【インタビュー】柴口勲監督作品、2年連続でMOOSIC LAB 2019特別招待部門にラインナップ
柴口勲監督×田端悠=映画『夏を撮る』
MOOSIC LAB 2019の特別招待部門「MOOSIC EYE」のラインナップが11月9日に発表され、特別招待部門の作品として、柴口勲監督作品の『夏を撮る』が、昨年の『隣人のゆくえ』に続いて、2年連続でラインナップされていることがわかった。
MOOSIC LAB作品は、映画監督とミュージシャンとの掛け合わせが作品の特色で、『夏を撮る』では、監督・柴口勲×音楽・田端悠のコラボとなっている。
本記事では、柴口監督と田端悠へのメールインタビューとコメントを掲載する。
映画『夏を撮る』作品解説
【解説】
中学3年、あの特別な夏の記録。監督の母校が少子化により各学年1クラス編制となり部活も廃部の危機に。実話に着想を得た物語を当時の実際のバスケ部と教員たちが演じた最後の夏の青春群像フェイク・ドキュメンタリー。キャスト・スタッフは30名の中学生、同級生が同級生を撮ることでしか生まれない映画である。『隣人のゆくえ』の前年制作。池袋みらい国際映画祭にて三冠を受賞している。
【物語】
今日も部活に来ない黒岩、今日も部活に居残る白波。明日は彼らバスケ部3年生の引退試合。一方で写真部の光石は文化祭に出す作品を制作中。先生からの課題と同級生の願いを胸に秘めシャッターを切っていた。
MOOSIC LAB 2019 特別招待作品ラインナップの経緯
柴口監督曰く、『夏を撮る』は昨年の特別招待作品『隣人のゆくえ』よりも、「更に稚拙でとっちらかっている」とのことだ。作品紹介のため、監督自らMOOSIC LABのプロデューサーに恐る恐る作品を送ったところ、「めっちゃよかったです!瑞々しいっていうかもう水ですね!真水!純水!そのままムーラボに出して欲しいな(笑)」との返信が届いたという。この返信に柴口監督は目頭が熱くなると同時に「本当にコレでいいの?」と思ったそうだ。
MOOSIC LABへの意気込みを柴口勲監督は以下のように表現している。
「齢を重ねた僕の青さでムーラボへ斬りこみます。音楽をゆだねたのは田端悠。知らない?でしょうね…彼は空から墜ちてきたから。その翼を地上で失くして歌声を手に入れた者です。」
田端 悠 プロフィール
長崎県出身のシンガーソングライター。アコースティックギターでの弾き語りやバンド活動の他、自主製作映画の音楽制作にも携わる。
田端悠 official web site
■インタビュー
監督・柴口勲
– 撮影の舞台となった学校について教えてください。
柴口監督
舞台となったのは、私の母校である文洋中学校です。
学校から、社会人代表のような講演を頼まれた際に「講演をするのではなく、映画を作りたい」と申し出たことにより、映画製作が始まりました。その結果、在校生と3年間で3本のドキュメンタリーと、3本のフィクション作品を作りました。
この間に垣間見た学校を『夏を撮る』に封じ込めています。
-『夏を撮る』の音楽を依頼した田端悠さんとはどのように出会ったのでしょうか?
柴口監督
友人を撮影していた時に、近くで田端さんが歌っていました。よくあるミュージシャンのタイプかなと思いましたが、その声はまるで僕を呼んでいるようでした(笑)
友人の撮影というシチュエーションでしたが、結局最後まで彼の歌声・音楽に聴き入ってしまい、演奏が終わってアコースティックギターを片付ける彼に「いつか僕の映画で歌ってほしい」と伝えました。当時大学生だった彼は、凄く不審そうな目で僕を上から下まで見ていたのを覚えています。
と、いうのが、今から10年くらい前の話です(笑)
– 監督が考える田端悠とは?
