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「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

のん「岡本太郎さんの作品に呼応して、可愛くて不気味なものを」「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

2025年7月29日、大阪府吹田市千里万博公園にある国立民族学博物館で開催された「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」の内覧会に、俳優で創作アーティストののんが登壇し、作品に込めたメッセージや制作背景について語った。(動画&フォト)
 
「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」について
 
本展は、大阪関西国際芸術祭実行委員会が主催する「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」の一環として開催され、2025年7月31日(木)から10月13日(月)までの期間、国立民族学博物館の特別展示館地下1階で展示される。入場には「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」のチケット、または国立民族学博物館のチケットが必要となる。
 
今回の展示は、のんがこれまで追求してきたリボンアートの集大成であり、昨年仙台パルコで開催された「怪しくて、可愛いもの。」展をさらに拡張した内容となっている。特に、岡本太郎氏の「対極主義」と呼応するかのような、「可愛くて、不気味」な世界観が表現されている点が特徴だ。

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■フォトレポート

作品コンセプトと「群れる」表現

のんは、今回の作品を通して伝えたいメッセージについて、「リボンを使ったアートを何年も追求してきたが、今回は『怪しくて可愛いもの 群れる』というサブタイトルをつけた」と説明した。続けて、「群れる」ということが最近の自身のテーマの一つになっているとし、「人間も動物も群れるという行動をするが、アートとして作られたものを群れさせると、私たちにはどういう風に見えるのかを表現したかった」と語った。
「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

のん

具体的な展示の見どころとしては、青森の祭りで使うこけし型の灯籠を新しくデザインし、10体制作したことが挙げられる。これは、こけし灯籠の職人とのコラボレーション作品であり、夏の展示であることから、夏の花や果物をモチーフにデザインされている。
のんは、「初めてこけし灯籠をデザインした時は、リボンの蝶結びとのコラボを考えたが、今回はまた違うものを持ち込み、夏を感じさせるデザインになったので、そこに注目してほしい」と述べた。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

また、代表的なシリーズである「真っ赤童子の巣」の進化についても言及した。この作品は元々、古民家の一室を埋め尽くすように配置することで、「怪しく、ちょっと不気味な可愛さ」を表現していた。しかし、今回は空間の中で「群れる」ことを表現するため、「埋め尽くすのではなく、空間の中に真っ赤童子たちをギュッとさせることで、群れている様子が浮き上がってくる」ような展示にしたという。
「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

真っ赤童子

展示場所と岡本太郎との共鳴

展示会場である国立民族学博物館(みんぱく)は、1970年大阪万博の跡地に位置しており、「太陽の塔」の地下展示室に集められた民族資料が現在の博物館の基幹資料となった場所でもある。
のんは今回が初めての来館だったと明かし、「太陽の塔も本当に感動した。目に入ったら心が惹きつけられ、通り過ぎることができない威力を放っていて、心臓にぐさっと突き刺さった」と感想を述べた。
博物館の展示についても、「めちゃくちゃ面白く、こんな貴重な資料たちが一箇所にぎゅっと集まっていて、地域や海外との歴史の繋がりを感じる展示だった」と語り、1週間かけてじっくり見たいと語るほど強い興味を示した。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

今回の展示は、民族学博物館という場所にもインスパイアされて準備されたものであり、日本の伝統工芸品とのコラボレーションが用意されている。
のんは、正面から見ると可愛らしく、背面にはリボンが「群れている」状況が怪しく見えるこけし灯籠の作品に触れ、キュレーターの仲野泰生氏は「可愛いの裏側には不気味さが」存在すると指摘している。
これは、岡本太郎氏が「可愛いと不気味さ」といった相反する要素を根幹に据えた「対極主義」の思想に通じるものがある。仲野氏は、のんのマルチな才能と今回の表現が、彼女自身の「新たな対極主義」なのかもしれないと語る。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

リボンアートの源泉:映画『Ribbon』

リボンアートの着想は、のんが監督・脚本・主演・編集を務めた映画『Ribbon』から生まれた。
この映画は、コロナ禍を舞台に、美大生である主人公が卒業制作展を中止させられた葛藤や負の感情を描いている。
のんは、「その負の感情をリボンで表現したら面白いんじゃないか」というアイデアを思いつき、シーンを制作していったという。彼女は、「重たい感情や負の感情は排除すべきではない」と考えており、「怒りや悲しみ、悔しさといった感情を、リボンという可愛いものの象徴で表現することで、その負の感情たちがいいものに見えてくるんじゃないか」という思いが込められている。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

