戸田恵梨香、永野芽郁、自分が母親になるとしたら?映画『母性』初日舞台挨拶
2022年11月23日、新宿ピカデリーにて、映画『母性』初日舞台挨拶が行われ、戸田恵梨香、永野芽郁、廣木隆一監督、ならびに原作者の湊かなえが登壇。原作者から見た戸田と永野のお芝居への想いを語った。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画
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■テキストレポート
公開初日を迎えて
-初日舞台挨拶に立たれた今のお気持ちは?
戸田恵梨香(ルミ子 役)
なにか本当にいつの間に始まったんだ?みたいな感じです。
あれよあれよとこの日が来たっていう感じがして、撮影は昨年の4月ごろなので、それからは時間が経ってるんですけど、なんかあっという間の気がしてとても不思議な感じです。私自身、この『母性』という作品を観た時に「この作品って何なんだろう?」ってすごく不思議に思ったんです。これまで自分が携わってきた作品って、自分の役を通して感情移入してしまったり、客観的に一視聴者として見ることができるんですけど、この作品は、どこの視点でも見れなくて、こんな不思議な感覚になったことはないんです。これまで取材を受けてきた中で、世代や性別によっても見方が全く異なってくる作品なんだっていうことがわかって、これから皆さんが誰に感情移入し、この作品をどういう風に受け取るのか、こんなにも興味深い作品になるとは思いませんでした。
なので、これから皆さんの声が聞けるのが本当に楽しみで仕方ないです。
永野芽郁(ルミ子の娘・清佳 役)
やっぱり無事に公開できるっていうのは、純粋に嬉しいですし、戸田さんと初めてお会いできたのがこの『母性』という作品だったので、今朝は、初めてお会いした日のこととかを思い出しながら来たんですけど、なんかとてもあっという間のような、でもちょっと時間がかかったような不思議な感覚で、他の作品を迎える時の初日とはまた違うなと思いながら過ごしています。
-そして、本作は、日刊スポーツ映画大賞の監督賞、そして報知映画賞では主演女優賞、助演女優賞、作品賞、監督賞という4部門にノミネートされていて、今年の映画賞の賞レースにおいて、映画公開前から大変話題になっています。皆さんのお芝居もそうですし、演出というところに注目が集まっているんですけれども、改めて廣木監督は、戸田さん、永野さんのお二人のどういったところを引き出されようと思って演出されていたんでしょうか?
廣木隆一監督
僕は現場では、二人の芝居を見守っているというか、見てるだけな感じでした。それが楽しくて。
2人の目線が変わるんですね。同じことをやるんですけど、少しずつ違ってたりするっていうところが結構面白かったです。それを二人はずっとやってくれるので、ずっと見ていられる芝居になってます。
「戸田恵梨香さん、永野芽郁さんのお芝居で上書きされた」
-湊さんは、ご自身の作品が今回映画化されまして、本作において、新たな発見ですとか、改めて気付いたことはありましたか?
湊かなえ(原作)
私は書いている時も映像が浮かんでいます。それで、ルミ子や清佳(さやか)の表情が、頭の中にあったはずなんですけれど、映画を見たら、「あ、この台詞はこの時、ルミ子はこんな表情で言ってたんだ、清佳はこんな顔で聞いてたんだ」というのをお二人に教えてもらったような感じがしました。2つの視点があるのに、今はルミ子、今は清佳って、テロップは出ないけれど、観ている方は、今はどっちの視点なのかが、とても自然にこのお二人のお芝居を通して入ってきたんじゃないかなと思います。みんなが「今は清佳の気持ちで、ルミ子の言葉を聞いている」とか、「今度は、ルミ子が今こういう目で見ている」というのを体感されたんじゃないかなと思って、(執筆時の私の頭の中の映像が)全部上書きされました。
あと、同じ場面で、それぞれルミ子の視点の時と、清佳から見えているルミ子のときで、涙の出方が一緒なのに表情が違うとか、すごいことだなと思いました。
-今のお話を伺っていかがですか?
戸田恵梨香
恐縮です!っていう気持ちです。
-戸田さんも原作者の方にはいっぱい聞きたいことありますよね?
