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上坂監督「命の本質、繋ぐこと・継承することを“はやぶさ2”は体現している」『劇場版 HAYABUSA2~REBORN』帰還記念ミニトークショー

12月6日(日)、「はやぶさ2」のミッションを描いた『劇場版 HAYABUSA2~REBORN』帰還記念ミニトークショーが都内にて行われ、上坂浩光監督が登壇。「はやぶさ2」は「命の本質、繋ぐこと・継承すること体現している」とその意義を熱く語った。(動画&フォト)

ミニトークショーが行われたこの日の未明、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウの試料が入ったとみられるカプセルを地球に帰還させ、日本の宇宙探査に新たな歴史を刻んだばかり。
トークショーに登壇する直前まで上坂監督はJAXA相模原キャンパスにてパブリックビューイングで「はやぶさ2」の帰還を見守っており、睡眠時間わずか3時間という中、作品のこと、そして地球に帰還したばかりの「はやぶさ2」プロジェクトのことを興奮冷めやらぬ状態での登壇となった。

『劇場版 HAYABUSA2~REBORN』は、2014年12月3日に小惑星リュウグウでの探査をするために打ち上げられた「はやぶさ2」が地球を旅立ってからいくつもの困難を乗り越え、小惑星リュウグウにてサンプルを採取し、地球に帰還するまでが描かれる波乱と感動に満ちた探索の旅を全編3DCGで描いた宇宙科学ロマン・ドキュメントの完結編。
なお、「はやぶさ2」は、2003年5月に日本が打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワを探査し2010年6月に地球に無事帰還を果たしたプロジェクトの第二弾プロジェクトの探査機となる。

帰還記念ミニトークショーレポート

はやぶさ2

上坂浩光監督

■「はやぶさ」ミッションの失敗を全て活かしたからこその「はやぶさ2」ミッションの成功

上坂浩光監督
皆さんこんにちは。既にご存知だと思いますけれども、昨夜未明に「はやぶさ2」はカプセルを地球に届けました。
放り投げて本人はそのまま新しいたびに旅立ってしまったんですけれども。
僕は十数年、2つの「はやぶさ」のミッションを側で見てきて、それがひとつ終わったっていうのはすごく感慨深く感じています。
今、作品をご覧なられたので分かると思うんですけども、「はやぶさ」は困難続きでした。もう本当に満身創痍で地球に帰ってきたんですが、後半の「はやぶさ2」は、ちょっとあっけないぐらい、まぁ、大変な事もあったんですけれども、スムーズにミッションをこなしてきました。
これはひとえに「はやぶさ」ミッションがあったからなんですね。
「はやぶさ」ミッションの失敗を全て活かしていったからこそ、この「はやぶさ2」のミッションがスムーズにいったということです。

上坂浩光監督

■人の心の動きって本当に素晴らしい

上坂浩光監督
今日、皆さんと一緒に作品を観ていると、途中、すすり泣きの声が聞こえてきました。僕はそういう姿を拝見するたびに、なんて人の心って素晴らしいんだろうって思います。
だって「はやぶさ」って単なる機械ですよ。
こういう素晴らしい機械が苦労する姿を見て、可哀想とか、助けてあげたいとか、地球に帰ってくる時は「俺が受け止めてやる」とまで言う人がいるんですよ。
その人の心の動きって本当に素晴らしいなっていつも思います。それがあるからこそ生き物なのかなって思っていて。
自分も最初、「はやぶさ」が地球に帰ってくる姿を何気なくCGで作った時に、自然に涙が出ました。
ちょっとおかしいのかもしれないですけど、でもその気持ちをコアにして作ったからこそ、ここまでシリーズが長続きしましたし、今日も泣いてくれる人がいるんだなと思うと非常に嬉しいです。
子供たちも、泣いて立ち上がれなくなったりするんですよ。だから本当に人の気持ちっていうのは素晴らしいなと。
この作品は、「はやぶさ2」のミッションを説明するだけではなくて、人を思いやる気持ちとか、優しい気持ちっていうのを呼び覚ますって言ったらおこがましいですけれど、感じてくれたことが、もう一つの大事な軸だなと思います。