故郷と「怪しい」「不気味」のルーツ

のんの出身地である兵庫県が「怪しい」や「不気味」といったテーマ性に影響を与えているかという質問に対し、のんは自身の出身地が山の方であり、幼少期から山で遊んだり、街灯が少なく真っ暗になる夜の静けさや暗闇に「馴染みがある」と語った。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

また、山に入ると「この先に行ったら絶対に何かがある」ような場所があったり、お寺の娘と友達になり独特の雰囲気を感じたりした経験も挙げた。さらに、熊避けの鈴を持って歩いたり、夜のジョギング中に鹿が飛び出してきたりといった生活から、「クマのように遠くから見ると可愛いけど、近くだと物騒で危ないもの。そういう「可愛いけれど危険」なものに馴染みがあるのかもしれないと自己分析した。
のんは、怪談や妖怪が好きで、岩手の「語り部さん」の話を聞いたり、妖怪について調べたりしていたことも明かした。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

最後にのんは、来場者に向けて「今回のRibbon展は民族学博物館という場所にインスパイアされて準備したものなので、Ribbon展を見た後に、博物館の展示を見ていただけると、その世界観に浸ってもらえる」とメッセージを送った。そして、「夏の暑い日々が続いていますが、この怪しく可愛いものを見て、ちょっと不気味だなと、ゾッっとしながら過ごしてもらえるんじゃないかなと思います。」と、Ribbon展への期待を語りかけた。

「のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー」内覧会

■フォトギャラリー

[動画・写真・記事:三平准太郎]
 
イベント名称:Study:大阪関西国際芸術祭 2025
展示名称:のん Ribbon展 怪しくて、可愛いもの。ー群れるー
アーティスト:のん
キュレーター:仲野泰生(京都場館長、元川崎市岡本太郎美術館学芸員)
会期:2025年7月31日(木)~10月13日(月)
展示会場:国立民族学博物館(みんぱく)(大阪府吹田市千里万博公園10-1)
(特別展地下会場で展示しています。)
(みんぱくについて https://www.minpaku.ac.jp/
協力:東京リボン
料金:有料
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケット、もしくは国立民族学博物館のチケットが必要です。
「Study:大阪関西国際芸術祭 2025」チケット購入について
ネットでの購入もしくは、みんぱくショップでの購入が可能です。
 
【「Study:⼤阪関⻄国際芸術祭 2025」とは】
Study:大阪関西国際芸術祭は、「アート×ヒト×社会の関係をStudyする芸術祭」です。
「ソーシャルインパクト」をテーマに掲げ、文化芸術による経済活性化や社会課題の可視化を目指しています。
私たちは、大阪‧関西万博を見据え、2022年より大阪を舞台に過去3回にわたり検証を重ねてきました。
万博年を迎える本年、24の国と地域‧93組のアーティストが参加し(6月8日時点)、大阪‧関西万博と大阪一帯をつなぐ役割を担う芸術祭として、万博開催期間中に展開されます。
会場は夢洲の万博会場内外に広がり、安藤忠雄設計の大阪文化館‧天保山やうめきたエリア、西成エリア、船場エリア、松原市、70年万博開催の万博記念公園内の国立民族学博物館、及び「Study×PLAS:Asia Art Fair」の会場である大阪府立国際会議場(いずれも黒川紀章建築)など、大阪を象徴する各地で展開いたします。
本芸術祭は、18カ国の大使館‧領事館等の協力や後援を頂いており、ドイツ、韓国、EU(欧州連合)などの国際機関と連携したアートプロジェクトを展開することで、グローバル規模での新たな対話と発見の場を創出します。
158カ国‧地域と9つの国際機関が参加する大阪‧関西万博開催の機会に、関西発の文化芸術を世界に向けて発信し、文化芸術による経済活性化や社会課題の可視化を目指してまいります。
※芸術祭の各章コンセプトについて: https://osaka-kansai.art/pages/program
 

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