徹底的な感染防止対策で制作された映画『パレット』のメイキング映像公開
コロナ禍、リモート撮影で制作が続けられて来た、松本動監督長編映画『2020年 東京。12人の役者たち』。そんな中、本来の映画制作に踏み切ろうとする映画人がいてもという松本監督の思いから、徹底的な感染防止対策を行っての短篇映画『パレット』を急遽制作。その撮影風景を記録したメイキングおよび超特報映像が公開された。
『パレット』の制作、メイキング映像公開について、松本監督は自身の思いを次のコメントで寄せている。
松本動(まつもとゆるぐ) 監督 コメント
東京都の緊急事態宣言が解除になってから、もうじき一ヶ月を迎えますが、ニュースでは連日、各業種が感染防止対策を施しつつ、再開へ向けて動き始めた事を伝えていますが、映画館の営業再開やテレビドラマの撮影再開などは時々目にしますが、「映画撮影」の再開については、一向に聞こえて来ませんし、目にもしません。
一部の映画人がオンラインで映像制作を行い、ネット配信して活路を見出そうとしていましたが、映画制作に踏み出したという映画人が現われない事に、少し違和感を感じていました。
果たして日本の映画人たちは、いつになったら映画制作を再開出来るのだろうか? なぜ、映画撮影も再開へ向け動き始めたという前向きな情報を発信しないのだろうか? と、自粛生活をしながら悶々としていましたが、そういう自分も「映画制作」はしていても、本来の「映画撮影」はしていないという事に、はたと気づき、ならば自分が本来の映画撮影を再開しようではないかと、緊急事態宣言解除の目処が見えて来た頃に、12人の役者たちに短篇映画制作の意向を伝えたところ、賛同を得る事が出来たので、いち早く映画撮影を再開する事が出来ました。
まだ感染の可能性があるにも関わらず、プロジェクトへの参加を決断してくれたスタッフや役者の皆さんには、心より感謝をしております。撮影の手応えは、とても良いものがありましたので、完成をぜひ楽しみにお待ち下さい。
『パレット』は、『2020年 東京。12人の役者たち』内で展開される。
『パレット』メイキング&超特報映像
パレットメイキングカット
映画『パレット』
あらすじ
2020年にパンデミックとなったCOVID-19は、あたかも終息したかの様に思えた。
しかし、遺伝子変異によって増殖力を増し、ワクチンや治療薬の耐性ウイルスへと変貌したその恐ろしい強毒性ウイルスは、東京23区を中心に感染が一気に拡大し、政府は東京のロックダウンを実施。
新型ウイルスの終息を迎えるまでは、誰一人例外無く東京の出入りは禁止となり、通信各社の情報提供によって、人々は常に政府の監視下に置かれ、外出も禁止となり、違反をすれば罰金か禁固刑が科せられる事となった。
新型ウイルスは花粉なみの飛散をすると噂が広まり、口や鼻、目の粘膜組織からの感染を恐れ、人々は外出時だけでなく、室内に居る時も防毒マスクの装着を強いられた。
そんな状況下。物語の舞台となる施設は、再び新型ウイルスが蔓延する日が必ずやって来ると危惧した環境活動家の谷口敏行が、東京郊外の山間部で閉校となった元大学の校舎を買い取り、強毒性のウイルス対策を施すための工事を始めた矢先に、新型ウイルスの感染が拡がり、施設の一部しか陰圧化出来ておらず、防毒マスクを外して生活出来る空間は限られていたが、谷口の活動に賛同する仲間や、行き場を失った者たちを秘密裏に受け入れ、匿って生活をしていた。
そんな施設でひっそりと暮らし始めた者たちの、切なくも儚い一夜の物語。
製作・脚本・監督・編集:松本動、撮影:池田直矢、ラインプロデューサー:榊田茂樹
出演:本山勇賢、秋田ようこ、秋山大地、井之浦亮介、和田悠佑、小西有也、清水杏樹、迎祐花、みやたに、田村陸、杉谷玲奈、田中栄吾
制作協力:CiNEAST、ビッグアーチ
2020年製作/日本映画/FullHD/モノクロ/シネマスコープ/ステレオ/20分(予定)
映画『2020年 東京。12人の役者たち』
あらすじ
COVID-19がパンデミック化し、日本政府は2020年4月7日、東京都に緊急事態宣言を発効。
東京で暮らす人々は、不要不急の外出自粛を余儀なくされ、当初一ヶ月の予定であった宣言も、終息の兆しが見えないコロナ禍により、5月4日に緊急事態宣言の延長が発表され、人々のストレスによる心身の状態は、いつ限界に達してもおかしくない状況となった。
そんな中、「役者」として息衝く12人の者たちは、何を思い、何を感じ、何をしているのか、 閉塞感が蔓延する2020年東京を舞台に、「12人の役者」たちによる独白劇が、今、幕を開ける。
製作・監督・編集:松本動
出演:秋田ようこ、秋山大地、井之浦亮介、小西有也、杉谷玲奈、清水杏樹、田中栄吾、田村陸、みやたに、迎祐花、本山勇賢、和田悠佑
協力:CiNEAST
2020年製作 / 120分(予定)
【参考】映画撮影を行うためのCOVID-19感染防止対策ガイドライン『12人の役者たちモデル』概要
国内外の映画・映像関係の団体が発表した複数のガイドラインを参考に、独自に打ち出した感染防止対策ガイドライン『12人の役者たちモデル』は5月16日に策定され、その時点では日本の映画製作業界からはガイドラインが打ち出されていませんでしたが、その3日後の5月19日に漸く『一般社団法人日本映画製作者連盟』がガイドラインを公表しました。
映画業界が策定するガイドラインは、様々な作品に広く共用出来る物でないといけなくなるので、どうしても大雑把な対策の内容になります。本ガイドライン(6ページ以降に掲載)は、企画前の検討事項から、準備期間、撮影前、撮影中、撮影後、参加にあたっての確認事まで、全十項に及ぶ感染防止対策が細かく設けられています。
《感染防止対策の撮影を経ての課題》
◇どうしても今までの撮影が体に染みついているので、撮影に夢中になると、つい感染防止対策を忘れてしまいがちになった。
今回は撮影現場での感染防止対策を監視し注意を促す専属の人員を確保しなかったが、やはり「衛生部」という新しい部署を設け、感染防止対策に特化した専属スタッフを付ける事の重要性を強く感じたと共に、その役割を担うのは、撮影現場の経験者ではない方がよいとも感じた。なぜなら経験者だと現場の進行をどうしても考えてしまい、感染防止対策に関して甘い見解をしてしまいがちになるので、進行状況など気にせず厳しい指摘が出来る部外者的スタッフが望ましい。
◇密を防止する観点から、人数を最小限にする為にスタッフを減らした結果、スタッフ一人が担う役割が増えてしまい、各自の仕事に手一杯となり、感染防止対策に気を使う余裕が無くなってしまう。
そこから見えて来たものは、安易に人数を減らすという考えよりも、スタッフの人数はある程度ゆとりを持って構成し、部署や役割によっては難しいかもしれないが、二班体制にするなどの交代制にして、撮影現場に居る時間を短くするなどの対策を講じた方が、感染防止対策に対する意識が持続出来る気がした。
◇皆が感染防止対策を忘れない様にする為にも、休憩後の撮影再開毎に、検温と共に短めの確認打合せの時間を設けると、皆の意識も継続して行けると感じた。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。