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【石川瑠華×遠藤祐美インタビュー】持ち主のいない古民家に集う見知らぬ男女を演じて。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭 短編部門 優秀作品賞受賞『stay』(4/23公開)に出演する、石川瑠華、遠藤祐美に本作の撮影エピソードについて話を聞いた。

持ち主のいない古い空き家で共同生活を送っている男女5人。
そこへ村の役所から派遣された矢島が、彼らに退去勧告を言い渡しにやってくる。
しかし矢島は、リーダー格の男・鈴山のペースに巻き込まれ、立ち退きを説得できないどころか、その家で一晩を明かす羽目になり…

本作は、芳泉文化財団の映像研究助成を受けて制作され、第20回TAMA NEW WAVEで初上映され、2020年のSKIPシティDシネマ国際映画祭の短編部門では審査員の満場一致でグランプリを受賞。満を持しての劇場公開となる。

石川瑠華×遠藤祐美インタビュー

■蝋梅(ロウバイ)が咲く頃に行われた撮影

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石川瑠華/遠藤祐美

-撮影は、いつ行われたのでしょうか?

遠藤祐美(サエコ役)
今から2年前の2019年の2月です。寒かったですね。雪が降ったこともありました。

-早春に咲く黄色い花も作品の中にでていたので、そういった季節だと思いました。

遠藤祐美
早春に咲く蝋梅(ロウバイ)の花ですね。

-撮影場所として使われている古民家は、築100年と伺ってます。

遠藤祐美
場所は秩父で、監督の知り合いの方が所有されている家屋で、そこを装飾して撮影に使ったとお聞きしています。

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舞台となった古民家-場面写真より。 (C)東京藝術大学大学院映像研究科

-撮影日数は?

石川瑠華(マキ役)
3、4泊くらいですかね。

遠藤祐美
私は3泊で帰って、もう一泊する方もいてという感じだったと思います。

■古民家に集う人たち

-同居していた若い男性の二人組には、役名はありましたか?彼らにはインパクトがあったんですが、名前がないなと思いまして。

藤田直哉監督
役名は無いですね。滞在者1、2ですね(笑)
(※インタビューを横で見守っていた監督がフォローしてくれました)

遠藤祐美
インパクトありましたよね。朝からご飯をすごくよく食べるなとか(笑)

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場面写真 (C)東京藝術大学大学院映像研究科

-作品を観ていて、登場人物がどこからきて、何をしていて、あの家にたどりついたのかという考えが思い浮かんだのですが、キャストの皆さんは、どの程度役柄の情報とか背景を与えられて撮影にのぞんだのでしょうか?

石川瑠華
私は、どういった人なのか、どういうイメージなのかということは、ある程度話はしていたんですけど、何をしていてというのは話してはいなくて、自分の中で決めていました。

遠藤祐美
私も石川さんと同じですね。

石川瑠華
他の役柄に対しても、何をしていた人とかはわからなかったです。

-あの家の滞在者の年齢だとか、訪れた順序などが気になる部分でした。

遠藤祐美
あの家に訪れた順序は決めていましたね。

石川瑠華
順序は、情報として与えられていた気がします。

遠藤祐美
前もって与えられた情報は、それだけですね。

-作品を観ていて気付いたのが、サエコがリーダー的な存在の鈴山を“くん”付けで呼んでいたことでした。

遠藤祐美
サエコと鈴村の関係性の中で、そういうことになったと思うんですけれども。サエコの方が鈴山よりもどこか強いんだと思うんですよね。鈴山の方は“俺が”とは言うんですけどね。

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鈴山(演・菟田高城)-場面写真より。 (C)東京藝術大学大学院映像研究科

-サエコとほかの滞在者との違いとして、サエコは鈴山と同じく、2階で暮らしていますよね。

遠藤祐美
鈴山との関係は、出会ってからいろいろと変わっていったんだろうなっていうことを想像しました。二人だけ2階で寝起きしているということはいろいろな想像ができるわけで(笑)今はそうでないにせよ、あぁ、二人にしか許されていないんだっていうこととか、あれこれ想像して。

