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映画『時には懺悔を』完成披露試写会

難しいテーマで映像化困難と言われ、構想18年。西島秀俊×黒木華×宮藤官九郎×柴咲コウ×片岡鶴太郎×中島哲也 映画『時には懺悔を』完成披露試写会

2026年7月29日、TOHOシネマズ日比谷にて、映画『時には懺悔を』完成披露試写会が行われ、西島秀俊、黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、片岡鶴太郎、中島哲也監督、そして、特別ゲストとして、スペシャルニーズスーパーバイザーの安田一貴が登壇。(動画&フォト)

舞台挨拶レポート

■動画レポート

YouTube player

■フォトレポート

西島秀俊(佐竹三雄 役)
皆様、こんにちは。西島秀俊です。まずは、この度の熊本地震でお亡くなりになられた方々に、心よりお悔やみ申し上げます。そして、被害に遭われた皆様に心からお見舞い申し上げます。本日は完成披露試写会ということで、これほど多くの方にお集まりいただき、本当にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

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西島秀俊

黒木華(尋津民恵 役)
皆さん、こんにちは。黒木華です。撮影していたのは約2年前になるのですが、こうしてやっと皆様にお届けすることができて大変嬉しく思っております。本日はよろしくお願いいたします。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

黒木華

宮藤官九郎(明野哲夫 役)
よろしくお願いいたします。今、MCの方からご紹介いただいた通りに聞くと、すごく『いいお父さん』のように思われるかもしれませんが、映画を観ていただくと『あ、そうでもないところもいっぱいあるな』と感じられる部分もあります(笑)。がっかりなさらないよう、どうぞよろしくお願いいたします。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

宮藤官九郎

柴咲コウ(佐竹由紀 役)
佐竹の妻・由紀を演じました、柴咲コウです。中島監督に演出していただくのは、過去にも『嫌われ松子の一生』などでお世話になっておりました。今回、再びお声がけをいただき、この一言ではなかなか表しきれない、非常に奥深い作品に参加させていただくことができて光栄に思っております。よろしくお願いいたします。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

柴咲コウ

片岡鶴太郎(舟尾 役)
皆さん、こんにちは。舟尾役をやらせていただきました、片岡鶴太郎でございます。普段、私はこの時間帯はもう寝ておりまして(会場笑)。滅多に外に出てこないのですが、今回は中島監督からの『ぜひに』という熱烈なお声がけがございましたので、こうしてやってまいりました。舞台挨拶が終わったら、私はすぐに帰って寝るつもりでございます(会場笑)。映画の方は、皆様どうぞゆっくりお楽しみくださいませ。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

片岡鶴太郎

中島哲也監督
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私自身のことで、映画の上映が随分と伸びるなどしてしまいました。この映画の完成と上映を、本当に楽しみにお待ちくださっていたお客様に、多大なるご迷惑をおかけしたことを心より深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。
今日はやっと、これだけ多くの方に映画を観ていただけるということが、今でも信じられないくらい嬉しくて仕方がありません。この後、ぜひごゆっくり映画をご覧になってください。よろしくお願いいたします。

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中島哲也監督

中島哲也監督への質問:20年の構想を経て、完成した今の気持ち

‐ 監督、原作と出会われてからおよそ20年、ついに本日、皆様にお披露目する日を迎えることができました。先ほどもお詫びを交えて一言いただきましたが、完成した今のお気持ちを、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか?

中島哲也監督
本当に、20年前に原作に出会いました。その頃は、周囲のほとんどの人から『こういうシリアスすぎる話、しかも重い障害のある当事者の子供たちに実際に出演していただくような映画を作るのは不可能だ』と否定され続けていたんです。
それがこの時代になり、若いプロデューサーやキャスト、そしてカメラマンをはじめとするスタッフの皆さんが、この企画を『面白い』と感じてくれて、『これは絶対にやるべきだ』と言ってくれたおかげで、映画化に向けて少しずつ、少しずつ進んでいきました。
だから、僕1人が何かがんばって必死で映画化したというわけでは全然なくて、様々な人たちの『絶対にこの映画を完成させたい』『上映して皆様に見せたい』という強い思いが、この作品をこうして完成へと導いてくれたのだと思っています。
実際に映画を観ていただければ分かると思いますが、俳優さんもスタッフも、本当に魂を込めて演じ、撮影をしていますので、皆様に喜んでいただけたら何より嬉しいですね。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

中島哲也監督/柴咲コウ/西島秀俊/黒木華/宮藤官九郎/片岡鶴太郎

西島秀俊への質問:今の気持ち、出演の理由、役柄への思い

‐ 西島さん、いよいよ本作を皆様にお披露目することになりました。西島さんも感慨深いものがあると思いますが、まず、今のお気持ちはいかがでしょうか?

