パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』

【インタビュー】伊原六花「幕が開いたら誰にも止められないのが魅力」舞台『ヴォイツェック』

2025年9月23日に開幕する舞台『ヴォイツェック』。19世紀を代表する未完の戯曲を現代に蘇えさせる本舞台で、森田剛演じる主人公と共にヒロインを演じる伊原六花に本作への取り組みを聞いた。(読者プレゼントあり)
※作品概要とあらすじは本記事文末に記載。

伊原六花 インタビュー&撮り下ろしフォト

■「絶対やりたいです」と即決しました

‐今回、小川絵梨子さんの演出で、森田剛さんと共演される『ヴォイツェック』のお話が来た時の最初の心境をお聞かせください。
 
伊原六花(マリー役)
小川絵梨子さんの舞台は何度も客席で拝見させていただいていたので、いつかご一緒したいと願っていました。さらに、一つ前の舞台『台風23号』でもご一緒した森田剛さんが主演を務められると聞いて、「絶対やりたいです」と即決しました。
パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』

伊原六花

‐森田剛さんとの共演について、改めてどのような思いがありますか?また、この舞台から何か得たいものはありますか?
 
伊原六花
森田さんとは、以前、赤堀雅秋さんの舞台『台風23号』でご一緒しました。その時は同じシーンはそれほど多くはありませんでした。でも、稽古されている姿をずっと拝見していて、自分の意見も持ちつつも、とても真摯に、まずは演出家に言われたことを試してみるという姿勢に、すごくリスペクトを感じていました。今回、がっつりと言葉を交わしてご一緒できることがとてもありがたいです。
私自身、翻訳劇をあまり経験してこなかったので、分からないことや発見することが多い作品になるだろうと思っています。浜田信也さんなど、他の素晴らしいキャストの方々も以前から拝見していた方々とご一緒できるので、もうボロボロになる覚悟で飛び込もうと思っています。
 
‐森田剛さんの印象についてお聞かせください。
 
伊原六花
芸能人の森田剛さんとしては、とてもクールな方なのかなと思っていました。でも『台風23号』でご一緒してから、スタッフの方とすごくフレンドリーにお話されていたり、共演者の方ともどこかに出かけられていたりするのを見て印象が変わりました。クールな部分もありつつ、とてもキュートでチャーミングな方で、気さくに話しかけてくださいました。皆さんが森田さんと共演したいと思う理由や魅力はこういうことなんだろうな、と強く感じた稽古期間でした。
 
‐小川絵梨子さんにはどのような点に魅力を感じていらっしゃいますか?
 
伊原六花
私は小川さんの作品を客席から見て、いつも素敵だと思っていました。そして、多くの俳優さんたちから「小川さんとやってみたい」「やってみて素晴らしかった」という話をよく聞きます。小川さんがどのような演出をされるのか、稽古場の雰囲気なども色々聞いていますが、甘い方ではないと想像しています。それでもなお「またやってみたい」と思わせるその魅力は何なのだろう、ということを知りたいのが、ご一緒したかった一番の理由かもしれません。
小川さんは翻訳劇も得意とされており、『エンジェルス・イン・アメリカ』なども手掛けられています。今回『ヴォイツェック』で小川さんと、この素晴らしいキャストでできると決まった時はほんとうに嬉しく思いました。

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■『ヴォイツェック』も普遍的なテーマを描いている

‐台本を読まれた印象は?上演台本と翻訳台本で変更があったそうですが。
 
伊原六花
まず、翻訳台本を先に読みました。事前に変更点が多いと伝えられていたので、ざっくりと物語の全体像を理解しようと読み進め、その後に上演台本をいただいたのですが、全然違っていました。ただ、根本的なテーマやヴォイツェック(演:森田剛)の描き方には大きな変化はないと思います。主に「どういう見せ方をするか」という点が変わっていました。
翻訳台本は、割と肉体的な触れ合いの描写が非常に多く、シーンの約7割を占めていました。それはそれでダイレクトな生々しさや想像のしやすさがありましたが、翻訳台本が送られてきた時点で、小川さんからのメモで「そういう描写は一切なしにします」と先に言われていました。
小川さんの意図としては、そういった肉体的な描写がなくても、ヴォイツェックの孤独さや、身近な人や社会からの孤立といったテーマは十分に描けるだろう、というものだったそうです。翻訳台本だけを読んでいると、そのセクシャリティなシーンの多さに「どう成立させるのだろう」と思うほどでした。
その後、上演台本を読んだ時、ヴォイツェックが「いい人だから頑張らなきゃ」と自分を追い込んで、やがて狂っていく人間らしさがより一層際立っていると感じました。
マリーがどこに違和感を覚え、いつからヴォイツェックを「大丈夫かな」と思い始めたのかなど、それぞれの心情や関係性が上演台本ではよりクリアに見えやすくなったのではないかと思います。
小川さんもそこにこだわられていたのだと感じています。具体的な意図は稽古が始まってから分かると思いますが、事前に「そういうものがなくても伝わると思う」というメモをいただいていたので、それが大きなヒントになりそうです。
 