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サエコ(演・遠藤祐美)-場面写真より。 (C)東京藝術大学大学院映像研究科

-二階へ上がる階段に巻かれた鎖も気になりますよね。

遠藤祐美
そんなにしなくてもいいのにね…なんて。あれは鈴山がつけたんでしょうね。

-劇中に出てくるアイテムにも意味があるのかななんて、いろいろ考えましたね、マキが「かわいいでしょ?」って紹介する子ども用の茶碗とか。

石川瑠華
そこは何も考えていなかったです。

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マキ(演・石川瑠華)/吉田(演・山岸健太)-場面写真より。 (C)東京藝術大学大学院映像研究科

■役づくりのこだわり

-ご自身で役柄をどんな人物だととらえて、どういった点にこだわってお芝居をされたかを教えていただけますか?

石川瑠華
マキは、私と年齢が同じくらいの設定で、おそらく、あの家の外の世界で何かにぶつかって、自分の性格が嫌になって、自分自身が嫌いになった人だと思いました。
なので、新しいところで再スタートがしたいだとか、新しい自分を見つけたいだとかを思って、あの家に来て、そういったものが元々あった人がマキという人物を演じているような、ちょっとわざとらしい元気だとか、そういう新しい自分を作り出している途中なのかなと思いました。

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石川瑠華

-歯に衣着せぬ言い方がマキの特徴としてありましたね。

石川瑠華
うまく立ち振る舞おうとしているんですけど、うまく進めようとして発している意見も、言い方とかが空回りしてしまったりだとか、大人になり切れていなくて、いい塩梅がとれないような感じですね。きちんとやりたいと思っているんですけど、そのことが言い合いの原因になってしまうとか。

-サエコ役の遠藤さんはいかがでしたか?

遠藤祐美
私が演じたサエコは、仕事と人間関係で色々あった場を脱して、この家に来たという背景があると捉えました。
あの家は、誰でも出入り自由だし、しがらみから解放して生活ができると思ったんだけど、やっぱりそこに一定の時間居ると自然と関係性が出来てくるので、その中で息苦しいこととか、煩わしいものに、いつの間にか縛られていくというか。基本的には、身を引いていて、自分から関わるというより波風を立てずに、ちょうどいい距離をとりたい人として演じました。

-あの家の住人の中で、調和を大事にしている人物に見えました。

遠藤祐美
思うことがあったとしても言わないようなところがありましたね。そこは自分とも似ているなと思いました。

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遠藤祐美

-セリフが少なめだったと思うのですが、演じる上で苦労した点とかありますか?

遠藤祐美
台詞は確かに少ないので、皆さんその間のことを自分でいろいろ想像する作業をされていたと思うんですけど、それが難しくもあり、面白かったですね。

石川瑠華
いつもの自分よりも明るい役を演じるには力がいるなって思いました。

■劇中プレイしていたカードゲームとは?

-サエコとマキは二人で過ごすシーンが多かったと思うのですが、お二人の撮影時のエピソードなどはありますか?

遠藤祐美
はじめましてと顔合わせして即リハーサルで、次会った時はもう撮影でした。割とお互い最初からサエコとマキというような感覚でいたので、“石川さん”を意識する、みたいなことはあまりなくて。あれこれコミュニケーションをとらなきゃっていうのも、特になかったです。

石川瑠華
特に意識しなかったですね。マイペースな人が多かった気がします。休んでいる時とか、あの家で、撮影に使っていない場所で寝転がったりだとか、本を読んでいたりとかしていましたね。

遠藤祐美
家が持つ空気がそうさせた雰囲気がありましたね。待機場所もテントを立ててもらって、みんなで温まったりとかしましたね。自然と距離が近くなっていて、何も無理する必要がありませんでした。みんなでカードゲームをやったりして。

-カードゲームといえば、劇中で若者二人が遊んでいるゲームって“ごきぶりポーカー”ですよね?