西島秀俊
そうですね。撮影中は、素晴らしいキャストの皆様、それからスペシャルニーズを持つ子供たちと、毎日とにかく魂を込めて撮影を行っていました。こうして無事に完成し、皆様に観ていただけるというのは本当に嬉しい限りです。

‐ 中島組には、本作が初参加ということになりますね。

西島秀俊
はい、そうです。

‐ 非常にシリアスなテーマですが、脚本を読まれた時の印象や、出演を決意された理由を教えてください。

西島秀俊
とにかく脚本が素晴らしかったんです。自分がこれまで深く触れる機会のなかった、スペシャルニーズを持つ子供たちやそのご家族、さらには“きょうだい児”(障害のある兄弟姉妹を持つ子供)の切実な思いというものが、ものすごく丁寧に、リアルに描かれていました。そして、その先には世界や人に対しての『希望』が確かに存在する、そんな素晴らしい本でしたので、『ぜひ参加したい』と強く思いました。

‐ 西島さんが演じられた佐竹三雄というキャラクターは、9年前の誘拐事件を追う探偵である一方で、自身も家族に対しての深い後悔の念を抱いているという、かなり複雑な役どころです。ミステリーの主人公でありながら、生々しい人間ドラマの当事者でもあるわけですが、どのような思いで演じられましたか?

西島秀俊
一般的な探偵や刑事というのは、どこか事件の外側から客観的に見て、追っかけていくことが多いと思います。しかし、今回の佐竹という役は、事件そのものが重なっているわけではないにしても、やはりどこか自分自身の過去と重なる、似た部分があるんです。
そのため、どうしても事件に対してのめり込まざるを得ないし、それと同時に、自分自身の見たくもない過去を再び見つめ直さざるを得なくなる。その『のめり込みたい』と『見たくもない』という全く反する感情を抱えながら、それでも事件に向かって突き進んでいくという役でした。
これまで演じてきた刑事役などとは全く異なる役柄でしたので、とても難しかったのですが、その分すごくやりがいがありました。

‐ 事件を追えば追うほど、自分自身の内面に向き合わざるを得なくなるという、非常に難しい役どころでしたが、本当に見事な見どころになっていますね。

西島秀俊
はい、そうです。

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黒木華への質問:複雑な役どころと中島組への復帰

‐ 黒木さんにお伺いします。黒木さんが演じられた尋津民恵は、誘拐された子供の母親でありながら、事件が未解決のまま新しい家族を持ち、過去と向き合い続けるという、こちらも本当に複雑な心情を持った女性です。非常に抑制された演技が印象的でしたが、どのようなお気持ちで演じられましたか?

黒木華
そうですね。やはり、民恵さんの行動や選択ということに対して、私自身は『全く否定はできないな』と感じていました。
『自分の子供を可愛いと思えないかもしれない』という、親としての葛藤や思いを、演じながら本当に身をもって感じていました。『もし自分だったらどうするんだろう』ということを、撮影中、毎日毎日考えながらやっていましたね。

‐ 非常に難しい役どころですが、ぜひ皆様にも注目していただきたいですね。中島監督作品への出演は、2018年の『来る』以来ということになりますが、約8年ぶりの中島組はいかがでしたか?

黒木華
もう、ものすごく嬉しかったです! 中島監督とまたご一緒できるということ自体もそうですし、以前『来る』の時に監督に演出していただいた時間が、自分の中で本当に大きかったんです。役者として、芝居について深く考える大きなきっかけになったので、またこうしてご一緒できたことが本当に嬉しかったですね。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

宮藤官九郎への質問:役作りでの徹底した準備と撮影秘話

‐ 続いて宮藤さんにお伺いします。宮藤さん演じる明野哲夫は、重い障害のある息子・新を1人で育てる父親です。撮影に入る前に、様々な準備や練習を重ねられたのではないかと思いますが、いかがでしたか?

