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この世界の片隅に - 台北電影節2017

【まとめ】「この世界の片隅に」in 台北フィルムフェスティバル2017

速報版記事でもお伝えしたとおり、2017年7月8日、台北フィルムフェスティバル2017の会場のひとつである中山堂にて、「この世界の片隅に」の主演声優・のん(本名 能年玲奈)さんと、プロデューサーの真木さんが登壇するメディア向けトークショーと記者会見が行われました。
その後の映画上映では、舞台挨拶もあり、現地ののんさんファンが大歓迎している光景が印象的でした。
改めてまとめのレポート記事を掲載します。

のんさんが台北入りしたのは、七夕の7月7日。
到着した台北松山空港では、たくさんのファンやマスコミが殺到していました。
その様子は現地メディアが大々的に報道しています。
この日の台北は雨で、翌8日も降水確率が高い天気予報で雨が心配されましたが、朝から青空が見える晴れの天気で台湾らしい暑い気候となっていました(映画上映後は突然の豪雨になってました)。

中華民国総統府

晴れ間が見える台北 – 中華民国総統府(7月8日)

台北市内

台北市内のようす

台北市内

台北市内のようす

トークショー&記者会見、そして映画上映が行われたのは台北市内の中山堂。
戦前、昭和天皇即位を記念して日本により建設された歴史的建造物です(当時は“台北公会堂”という呼称)。
そして、トークショーが行われたのは、2Fの“光復庁”と呼ばれる755席収容可能な大宴会場。

台北・中山堂 - 台北電影節2017

台北・中山堂

台北・中山堂 - 台北電影節2017

台北・中山堂 1F入り口

台北・中山堂 - 台北電影節2017

台北・中山堂 2F 光復庁

会場に現地メディアが多数押しかける中、司会の蔡燦得さんの呼び込みで、真木太郎プロデューサーとのんさんが登場し、フォトセッションのあと、トークショー開催となりました。

のんさん、台湾語であいさつ。トークショーまとめ

以下、トークショーの要約です(全編は動画をごらんください)。
この世界の片隅に - 台北電影節2017  
この世界の片隅に - 台北電影節2017 この世界の片隅に - 台北電影節2017

–あいさつをお願いします

真木P
とても日本と親しい台湾のみなさまに私達が作った映画を見ていただくことができて大変うれしく思っています。

のん
大家好,我是Non
(皆さんこんにちは、のんです。)
道謝你,在世界的角落找到我
(ありがとう、この世界の片隅にウチを見つけてくれて)
※記者註:これはいわゆる“台湾語”で、当サイトに協力してくれた通訳の方によると、厳密には文字にはできないとのことで、ありがとう以外の部分は中国語に置き換えています。

台湾の街は独特の雰囲気があって雨が降っている景色も素敵だなぁと思いながら車に揺られてました。
エビを揚げたお料理が美味しくていくつもパクパク食べました。

–映画の紹介をお願いします

真木P
海外でこの作品が果たして受け入れられるのかという不安もありましたが、フランスのアヌシー映画祭でも長編審査員賞を受賞を受賞して、この作品のテーマは普遍的なものなんだなと確信しました。

のん
この素晴らしい映画に出られたことが誇らしいなと思っていますので、そんな作品が多くの人に見てもらえることが嬉しいです。

–のんさんを起用されたのは?

真木P
監督はすずさんの役はコメディーの要素が無くてはならないってずっと言っていて、
それでいて、ボーッとしているというのが映画でも出てきてますが、コメディとも少し違うところもあって、そして、
主人公としても魅力がある声、それからのんちゃんのお芝居の雰囲気、声がすずさんのキャラクターにぴったり合ったと思いました。

–映画のセリフを日本語の標準語と広島・呉弁で言い比べてくれますか?

のん
標準語「ありがとう、この世界の片隅に私を見つけてくれて」
呉弁「ありがと、この世界の片隅にウチを見つけてくれて」
標準語「さようなら」
呉弁「ほいじゃぁねぇ」

–呉市とはどういうところですか?

真木P
元々軍港で、有名な戦艦大和は呉の造船所で作られました。
広島から電車で40分くらいで近いですし、とってものんびりしたところなので観光に行く人は多いです。
映画に出てくる広島・呉もすごくリアルなんです。ものすごく調べて再現してるんです。

–台湾ではどう過ごしたいですか?