遠藤祐美
はい、そうです(笑)かなり遊びました。

石川瑠華
あれで遊んだんですね。サエコさんもやるんだって、いま思いました(笑)私はその時出番でできなかったんで。

遠藤祐美
最初、「ごきぶりポーカー? なにそれ…」って思ったんですけど、ルールを教えてもらっていざやってみたら、とても面白いと思って、(脚本兼出演の)金子(鈴幸)君とかと宿に帰ってからも何回も遊びました(笑)

-劇中で、カードゲームをしながら「カメムシ」という言葉が発せられるインパクトがあって、しかも、ゲームのテーマとして“嫌われ者”といった部分があるので、ここもあの家の滞在者の中での嫌われ者に関する意味が含まれているのではないかと思いました。

遠藤祐美
そこに引っ掛けていたんですかね(笑)あのゲームはハマってやっていましたね。

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石川瑠華/遠藤祐美

■最後にメッセージ

-最後に、映画館にいらっしゃるお客様へみどころやメッセージなどをお願いします。

遠藤祐美
2年前に撮影したものを観た時に、当時の記憶も薄れているし、「あれ?これってどんな映画なんだろう?」って思って観たところがあったので、初めて観る方はより一層、「どんな映画なんだろう…」ってなると思います。
少しずつ見えてくる人間関係だとか、微妙な緊張感だとか、そういうところが面白いのかなって思います。少し嫌な感じだとか、「それって分かる!」ってなる感覚って割とあるんじゃないかなって思います。観終わってから何を思うかは人それぞれなんじゃないかなって思える作品なので。みなさんそれぞれ楽しんでいただければと思います。

石川瑠華
この作品は、空き家に勝手に住み着いている人たちを追い出しに役所の人が来たっていう単純なストーリーの中に、いろいろなテーマが詰まっていると思います。
遠藤さんもおっしゃっていましたが、本当に人によって感じ方が違うと思うし、いろいろな解釈ができると思うので、多くの人に観ていただいて、この作品の解釈が広がっていったら面白いなって思います。
1つの空き家の話でもあるんですけど、狭いところで作られる人間関係が自由さ不自由さとかどちらも共存しているというのは、現実にも通ずるものでもあると思うので、いろんなものを感じながら観ていただけたら嬉しいです。

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[インタビュー・写真:金田一元]

映画『stay』

STORY
とある村の持ち主のいない古い空き家。ここは誰もが寝泊まりし、出ていくことが可能な場所。ちょうど吉田(山岸健太)が去ろうとしているところに、村の役所から派遣された矢島(山科圭太)が、不法に滞在する5人に退去勧告を言い渡しにやってくる。

長期滞在しているマキ(石川瑠華)が「前にも何人も来たけど、結局追い出せてないから」と予言したように、矢島は、リーダー格の男・鈴山(菟田高城)のペースに巻き込まれ、立ち退きを説得できないどころか、サエコ(遠藤祐美)の提案でその家で一晩を明かす羽目になり…

出演:
山科圭太 石川瑠華 菟田高城 遠藤祐美
山岸健太 長野こうへい 金子鈴幸

監督:藤田直哉
プロデューサー:井前裕士郎 脚本:金子鈴幸
撮影:井前隆一朗  照明:中田祐介 録音・整音:坂元就 美術:中村哲太郎
音楽:関口諭  ヘアメイク:石松英恵 スチール:柴崎まどか 助監督:山本英
プロダクションマネージャー:大塚安希 撮影助手:関瑠惟 照明助手:松島翔平
美術助手:清水夏海 美術助手:山田祥子 宣伝デザイン:内田美由紀(NORA DESIGN)
製作:東京芸術大学大学院映像研究科 助成:芳泉文化財団助成作品 配給:アルミード
(C)東京藝術大学大学院映像研究科
公式サイト:stay-film.com
公式ツイッター:@stay_film2021
公式Facebook:@stayfilm2021
公式インスタグラム:@stay_film2021

予告編

4月23日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて公開

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