宮藤官九郎
そうですね、事前に抱っこの仕方の練習をしたり、あと、痰(たん)を吸引する方法、ご飯を作って食べさせるといった、介助の講習を受けました。新役のご本人と実際にお会いする前に、とにかくたくさん練習をしましたね。

‐ ご本人と会う前に、そこまで多くの準備をされたのですね。

宮藤官九郎
はい。ただ、僕が演じた明野というキャラクターは、そこまで立派で綺麗な人間ではないんです。だから、監督からは『もっと雑に、ぞんざいに扱っているように見えるように演じてほしい』という指示がありました。
だけど、実際の介護で本当にぞんざいにやってしまったら、それこそ大きなトラブルになって危ないですから、そこが難しくて(笑)。『トラブルがあったら確かに危ないな』といったことを体で理解しつつ、時間をかけてじっくり練習をさせていただいたのは本当に良かったですし、すごく勉強になりました。

‐ 本当に、明野哲夫 という人になりきらないとできないお仕事ですね。新役のしんすけさん、そして幼児期の新役の諸角優空さんとの撮影でしたが、心に残っている出来事はありましたか?

宮藤官九郎
いや、彼らはとにかく、本番にめちゃくちゃ強いんですよ! 本番になると、本当に素晴らしい表情や、素敵な笑顔を見せてくれるんです。
だから逆に、『僕がその素晴らしい芝居を台無しにしてしまうんじゃないか』と怖くなってしまって(笑)。せっかく良い表情が撮れたのに、僕のせいでダメになるのが怖くて、なるべく慎重に、慎重に演じるようにしていました。
でも、そうやって慎重にやると、どうしても僕の顔が『いい人の顔』になってしまったり、『(介護が上手くいって)良かったな』というような表情になってしまうんです。すると、監督から『それは明野の顔じゃない、違う』としっかり言っていただいて。その表情のバランスを、監督と微調整しながら演じていきました。

‐ うわあ、それは繊細で難しい調節ですね。

宮藤官九郎
そうですね。やっぱり、僕たちが頭で考えて演じているのとは全く違う、本当にピュアな表情をされるので。その瞬間を『絶対に逃したくない』という、みんな共通の思いだったと思いますね。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

‐ ここは本当に見どころですので、ぜひ皆様も注目していただきたいポイントです。

柴咲コウへの質問:内に秘めた感情の表現と夫婦の距離感

‐ 続いて柴咲コウさんにお伺いします。柴咲さん演じる由紀は、深い悲しみを抱えながら生きる女性です。劇中では、言葉(セリフ)以上に、表情で感情を伝えるという非常に繊細な場面が多かったように思いますが、どのようなことを意識して演じられていましたか?

柴咲コウ
そうですね、そこは本当に中島監督の演出を頼りきりでした。監督が本当に的確に、かつ繊細に演出を施してくださるので、全幅の信頼を寄せてカメラの前にただ立っていた、というような感覚です。
由紀は思いを内に秘めるタイプの役柄でしたので、私自身も『本当の本当に、由紀は今、何を考えているんだろう』と自分の中で探りつつ、監督にそれを引き出していただきながら演じました。客観的に見てどう見えるか、『これはちょっと表情に出しすぎかな』といった塩梅(あんばい)を、一歩ずつ積み重ねて作っていきました。
ただ、私自身も意外と私生活では内に秘めるタイプなんです。周りからは『なんでもストレートに感情を出すタイプ』だと思われがちなんですけれど、実は本当に言いたい大切なことは、うまく言えなかったりすることが多くて。そういう部分は由紀にすごく共感できましたし、自分と同じだなと感じながら演じていました。

‐ 西島さん演じる佐竹との夫婦関係も印象的でした。冷え切っているようでありながら、どこか心の奥深くで繋がっているような、非常に微妙な夫婦の間柄が描かれていましたが、演じてみていかがでしたか?