‐『ヴォイツェック』という戯曲が、現代の日本において改めて上演される意義をどのように感じていらっしゃいますか?
 
伊原六花
どの戯曲もそうだと思いますが、名作とされる作品や受け継がれ続ける作品は、普遍的なテーマが多いと思っています。愛、対立、差別といったものが根本にあり、それが時代によってコンプレックスの度合いなどが変化していくものなのかなと。
今回の『ヴォイツェック』に関しても、ヴォイツェックとマリーの2人にとっては、自分たちや子供の生活を守るために生きなければいけないのに、どんどん追い詰められていきます。
ヴォイツェックも必死であるがゆえに自分を責めていき、「母親を救えなかったんだから、今度こそは誰かを救わなきゃいけない、マリーを助けなきゃいけない」といった正義感や、自分を縛りつけているものが多すぎて、勝手にどんどんひどくなっていってしまう。もう少しやりようがあったのではないか、と思わされる瞬間がたくさんあります。
こうしたことは現代にも通じる部分がたくさんあると思います。例えば、ネット社会が大きくなり、誰かと繋がっていないと、あるいはネットで誰かの何かを見ていないと、この世界に一人ぼっちになったのではないか、という孤独感。
出来事は違っても、根本の孤独感や自分を責めてしまう、という感情は変わらないものではないかと思っています。
この舞台を観て、一気に現代社会の問題と結びつかなくても大丈夫ですが、ヴォイツェックの孤独感に「この感情は少しだけ分かるかも」と、どこかで繋がる部分があるのではないかと思います。

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■マリーの強さとコンプレックス

‐ヴォイツェックもマリーも「普通に幸せになりたい」という想いが周囲からの抑圧や2人のすれ違いによって様々なことが起こっていきますが、伊原さんはマリーというキャラクターの印象をどう捉えられていますか?そしてマリーの漠然とした不安をどう表現しようと考えていますか?
 
伊原六花
ヴォイツェックにはトラウマがあり、マリーには母親へのコンプレックスがあり、それがヴォイツェックについてきた理由にもなっていると感じています。
彼らがお互いに抱えているものと、お金がないという状況から必死に生きていく中で、それぞれが抱えているものがゆえの考え方のずれが生じていきます。
マリーは強さがある子で、ヴォイツェックとの会話を見ても、一歩下がってついていくタイプではなく、「私は虎だ」と答えるようなかっこよさと強さをヴォイツェックと並んだ時に魅力的に感じました。
そこをうまく表現しつつも、しっかりヴォイツェックのことは愛していて、これからの2人の人生をどうしていこうか、という普遍的な悩みを持って、目の前のヴォイツェックを見ています。マリーとしては、彼と子供しかいないと思うので、そこをどうにかして泥臭くてもきちんと生きようとしている姿を表現していきたいと思っています。
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‐マリーという役を演じる上で、伊原さんご自身の感情や経験とリンクするような点はありましたか?
 
伊原六花
ありませんでした。これまでは自分が経験したことや想像できる範囲で何か役作りに活かせるものがあったと思いますが、今回は違います。伝えたいテーマとしては普遍的なものですが、マリーが生きている世界、冷戦下の状況で、誰が敵で味方なのかといったことはしっかり勉強していかなければならないと感じています。
 
‐リンクする点はないとのことですが、マリーの心情で共感できる部分や、逆に理解に時間がかかりそうな部分はありますか?
 