のん
台湾のものを食べ尽したいです。夜市にも行ってみたい。

–空港でのファンの出迎えがすごかったそうですが?

のん
たくさん集まって頂いて興奮しました!

–記者質問1:すずさんを演じるにために何を?

のん
(すずさんのキャラクターの深掘りをするために)片渕監督にたくさんの質問をしました。
そして、時代背景も理解したいと思い、「映画に描かれたものは、実際にあったものしか描いていない」とおっしゃってたくらい(当時の広島を)調べつくされていた監督に、空爆のシーンで、すずさんが「今ここに絵の具があれば」って言う気持ちを知りたくて監督に質問しました。
そしたら監督は、当時の呉の空爆では、本当にこのように色づく爆弾もあったと答えてくださって腑に落ちました。

–記者質問2:台北に着いた昨日は何をされましたか?

のん
昨日、美味しい台湾料理をたくさん食べて、ぐっすり眠ったので、体調万全で、舞台挨拶も楽しみです。

–記者質問3:アフレコでのエピソードをお聞かせ下さい。

のん
動くとうまく収録できず、直立不動の姿勢で、すべての表現を声だけに集中しないといけないのが、(実写作品とは違って)難しかったです。

–アフレコのシーンを今ここで再現してくれますか?

のん
ほいじゃぁねぇ

真木P
誰もがすずさんって、実際に生きていて、こういう人だよねって思う演技をのんちゃんはしたんですよ。
龍の眼を最後に描いて完成という意味の“画竜点睛(がりょうてんせい)”って言葉がありますが、
のんちゃんが最後に声を入れたことで、「この世界の片隅に」が完成したのもそれと同じなんです。
まさにのんちゃんの声は画竜点睛の眼だったんです。
のんちゃんの声がなければこの映画はこんなふうに完成していません。

–記者質問4:のんさんが、すずさんと似ているところと似ていないとところを教えてください。

のん
似ているところは、ぼーっとしているところです。
似ていないところは、すずさんは、お嫁に行けるところです。
私はお嫁に行ける気配がまったくなくて、すずさんに憧れます。
すずさんは18歳でお嫁にいくので、大人だなぁって思ってしまいますね。

–いつごろ結婚したいとか願望ありますか?

のん
今は、仕事が楽しいので、、、
30歳?35歳?とか。

–映画の中で登場する男性では誰が好きですか?

のん
周作さんがすてきですね。
小さい時に出会っていて、大人になってから声がかかるっていうロマンチックなのには憧れますね。
周作さんみたいな一途な人に憧れますね。

–35歳になった時、実は今も出会ってる人と結婚されるのかもしれませんね。

のん
そうですね、夢見て待ってます。

–最後にメッセージをお願いします

真木P
お客さんのクチコミの力で、この映画は日本で、公開劇場数も当初より5倍に膨れ上がりました。
台湾のみなさんもこの映画の素晴らしさを、是非みなさんの言葉で広げていってほしいです。

のん
台湾で上映することができて嬉しいです。
すずさんたちが美味しいものを食べたり、まずいものも食べたり、お洗濯したり、
毎日を生きるっていうことがほんわかと嬉しくなる、すごくポジティブなメッセージがこめられた作品ですので、是非、たくさんの方に伝わればいいなと思います。
よろしくお願いします。

最後に、台北フィルムフェスティバル側から、のんさんと真木プロデューサーに、すべての映画を見ることができるチケットと、「この世界の片隅に」の特製クッションをプレゼントされていました。
この世界の片隅に - 台北電影節2017 この世界の片隅に - 台北電影節2017 この世界の片隅に - 台北電影節2017

上映後舞台挨拶

この世界の片隅に 舞台挨拶 - 台北電影節2017
真木P

プロデューサーの真木です。
今日はこんなに多くの方々が来ていただき、ありがとうございます。

のん
大家好,我是Non
(皆さんこんにちは、のんです。)
道謝你,在世界的角落找到我
(ありがとう、この世界の片隅にウチを見つけてくれて)
今日は練習してきました。

(会場拍手)

