「映画を見ていただいた方が応援したくなるような主人公」劇場アニメ『フラ・フラダンス』観客Q&A
11月6日、劇場アニメ『フラ・フラダンス』が東京・TOHOシネマズシャンテで上映され、総監督の水島精二がティーチインイベントに登壇した。第34回東京国際映画祭のジャパニーズ・アニメーション部門の特集「2021年、主人公の背負うもの」として。
『フラ・フラダンス』は、福島県いわき市を舞台に新人フラガールたちの成長を描くオリジナル作品。東日本大震災から10年という節目に、被災した東北を舞台にしたアニメを製作するプロジェクトの作品のひとつ。CVとして、福原遥、美山加恋、山田裕貴、ディーン・フジオカらが出演している。
質疑応答
-今回のお話の中で、夏凪日羽(なつなぎ・ひわ)という主人公に、水島総監督が託したものはどういうものでしょうか?
水島精二総監督
日羽は主人公としては物語を引っ張るようなタイプでは決してないんです。今回映画を見ていただいた方が応援したくなるような主人公であり、不安さみたいなものを抱えているどこにでもいるキャラクターであることが一つ重要だと思いました。
その中で東北の人たちに寄り添えるような強さも弱さもあるキャラクターの描き方・造形ってどういうものだろうかと考えました。それが日羽のキャラクターに着地しました。アニメならではの表現もあるんですけど、等身大であることをとにかく強く意識しました。
-水島監督自身、映画の中でここをうまく描けてよかったというシーンはどこでしょうか?
水島精二総監督
日羽にまつわるところは、自分自身でも描きたかった形で描けているなと思っています。最初の学校に登校していくところであるとか、高校の同級生とカフェに行って喋っている所とか、ダンサー以外と描写した時に、日羽はどういう子であるかということをそこでみせなければいけないと思いました。そのコントラストをうまく作れたと思っています。
■会場の皆さんからの質問
質問1
東北への応援プロジェクトの作品として、多くの人達に観てもらい現地にも興味をもらう目的もある映画だと思っています。スパリゾートハワイアンズをはじめ、多くの施設や看板が劇中に登場しますが、現地からの依頼や協力だったり、制作側がロケハンをして決めたのか教えて下さい。また、質問ではありませんが、聖地巡礼を促進するアプリの開発があると嬉しいと考えています。
水島精二総監督
取材のときに、いわき市の方やフィルムコミッションの方に、どこか場所的に映える所があるかといったことは事前に聴いた経緯があります。
ただ、実際にいろいろ回った結果、シナハンをやった吉田さんと僕がここかなって言って決めています。なので、市の方から要請があったとかは無く、むしろ喜んでいただけたようです。
本当はもっと、このシーンはここでやってみたいといったアイデアを持っていたんです。ただ、それをやるとご当地巡りのようになってしまうから、むしろ少し抑えたくらいです。なので、製作で一番きちっとフィルムに置いて力になるところを選ばせてもらいました。
アプリに関しては、僕じゃなくて、宣伝とか諸々の人に、いま声が届いたと思うので、うまくいったら届いた。うまく行かなかったら残念だったなと思ってください。
ただ、いろんな形で、映画で取り扱った場所はここですよといった発信をしますので確認してください。
質問2
日羽のハンガーにまつわる失敗のシーンのエピソードはどのような引き出しの中からこのようなシーンが生まれたのかを教えて下さい。
水島精二総監督
あれは過去に本当にあったことだそうです。ハンガーがついたままステージに出てしまった失敗談というのは、ロケハンの時に取材で知ったことです。ただそれを映画的に膨らまして撮ったら、高く上がってしまったところはあります。劇中の失敗談もロケハンの成果です。
映画『フラ・フラダンス』
福原 遥
美山加恋 富田望生 前田佳織里 陶山恵実里
早見沙織 相沢梨紗 上坂すみれ 東山奈央
三木眞一郎 中村繪里子 奥野香耶 本泉莉奈 木村 昴
山田裕貴 / ディーン・フジオカ
総監督:水島精二 監督:綿田慎也 脚本:吉田玲子
キャラクターデザイン:やぐちひろこ 音楽:大島ミチル 制作:BN Pictures
主題歌:「サンフラワー」フィロソフィーのダンス(ソニー・ミュージックレーベルズ)
©BNP, FUJITV/おしゃれサロンなつなぎ
公式サイト:https://hula-fulladance.com/
本予告
12月3日全国公開
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