伊原六花
マリーのような経験は私の中に当てはまるものはありませんが、マリーの気持ちは理解できます。こういう言葉を投げかけられたら、こういう感情になるだろうなと。
ヴォイツェックとの会話を見ても、割と呑気というか、2人で笑う場面が多いので、前半はとても幸せですし、それがだんだんと崩れていく苦しい気持ちもわかりますね。
ただ、ヴォイツェックがどのような加減で狂っていくのか、どこから「どうしたの?大丈夫?」となるのかは、森田さんのお芝居を見てみないと分からない部分があります。私がヴォイツェックに対する不審感、彼がどこに行ってしまったのだろうという感覚をしっかりと持って演じないと、観客はマリー側に感情移入してしまうのではないかと思っています。
アンドリュー(演:浜田信也)もマギー(演:伊勢佳世)も変わった人物なので、そういう中、割とまともに見えるのがマリーです。だからこそ、ヴォイツェックに対して「今のあなたは大丈夫?」と問いかけながら演じていくべきだと考えています。
 
‐マリー自身も、世間から認められたい、愛されたい、安心して生きていきたい、という思いがあるというイメージを受け取ったのですが、その点についてはいかがですか?
 
伊原六花
そうですね。マリーには強さもあると思いますが、母親に認められないというコンプレックスがあり、ヴォイツェックについてきた理由は、母親には認められなかったけれど自分が素敵で優しいと思う男性と一緒に新しい人生を始めようと思ったからだと思います。そういう自分を母親に見てほしかったんだと思います。
ただ、ヴォイツェックは愛というものを知っているのか分からなくなり、マリーはまた別の孤独を強く感じていくことになるんだと思います。

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■舞台の魅力×俳優として強みになること

‐以前、別のインタビューで舞台がお好きだとおっしゃっていましたが、舞台の魅力について、どのように感じていらっしゃいますか?
 
伊原六花
舞台の魅力はたくさんあります。
もともと、舞台の非日常の世界に引き込まれる感覚が好きで、赤い座席でブザーが鳴って幕が上がる瞬間が特に好きでした。
今のこのお仕事を始めてからは、様々な舞台を見る中で、作品によっては主人公に共感し、自分の人生や日々の生活を振り返るきっかけになったり、考え直すべきことを発見できる点に魅力を感じています。
誰かの人生の結果や波をもらえるような感覚で、これは本を読む理由とも共通しています。舞台を観ることで、一つの受け取り方だけでなく、もしかしたら裏があるのではとか、この人は家で大きな喧嘩をしてここにいるのかもしれないなど、他者の背景や過ごしてきた日々を想像する力が養われると感じています。これが、観客として感じる舞台の魅力です。
 
‐演じる側としては舞台のどのような点に魅力を感じますか?
 
伊原六花
演じる側としては、幕が開いたら誰にも止められないので、そこで起きる反応が魅力です。
ドラマなどでは台本を読んで想像し、現場で段取りや本番を数回行う程度ですが、舞台の稽古は1日で何度も同じシーンを繰り返し、自分のアイデアが尽きるまで毎日全てを出し切って考えていきます。
誰かからのアドバイスを受けて深掘りしていくと、これまで言葉を読んでも3段目までしか開かなかった引き出しが、稽古を通して4段目、5段目まで開くことがあります。
その時、「こんな可能性もあったんだ」と気づき、新しい台本を読む際にも「あの稽古をしたから、もっと深掘りできるかも」と思えるようになるんです。
何も出ないと思った先に何かがある、という稽古のプロセスがとても好きで、学ぶことが多い点が魅力だと感じています。
 
‐なるほど。舞台稽古のように同じことを繰り返すレッスンはお好きですか?
 
伊原六花
好きです。
稽古は学校のようなものだと思っていて、私は足りないものも多いし、知らないことも多い中で、「そうじゃない方法もあるよね」と誰かが指摘してくれる場というのはなかなかないので、特に年を重ねていくとさらにそう感じます。
舞台にはそういう瞬間がたくさんあるので、毎回「稽古って大変だな」と思うのですが、それが自分の成長に繋がっている実感があるので好きです。
だからこそ、素晴らしいキャスト、素晴らしいスタッフの方とご一緒できるように、そこに呼んでもらえるように、「こいつ何か学ぼうとしているな」と思ってもらえるような行動をしていきたいと思っています。今回、素敵な機会をいただけたので、できるもの全て吸収していこうと思っています。

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‐ダンスを長く経験されてきたことが、舞台の芝居に活きていると感じることはありますか?
 
