瀬戸康史「河合優実さんはすべてを見透かしているよう」映画『愛なのに』公開記念舞台挨拶
2022年2月26日、池袋HUMAXシネマズにて、映画『愛なのに』公開記念舞台挨拶が行われ、主演の瀬戸康史、そして河合優実、城定秀夫監督が登壇した。
本作は、監督:城定秀夫×脚本:今泉力哉という邦画界を牽引する強力タッグで贈る、優しさとユーモアに満ちたR15+ラブストーリー。
主演の瀬戸康史は、古本屋店主・多田浩司を。そしてその多田に突然求婚する女子高生・岬役を話題作への出演が相次ぐ河合優実が演じている。
舞台挨拶レポート
■演じたキャラクターについて
-瀬戸さんは多田というキャラクターをどう捉えていらっしゃいますか?
瀬戸康史(主演・多田浩司 役)
平和主義者です。あんまり争いごとが好きではなくて、平凡な日常を、毎日送っている人。
だから急に岬ちゃんが来たときはかなり動揺したと思います。でも、彼はなかなか顔に気持ちが出ない人でもあるので、そこが演じていて難しかったです。
それでも観る人に伝えなきゃいけないところがあるので。そこをどうやっていこうかなっていうのが悩みどころでした。
-冷静なようで、内面の岬が現れての感情表現は見事だと思います。
瀬戸康史
ありがとうございます。
-その波風立てた岬ちゃんを演じてみて河合さんはいかがでしたか?
河合優実(岬 役)
作品全体として大人の屈折した恋愛模様が描かれている中で、本当に純粋な存在、一番まっすぐな存在の象徴とが岬だと思いました。やってることはすごくおかしいんですけど、一番真っ直ぐで真っ当な立ち位置だったのかなと思います。
-岬から見えてる世界の中で一番素敵な人を見つけたぞという、その感覚について、河合さんの高校時代を振り返ってみて比べるといかがですか?
河合優実
私の高校時代との共通点は無いです(笑)
完成した作品を見ると、岬が一途に多田さんをただ想い続けるっていうところを俯瞰しているようにも見えて、こんなにアプローチしてるけど、それがこの映画で描いているその後もずっとこれが続いていくのかっていったらそうのようには私は思えなくて。どこか一歩引きながら、結婚してくださいとか言っちゃってる感じがするなと思いました。
-岬が別の世界を見たら別の人を見つけるなってことですか?
河合優実
そうですね。それに半分ぐらい自分で気づいてるような人に見えました。
瀬戸康史
すごい寂しくなりました(笑)
河合優実
すいません(笑)でも嬉しかったです。心からの笑顔で。
-多田という男について、河合さんのところにはどういった感想が届いていますか?印象に残ったものを教えてください。
河合優実
人にって、多田の捉え方と岬の捉え方がすごく違いました。
多田さんと岬の終わり方を、「ハッピーエンドで良かったですね」って言ってくださる方もいるし、「多田は本当にひどいやつですよね。」という方もいる。
瀬戸康史
ひどいやつ…それも言い換えれば平和主義者が良くない方向に出ているからかもしれません。人生って、ちゃんと区切りつけないと駄目なところもあるじゃないですか。でも多田さんは、岬ちゃんをキープするような感じですかね。
河合優実
そうなんですよ。
瀬戸康史
駄目ですね。
-この人をキープしたなと私が思ったのが、多田が急にタメ口で話し出すんですよね。その瞬間に、あぁ、なるほどこれちょっと立ち位置変わったんだっていうのが。
瀬戸康史
多田の中でね。
河合優実
無意識にそうしてますよね。それをわざと今からタメ口使おうみたいなあざとさはない人だと思うんです。
瀬戸康史
そうだと思います。
-一方で、一花(いちか)に対しての一途な思いもまだ持ってるじゃないですか。その辺りの未練たっぷりの男性の姿っていうのは共感できるところはありましたか?
瀬戸康史
共感できなくはないです。でも僕はわりと、いろんなことをなかったことにできるというか、切り替えられる人間なので、うーんっていう感じはします。だからそういうところも、彼のよくないところですよね。でもそこがとても人間らしくてかわいいですね。
ところで今日は、多田の文句会ですか?(笑)
城定秀夫監督
そう、なんで多田ばかり責められてるんだろうって(笑)
岬はこの状況を楽しんでる感じもある。この恋がいつまで続くかわかんないけど、今、この気持を楽しもうみたいな。そういったことで、多田の優柔不断さをも、弄んでいるような小悪魔的な感じを受けました。
河合優実
今度は私が責められていますね(笑)
■城定秀夫×今泉力哉
-城定監督は、今回今泉監督とのプログラムピクチャーということで、まず企画の話を聞いたときはいかがでした?
城定秀夫監督
今泉力哉さんという天才で人気もある監督と一緒なんて「ちょっと嘘だろ?」と思いましたが、「今泉さんがいいっていうなら僕はぜひやります。」と言いました。
■河合さんは全部を見透かしているよう
-瀬戸さんと河合さんは共演されていかがでしたか?
瀬戸康史
河合さんはめちゃくちゃ冷静だなって思いました。全部を見透かされているようで怖かったです(笑)
河合優実
えっ!?怖かったですか?
城定秀夫監督
見透かされている感はありますよね。
河合優実
え~っ!!