柴咲コウ
この世には、本当にいろいろな形の夫婦やパートナーシップがあると思います。ですが、お互いが心の底で思っている愛情や、相手を思う気持ち、『本当は自分はこう思っているんだ』『これを伝えたい、わかってほしい』ということを、日常の中で100%完璧に伝え合えている人たちのほうが、よっぽど珍しいのではないかと思うんです。
ですから、この2人も例外ではなく、心の奥底に秘めたものがありながらも、お互いに『壊してはいけない今という現実』があって、それ以上は踏み込めない。そういったもどかしさを、毎回の撮影でひしひしと感じていました。佐竹さんから伝わってくる感情の揺れを、傍らでしっかりと受け止めて、それをお返ししていくような感覚で演じていました。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

‐ (隣で深く頷いている西島さんを見て)西島さん、今すごく頷いていらっしゃいましたが、いかがですか?

西島秀俊
そうですね。本作では『触れる(身体的接触)』ということが非常に大きなモチーフになっています。特にこの夫婦・家族関係の中で、お互いに触れ合うシーンがあるのですが、どういう状態からスタートして、どのように触れ合っていくのか、その表現がものすごく難しかったんです。
その時に、柴咲さんと監督の3人でしっかりと話し合って、『この形がベストなんじゃないか』という着地点を見つけることができました。それが僕にとって本当に大きな助けになりましたし、演じる上でも非常に充実したシーンになりました。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

柴咲コウ/西島秀俊

片岡鶴太郎への質問:2つの顔の演じ分けと、異色の「探偵チーム」

‐ 片岡さん演じる舟尾というキャラクターは、探偵として事件を鋭く追う一方で、私生活では非常に温かいおじいちゃんでもあるという、2つの顔を持っています。また、鶴太郎さんの軽妙な語り口も非常に印象的でしたが、この演じ分けにおいて意識されたことはありましたか?

片岡鶴太郎
そうですね。探偵としての舟尾は、自分の任務にしっかりと集中しながら、特に西島さん演じる佐竹のサポートをして、自分が得た情報を共有していくという『使命を全うする顔』を意識して演じました。
そして、その探偵としての報告をする時に、『実は娘から、ちょっと孫の世話を頼まれちゃってさ』と言いながら、ショッピングモールで孫と遊んでいるプライベートな姿を見せるわけです。そこで、おじいちゃんとしての顔を覗かせつつ、西島さんと話し合う時にはスッと『探偵の顔』にスイッチしていく。そういった、自然な切り替えや運び方を意識して演じさせていただきました。

‐ テーマ自体は重くなりがちな作品ですが、鶴太郎さんの軽妙な語り口が、作品全体の素晴らしいアクセントになっていると感じました。

片岡鶴太郎
あ、そうですか?それは良かったです(笑)

‐ 西島さん、満島ひかりさん(聡子 役)、そして役所広司さん(寺西 役)という豪華な「探偵チーム」での撮影はいかがでしたか?

片岡鶴太郎
私は刑事役をテレビシリーズなどで30年近く演じてきているのですが、大体そういう刑事の捜査シーンというのは、椅子を綺麗に並べて、硬いトーンで真面目な会話をすることが多いんです。
しかし今回、中島監督からは『ちょっとみんなで円陣を組むように座って、テーブルの上にあるお菓子をバリバリ食べながら、お茶を飲みつつ話してください』という指示をいただきまして。これがもう、非常に面白い演出で、演じていてすごく楽しかったですね。
きっと、監督の中に『どんなに辛いことがあっても、人間は生きていく。そして、生きるということは、食べるということだ』という一貫したテーマがあるのだと思います。だから、この映画には随所に『食べるシーン』が出てきますし、みんな本当によく食べているんです。
私も、西島さんと喫茶店で打ち合わせをするシーンがあるのですが、そこでもパフェやプリンを食べているんですよ(会場笑)。
店員さんに『またチョコレートパフェね』なんて注文しながら演じていて、演じながら『この舟尾という男は、相当パフェが好きなんだな』と思いました(笑)。そういったシーンも、みんなで楽しみながら撮影させていただいました。

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中島哲也監督への質問:スペシャルニーズの当事者を迎える環境づくり

‐ 本作はスペシャルニーズの当事者(特別な支援が必要な方々)やそのご家族の皆様に、多大なるご協力をいただきながら制作されました。撮影現場において、監督が最も大切にされたことは何だったのでしょうか?