上坂浩光監督

■『劇場版 HAYABUSA2~REBORN』の地球帰還シーンは、ほぼ現実通りの描写

上坂浩光監督
「はやぶさ2」が昨夜未明に地球に送り届けたカプセルは無事に見つかりました。
外から見ると、カプセルを届けたっていうのは非常に順調に見えたと思うんですけども、実は一昨日、JAXAの人はハラハラしていました。
というのは、あのカプセルを切り離す時には、へその緒みたいなケーブルがついてるんですけど、まずそれを火薬加工品って言うんですが、(ケーブルを)切って、その後、カプセルを止めている留め金をこれも加工品で離すんです。
その機構って、「はやぶさ2」を打ち上げてからろ6年間一回も動かしてないわけです。だからきちっと動くのかすごく心配してました。
もし、それが動かなかったら「はやぶさ2」本体ごと地球の大気圏に突っ込むってことを考えてたそうです。初号機と同じように。
でも、うまくカプセルを切り離せることができました。早ければ、12月8日に日本に帰って来るそうです。
その時また記者会見が開かれて、その詳細が伝わりますので是非お楽しみにしていてください。
おそらく(カプセルの中には)たくさん入ってるんじゃないかなと思います。

上坂浩光監督
今、観ていただいた『劇場版 HAYABUSA2~REBORN』の地球帰還シーンは、ほぼ現実通りの描写になっています。それは「はやぶさ2」のミッションが何のトラブルもなく済んだおかげでです。
JAXAの皆さんもこの作品をすごく応援してくれていて、関係者の方にも観ていただいているんですけれども、自分たちがやったことを客観的に見れる、(はやぶさ2のリュウグウへのタッチダウンの瞬間も)おそらくこうだったんだろうなと感激しましたっていう言葉をいただいています。
映像の力ってやっぱり大きくて、誰も見たことがないリュウグウでの「はやぶさ2」の探査をこうやって多くの人が共有する事ができるということ、これはとても大きな利点だと思います。

上坂浩光監督


このあと、上坂監督は、「はやぶさ2」が地球にカプセルを届ける難しさ、そしてリュウグウからサンプルを採取することで生命の起源を探ることに繋がるかもしれないとその意義をスライドを交えながら説明した。
その内容を含むミニトークショー全編は動画でも御覧ください。

YouTube player

 

はやぶさ2

はやぶさ2

■命の本質、繋ぐこと・継承することを“はやぶさ2”は体現している

上坂浩光監督
はやぶさミッションというのは、理学的、工学的な成果をたくさんあげましたけど、それとも同じぐらい、もしかしたらそれよりもすごい成果をたくさんあげていて、みんなの気持ちを動かすものを初めから持っていたと思うんです。
頑張る姿を見せて、くじけそうになった人を応援した。これはいろんな人の話を聞いて実感してます。
本当にもう挫けそうになって自分はだめだ、もう死ぬしかないと思った人を思いとどまらせた力もあります。
もしかしたら、科学成果よりもそちらの方が大きいのかもしれません。
そして、“はやぶさミッション”の続きは残念ながら今計画されていません。
でも、「MMX」っていう探査機が“はやぶさ”の技術を引き継いで、今度、火星の衛星に行こうとしています。
そこでタッチダウンして、(火星のサンプルを持って帰ります。
「はやぶさ」の技術は「はやぶさ2」に引き継がれて、今度は「MMX」という新しい探査機に引き継がれます。
こうやって生まれ変わって、リボーンして、未来まで「はやぶさ」の志とか、思いとか、技術が生き残っていくんだと思います。本当に素晴らしいですね。
僕は、命の本質は、繋ぐこと、継承することにあると思っているので、まさにそれを体現してるんじゃないかなと思います。
なので、「はやぶさ2」とは、もうさよならなんですけれども悲しまないでください。
新しい探査機がそれを引き継いで、また宇宙に飛び立とうとしています。
是非、これからも宇宙に目を向けていただければ僕は嬉しいと思います。ありがとうございました。

はやぶさ2

映画『劇場版HAYABUSA2〜REBORN』

ストーリー
小惑星リュウグウのカケラを持ち帰るため、再び広大な宇宙空間へ飛び立ったはやぶさ2。
それから2年半、32億キロの距離を進み続けた孤独な旅路の末、待ち受けていたのは、想定外のリュウグウの姿だった。あらゆる場所が岩で覆われ、タッチダウンに最適な、平らな場所が存在しなかったのだ。
「君を“また”失ってしまうかもしれない」小惑星イトカワでの悪夢が去来する。はやぶさ2はどのように困難を乗り越え、数々のミッションを成功させていったのか。そして彼がリュウグウで見つけたものとは・・・

監督・シナリオ:上坂 浩光
ナレーター:篠田 三郎
音楽:酒井 義久
監修:吉川 真
制作:ライブ
宣伝協力:SPSS
配給・宣伝:ローソンエンタテインメント
協賛:NEC  大正製薬株式会社
協力:宇宙航空研究開発機構(JAXA)
©HAYABUSA2〜REBORN製作委員会
公式サイト:http://www.live-net.co.jp/hayabusa2reborn_g/

11月27日(金)より全国公開中

劇場版HAYABUSA2〜REBORN

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