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茶飲友達

岡本玲「感想ははひとつじゃない作品」孤独を抱えた老人と若者がいっしょに企てたものとは。映画『茶飲友達』完成披露試写会舞台挨拶

2023年1月24日、渋谷ユーロライブにて、映画『茶飲友達』完成披露試写会舞台挨拶が行われ、主演の岡本玲、そして、磯西真喜、瀧マキ、岬ミレホ、長島悠子、百元夏繪、クイン加藤、海江田眞弓、楠部知子、外山文治監督が登壇。実際に起きた高齢者売春クラブ摘発事件に着想を得た本作への想いや撮影時のエピソードなどについて語られた。

2013年10月、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された。クラブの会員数男性1000名、女性350名、最高齢は88歳。まさに超高齢化社会の日本が抱える、老人の孤独死、介護問題、おひとりさま問題などの不安が反映された事件。本作『茶飲友達』は、この事件をもとにした社会派群像劇。
高齢者専門のコールガール「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立した主人公、佐々木マナを岡本玲が演じる。

舞台挨拶レポート

舞台挨拶では、岡本玲は黒のドレス、そして、「茶飲友達(ティー・フレンド)」のティー・ガールズを演じたキャストは劇中の宣材写真の和服の装いで登壇した。

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■ワークショップオーディションと入念なリハーサル

まず最初に、本作のキャストを決めるためのワークショップオーディションについての質問があり、岡本が「5つの班に分かれてのオーディションだったんですが、2日間にわたって、外山監督が用意したテキストをみんなでひたすら読み上げていくという時間でした。大変でした(笑)」と振り返る一方、高齢者コールガール“ミチコ”を演じた瀧マキが「エチュード(即興劇)を通して、だんだんと“ミチコ”という役が見えてきて楽しかったです。」と、撮影までの役作りにおいてとても大切なことだったと明かした。

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岡本玲

さらに、撮影前のリハーサルも入念に行われたそうで、コールガール“マツコ”を演じた磯西真喜は、「シーンごとに集まってリハーサルをしましたので、現場に入るときはスッと演じることができました。」と、リハーサルを経て、共演者どうしの絆を深めていったと話した。

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磯西真喜

そして、“ハナコ”役の楠部知子も「何度か皆さんとお顔を合わせていくうちに、だんだんとティー・ガールズのメンバーとしての意識が芽生えてきたような気がしました。楽しんで演じさせていただきました。」と振り返った。

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楠部知子

■和やかだった外山組の撮影現場の雰囲気

外山組の撮影現場の感想を聞かれると、それぞれ次のように答えた。

クイン加藤(リリカ 役)
「ティー・ガールズの控室が和室でコタツもあって、さらにお蜜柑もあったりして、ほんとに我が家のように、家族のような雰囲気がありました。」

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クイン加藤

岬ミレホ(カヨ 役)
「スタッフの方々のとても細やかな心配りがありまして、たとえば、早朝のシーンでは、市橋プロデューサーさん自らが送り迎えをしていただいて、ほんとにありがたかったです。」

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岬ミレホ

長島悠子(マリコ 役)
「同年代の方がこれだけの人数集まるという現場は、これまで経験したことがなかったので、ほんとに楽しかったです。先ほどクインさんもおっしゃいましたけど、待ち時間が苦にならないどころかとても楽しい撮影現場でした。」

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長島悠子

百元夏繪(チヅコ 役)
「私は、ティー・ガールズの中で最年長だと思いますけど、若い方たちがほんとに優しくしてくださって、いろいろ助けていただいて、ほんとにひとつの家族のような現場でございました。」

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百元夏繪

■高齢者と若者の関係性

映画の軸のひとつとなっているのが、高齢者と若者の関係性。若者役として、ティー・ガールズのキャストとの共演について聞かれた岡本は、「年齢差を感じることがないくらい、みなさんほんとに優しくしてくださいました。始めは若手は身構えてたんですけど、ほんとに仲良くしてくださって、楽しかったです。撮影現場でもうるさくて怒られるくらいに(笑)それがきっと映画にも表れているなという瞬間がたくさんあります。」と振り返る。

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百元夏繪/岡本玲/クイン加藤

それを受けて外山監督は「映画のテーマはシリアスでガツンとくるものなんですけど、現場はとても朗らかでした。若者とシニアの皆さんがいろんな交流をしているのをスタッフも楽しく見ていました。」と、スクリーンにもそういったチームワークの良さが表れていると語った。

