日本初の漫画家の生涯を描いた映画『漫画誕生』初日舞台挨拶
11月30日、ユーロスペース(東京・渋谷)で、映画『漫画誕生』の初日舞台挨拶が行われ、主演のイッセー尾形、篠原ともえ、稲荷卓央、モロ師岡、大木萠監督ら、総勢17人のキャストが登壇した。(動画&フォト)
『漫画誕生』は、日本で初めて漫画家として成功し、初めての印税契約、キャラクターの連載もの、漫画制作のプロダクション化など現在の漫画業界の礎を築き、手塚治虫や長谷川町子など後年の人気漫画家にも大きな影響を与えた北沢楽天の生涯を描いた作品。第31回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門正式出品。
東京での公開後は、関西での上映も決定、以降全国順次公開が予定されている。
また、12月2日(月)20:55上映会(ユーロスペース)では、本作出演のお笑いコンビ「さらば青春の光」の森田哲矢(中村弥二郎 役)と東ブクロ(丸山 役)、そして大木萠監督が登壇するアフタートークが行われる。
舞台挨拶レポート
舞台挨拶全編は動画でどうぞ!
大木萠監督
完成してからようやく映画館のスクリーンを通して皆さんにご覧いただくことができてほんとに嬉しく思っております。
イッセー尾形(北沢楽天 役)
僕は今、67歳なんですけど、この映画は70歳の時に撮った作品でして(笑)
人生というのは長いですね。自由に生まれて、自由に育って、自由に死んでいけば一番いいんですけど、どうもそうはならない見本のような映画でございます。大木監督の目指した北沢楽天という個人を扱った作品ですけれど、すごく普遍的なテーマを扱っています。
篠原ともえ(北沢いの 役)
イッセーさん演じる楽天の妻役を演じました。
今、イッセーさんのお話を聞いたら、現場はこんな感じだったなぁって、2年ぶりに思い出して幸せな気持ちになっています。
イッセーさんは現場でも飄々としているんですけど、どこかとってもアーティスティック方。
私も作品の中で、アーティストに寄り添って生きる妻という、ある意味普遍の愛みたいなものを作品の中で私が演じるっていうのもすごく貴重で嬉しい時間でした。
イッセーさんは最近もお皿に絵を描かれているそうですけど、私もすごく絵が大好きで、デザインの仕事をさせてもらったりしてきたことが今回の役のご縁にもなったのかなと思い、一生懸命演じました。
稲荷卓央(検問官・古賀 役)
僕なんかがイッセーさんとこんなにガッツリお芝居をさせていただくなんて夢のような話です。撮影はものすごく緊張したんですけど、イッセーさんが「これから一緒に作りましょう」と温かい言葉をかけてくださいまして、それでちょっと気も楽になり、緊張感ありながら楽しく撮影することができたと思います。
モロ師岡(福沢諭吉 役)
私が福沢諭吉なんてできるのかなと自分で不安になりましたけれども、調べてみましたら、福沢諭吉が倒れた後の役だということと、あと、人にカレーライスやコーヒーを薦めたりとか、割と俗物だなと。今で言ったらスマホでSiriに向かって「美味しい餃子のお店を教えて!」と、そういうことをやっているような人なんじゃないかと思うと、私でもできそうだなと、私でも福沢諭吉になれるんじゃないかなと思って演じました。
この映画は北沢楽天という漫画家の人物を描いているだけではなく、戦争の時代を背景にしたある種反戦映画になっていたり、あと、イッセーさん、篠原さんのラブストーリーで泣けるシーンもあります。
篠原ともえ
ほんとですか!?
モロ師岡
私が嘘を言うはずがないじゃないですか!今でも思い出しただけで涙が出そうです!
篠原ともえ
あ、ほんとにちょっと泣いてる!
あらい太朗(発案、漫画家・さいたま観光大使)
さいたまの名士・北沢楽天さんはあまりにも知られていません。ですので、今一度全国・世界に知らしめようということで、十何年も前に映画を作りたいと言い出したのが僕です。
その頃から、楽天役を引き受けてくださるのならイッセー尾形さんだと勝手に言ってました。それがまさかこうやって実現した。
モロ師岡に、そして、妻役が篠原ともえさんだなんて、“クルクルミラクル”ですよ、ほんとに。嬉しくて仕方がないです。
篠原ともえ
(笑)
大木萠監督
本作はこの後も上映が続きます。各地に広がっていけばいいなと思っています。北沢楽天をちょっとでも知っていただいて、日本の漫画とか、なにか仕事をするということに対して真摯に向き合うきっかけになればいいかなと思って本作を作りました。
そして、北沢楽天の住まいを改築してできた、日本で初めての漫画ミュージアム「さいたま市立漫画会館」にも是非足を運んでいただければと思います。
登壇者フォトギャラリー
[写真:Ichigen Kaneda/動画・記事:Jun Sakurakoji]
映画『漫画誕生』
ストーリー
昭和18年、漫画家が団結して国策に協力する『日本漫画奉公会』が設立。日本は本格的な国策へと乗り出していた。
そんな中、一人の老人が内務省の検閲課に呼ばれた。薄暗い小部屋に案内され、検閲官と対峙する老人。
ポツリポツリと過去の記憶を語りだしたこの老人こそが、日本漫画奉公会の会長であり、かつて“近代漫画の父”と呼ばれ、現在に至る漫画を“職業”として確立した男・北沢楽天その人であった。
風刺画家として福沢諭吉にその才能を見出された若かりし頃の楽天は、「日本初の職業漫画家」となり、一気に売れっ子の道を駆け上っていく。
一躍時代の寵児となった楽天は、政治家すら一目置くほどの存在となっていった。
一方でたくさんの弟子を養成し、次々と新しい表現方法に挑戦し、それまで「ポンチ絵」として蔑まれていた風刺絵を「漫画」というひとつのジャンルして広く世に浸透させた。
開拓の明治にはじまり、浪漫の大正を経て、そして激動の昭和へ……。
しかし、やがて黒く強大な時代の渦が、楽天や漫画はおろか、日本全体をも飲み込んでいくのであった――。
出演:イッセー尾形、篠原ともえ、稲荷卓央、橋爪遼、森田哲矢(さらば青春の光)、東ブクロ(さらば青春の光)、とみやまあゆみ、新井美羽、緒方賢一、モロ師岡/声の出演:清水マリ、山口勝平、三遊亭楽生、さいたまんぞう
監督:大木萠
製作・配給:株式会社アースゲート
©漫画誕生製作委員会
公式サイト:https://www.mangatanjo.com/
公式Twitter:https://twitter.com/manga_tanjo
予告編
2019年11月30日(土)より渋谷ユーロスペースにて公開。他順次公開予定
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