中島哲也監督
せっかく映画に出ていただくわけですから、彼ら・彼女たちの持つ素晴らしい魅力が、カメラの前で半減してしまわないようにすること。それだけを、とにかくずっと考えていました。
彼らがカメラの前で一番リラックスして、のびのびと、普段お家でやっているのと同じように動いたり、自然な表情を見せてくれたりするような環境をいかに作るか。もう、その一点ですね。
だから、撮影中に『あ、今ちょっと緊張しているな』と感じたら、少し時間をかけて、緊張が自然にほぐれるのをゆっくりと待つようにしていました。
現場の周りには、出演してくれた子供たちのお母様方をはじめ、障害児ケアのスペシャリストの皆さんが完璧な状態で常駐して、ケアを徹底してくれていました。そのため、健康面などの心配は僕がする必要は一切なくて、僕はただ、子供たちがのびのびと、いつも見せてくれているような素敵な表情をカメラに収めることだけに集中させてもらいました。本当に、それだけを常に考えていた撮影でしたね。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

西島秀俊への質問:満島ひかりとの共演と、役を深めた会話

‐ 今回、佐竹と共に誘拐事件の真相に迫る、探偵助手・中野聡子役を満島ひかりさんが演じられました。本日、満島さんは残念ながらご欠席となってしまいましたが、満島さんとの共演はいかがでしたか?

西島秀俊
「満島さんとは、今回しっかりとがっつり共演させていただいたのですが、本当に『表現するために生まれてきた人なんだな』というのが最初の印象でした。どのシーンのどの瞬間を切り取っても、彼女の生きている感情が生々しくスクリーンから伝わってくるんです。
作中における佐竹と聡子というキャラクターは、まさに真逆です。聡子も佐竹と同じようにギリギリの生き方をしているのですが、彼女は常に前を向いて『生きている』。だから、食事もすごく勢いよく食べるんです。
一方で佐竹は、過去に囚われてしまっていて、肉体的には生きていても、前を向いては生きていない。だから、2人は食べるものも、その食べ方も全く違う。
そういった真逆な2人なのですが、満島さんとのシーンはどの場面も、本当に役者として充実した、思い出深いシーンばかりです。」

‐ カメラが回っていないところでの、満島さんとのコミュニケーションや雰囲気作りはどのようにされていましたか?

西島秀俊
僕がよく覚えているのは、あるシーンでの登場人物の行動について、監督から『これって(登場人物の気持ちが)分かりますか?』と聞かれたことがありました。中島監督は、役者に色々な問いかけをされるのですが、その時に満島さんが『分かります。生きるってそういうことだから。聡子は生きているから(この行動をする)』と迷いなく答えたんです。
それに対して、僕が『じゃあ、佐竹は(心が)死んでいるから(この行動は取らない)』と答えました。
このように、監督からの1つ1つの質問に対して、お互いがどう答えるか、そのやり取りを通して『相手がいまどういう状態でいるのか』『役をどう捉えているのか』を深く知ることができました。それが自然と、現場での良い空気感やコミュニケーションに繋がっていったのだと思います。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

完成した映画を観ての率直な感想

‐ キャストの皆様は、完成した映画を既にご覧になったかと思いますが、それぞれの率直な感想をお聞かせください。

黒木華
本当に一言では表しきれない感情が湧き上がってきました。とても重たいテーマを扱っている作品ではあるのですが、観終わった後に、私はそこにすごく『温かいもの』を感じました。純粋に、本当に良い映画だなと心から思いました。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

宮藤官九郎
いや、僕も……(隣の黒木さんを見て)本当に良い映画だなと、素直に思いました(笑)。黒木さんの感想を真似したみたいになってしまって、すみません(会場笑)。
でも、本当にそう思ったんです。僕が演じた明野は、劇中で(探偵たちに)監視される側、見られる側の人間でした。現場に行っても、西島さんや満島さんが、遠くの方からじっと僕のことを見ているんです。
だから僕は現場で、『誰とも喋っていないし、これで本当に演技として成り立っているのかな?』『この明野という男は、周りからどう見えているんだろう?』と、少し不安に思っていました。
でも、完成した映画として繋がった映像を観た時に、遠くにいる皆さんが、それぞれ本当に温かく僕たち親子を見守ってくれていたんだな、ということが痛いほど伝わってきて。だからこそ、僕と新ちゃんの親子があれほど劇中で輝いて、幸せそうに見えていたんだなと気づくことができました。そういった意味でも、共演者の皆様、スタッフの皆様に、改めて『ありがとうございました』と感謝を伝えたい気持ちでいっぱいです。