柴口監督
田端さんの静かな外見と物腰から、彼の体の温度を測ることはできないのですが、血液にはマグマが紛れていると思っています。
音楽はまるで鉛筆で書いたデッサンのカーブ。声は岸投手[岸 孝之(東北楽天ゴールデンイーグルス)]が投げるストレート。
彼は、音楽が描くカーブと、糸をひくような美しいストレートな声を使い分けます。晴天の青を思わせる彼の歌は、年齢と共に雨上がりの小さな青へと変貌しました。とっちらかった『夏を撮る』を結ぶのは、彼の糸ひく直球なのだと、僕自身で最初から決めていました。
– MOOSIC LAB 2019「MOOSIC EYE」に特別招待されたことについて、どのように考えますか?
柴口監督
中学生と創った作品が特別に招待されたのは、音楽と共に舞い上がったからか、或いは音楽と心中したからだと感じます。音楽+映画(という足し算)ではなく、音楽×映画(という掛け算による化学反応)でなければムーラボ(MOOSIC LAB)ではないと思っていますので、2年連続で招待されたことを光栄に思います。
音楽:田端悠
– どういったイメージで曲を創りましたか
田端悠
「僕が僕でなくても」を書いている当時は、時と共に変わっていくもの、変わらないものと、どう向き合っていくかという答えのない問いがずっと頭を巡っていました。
「ブルーベリー」は10代の頃に書いたものであまり覚えていませんが(笑)、後悔や追懐をテーマに過去の自分に手紙を送るような気持ちで書きました。
– 音楽や映画への想いなどをお願いします。
田端悠
柴口監督とは10年近く前にライブイベントで出会いました。劇中で流れる「ブルーベリー」こそが出会いのキッカケになった曲であり、不思議な縁を感じます。
きっとこの映画は、子供や、かつては子供だった大人、観る人誰しもにとってのノンフィクションではないかと思っています。
■撮影に参加した学生の方々のコメント
映画『夏を撮る』キャスト・クレジット情報
※年齢は2015年の撮影当時
【キャスト】
蔵田廉(15)…黒岩
内田渓太郎(15)…白波
落合未結(15)…小麦
杉本優希(14)…若草
枳本剛志(14)…光石
八色一郎・枝折三菜子…教員
【スタッフ】
監督・脚本・撮影・編集:柴口勲
監督補・撮影:植木晋太朗(14)
照明:中島光陽(15)
録音:河村友真(15)
音楽:田端悠・田名網奈央子
監督補:植木晋太朗(14)
僕にとっての『夏を撮る』は、卒アル(卒業アルバム)以上に当時を思い起こすものになっています。自分がカメラを回したり、セリフをチェックしたり、普通の中学生に出来ないような体験をしました。
誰かが集合時間に遅れたり、撮影を忘れて遊びに行ったりとか、ガキんちょっぽいことも沢山ありました。そういったハプニングなども思い出し、ドキュメンタリーを見ているような感覚に陥ります。
小麦役:落合未結(15)
練習をどれだけしても、結局試合には出られないんだ…と当時思っていました。本当に女子バスケ部が廃部になると聞いた時は、続けること・次の代に繋げることさえ出来なくなってしまうんだと気付かされました。
でも先生は廃部になるからといって私たちをほったらかすことなく、最後まで一緒に練習してくださいました。引退の日に先生からいただいた「苦しい時こそ笑顔を忘れずに」という言葉は今でも私の柱となっています。
光石役:枳本剛志(14)
監督、そして学友たちと作ったこの作品がムーラボに招かれたことはとても感慨深いものがあります。まだ何も分かっていなかったあの頃にしか体験出来ない感情が、この作品には詰まっています。
黒岩役:蔵田廉(15) & 白波役:内田渓太郎(15)
はずいっス(恥ずかしいです)
■MOOSIC LAB 2019のスケジュールと『夏を撮る』の上映日について
MOOSIC LAB 2019は11月23日から12月13日まで東京・K’s cinema、12月14日から21日までUPLINK吉祥寺で行われる。
上映スケジュール情報 http://moosiclab.com/?page_id=662
『夏を撮る』の上映日
11/24(日)21:10分の上映後…田端悠
12/1(日)19時の上映後…柴口勲、田端悠
※両日とも劇場は、新宿 K’s Cinema。田端悠が劇中歌の弾き語りを行う予定。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。