ムロツヨシ「愛はフレミングの法則じゃない」映画『マイ・ダディ』公開後記念舞台挨拶
2021年10月23日、池袋HUMAXシネマズにて映画『マイ・ダディ』公開後記念舞台挨拶が行われ、映画初主演となるムロツヨシ、奈緒、毎熊克哉、金井純一監督が登壇。MCは同作出演の永野宗典が務めた。(動画&フォトギャラリー)
9月23日の公開初日の時は、緊急時代宣言下で映画館の客入れは50%制限があり、悔しさも滲ませたムロツヨシ。公開1か月を迎え、まだまだ絶賛公開中の本作が、この日100%、本当の満席の観客を迎えたことに、ムロツヨシらキャストが万感の想いを語った。
本作は、監督・共同脚本を務める映像作家の金井純一が2016年に開催された第2回TCPにおいて、総応募数422作品の中から準グランプリを受賞した企画の映画化。ムロツヨシは、本作の台本に出会って2時間後に「この世界にいたい。この人(一男)になりたい」と出演を即決した。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画
舞台挨拶トークノーカット動画です。また、舞台挨拶前の永野宗典による愉快な前説も終盤におまけ映像として収録。
■公開後1ヶ月後に100%満席に。
冒頭の挨拶で、満席の会場を見渡す登壇者たちは涙ぐむ姿も。「泣きそう!」「感動!」と満面の笑みを浮かべていた。
舞台挨拶の会場となった池袋HUMAXシネマズで映写のバイトをしていたという金井監督は「まさか、舞台の上からこの光景を見る日が来るとは……」とコメントし「もう少しで泣きそうですが、緊張しすぎると涙って出ないものですね」と語り、会場の笑いを誘った。
本作のイベントのたびに「(スタッフ・キャストに)満席の(光景を)見せてあげたい」と言い続けてきたムロは、「公開後1ヶ月経過したタイミングで、(監督にも)満席を見ていただくことができました。本当におめでとうございます。過去の自分が後ろの映写室からも見ていますよ」と監督にお礼と応援の言葉を贈ると、会場は大きな拍手に包まれた。
トークセッションのコーナーに入る前に、MC永野が「トークセッションは8分です」と告知すると、ムロは「コーナー開始前に尺を発表する、すごい司会者が出てきた!」と大笑い。
続けてムロは「満席にこだわってきた本作ですが、僕は、劇場を満席にする難しさを痛いほど分かっています。過去には16人でやった芝居に8人しか観客がいなかったこともありました」と自身のほろ苦い経験を明かし、会場を満席にすることの難しさと同時に改めてよろこびを噛み締めている様子だった。
さらに「本音を言えば、このタイミングでの公開だったら、どんな光景を見られたのだろうという気持ちは正直あります。でも、そう思っている作品は他にもたくさんあるわけで、公開1ヶ月後のこのタイミングでもこの光景を見させてくれた皆さん、本当にありがとうございます」とお礼を伝え、深々とお辞儀した。
■オセロ?のようなベッドシーン
ストリートミュージシャンのヒロ役については「クズ男」という感想が多く届いている本作。
演じた毎熊は「満席はうれしいなと思いつつ、(舞台挨拶中に)紙コップやペットボトルが飛んでこないかドキドキしていました」と苦笑い。
これまでも何度かクズ男を演じてきたという毎熊は「絶対にみんなに嫌われるどう見てもクズですが、こういう役を演じるのは結構好きです。役を愛して楽しく演じました」と撮影を振り返っていた。
ここでMC永野が「毎熊さんのベッドシーンが好き!」といきなりの告白。「黒光りした肌ツヤがほんとにセクシーなんですよ!」と大絶賛。
それに毎熊が「確かに黒いんですけど、奈緒さんが白いから目立って黒いんです(笑)」と答えると、永野は「なるほどオセロ的な」と反応。
それに対してムロが「ベッドシーンをオセロで例えないでよ!」とツッコミ。
続けてムロは、「毎熊さんが、注文を聞いて“あいよ”と立つシーンの背中のカットが好きです」とお気に入りの“毎熊シーン”を明かす。
このやりとりを聞いていた金井監督は「毎熊さんは、歌もうまくて、ピアノも自分で弾いています。一番はそこに触れてほしかったです。いきなりベッドシーンって……(笑)」と少し残念そうにしながらも、毎熊の演技を絶賛していた。
演奏シーンでは毎熊が「もう一回やりてーなー」とつぶやいてたそう。それが、演技なのか毎熊自身の気持ちなのか分からなかったが「ヒロっぽくて、すごく良かった」と明かした金井監督。
「練習は暖かい部屋でやっていたのに、本番は外で寒かったので、心の声が漏れちゃったのかも」と毎熊が説明すると、奈緒が「でも、そういう自然な言葉と、演奏とのギャップに江津子は惹かれたのかも」と語り、金井監督と毎熊も納得という様子で頷く。
そんな3人のやりとりを見たムロが「3人だけで納得するのやめて!」と嫉妬する表情を見せると、会場は笑い声と応援?!の拍手に包まれた。
■「愛はフレミングの法則じゃない」
ヒロのパフォーマンスを恋する瞳で見つめていたが、ムロ演じる一男と結婚することになる江津子。
演じた奈緒のいろいろな表情が見られたとよろこぶMC永野は「奈緒さんは愛したい派?愛されたい派?」と質問。
