少女・蒼井優&鈴木杏が演じた『花とアリス』
10月30日、TOHOシネマズ六本木にて、蒼井優と鈴木杏が、岩井俊二監督と共に登壇し、2004年に公開された『花とアリス』撮影当時のことを振り返るQ&Aイベントを行った。
これは、東京国際映画祭の第30回記念特別企画「Japan Now 銀幕のミューズたち」によるもの。
当時、18歳と16歳の少女だった蒼井優と鈴木杏は撮影現場ではどんなようすだったのか?
イベント最後、仲良くハグし合い、13年後の今でも仲の良さを見せてくれた鈴木杏と蒼井優。
そんなトークの内容を写真とともにお届けする。
映画『花とアリス』作品情報
公開年:2004年
出演:鈴木杏(花)/蒼井優(アリス)
監督:岩井俊二
天真爛漫でエネルギッシュだった撮影現場
岩井監督
あの頃は、天真爛漫な二人で、もう、現場がとにかく弾けまくっていましたね。
(当時、蒼井優18歳、鈴木杏16歳)
撮影現場では“キャアキャア”と楽しそうにやっていて、あれこそ、箸が転がってもケラケラという感じの、あの年頃のならではのエネルギッシュな現場で懐かしいですね。
安藤紘平(MC)
その感じがスクリーンにもモロにでていますよね。
岩井監督
そうですね。
蒼井優
桜で雪合戦みたいな。“桜合戦”?
あれは私と杏ちゃんが勝手に休憩中に遊んでいたら、岩井さんがカメラまわせって言って、(シーンに)採用になったりとか。
岩井監督
そうなんです。
蒼井優
日常にある何かで、杏と遊びたくってしょうがなく、本当にずっと遊んでいました。
安藤紘平(MC)
仲良しだったんですか?お二人は。
蒼井優
はい。高校も一緒だったので。
鈴木杏
優ちゃんの方が先輩なんですけれども。
蒼井優
杏が二個下で、クラスはもちろん違うんですけど、お昼ご飯とか一緒にたべていましたね。
安藤紘平(MC)
じゃあ、映画での二人がふざけあい、恋をしたり、嘘をついたりっていう感じは、そのままドキュメンタリーのようだったんですね。
岩井監督
そうですね。そんな感じでしたね。
郭智博(カクトモヒロ)くん(宮本 雅志役)も、(映画のキャラクターのように)あんな感じで、撮影現場でも半分クタッとなっていて、二人にいじめられていて、いじられて(笑)
蒼井優
ずっといじっていた(笑)
鈴木杏
うん。ずっといじっていましたね(笑)
今、2人で再び「花とアリス」を演じたら?
安藤紘平(MC)
この『花とアリス』を、今またお二人で…っていうような感覚は全くないでしょ?
蒼井優
いや、もう(二人では)できないから、『花とアリス殺人事件』(2015年 岩井俊二監督)っていうアニメにしたんです。
鈴木杏
この年代になると、ちょっと話が暗くなるよね。きっと(笑)
蒼井優
やっぱ、あの、どこの保険に入るとか(笑)
鈴木杏
そうそう。老後はどうするかっていう。
蒼井優
夢の無い話になってしまいますからね(笑)
岩井監督
でも、時々想像しますけどね。
いま、花とアリスは何をしているんだろうって。
きっとちょっといろんな変わったことになっているんだろうなって。
安藤紘平(MC)
アリスは、あのまま芸能界か何かに入っているんだろうかとか?
蒼井優
いや、絶対になっていないと思います(笑)
なんか適当な人と結婚して、離婚しているんじゃないですか?(笑)
“今”を感じる13年前の映画作品
安藤紘平(MC)
『花とアリス』は、もう撮ってから13年になりますけど、全然古く感じません。
みなさん、今またご覧になっていかが感じられていますか?
蒼井優
私って、若い時、こんな鼻声だったんだなと思いました(笑)
あとはやっぱり、もう亡くなっているんですけど、篠田昇さんっていうカメラマンさんのまなざしが素敵だなって思います。
篠田さん(のカメラ)に見つめられて、野猿のような少女時代を過ごせたのは、私をノビノビと現場でいさせてくださった方だったんだなと、改めて大人になるとわかりますね。
杏は?
鈴木杏
私はなんか…。もともと岩井さんの映画が大好きだったので『花とアリス』の前から。
今思っても、すごく不思議な感覚に陥るというか、岩井さんといっしょに映画を作れたんだなっていう。
でも、それが本当に若い時だったし、自分でもエアーポケットのようななんとも形容できない気持ちになるというか、すごく貴重な時期だったし、自分がいろいろ出させてもらった作品の中でも、貴重な作品のひとつだなぁと思います。
岩井監督
最初はショートフィルムを作るつもりでアイデアが浮かんできたのがきっかけで。
そして、この二人の物語になっていって。
劇的な事件とかがあるわけではないんですけれども、二人のそれぞれの日常生活といったところから切り取っていくっていう話だった。
逆に、最初、あまり盛り上がらない話だなと思っていても、だんだんと書き進めていくうちに、なんかある一線を越えてゾーンに入ると、話がとめどなく出てくるようになって、ほとんどサザエさん状態で自分の中で止まらなくなって…という時期がありました(笑)
ずっと、花とアリスがいるみたいな。そんな状態になって。
こういうタイプの話って、怖いなと思ったくらい入り込んで。
撮影が終わって、劇場公開が終わっても、まだ、話が終わってくれなくて、その勢いで書いたのが、『花とアリス殺人事件』でした。
撮影中に死体が?
岩井監督
撮影中の思い出話というか、浜辺で撮影した時に死体が出てきて、最初、人の死体じゃないかと思って、パトカーまで呼んだら、座礁したイルカの死体だったっていう。地元の人が埋めたらしいんだけど。
それをこの二人がほじくり返してしまって(笑)
蒼井優
岩井さんの指示のもとですよ。
やれ!って言って(笑)
岩井監督
そうだっけ?
あれちょっとビックリしたよね。
(会場笑)
最後に
蒼井優
みなさん、今日はありがとうございました。
こうして10年以上経っても、また皆さんがスクリーンで観たいなと思ってくださる映画に出られてほんとに良かったです。
短い時間ではありましたけど、みんなとタイムカプセルを掘り起こしたような感じがして、とっても今、幸せな気持ちです。
また、10年後、お会いできたら嬉しいです!
[写真・記事:Ichigen Kaneda / Jun.S]
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