伊原六花
不自然な動きに、しっかりと違和感を感じられるという点です。
ダンスを長く続ける中、鏡を見て自分の体を見ながら、どうしたら格好良く見えるかを常に考えてきたので、映像だけ見れば鏡がなくても同じ形はできるという感覚があります。そのことはこれまでは普通だと思っていましたが、他の方から「こういう動きをしていると思ったのに、映像で見たら全然違ってびっくりした」というような話を聞くことがあります。私にはそういうズレがあまりないので、例えば芝居中に不自然な動き、セリフに集中してご飯を食べながら話すなどの動作がちぐはぐになる時に、体の方が「こんな動きはしない」と感じられるのは、ダンスをやってきたからかなと思っています。
逆に、どう見られるかが分かってしまうので、最初は「こう見せたい」「どうにか綺麗に映りたい」と格好つけてしまうこともありました。でも、様々な舞台や演出家の方とご一緒する中で、そういうものを全く意識しない方が自然で良くなるという気づきもありました。
俳優にとって、体の使い方が分かっていることは大きな強みだと思います。ミュージカルではない劇団でもダンスレッスンがあるのは、まさにそういうことだと思います。

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■ただ面白いものに出たい

‐伊原さんは「こういう舞台に出たい」というこだわりはありますか?例えば、分かりやすいポピュラーな舞台か、今回の『ヴォイツェック』ような作家性が強い作品だとか、といった希望はありますか?
 
伊原六花
ただ面白いものに出たいというだけです。ミュージカルもストレート劇も大好きですし、現実的な物語でも、ファンタジーでも、面白いと思った作品や、ご一緒したかった演出家の方とご一緒できるのであれば、基本的には何でもやりたいです。
 
‐今回の公演は約2ヶ月半にわたりますが、この公演に限らず、普段どのように健康維持をされていますか?
 
伊原六花
舞台はルーティンになるので、健康的になれる方だと思います。ストイックに何かをしているわけではなく美味しいものを食べることですね。休日は整体に行ったりとメンテナンスはしつつ、美味しいものを食べて気分を切り替えるようにしています。
同じことを毎日続けるので、しんどい役だと気持ちが落ち込んでしまう時があるため、プライベートをきちんと分けるようにしています。好きな人と好きなものを食べるという感じです。
 
‐特に好きな食べ物は何ですか?
 
伊原六花
永遠に好きなのはサツマイモです。最近は改めて「かすうどん」にはまっています。以前、かすうどん屋さんで働いていたことがあるのですが、そこの冷凍かすうどんを作っています。

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‐最後に、今回の舞台『ヴォイツェック』を観に来てくださる方々へPRメッセージをお願いします。
 
伊原六花
この作品のストーリーや雰囲気から、難しくて怖いお話なのかな、と思われるかもしれません。でも、上演台本を読んだ時、ブラッシュアップされていて分かりやすくなっていると感じましたし、テーマとしては難しいものではないので、演出の小川絵梨子さんと、役者たちの本気を観に来ていただけたら楽しんでもらえるのではないかと思います。

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伊原六花(いはら りっか)プロフィール
1999年6月2 日生まれ、大阪府出身。
近年の主な出演作に、舞台『台風23号』ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』(24)、『夜の女たち』『海王星』『ウエスト・サイド・ストーリー』(22)、ドラマ『肝臓を奪われた妻』(24・日本テレビ)、『ブギウギ』(23-24・NHK)など。7月期のドラマ『恋愛禁止』(読売テレビ)でも主演を務める。

■伊原六花さん 直筆サイン入りチェキ読者プレゼント

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ご当選者には、XのDMにてお知らせいたします。(参考:個人情報の取扱いについて
応募締め切り:2025年10月19日(日)23時59分

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■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真:三平准太郎/ヘアメイク:瀧川里穂/スタイリスト:矢部うらら]
 