真木P
この原作のコミックは台湾でも発売されていますが、作者のこうの史代さんは、当時の呉を非常によく調べられて描かれたコミックですね。
そして監督の片渕さんもいろんなことを調べることにかけては、彼も非常に多くのこだわりを持っている方なので、そういう点でこうの史代さんと監督との共通点があったんだと思います。
この映画は日本では、日本アカデミー賞最優秀アニメーション賞を受賞しています。
なおかつ90年以上続いている歴史のある映画(キネマ旬報)の雑誌の賞ですけども、実写・アニメ問わずの日本映画ベスト10の1位に選ばれました。
まさに日本映画を代表した1本だと思っています。
先月のフランスのアヌシー映画祭でも審査員賞を受賞しました。
70年前の広島を舞台にした映画ですけども、日本以外、世界でもこの映画が通用するのではないかなと思っています。
この映画は最初はこんなにヒットするとは思っていませんでした。
まずは内容が地味で、なんかドキュメンタリーみたいな映画だったからです。
ただ、映画ができる前にクラウンドファウンディングを日本で行って、3374人の方々が支援してくださいました。
映画ができた後、劇場公開した後は、いわゆる“口コミ”がものすごい勢いで日本全国に広がっていきました。
だからこの映画は「この映画が観たい」とか「この映画は観た方がいいよ」といったような、いわゆる市民が支えた映画です。
したがって、昨年の11月に公開しましたけれども、日本ではまだ映画館で上映され続けています。
観客とわれわれ作り手が、幸せな結びつきになったと思います。
是非台湾でも同じような勢いになってくれることを期待しています。

–主演にのんさんを起用された理由は?

真木P
えと、30人くらいのオーディションをしましたけども、その中でダントツのピカイチがのんさんでした。
みなさん、もう映画を観たばっかりですから、その理由はわかりますよね?

(会場大拍手)

–すずさん役をオファーされた時いかがでしたか?

のん
そうですね。ボーッとしていると言われることがあるんですけども、実は力強いところがあって、すずさんの生活している姿とか、すごく楽しくて、それはほんとうに素晴らしいことなんで、演じさせて頂きたいとすごく強く思いました。
(記者註:ゆっくりゆっくり間を空けながら語るのんさんに、客席からは、フフフっという微笑ましい笑いがもれてました。その光景は日本でかつてよく目にしたものと同じでした。)

–すずさん役を演じるにあたって取り組まれたことは何かありますか?

のん
そうですね、今回、片渕監督に、イヤっていうほどのたくさんの質問を箇条書きにしてさせて頂いて、監督が答えてくださった中から、すずさんへの理解を深めていったという感じがします。

–声優に挑戦していかがでしたか?

のん
やっぱり声だけで表現しなくてはいけないので、 これまで体の動きや顔の表情なんかで表現していたものを、全部声にのせていかなくてはいけないっていうのがすごく難しかったです。

–アフレコ中の何かエピソードを教えてください。

のん
アフレコの最中は、音を録っているので、音に敏感にならなくてはいけなくて、横に動いたり、はねたりとかできなくて、ビシっとまっすぐ立ってないといけないのが難しかったですね。

(会場笑)

のん
あと、実写の場合は、自分の間で演技をすることができるんですけど、アニメーションの場合は、監督が作ったすずさんの動きに合わせて演じなくてはいけなくて、それもすごく難しかったです。

まず、すずさんというキャラクターを解釈していくことを考えていったんですけど、その中で監督にたくさん質問させて頂く中で、すずさんの行動が時代背景によるものでは?と思うことも出てきて、そのへんどんどん根掘り葉掘り監督に聞いていきました。
例えば、空爆のシーンですずさんが「ここに絵の具があれば」っていうのがあって、それってどういう感覚なんだろうなってすごく悩んで、すずさんの気持ちを知りたくて監督に質問しました。
そしたら監督は、当時の呉の空爆では、本当にこのように色づく爆弾もあったと答えてくださって腑に落ちました。

–最後にメッセージを

真木P
さっきも言いましたけども、ほんとこの映画は観ないとわからないんです。
なかなかやっぱり映画の中身を宣伝だけでやるのは難しい作品なので、是非みなさんのクチコミをよろしくお願いします。

のん
この映画は普通に生活して毎日を生きるってことが本当に素晴らしいなとグっとくる作品なので、みなさんにも普通だなぁとほんわか幸せに思って頂けたら嬉しく思います。是非、周りの方にすすめていって頂けたらなと思います。よろしくお願いします。
道謝你!(ありがとう!)

台湾のお客さんに映画の感想を聞いてみた

上映後に台湾のお客さんに感想を伺うための突撃インタビューしてみました。
その内容は以下の記事を御覧ください。

台湾の観客に突撃インタビュー「この世界の片隅に」

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