にお芝居してみると、(すずちゃんの)瞬発力、爆発力がすごくて、一瞬に空気を変える力が、一緒に演じていてありがたかったです。更紗として居てくれたので、亮として生きることができました。
-広瀬さんは横浜さんと共演してみていかがでしたか?
広瀬すず
更紗として、亮くんが今までと違うように見えてくる瞬間の時は、亮くんで居てくれる流星くんを見ても涙が止まらなくなっていて、涙腺が崩壊していきました。
撮影が終わって、ホテルに帰ってテレビ出ている流星くんを見ても思い出して泣いてました。
-多部さんは松坂さんと共演してみていかがでしたか?
多部未華子
今までも3作くらいご一緒させていただいていて、現場での印象は変わらないんですけど、松坂桃李という人物は、いつも穏やかで優しくて受け身でいてくれて、話を聞いてくれて優しい。
でも今回は関係性がとても特殊だったし、難しい役を演じていらっしゃいましたが、それでも現場に行く私に対してすごく優しく、いつもの桃李くんとしていてくださったので、とても助けられました。
-今回、松坂さん演じる文が喫茶店でコーヒーを淹れるシーンがありますが、多部さんもそのコーヒーを召し上がられたとか?
多部未華子
はい、いただきました。
松坂桃李
やっぱり2人の関係性を考えて、監督の提案もあり、僕がコーヒーを淹れて飲んでいただきました。
-多部さん、そのコーヒーのお味はいかがでしたか?
多部未華子
撮影初日ぐらいのもまだ浅い感じだったので、その一杯がとても重く感じました(笑)
李相日監督
でも、多部さん、コーヒーが飲めないって言ってませんでした?
多部未華子
それ言っちゃいます?(笑)
私、コーヒーが苦手で、どうしよう?って思いながら、そういう意味でもとても重たいコーヒーでした(笑)
松坂桃李
(笑)
▼「宿命の相手は?」
ここで、〈宿命〉という絆で結ばれる更紗と文の関係性にちなみ、それぞれの「宿命の相手」を発表。
李相日監督
「映画」
映画に出会ってなかったら私はどうなっていたんだろう?って思います。
横浜流星
「自分」
常に自分と向き合わなければいけない。空手でも仕事でもそうだからです。
李相日監督
撮影ではこういう感じをほぐそうとしたんです!
横浜流星
…はい、すみません(笑)
多部未華子
「もうひとりのわたし」
自分で自分の悪いところをよくわかっていて、もうひとりの悪い自分に良い自分が負けてしまうことがあるります。自分の性格とはいつまでも切っても切れないなと思って、毎日生きています。
松坂桃李
「樹木希林さん」
初主演映画で樹木希林さんと共演した時、番宣にもわざわざ付いてきてくれて、「あなたね、喋る前にあーとかえーとか言わないの」「記者の方が同じ質問をしてきても、同じ返しではダメよ」と言われて。お芝居から人から番宣のことまで教えてくれました。
しかも今回は、希林さんの娘さんの内田也哉子さんが母親役なので、縁を感じてゾクッとしました。お母さんとのシーンでは僕の中でなんとも言えない感情が巻き起こりました。今だったら(樹木希林さんから)なんと言われるのだろうかと思ったりしました。
広瀬すず
「姉」
(姉の広瀬アリスとは)姉妹であり、友だちであり、同業者であり、いつもなんだろうなと思ったりして。切っても切れないし、先輩でもあります。なんか不思議な距離感の姉妹で、なんともいえない、言葉に表せない存在は姉かもしれません。
▼最後にメッセージ
松坂桃李
これまでいろんな作品の舞台挨拶では、作品を皆様に届けられる嬉しさや高揚感はあっても緊張はしてませんでした。
でもこの『流浪の月』は、とても緊張していて、この作品を皆さんがどうどう受け止められるだろうという興味もあれば、ある種の恐怖心もあります。それが緊張に繋がっているんだろうなと思います。
それだけ登場人物の関係性や世界観が、皆さんにどういう風に映るのかが怖いです。
怖いんですけど、しっかりと観ていただきたいなという気持ちのほうが大きいです。