戸田恵梨香
さっき、湊さんと対談させていただいたんですけど、質問が止まらなくなっちゃいました。それほど気になることがたくさんある作品だなって思います。
ただ、私は、これまで、携わった作品それぞれのその時々に、ここが反省点だなとか気づけることってめったにないんです。ある程度時間が経って、自分が成長できた時に初めて「あの時、あの芝居ってこういう風にできたんだ」って気付くんですよね。その時はいっぱいいっぱいでやってるんですけど。
でも今回、取材を受けさせていただく中で、最後に、自分の目線の時に「愛してる」って言いながら抱きしめてるシーンがありましたけど、そこの表情を間違えたなって気付いたんですよ(笑)
あのシーンは、湊さんがどういう意図で書かれたのかは分からないんですけど、あの時、大地真央さん演じる母を自分に投影すべきだったって気付いて、本当は笑顔で清佳を愛してるって抱きしめるべきだったんじゃないかなって思ったんです。
(湊さん)いかがですか?
湊かなえ(原作)
私も今、それを聞いて「あぁそうか」って教えてもらっている感じなんですけど、いつもこのルミ子の問いかけの中には、「これが正しいことなんだろうか?」とか、「今の最善の行動っていうのはどういうことなんだろう?」っていうのは全部、「自分の母親だったらどうするだろう?」「こうしたら、母は喜んでくれるんじゃないか」っていうところからきているので、大地真央さんのあの笑顔を、ルミ子が浮かべて「愛してる」っていうのも、「あ、そうか!」って思ったり。でもルミ子はやっと、「そうだ。今はこれは“愛している”なんだ」ってたどり着いた感じが映画の表情にありました。
でも、その“愛している”の奥に、私は大地真央さんが見えました。
戸田恵梨香
ありがとうございます!よろしくお願いいたします。
-永野さんの清佳(さやか)は、湊さんにはどのように写っていましたか?
湊かなえ(原作)
清佳は、高校生から大人になった時まで、しゃべっている時よりも、セリフがない時の方が、清佳が考えていることの全部を永野さんの表情で伝わってきました。セリフでこう言ってるからこうなんだじゃなく、表情で今置かれてる現状をその時代時代で表現できるって素晴らしいなと思いました。
永野芽郁
恐縮です!いやぁ嬉しいですね!
やっぱり、自分自身も難しいな、これ合ってるのかな、どうしたらいいんだろうっていうのをすごく考えながら悩みながらやっていたので、それを生み出された湊さんに少し認めてもらえた気がして安心しました。
「本気でグサッてきたのを覚えてます」
-印象に残っている、もしくは難しかったシーンは?
永野芽郁
私がルミ子さんに、「ママ手伝うよ」って言ってバケツを取る時に、「触らないで」って言われるシーンです。
このシーンの撮影は、戸田さんとの撮影がまだ2日目ぐらいの時で、まだちゃんと会話もできていなくて、まだ距離もある時だったので、本気でグサッてきたのを覚えてます(笑)
そこから、戸田さんとちゃんとお箸しよう、戸田さんの懐に入りたいって思って進んでいった日々だったなと思います。
-本作の撮影は、ドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」より前でしたしね。そういう関係性だったんですね。戸田さんはいかがでしょうか?
戸田恵梨香
ルミ子そのものが難しかったので、全部が難しかったです。
強いて言うならやっぱり火事のシーンなんかは、ルミ子の目線、清佳の目線、そして真実っていう3つの視点があったのと、火事の部分はCGなので、実際の撮影では、炎なんて一つも見えない状態でやってたので、炎が今どれくらい上がっているのか、どれくらい危機が迫っている状況なのかっていうのを全キャストが把握していなくちゃいけない。そこのテンションを合わせてやっていかなくちゃいけないっていうプラスアルファの物理的な難しさがあったので、そこはすごい印象深かったですね。
-湊さんはそのシーンの完成版をご覧になったいかがでしたか?