柴咲コウ
本当に、一言で答えるのが難しい質問ですね。
私たちが日常を生きている中で、どうしても現実逃避したくなるようなことや、自分自身でも目をつむりたくなるような辛い事象が起きることがあると思うんです。そうした時に、エンターテインメントや、作られた映画というものに対して、私たちはついつい『希望』を求めて、なるべく暗くない、明るい作風のものを選びがちなところがあると思うんです。それも一つの時代や世代の現れなのだと思います。
でも、だからこそ、私は今この時代に、こういう現実を真っ向から直視したいと強く思いました。そして、この難しいテーマから逃げずに、真正面から向き合ってこの映画を作ってくださったことに、本当に『作ってくれてありがとう』という、深い感謝の気持ちが湧いてきました。
こうした実直で、真っ直ぐな、そして深い作品を観るからこそ、観た人の実生活においても、何かしらの救いや大切な『意味』をもたらしてくれるのではないか、そんな風に感じています。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

片岡鶴太郎
先ほどパフェの話でも触れましたが、やはり『生きる』ということ、今自分が与えられている条件や環境の中で、どんなことがあっても最後まで必死に生きぬいていくんだ、という強いテーマを、ものすごく深く深く感じさせられる作品でした。

西島秀俊
僕は自分が最初に出演している映画を観る時、どうしても客観的には観られないんです。どうしても『あそこはもっとこうすれば良かった』と、自分の芝居の反省ばかりをしてしまうのですが、今回の映画に関しては、全くそういうことを考える余地もなく、作品に完全に没入することができました。
特に、スペシャルニーズを持つ子供たちの表情についてです。監督がどのような演出をされて、彼らがどう演じているのか、そのプロセスの全ては分かりませんが、スクリーンに映る彼らは、本人としての魅力と、映画の役柄としての魅力が完全に混在して存在していました。
そして、物語に見事に溶け込んで、信じられないほど力強い表情を見せてくれている。それは、僕が役者として本当に理想とする、究極の演技の姿だなと感じて、そのカットの力強さにものすごく感動しました。
また、今回共演させていただいた、僕が心から尊敬する素晴らしい俳優の皆様の演技も本当に素晴らしかったです。一人の観客として、とにかく深く感動して映画を観終えました。

特別ゲスト登壇!スペシャルニーズスーパーバイザーが語る現場裏話

ここで、撮影当初から本作を支え続けた大切なゲストとして、スペシャルニーズスーパーバイザーの安田一貴さんが、映画の完成祝いとしてステージに登壇した。

‐ 安田さん、本日はお越しいただきありがとうございます。改めて、安田さんが本作に参加されることになった経緯と、現場で担われた役割について教えていただけますか?

安田一貴(スペシャルニーズスーパーバイザー)
私は普段、理学療法士として病院などで働く傍ら、写真家として重い障害のあるお子さんたちに関わる活動をしています。
そんな時に、この映画の助監督さんから『映画に協力してほしい』という一本のご連絡をいただいたのが始まりでした。
詳しくお話を伺っていくと、よくある『障害のある子が頑張っている姿を描くドキュメンタリー』を作るのではなく、あくまでも『本気のエンターテインメント作品』として映画を作りたいのだと。そして、そこに登壇されている素晴らしいプロの俳優の皆様と全く同じように、一人の『役者』として、重度の障害のあるお子さんにも出演してほしいという熱い思いを伺いました。
その素晴らしい姿勢に深く共感し、ぜひ一緒にやらせていただきたいとお返事しました。
私の役割としては、障害福祉の世界と、このエンターテインメントの映画制作の世界を繋ぐ『橋渡し役』です。子供たちやご家族、そしてスタッフやキャストの皆様が、全員で安心して撮影に臨める環境を整え、サポートを徹底するという立場で参加させていただきました。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

安田一貴

‐ 安田さんは、キャスティングの段階から作品に携わり、実際の撮影現場にもずっと立ち会われていたそうですが、その過程で「最も大切にされてきたこと」は何でしょうか?