広瀬すず
この映画に、共有できるものがあるのかどうか、観ていただいた方ひとりひとり答えが違うんだろうなと思います。
でも私は撮影の中で、更紗として生きた時間はすごく自由で、幸せでな時間もたくさんありました。
生きることって辛いことだけじゃないなって思える希望を感じられた作品です。
ふたたび李さんの作品に出させていただけたことも、とても光栄ですし、やっぱり李監督の映画はすごいなと思った作品です。
みんな、お腹の中のマグマを吐き出しながら一生懸命作った映画なので、是非一人でも多くの方に届いたら嬉しいなと思います。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/動画・記事:桜小路順]
映画『流浪の月』
INTRODUCTION
実力と人気を兼ね備えた俳優・広瀬すずと松坂桃李の2人が紡ぐ物語は、2020年本屋大賞を受賞し、同年の年間ベストセラー1 位(日販単行本フィクション部門、トーハン単行本文芸書部門)に輝いた凪良ゆうによる傑作小説が原作。
10歳のときに誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かない さらさ)を広瀬が、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえき ふみ)を松坂が演じる。
また、事件から15年後に文と再会してしまう更紗の現在の恋人・亮を横浜流星が、癒えない心の傷を抱える文に寄り添う看護師・谷あゆみを多部未華子が演じることも発表されている。
恋愛、友情、家族愛……そんな既存の言葉では括れない、限りなく稀有な2人の関係性をスクリーンに描き出すのは、デビュー以来そのエモーショナルで骨太な作風で観客の心を鷲掴みにしてきた『悪人』『怒り』などの李相日(リ・サンイル)監督。
また、『パラサイト 半地下の家族』『バーニング』『哭声/コクソン』『母なる証明』など、韓国映画史に残る作品を次々手がけてきた撮影監督・ホン・ギョンピョ、『キル・ビル Vol.1』『ヘイトフル・エイト』『フラガール』『悪人』『三度目の殺人』など、世界を股にかけて活躍する美術監督・種田陽平ら、国境を越えた才能が集結した。
いつまでも消えない“被害女児”と“加害者”という烙印を背負ったまま、誰にも打ち明けられない秘密をそれぞれに抱えて生きてきた2人。15年後に再会した2人が選んだ道とはーー?
第一線を走る俳優陣とスタッフが集結して作り上げる2022年必見の1本。
STORY
雨の夕方の公園で、びしょ濡れの10歳の家内更紗に傘をさしかけてくれたのは19歳の大学生・佐伯文。引き取られている伯母の家に帰りたがらない更紗の意を汲み、部屋に入れてくれた文のもとで、更紗はそのまま2か月を過ごすことになる。が、ほどなく文は更紗の誘拐罪で逮捕されてしまう。
それから15年後。“傷物にされた被害女児”とその“加害者”という烙印を背負ったまま、更紗と文は再会する。しかし、更紗のそばには婚約者の亮がいた。一方、文のかたわらにもひとりの女性・谷が寄り添っていて…
原作:凪良ゆう「流浪の月」(東京創元社刊)
出演:広瀬すず 松坂桃李
横浜流星 多部未華子 / 趣里 三浦貴大 白鳥玉季 増田光桜 内田也哉子 / 柄本明
監督・脚本:李相日
撮影監督:ホン・ギョンピョ
製作総指揮:宇野康秀
製作幹事:UNO-FILMS(製作第一弾)
共同製作:ギャガ、UNITED PRODUCTIONS
配給:ギャガ
(C)2022「流浪の月」製作委員会
公式サイト:gaga.ne.jp/rurounotsuki/
公式Twitter:@rurounotsuki
5月13日(金)、全国ロードショー
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