衣装クレジット
セットアップ: Mizuid/リング: colza flap
 
問合せ先
Mizuid:03-6303-2746 https://mizuid.com/

パルコ・プロデュース 2025『ヴォイツェック』

《INTRODUCTION》
ドイツの劇作家ゲオルク・ビューヒナー(1813~1837)が遺した未完の戯曲『Woyzeck』。今日まで、時代を超えて様々な形で解釈され、観客に新たな驚きと感動を与え続けてきました。
今回の脚本は、2017年にロンドンのオールド・ヴィック劇場で上演され、高い評価を集めた、ジャック・ソーンが翻案を手掛けたバージョン。
ビューヒナーの原作を現代的に解釈し、冷戦下の1981年ベルリンを舞台に、政治的緊張感と心理的・感情的な深みを強調したドラマでロンドンの観客を圧倒しました。この重厚感ある新バージョンを、日本で初めて上演いたします。
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でその名を知られる劇作家のジャック・ソーン。彼の手によって現代にアップデートされた今回の『ヴォイツェック』は、過去のトラウマと自身の心の闇と闘いながら生きるヴォイツェックの姿を通じて現代社会の様々な問題を浮き彫りにし、内面的な葛藤に直面する現代人の姿を映し出します。
本作の演出を手掛けるのは、米国アクターズスタジオ大学院演出学科を日本人で初めて卒業し、小田島雄志・翻訳戯曲賞、紀伊國屋個人賞、読売演劇大賞優秀演出家賞ほか、多くの受賞歴を持ち、2018年より新国立劇場の芸術監督を務める小川絵梨子。
主演ヴォイツェック役は、舞台『台風23号』や映画『雨の中の慾情』、『劇場版 アナウンサーたちの戦争』などに出演し、様々なフィールドでその強烈な存在感を持って観客を魅了し続ける森田剛。パルコ・プロデュース公演でも、宮本亞門演出『金閣寺』(11)、いのうえひでのり演出『鉈切り丸』(13)、行定勲演出『ブエノスアイレス午前零時』(14)、鄭義信演出『すべての四月のために』 (19)、ショーン・ホームズ演出『FORTUNE』(20)で主演を務め、様々な演出家のもと難役を演じてきた森田が、初の小川絵梨子演出作品で暗い過去に苦しみながらも愛を求めるヴォイツェック役に挑みます。
ヒロインのマリー役を演じるのは、ミュージカル『ダブリンの鐘つきカビ人間』(PARCO&CUBE produce)や舞台『台風23号』、映画『少年と犬』に出演し、7月からは主演ドラマ『恋愛禁止』の放送も控え、話題作への出演が続く伊原六花。
さらに、ヴォイツェックの母親とマギーの二役には、舞台『Bug Parade』や『て』、映画『じょっぱり-看護の人 花田ミキ』、ドラマ『未恋~かくれぼっちたち~』や連続テレビ小説『虎に翼』に出演の伊勢佳世。
ヴォイツェックの同僚アンドリュー役には、前川知大主宰の劇団イキウメに所属し、近年は、『ずれる』、『奇ッ怪  小泉八雲から聞いた話』、『Le Fils  息子』などに出演、舞台を中心に活躍する浜田信也。
大尉役に舞台『ストレンジラブ』やドラマ『コンシェルジュの水戸倉さん』、日本アカデミー賞受賞作『侍タイムスリッパー』にも出演の冨家ノリマサ。
医者役にミュージカル『イリュージョニスト』や舞台『破門フェデリコ~くたばれ!十字軍~』(パルコ・プロデュース)などに出演し、来年はミュージカル『ジキル&ハイド』が控える栗原英雄。
意欲的な作品を世に問い続ける小川絵梨子が、ニュー・アダプテーション版『ヴォイツェック』を新たな視点で読み解き、現代を照射します。豪華キャストと小川絵梨子が生み出す本作に、どうぞご期待ください。
 
《STORY》
冷戦下のベルリン。軍事占領下の緊張が渦巻く街で、イギリス人兵士ヴォイツェック(森田剛)は、幼少期のトラウマとPTSD、そして貧困の記憶に苛まれながら生きていた。
薬物投与による幻覚とフラッシュバックが彼の心を蝕み、現実と過去の境界が崩れ始める。愛する人への狂おしいほどの執着と嫉妬が、彼を予想だにしない運命へと導いていく――。
 
出演:森田剛 伊原六花 伊勢佳世 浜田信也/中上サツキ 須藤瑞己 石井舜 片岡蒼哉/冨家ノリマサ 栗原英雄
原作:ゲオルク・ビューヒナー
翻案=ジャック・ソーン
翻訳:髙田曜子
上演台本・演出:小川絵梨子
企画•製作:株式会社パルコ
 
東京公演(東京芸術劇場 プレイハウス):
  2025年9月23日(火・祝)~9月28日(日)
  2025年11月7日(金)~11月16日(日)(リターン公演) 
岡山公演(岡山芸術創造劇場 ハレノワ中劇場):
  2025年10月3日(金)〜10月5日(日) 
広島公演(広島JMSアステールプラザ 大ホール):
  2025年10月8日(水)~10月9日(木)
福岡公演(J:COM北九州芸術劇場 大ホール):
  2025年10月18日(土)~10月19日(日)
兵庫公演(兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール):
  2025年10月23日(木)〜10月26日(日)
愛知公演(穂の国とよはし芸術劇場 PLAT主ホール):
  2025年10月31日(金)〜11月2日(日)
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