安田一貴
一番大切にしていたのは、『障害を理由に、これはできない』ということを、周りの大人が先に勝手に決めつけない、ということです。
どうしても、重い障害のあるお子さんを前にすると、周りの大人は『これは危ないんじゃないか』『できないんじゃないか』と先回りして、リスクを全て排除しようとしてしまいがちです。
ですがそうではなく、まずは子供たちに『やるか、やらないか』という選択肢をしっかりと提示すること。そして『やる』と決めたのであれば、どうやったら安全に、安心して取り組むことができるのかを、お子さん本人、ご家族、そして撮影スタッフの皆さんも含めて、全員で知恵を出し合って一緒に考えていこう、という姿勢を大切にしました。
今回役者として新しい挑戦をしてくれた子供たちのブレーキに、僕が心配しすぎてなってしまうのではなく、むしろ彼らの挑戦を力強く後押しできるような、最高のアシスト役に徹しようということを心がけていました。

‐ 西島さん、実際に安田さんが現場に常駐してくださる中での撮影でしたが、振り返ってみていかがでしたか?やはり心強さや、演技のやりやすさがあったのではないでしょうか。

西島秀俊
本当に心強かったです。最初に、出演してくれる子供たちのご家族と、安田さんとお会いした時に、ご両親から真っ先に『一人のプロの俳優として接してください』と言われたんです。
『何かやりたい演技や演出があれば、遠慮せずにどんどんやってください。もし本当に身体的にダメなことがあれば、僕たちや安田さんからストップをかけますから、西島さんのほうから先に遠慮してセーブするのはやめてください』と言っていただいて。
その言葉を聞いて、『分かりました』とお答えし、それ以降は現場でずっと、一人の尊敬する役者仲間、俳優として接してきました。
裏では、安田さんや医療スタッフの皆さん、病院側のケアなどが完璧に機能して支えてくださっていたので、僕自身も、そして他のキャストの皆さんも、何一つ遠慮することなく、思いっきりぶつかって演技をすることができたのだと思います。

‐ 素晴らしい信頼関係が現場で生まれていたのですね。安田さん、これから映画をご覧になる皆様へ、メッセージをいただけますか?

安田一貴
この映画は、障害のあるお子さんを中心に置きつつも、その周りにいるご家族や支援者、そして様々な立場にある大人たちの、一言では片付けられない複雑な気持ちや、綺麗事だけでは語れない心の葛藤というものを、本当に丁寧に、リアルに描いています。
これが実現できたのは、制作スタッフの皆さんが、出演したお子さんだけでなく、様々なご家族のもとへ何度も一緒に足を運び、丁寧に話を聞いてくれたからです。声にならない思いを抱える子供たちの声や、なかなか言葉に表せないご家族の葛藤に、どこまでも真摯に向き合ってくれたからこそ、この奇跡のような映画が完成したのだと思っています。
皆様には、それぞれの立場からご覧いただいて、人の持つ可能性を改めて考えるきっかけや、新しい発見に繋がるような、そんな素晴らしい体験にしていただけたら嬉しいです。

‐ キャストの皆様と、スペシャルニーズの子供たちやご家族との間でも、温かい交流が生まれていたと伺いました。

安田一貴
そうなんです。撮影の合間にも、キャストの皆様が本当に気さくに子供たちに話しかけてくださって、それによってご家族の緊張もスッと解けていったのを感じました。
特に主演の西島さんは、ご自身のすべての撮影が終わった後も、プライベートで子供たちにわざわざ会いに来てくださったりと、今でも交流が続いています。
この作品に関わったことは、僕自身にとっても、そして子供たちにとっても、自分たちの世界が大きく広がる本当に素晴らしいきっかけになりました。本日はありがとうございました。