湊かなえ(原作)
今聞いて、炎は(撮影時には)なかったのかっていうぐらい、まさしく火事の現場の中でのお芝居に感じました。もう目に映った映像のまま受け止めていました。
もし自分が母親になるとしたら?
-『母性』という作品ですし、皆さんがどう受け取るのかというのがそれぞれの立場によっても変わってくるかなとも思うんですけれども、いろんなその親子像があったと思います。戸田さん、永野さんがこの先、もしご自身が母親になるとしたら、自分はどんな母親になりたいなと、本作を通して何かイメージが湧きましたか?
戸田恵梨香
大地真央さんを通した母を見ていて、いつでも笑顔でいるお母さんってやっぱり素敵だなって思ったんですよね。なので自分も笑顔で過ごせるために、心のゆとりを持てるようになりたいし、穏やかな家庭を築きたいなって思いました。
永野芽郁
自分が母親になるイメージはまだ全くできないんですけど、ただ、私は自分の母ととても仲が良くて、その日の出来事だったり、良いことも悪いことも全部共有できる母になりたいなとは思います。
最後にメッセージ
戸田恵梨香
この『母性』は、面白いとか、楽しいっていう作品ではないと思います。人が普通に過ごしていく中で、気づかなかったことを、ハっと気付かされるような作品で、果たしていつか自分が母親になる時、または今、母として過ごしていらっしゃる方たちが、きっと今の自分ってどうなんだろうって思い返すきっかけにもなると思います。
そして、娘の自分として、母がどう見えていた、あるいは今どう見えているんだろうっていうことや、自分自身を振り返らざるを得ない作品になってくるんじゃないかなと思います。そういうことが前を向くためのきっかけとなったら嬉しいなと思いますし、この作品が皆さんの力となれば嬉しいです。
これから公開が始まって、皆さんの感想を聞けるのを本当に楽しみにしています。今後も『母性』をよろしくお願いいたします。
■フォトギャラリー
[動画・記事:三平准太郎、写真:川尻敏晴]
映画『母性』
【INTRODUCTION】
計発行部数360万部を超え、2010年に映画興行収入38.5億円を記録した超ヒット作『告白』から12年。数々の傑作を生み出し日本中を震撼させてきたベストセラー小説家:湊かなえが「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説」とまで語った渾身の作品で、累計発行部数120万部を突破した『母性』(新潮文庫刊)が映画化し11月23日(水・祝)より全国ロードショーとなります。
ある未解決事件の語り手となる母娘を演じるのは、戸田恵梨香と永野芽郁。人気実力トップクラスの二人の女優が、繊細かつ大胆な演技で新境地を切り開く。さらに、物語に登場するひと際キャラの濃い母娘たちを、大地真央、高畑淳子、中村ゆり、山下リオが熱演。監督を務めるのは人間ドラマの名手、廣木隆一。主題歌は、日本を代表するトップシンガーJUJUが鮮やかに歌い上げる新曲「花」。先日行われた東京国際映画祭での華やかなレッドカーペットも話題となり、いよいよ公開まであとわずか!!11/23(水・祝)、母性が日本を惑わせる!
【あらすじ】
女子高生が自ら命を絶った。その真相は不明。事件は、なぜ起きたのか? 普通に見えた日常に、静かに刻み込まれた傷跡。愛せない母と、愛されたい娘。同じ時・同じ出来事を回想しているはずなのに、ふたりの話は次第に食い違っていく。
母と娘がそれぞれ語るおそるべき「秘密」—2つの告白で事件は180度逆転し、やがて衝撃の結末へ。母性に狂わされたのは母か? 娘か? この物語は、すべてを目撃する観客=【あなたの証言】で完成する。 ベストセラー作家・湊かなえの傑作ミステリー「母性」(新潮文庫刊)の映画化。
出演:戸田恵梨香 永野芽郁
三浦誠己 中村ゆり 山下リオ
高畑淳子 大地真央
監督:廣木隆一
原作:湊かなえ「母性」(新潮文庫刊)
主題歌:JUJU「花」(ソニーミュージックレーベルズ)
音楽:コトリンゴ
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2022映画「母性」製作委員会
大ヒット上映中!
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