思わず恋をしてみたくなる。浜中文一×桜井日奈子Ｗ主演 浪花節シェイクスピア「富美男と夕莉子」ゲネプロ＆囲み取材会

2022年5月4日、東京・紀伊國屋ホールにて、浪花節シェイクスピア「富美男と夕莉子」ゲネプロ＆囲み取材会が行われ、Ｗ主演の浜中文一、桜井日奈子、そして脚本・演出の末満健一が登壇。本作の魅力について語った。

本作は、人気劇作家／演出家の末満健一が脚本・演出を手掛け、世界で最も有名な悲恋劇である「ロミオとジュリエット」を原案に、舞台を昭和の大阪に移した作品。大阪弁の人情味溢れるこの物語を、浜中文一 と桜井日奈子がＷ主演する。

ゲネプロ映像

約2時間の舞台から、桜井日奈子編の映像をちょっとだけお見せします

ゲネプロフォトギャラリー

物語は、紋田木弁太郎（もんたぎべんたろう）役の近藤頌利と、九羽平千代蔵（くわびらちよぞう）役の板倉チヒロによる前説からスタート。
大阪の架空の町である浪花坂で、任侠一家「紋田木もんたぎ家」の息子・富美男と、対立する「九羽平くわびら家」の娘・夕莉子が命を落とす。それは、両家の対立に起因する悲劇であった。彼らの家族、友人たちは、ふたりが交わしていた交換日記から、なぜふたりが死ななければならなかったのかを探っていく。

誰もが知るロミオとジュリエットの恋物語を描きながら、大阪弁で人情味溢れる物語へと変貌させた今作。浜中が演じる富美男も桜井が演じる夕莉子も、時に暴走し、“おバカ”なやり取りで周りをズッコケさせるが、互いに素直に気持ちをぶつけ合い、真っ直ぐに生きる姿は魅力的だ。“悲恋”というイメージとは違う力強い物語が繰り広げられる。
お笑い要素もたっぷり含まれており、シャイクスピア作品が原案とは思えないほど気楽に観れると共に、富美男と夕莉子の真っ直ぐな恋に、観る者は胸がキュンキュンとし、時には涙ぐむことも。
幕が降りたあとは、とても優しい気持ちになって帰路につくことができるだろう。

ゲネプロ後記者会見

－初日を迎えた想いは？

浜中文一（紋田木富美男／もんたぎとみお 役）
稽古始めてから２週間くらいで粗通しができていたので、ようやく初日を迎えるんだという気持ちです。
でもまだやっぱりドキドキする部分はあります。

桜井日奈子（九羽平夕莉子／くわびらゆりこ 役）
今日までみんなで世界観を作ってきて、ずっと本番を迎えるのを楽しみにしていましたし、嬉しいです。

末満健一（脚本・演出）
ベテランはもちろん若手のエネルギーもすごいですし、そのエネルギーがた楽しさとして舞台に表れているなと思います。
悲劇として有名な「ロミオとジュリエット」を原案としていますが、こんなにも元気になってこんなにも恋がしたくなるような舞台になったので、そんじょそこらのマッチングアプリには負けないと思います（笑）

■初マッチングの浜中文一と桜井日奈子

－浜中さんと桜井さんは初めてのマッチングですか？

浜中文一
初マッチングです（笑）

－お互いの印象は？

浜中文一
初めてお会いしたのが、ポスタービジュアルで抱き合う撮影をする時。僕、人見知りやし、日奈子ちゃんも人見知りやし、人見知りどおしで抱き合うのはなかなか難しいですよね（笑）
初マッチングでしっかり抱き合ってますし、パンフレットの最後で笑い合っているのも初マッチングの時です。
日奈子ちゃん、一緒に稽古をしていても面白いし、パワーもあるし、ついつい笑っちゃいます。

－可愛いですしね。

浜中文一
可愛いですね。でも、ちょいちょいボケてくるんですよね。
稽古中はマスクをしているんですけど、向き合っている時に、「今、マスクの下の口はどんなんやと思う？」って聞いてきて、「ホンマはしゃくれてんねんで」って、そんなお茶目なところもあって（笑）

桜井日奈子
言わんといてほしかった・・・（笑）
それこそポスタービジュアル撮影の時は人見知り状態でしたけど、稽古始まってからは、昨日何食べた？とか日常の話をできるようになりました。
あれ？私、今関西弁になってる？

－桜井さんは岡山出身ですもんね。

桜井日奈子
そうです。この舞台のメンバーは関西出身の方が多くて、関西弁のセリフを間違えたらすぐ教えてくれました。
関西弁をしゃべるのは心地よいです。人見知りのフィルターが一個外れる感じがします。

－浜中さんも関西弁の方がやりやすいですか？

浜中文一
本作の関西弁はちょっと昔の関西弁やったりするので、イントネーションが合っているのかわからなくなる部分はありましたね。
でもボクは標準語もいけるんで。なので、どっちでもかまわないですよ（キメ顔）

－富美男というキャラは二枚目ではないですよね？

浜中文一
何言うてるんですか！？何を堂々とボクの目の前で言うてるんですか？（笑）

（会場笑）

－でもこういう恋愛ものって普段はあんまり多くないですよね？

浜中文一
そうなんですよね。ガチガチの恋愛系はボクはちょっと恥ずかしいんですけどね。
でもこの舞台はガチガチの恋愛系じゃないけど、演じていてもキュンとしますし、恋をしたくなります。
恋って生きる原動力になるんだなって思えます。