■本作が生まれた背景

外山文治監督
「出発点は今から10年前。私が2013年に発表した、吉行和子さんと宝田明さんが婚活する『燦燦 さんさん』という映画は、私としては時代の半歩先を提示できたかなと思っていたんです。でも、この作品の公開の一ヶ月前に、高齢者売春クラブが警視庁に摘発された事件の報道があり、映画よりも現実の方がはるかに先を行っているんだなと思わされました。
摘発後のシニア会員の皆さんはどうなるんだろうということに想いを馳せつつ、法に触れることはいけないことですが、自分の中の正義感が揺さぶられる大きな事件だったので、これをいつか映画化しようと思ったのが出発点でした。
それから10年経った今の時代は、シニアだけじゃなく、若者も行き詰まっている状況だと思い、コールガールグループを若者が運営する設定にして、若者の閉塞感も同時に描いた作品です。」

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外山文治監督

■今、目の前にいる人に笑っていてほしい

主人公のマナを演じるにあたって意識されたことを聞かれた岡本は、「私の中でのマナ像は、今、目の前にいる人に笑っていてほしいと思っている子で、その人に合わせたマナになるので、作品全編を通して、いろんなマナが出てくる。それは多面性があるということではなく、それがマナの生き方だと捉えて私は演じた。」と語る。
さらに、「撮影前から、クラブを運営する若手チームは気心知れた仲間になっていたいという想いがあって、撮影までの時間、LINEグループで連絡を取り合い、お互いの悩み相談をしながらコミュニケーションを取った。」と話し、撮影前の段階で言いたいことを言い合える関係性を築くことができていたことを明かした。

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そういう岡本との共演シーンが多かった磯西は、「年齢差はあるんですけど、(岡本さんは)包容力があって、そのおかげで私は自然に入っていくことができて、2人の共演シーンはぜんぜん構えることなく演じることができました。」と、年下の女優に敬意を評した。

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岡本玲/磯西真喜(前列)

その岡本について、外山監督も「これまでテレビドラマや舞台で活躍されていた方という印象が強い岡本さんですが、本作で、映画俳優の第一線に躍り出るような素晴らしいパフォーマンスを見せていただいた。映画女優・岡本玲が誕生したと思っていて、そういう作品に携われて良かったなと思う。」と、映画俳優・岡本玲の誕生に太鼓判を押した。

ここで時間となり、最後のメッセージを求められた岡本は、クラウドファンディングに参加していただた方々の支えでこの映画が完成したことの感謝と喜びを伝えると共に、「意見・感想ははひとつじゃない作品だし、ご覧になる方のタイミングでも変わってくるかもしれない。だからこそ、存在すべき作品だし、皆さんの生活の中で、誰かと話すきっかけになればいいなと願っております。」と語り、舞台挨拶は幕を閉じた。

茶飲友達

長島悠子/岬ミレホ/瀧マキ/百元夏繪/岡本玲/クイン加藤/磯西真喜/楠部知子/外山文治監督

■フォトギャラリー

[写真・記事:三平准太郎]

映画『茶飲友達』

実際にあった事件を基にした社会派フィクション!
外山文治監督(『ソワレ』)が高齢者売春クラブを舞台に描く群像劇

【あらすじ】
佐々木マナ(29)をリーダーとする若者たちは、時代を先読みした高齢者専門のコールガール「茶飲友達(ティー・フレンド)」を設立。
新聞の三行広告に「茶飲友達、募集。」と掲載し、集まってきた男達のもとへ高齢女性を派遣し利益を得ていた。マナは「世の中の保健室を作りたい。誰でも逃げ込める場所を」という思いから、一人でも多くの孤独な老人を救いたいと理想を掲げて、シニア世代の影の部分のセーフティネットの役割を担うようになっていく。
「ティー・フレンド」には多くの働き手、通称「ティー・ガール」が在籍している。介護生活に疲れた女性、ギャンブルに依存する女性、いつまでもチヤホヤされたい女性、最期を楽しんで終わりたいと願う女性……。
そんな海千山千のティー・ガールたちとの時間を様々な事情を抱えた男性顧客が買っていく。
一方、「茶飲友達」を運営する若者達もまた、出口の見えない社会のなかで閉塞感を抱えて生きていた。親との絆を信じられない女性、両親の事業失敗をきっかけに挑戦することに臆病な男性、妊娠しても子供が産めない環境に苦しむ女性。 そんなままならぬ若者や高齢者を、マナは一つに束ねて「ファミリー」と呼んで大事にしていく。
ある日、一本の電話が鳴る。
それは高齢者施設に住む老人から「茶飲友達が欲しい」という救いを求める連絡であった―――。

出演:岡本玲
磯西真喜 瀧マキ 岬ミレホ 長島悠子 百元夏繪 クイン加藤 海江田眞弓 楠部知子
海沼未羽 中山求一郎 アサヌマ理紗 鈴木武 佐野弘樹 光永聖 中村莉久 牧亮佑
渡辺哲

監督・脚本:外山文治(「ソワレ」「燦燦」「海辺の途中」「春なれや」「わさび」「此の岸のこと」)
製作:ENBUゼミナール
©2022茶飲友達フィルムパートナーズ
公式サイト:http://teafriend.jp

2023年2月4日(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

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