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

安田一貴/中島哲也監督/柴咲コウ/西島秀俊/黒木華

クロージングメッセージ

西島秀俊
本日は本当にありがとうございました。
この映画には、本当にたくさんのキャラクターが登場します。僕たちが演じたキャラクターもそうですし、スペシャルニーズを持つ子供たちが演じたキャラクターも、みんなそれぞれに強い個性と人生を持っています。
映画を観ていただければ、きっと皆様の中に『あ、このキャラクターは自分だ』『これは自分の物語だ』と、深く共感できる登場人物が必ず一人は見つかるはずです。ぜひ、そのキャラクターに寄り添い、一緒にこの映画の時間を生きてみてください。
私たちは、徹底的に『リアル』であることにこだわり、嘘のない本物の感情、リアルな現実を1つずつ積み重ねながら撮影を行ってきました。
しかし、その厳しい現実の先には、ささやかではあっても、確実に美しく温かい光が差し込みます。皆様が映画を観終わった後に、その美しい光を心に感じていただけたなら、出演者・スタッフ一同、これほど嬉しいことはありません。
ぜひ、この唯一無二の物語を心ゆくまで楽しんでいってください。本日は本当にありがとうございました!

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

柴咲コウ/西島秀俊/黒木華

映画『時には懺悔を』完成披露試写会

中島哲也監督/片岡鶴太郎/柴咲コウ/西島秀俊/黒木華/宮藤官九郎

■フォトギャラリー

[動画・写真・記事:三平准太郎]

映画『時には懺悔を』

《INTRODUCTION》
『下妻物語』 『嫌われ松子の一生』 『パコと魔法の絵本』 『告白』などで知られる中島哲也監督の8年ぶりとなる最新作 『時には懺悔を』が、8月28日(金)より全国公開となります。
その圧倒的な映像美や先鋭的な演出で、新作を発表する度に日本映画界に衝撃を与えてきた中島哲也監督が、その難しいテーマからも映像化不可能と言われた、打海文三による傑作ミステリー小説の映画化に挑んだ本作。中島監督は「観る人の気持ちを動かす映画ができるのでは」という想いをずっと抱き続けてきたという。
構想18年—当時はなかなか賛同者を得られなかったが、時代が変わった2026年、時を経て、まさに誰も観たことがない、新境地と呼べる感動傑作が誕生した。
過去に傷つき、絶望の淵に生きる大人たちが、今を必死に生きる一筋の“小さな命”に触れたとき、凍りついた大人たちの心がかつてないほど激しく揺れ動く―。
本作の主演を務めるのは、中島監督と初タッグとなる西島秀俊。家族との不和を抱えながら生きる孤独な探偵、佐竹を演じる。
そして同じく中島組に初めて参加し、西島と初共演を飾る満島ひかり、さらには黒木華、宮藤官九郎、柴咲コウ、佐藤二朗、役所広司など、日本映画界の至宝たちが、この「奇跡の物語」を届けるために集結した。

《STORY》
生きていく。たとえ神様なんていなくても——

探偵がひとり、殺された。
「死んだほうがマシな人間」と呼ばれた男・米本(佐藤二朗)。
調査することになったのは、元同僚の一匹狼・佐竹(西島秀俊)と、助手で修行中の聡子(満島ひかり)。調べを進めるうちに、二人は 9 年前に起こった新生児誘拐事件にたどり着く―。
殺された米本が死の間際に調査していたのは、9年前に失踪し今は父親の明野(宮藤官九郎)と二人で暮らす、重い障がいのある少年・新。
過去に傷つき、誰かを傷つけ、孤独に彷徨う大人たちが出会った「新」という小さな命。
家族から目を背けた男、娘に捨てられた女、子を生きる糧にした男、産んだ子を愛せなかった女。
「生きているのが奇跡」と言われたそのひとつの小さな命が、逃げ場のない現実にもがき苦しむ大人たちの心を動かしていくー。

出演:西島秀俊 満島ひかり
黒木華 宮藤官九郎
毎熊克哉 鈴木 仁 烏森まど 山﨑七海
唯野未歩子 野呂佳代 長井短 しんすけ 山下舜太 諸角優空
柴咲コウ
塚本晋也 片岡鶴太郎/佐藤二朗
役所広司
監督;中島哲也 『下妻物語』『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』『告白』『渇き。』『来る』
原作:打海文三「時には懺悔を」(角川文庫/KADOKAWA)
脚本:中島哲也 門間宣裕
制作:TIME さざなみ
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
© 2026映画『時には懺悔を』製作委員会
公式HP:https://www.tokizan.jp
公式X:@tokizan_movie
公式Instagram:@tokizan_movie

2026年8月28日(金)全国公開

映画『時には懺悔を』

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