■一目惚れってあり？なし？

－お互い、一目惚れっていうのはあり？なし？

浜中文一
昔は一目惚れすることもありましたよ。街を歩いてたらね。
（桜井に向かって）一目惚れってあると思います？

桜井日奈子
ない・・・

浜中文一
ないかぁ。ない人は絶対にないんでしょうね。
末満さんは一目惚れってあります？

末満健一
ありません。

浜中文一
ありません？
あれっ？俺だけ？
（記者の方々の中に）いませんか？

桜井日奈子
誰もいない（笑）

－誰でもいいってことですか？（笑）

浜中文一
街を歩いてたら、みんな可愛いんですよ。
昔はね。昔はそれくらい一目惚れしてました（笑）

■浪速節シェイクスピア

－本作は浪速節のシェイクスピアということですが、発想のきっかけは？

末満健一
シェイクスピアのお芝居はテンション高くしゃべるので、関西の、特に南の方のテンションに合いそうだなって思ったんです。
でも今にしてみれば、シェイクスピアに怒られないかな？って（苦笑）
シェイクスピア作品が好きな方が本作を観て、どう思われるのかというのはとても気になります。

－「富美男と夕莉子」という名前はすぐに思いついたんですか？

末満健一
20種類くらい考えました。それこそそのまま「ロミ男とジュリ江」とか。でもそれはちょっと気持ち悪いなって思って、語感が心地よく感じる名前を考えるようにして、最終的にこれになりました。ちょっと間抜けな感じがある方がいいかなと。

■とてもエネルギッシュな舞台になった

－先ほど、浜中さんが２週間くらいで粗通しできたとおっしゃってましたが、これだけの量の舞台がよくそれだけの短期間でまとまりましたね。

浜中文一
まとまってはないですよ（笑）
必死にやってて、（今日のゲネプロでも）うまくいかなかったこともありますし、めちゃめちゃ噛みまくったりしましたけど、なんとか最初から最後まで通せたという感じですね。

末満健一
（稽古中）先輩方が頑なに台本を持とうとしないので、若手も台本を持ちづらくなってしまったせいか、１、２週間で通せるようになりました。
でもそれがとてもエネルギッシュで、そのまま本番舞台にも活かされて、とてもおもしろいものになったなと思います。

■「キュンキュンしながら見てます」

－浜中くんはひとりでもボケてツッコめると思うんですが、桜井さんはいかがでしたか？

桜井日奈子
現場で学びました。浜中くんが飄々とされていて、フっとボケるみたいなところがあって、そこはとても勉強になりました。
関西の人という括りだけじゃかいかもしれませんが、恥ずかしい時にふざけるというマインドがあればいけるかなと思ってやってました。

－今回そこが桜井さんのキュートさとして舞台に表れていましたが、浜中さんから見ていかがでしたか？

浜中文一
（日奈子ちゃんは）ふだんからボケたりするんで、そういうところは元々持っていたりするんだと思いますよ。
芸人さんの動画もよく見ているようだし。

桜井日奈子
はい、シソンヌさんが好きでよく見ています。

－末満さんから見て、お二人のやりとりはいかがでしたか？

末満健一
お二人の作品はぜんぶを見てるわけじゃないですが、僕からすると、最高の浜中くんで、最高の桜井さんなので、もらったな！という気持ちです。
この二人はとても鮮度が高いお芝居をされるので、自分で書いて自分で演出しているお芝居ですけど、キュンキュンしながら見てます。

■最後にメッセージ

浜中文一
難しいお芝居じゃないので、普段お芝居を見る機会が無い方も、気負わずに観にきていただいて、ちょっと恋を始めてみようかな？って思っていただけるように頑張ります！皆さん、楽しんでください！

桜井日奈子
「ロミオとジュリエット」が原案なので、若い二人の恋愛なんでしょ？って思っている方も多いかもしれません。もちろん、一生懸命、本気で恋をしているというのは変わらず、でも、本気でふざけている舞台になっています。笑いたい方、是非いらしてください。楽しい舞台をお届けできると思います。

末満健一
シェイクスピアと言えば難しいんじゃないのかなとか、「ロミオとジュリエット」のような悲劇なの？と思われるかもしれませんが、できあがってみれば、こんなに優しい世界も昨今、なかなかお目にかかれないような舞台になっています。世界一優しいシェイクスピア作品になっているんじゃないかなと思います。でも、不思議とシェイクスピアの世界観も伝わるようにもなっていますので、シェイクスピアを知っている人も知らない人も是非お楽しみにいただけたらなと思います。

■会見フォトギャラリー

[写真・動画・記事：桜小路順]
撮影データ：Nikon Z9／Z6II

浪花節シェイクスピア「富美男と夕莉子」

あらすじ
時代は昭和。大阪の架空都市である浪花坂にて。
任侠一家の「門田木家」の息子・富美男と、対立する「喜矢平家」の娘・夕莉子が命を落とす。
門田木と喜矢平の対立に起因する悲劇であった。
彼らの友人たちは、ふたりが交わしていた交換日記から、なぜふたりが死ななければならなかったのかを探っていくこととなる。たった五日間の恋が、果たして本当にふたりの男女を死に至らしめるのだろうか。
交換日記を通じた友人たちの回顧は、やがてふたりが出会った夏祭りの夜まで遡っていく。
富美男と夕莉子、ふたりが如何にして出会い、愛しあい、死ななければならなかったのかを知るために。

原案：ウィリアム・シェイクスピア「ロミオとジュリエット」より
脚本・演出：末満健一
出演：浜中文一、桜井日奈子、松島庄汰、近藤頌利、板倉チヒロ、幸田尚子、緒方晋、高木稟、明星真由美、オクイシュージ 他

東京公演：2022年5月4日(水・祝)～17日(火)　東京・紀伊國屋ホール
大阪公演：2022年5月29日(日)～30日(月)　大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※チケットなど詳細は下記公式サイトまで。
公式サイト：https://www.mmj-pro.co.jp/tomiyuri2022
公式Twitter：@tomiyuri2022