早織「演じた役が俳優としての私を引っ張ってくれた」映画『辻占恋慕』初日舞台挨拶
2022年5月21日、新宿K’s cinemaにて、映画『辻占恋慕』初日舞台挨拶が行われ、主演の早織、そして、濱正悟、ひらく、大野大輔監督が登壇。コロナ禍で一時は中断した本作への想いを語った。
本作でメガホンを持ったのは、TAMA NEW WAVEでグランプリ他3冠に輝く実績を持つ鬼才・大野大輔監督。不器用で一筋縄ではないキャラクターたちの日常と“ジワる”人間臭さを照射し、心に刺さる台詞の数々と骨太な構成でファンを獲得し続けている。
『辻占恋慕』は、平成から令和へと変わりゆく時代を生きる“持たざる者”たちの激苦な愛と青春のラプソディだ。
早織が演じるのは、鳴かず飛ばずのシンガーソングライター、月見ゆべし。早織は本作の話が決まってからこれまで持ったことすらなかったギターの練習を始めた。
その月見ゆべしのマネージャー・信太(しんた)役は、大野監督自らが演じている。そのほか、濱正悟、元AKB48の加藤玲奈、川上なな実、ミスiD出身のひらく、福永朱梨、小竹原晋などが脇を固める。
舞台挨拶レポート
-早織さんは、何のためらいもなくこの“月見ゆべし”という役を演じようと思ったそうですが、どんなところに魅力を感じましたか?
早織(シンガーソングライター・月見ゆべし 役)
女性の登場人物で、月見ゆべしのような人を見たことがなかったのですごく刺激を受けて、これは是非演じてみたいと思いました。
そして、大野監督の書かれた台詞が、読んでてとても楽しくて、それを口にできる喜び、それを演じられる喜びを感じたということもあります。
-劇中で披露されているギターはこれまでやったことがなかったとか?
早織
そうです。最初にお話をいただいた時はギターは持ったことすらない状態でした。2019年3月頃からギターの練習を始めて、その後、2020年に入ってから、西山小雨さんが主題歌を書き下ろされることが決まったんです。でも、コロナ禍になってしまい、撮影が延期になり、他の仕事も無くなっていく中、いったん実家に帰って家業を手伝っていたんですが、その間もずっとギターの練習をしていました。この映画のことは諦めたくなくて。
朝弾いて、仕事して、昼休みに弾いて、仕事が終わった夜にまた弾いて、という生活をしていました。
私には兄がいるんですが、兄が実家に寄る度にギターを弾いている私を見て「だいじょうぶか?」と逆に心配されるほでした(笑)
なので思い返すと、“月見ゆべし”という存在が、俳優としての私を引っ張ってくれてたんだと思います。
-濱さんはかなりクセが強いキャラクターですが役作りは?
濱正悟(クセ者編曲家・一里塚鄉 役)
大野監督から参考動画をいくつかいただいてそれを参考にして、あとは現場で監督にテンションが低いと追い込まれながらも(笑)、鏡張りの支度部屋で試行錯誤していった感じです。
撮影は、前半は台本通りやってましたが、後半は大野監督とも相談しつつその場でのアドリブで、流れに身を任せてやっていた感じです。
-ひらくさんが演じられた“小宮”は“月見ゆべし”の本当の感情を信太に伝える重要なキャラクターです。表現者でもあるひらくさんから見て、信太とゆべしの関係性はどう思われますか?
ひらく(ゆべしのバイト仲間・小宮 役)
演じた“小宮”という役(小劇団で役者を目ざす自称夢追人)が自分とすごく近しい関係だったのもあって、“小宮”の視点半分、ひらくの視点半分になってしまいますが、小宮から見ると、ゆべしを信太との関係性から早く解放してあげてほしいっていう気持ちからおせっかいをしてしまいます。でも、ひらくからすると、ゆべしはある種の共闘仲間でもありますし、最後のライブハウスのシーンは羨ましいなって思ってしまいました。
最後、笑顔でライブハウスを去るシーンは、もともとの演出には無かったんですけど、現場で大野監督から「笑って出ていきましょうか」と言われてできたシーンです。
-大野監督、公開初日を迎えられたお気持ちは?
大野大輔(監督兼ゆべしのマネージャー信太 役)
公開を迎えられて一安心というのが率直な気持ちです。コロナ禍があって先が見えない状況が続いてましたから。
映画って、集団で作る創作物だと思ってますが、この作品はとりわけその想いが強くて、それほどスタッフとキャストの皆さんに支えられて完成しました。
報いがほしくて映画を作っているわけじゃないですが、でも、とりわけ早織さんにはほんとに多くのことで支えてもらったので、恩返しじゃないですけど、この作品がもっと広まっていってくれればいいなと思っています。
-「辻占恋慕」というタイトルに込めた想いは?
大野大輔
「辻占売(つじうらうり)」という職業が江戸時代にあったんですが、その辻占売の女の子が橋のふもとで恋しい人を待っているという詩歌があって、その風情がずっと印象に残っていたので、本作のタイトルに使いました。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/記事:桜小路順]
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映画『辻占恋慕』
INTRODUCTION
TAMA NEW WAVEでグランプリ他3冠に輝いた傑作「ウルフなシッシー」や YouTube ドラマから発展した怪作「アストラル・アブノーマル鈴木さん」など、不器用で一筋縄ではないキャラクターたちの日常と“ジワる”人間臭さを照射し、心に刺さる台詞の数々と骨太な構成でファンを獲得し続けている鬼才・大野大輔監督が描く、平成から令和へと変わりゆく時代を生きる“持たざる者”たちの激苦な愛と青春のラプソディ『辻占恋慕』。
鳴かず飛ばずのシンガーソングライター、月見ゆべしを演じたのは、映画やドラマ、舞台と幅広く活躍する俳優・早織。それまでギターを持ったことがなかったものの、今回の出演にあたり、劇中歌を手掛けた西山小雨のサポートを受けながら練習を重ね、撮影時には吹き替えなしで演奏できるまでに上達した。
夢を捨ててゆべしを支えるマネージャーとなる信太役には、大野大輔監督自ら出演。そのほか、濱正悟(『ナポレオンと私』「恋せぬふたり」)、元 AKB48 の加藤玲奈、川上なな実(『東京の恋人』「全裸監督」)、ミス iD出身のひらく(『恋愛依存症の女』)、福永朱梨(『本気のしるし』『彼女はひとり』)、小竹原晋(『街の上で』)などが脇を固める。
STORY
ロックデュオ「チカチーロンズ」のボーカル・信太はある日の対バンライブでギターの直也にドタキャンを食らわされる。路頭に迷う信太に救いの手を差し伸べたのはシンガーソングライターの月見ゆべしだった。
売れない、金ない、時間ない、三十路同士の二人は共鳴し、やがて信太はゆべしのマネージャー、そして恋人となる。しかしメジャーに進出させたい信太と自分のスタイルを頑なに曲げないゆべしの溝は日に日に深まっていくばかりで…。
出演:早織 大野大輔
濱正悟 加藤玲奈 川上なな実 ひらく 福永朱梨 小竹原晋 / 堀田眞三
監督・原作・脚本:大野大輔
音楽:福田裕彦
劇中歌:西山小雨 ナビ 二ノ倉らむね
制作プロダクション:Creative Hub Swimmy
製作:E&E
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
©2021 E&E
公式サイト:http://tsujiurarenbo.com
予告編
5月21日(土)新宿K’s cinemaほか全国順次公開
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