見透かしてはないです。あんまりなんにも考えていないです。
瀬戸康史
(笑)
-逆に河合さんは瀬戸さんについては?
河合優実
怖くなかったです(笑)
瀬戸さんに決まったっていうお話を聞いた時、とても意外だなと思いました。多田みたいな生活感がある、隅っこで暮らしてるような人のイメージが全くなかったからです。
本読みでお会いしてもかっこいいなと思って(笑)でも撮影に入ってからは、レジの中に座ってる多田さんがすごく目に焼き付いてるし、どんどん馴染んでいるのを感じました。ですので、短い撮影時間の中でしたが、とても濃い時間でしたし、やりやすかったです。
■絡みシーン初体験の瀬戸康史
-瀬戸さんと河合さんは城定監督らしい演出と思ったことはありましたか?
瀬戸康史
濡れ場のシーンは、城定さんと助監督のお二人が自ら体を張って、裸になって演出してくださったんで、こちらとしてはとても気合が入りました。
城定秀夫監督
瀬戸さんが初めてだっていうので、こちらも初心に帰って(笑)
瀬戸康史
ありがとうございます(笑)
-瀬戸さんは絡みのシーンは初めてだったんですね?
瀬戸康史
はい。でも城定さんのおかげで恥ずかしさはなくなって、表現のひとつとして考えられました。
-河合さんはいかがですか?
河合優実
初めてご一緒したので、城定さんらしさというところはわからなかったんですけど、事前に決まりきっていないのに撮影のテンポが速くて、監督自らカメラの位置に立って動いていた姿がとても印象的です。
城定秀夫監督
皆そうしないのかな?(笑)
そんなに大きな現場やってきてないので、そういうクセがついてるのかもしれません。ただ、事前に決めすぎてもその通りにならないことが多いので、ちょっと余白を残しておいて、役者さんの動きに対応できるようにしたいと思っています。この照明の中で動いてくれとか、そういう不自由させちゃうっていうのが嫌なんです。
■『猫が逃げた』
-3月18日公開の今泉監督の『猫が逃げた』にも瀬戸さんはご出演されてますよね?
瀬戸康史
声の出演しております。どういった役柄かはご覧になって探してもらえれば嬉しいです。
■最後にメッセージ
河合優実
今日観ていただいて感じたことで、もし人に話したいことがあれば、誰かに伝えてもらって、広がっていくととても嬉しいなと思います。今日は本当にありがとうございました。
瀬戸康史
舞台上で我々がこうやって話してるように、何かいろんなことが想像できて、いろんな人の意見や感想を知りたいな思う作品なので、SNS等にいろいろ感想など書いていただけると嬉しいです。
この『愛なのに』と『猫が逃げた』、そして『コンフィデンスマンJP』をどうぞよろしくお願いします(笑)
-ありがとうございます。河合さんは、また城定監督作品『女子高生に殺されたい』がありますからね。そちらもよろしくお願いします。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/記事:桜小路順]
映画『愛なのに』
【監督:城定秀夫×脚本:今泉力哉】
邦画界を牽引する強力タッグで贈る、優しさとユーモアに満ちたR15+ラブストーリー!
女子高生の求婚、憧れの女性の結婚―――。
古本屋店主・多田浩司の受難と真っ直ぐで厄介な愛情の日々。
INTRODUCTION
監督:城定秀夫×脚本:今泉力哉による本作は、古本屋の店主と、店主に求婚する女子高生、店主の憧れの女性とその夫など、一方通行の恋愛が交差し二転三転する先の読めないラブコメディ。
古本屋店主・多田浩司を演じるのは、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍中の瀬戸康史。多田の憧れの女性・一花(いっか)役は、ロックバンド・ゲスの極み乙女。のドラマーで、最近は女優としても活動の幅を広げるさとうほなみ。
多田に突然求婚する女子高生・岬役に、話題作への出演が相次ぐ河合優実ほか、中島歩、向里祐香、丈太郎が集結。不器用ながらもまっすぐに思いを伝える人たちの切実さとおかしみが、城定・今泉両監督の持ち味とも言える優しさとユーモアを携えた視点ですくいとられていく。
STORY
古本屋の店主・多田(瀬戸康史)は、昔のバイト仲間、一花(さとうほなみ)のことが忘れられない。その古本屋には、女子高生・岬(河合優実)が通い、多田に一途に求婚してくる。
一方、亮介(中島歩)と婚約中の一花。結婚式の準備に追われる彼女は、亮介とウェディングプランナーの美樹(向里祐香)が男女の関係になっていることを知らずにいて…。
出演:瀬戸康史 さとうほなみ 河合優実 中島歩 向里祐香 丈太郎 毎熊克哉 オセロ(猫)
監督:城定秀夫|脚本:今泉力哉 城定秀夫
製作:與田尚志・久保和明・直井卓俊
エグゼクティブプロデューサー:佐藤現|プロデューサー:久保和明
企画:直井卓俊
主題歌:みらん「低い飛行機」(作詞・作曲:みらん/プロデューサー:曽我部恵一)NOTT・felicity・P-VINE RECORDS
製作幹事:東映ビデオ
制作プロダクション:レオーネ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
製作:2021『愛なのに』フィルムパートナーズ(東映ビデオ・レオーネ・SPOTTED PRODUCTIONS)
©2021『愛なのに』フィルムパートナーズ
公式サイト:http://lr15-movie.com
全国順次公開中
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