これに対し奈緒は「愛したいと思ってずっと生きてきたけれど、愛したい、愛されたいではなく、そこに愛があればいいのかなと思うようになりました」と回答。
ムロは「深い!この回答は深いです。矢印の方向、ベクトルの問題ではなく、そこに愛があればいいわけよ。」と奈緒の回答に感動している様子だった。
それに対して、MC永野が左手でフレミングの法則のポーズをして「愛は矢印じゃない?」と反応すると、ムロが「フレミングの法則じゃない!愛し合ってる2人の間に“愛”があればいいってことね」と解説。奈緒が「はい!」と頷いた。
■お客様からのQ&A
ここからは会場に来たお客さんから事前に記入してもらった質問に答えるQ&Aコーナーへ。
「一番好きなシーンは?」という質問に毎熊が「そうですね」とまさかのマイクを忘れて話し出し、天然っぷりを発揮。
すかさずムロが「そういうところだよ!好感!!」とジェラシーいっぱいに反応していた。
そんな毎熊のお気に入りシーンは「(ひかりの)彼氏が病室で喜んでくれるところ」を挙げ、「演技を超えている気がしましたし、心を持っていかれました」と解説していた。
ムロも「僕もあのシーン、好きって言おうと思ってた!」とお気に入りシーンが同じであることが明らかとなった。
金井監督は「一男がクリスマスに説教するシーン」とし、ムロのNGが多かったシーンであったと振り返り、「NGの理由について、後からムロさんに聞いたのですが、リアルな一男の心情を出すためだったそうです。すごく嬉しい気持ちになりました」とムロの役へのアプローチについて触れた。
どのシーンも江津子目線で観てしまうという奈緒は「一男がイースターエッグを割ってしまうシーンです。一男のいろんな気持ちが伝わる一瞬だと思いました」と感想を伝えた。
▼悲しいことがあっても悲観しすぎない
「キャラクターとの共通点は?」という質問にムロは「何か悲観的なことがあっても悲観しすぎないところ。“できることがあるはず”と探そうとするところ、状況を受け入れるスピードが似ていると思います。ポスターにあるキャッチコピー“運命なんか認めない!”は、舞台のとき、僕もよく言っているセリフです」と微笑んだ。
自分のことをクズだと思っているという毎熊は「何もない男であるヒロが唯一手に入れた幸せ、それだけはなんとかして持って帰りたいという気持ちがあふれるシーン。あのときの彼の気持ちは分かるなと思いました」と回答。
奈緒は「1人じゃなくて、何か守るものがあったほうが強くなれるところ」とし、「大切な存在ができたから、強くなれるというのは演じていて共感できました。あと“クズ!”って叫ぶところは自分でも言ってみたいと思っていました。普段、プロレス観戦に行くのですが、そのときと同じスッキリとした感覚が味わえました」と笑顔を浮かべていた。
■「少しずつ日常が戻って、僕たちが皆さんにとっての娯楽のひとつになれたら嬉しいです」
締めの挨拶で、金井監督は「あたたかく見守っていただき、満席の場に立たせていただいて、幸せです。引き続き、この作品を愛してください」と呼びかけた。
ムロは「満席の状態で映画を披露できる機会になりました。いろいろなことに気をつけなければいけない時期は、まだまだ続くと思いますが、“追いダディ”してください。知り合いにも、そして、この人知り合いかな? というレベルの人までクチコミをしてください。そして、今日この時間からも素敵な時間を過ごしてください。無理してでも楽しい時間を過ごしてください。そういう時間を過ごせる娯楽のひとつになれたら、と願いながら映画、舞台、ライブなどさまざまな形でみなさんに(エンタメを)お届けしていきます。少しずつ日常が戻って、僕たちが皆さんにとっての娯楽のひとつになれたら嬉しいです。本日は本当にありがとうございました!」と短い時間に想いをたっぷりと詰め込んで“満席”の舞台挨拶を締めくくった。
■フォトギャラリー
[写真:金田一元/動画・記事:桜小路順]
関連動画
映画『マイ・ダディ』
イントロダクション
「確かめようのない過去、それでもひかりを求文いたい。」
小さな教会の牧師・御堂一男は、中学生の娘。ひかりと2人暮らし。妻は8年前に他界した。ガソリンスタンドのアルバイトを掛け持ちしながら、決して裕福とはいえずとも、ひかりと2人、穏やかで幸せな日々を過ごす一男。だがある日、ひかりが自血病で倒れた。動揺する一男に追い打ちをかけるように、衝撃の事実が発覚する――。
主人公・一男を演じるのは、意外なことに本作が映画初主演となるムロツヨシ。コメディからシリアスまで硬軟自在の人気俳優にして、舞台「muro式.」を自らプロデュースするなど多才ぶりを発揮するムロツ∃シが、台本に出会って2時間後に「この世界にいたい。この人(一男)になりたい」と出演を即決。奇しくも今年はムロツヨシにとって、“役者人生25年目”のメモリアルイヤー。コロナ禍で一度は撮影延期を余儀なくされたが、昨年12月に万全の防疫体制で撮影し無事完成した本作。役者=ムロツ∃シの新たな魅力が、この映画に収められている。
ひかり役にはオーデイションの中から選ばれた、新星・中田乃愛。撮影時は17歳で、本格的な演技は本作が初。いきなりの大役にして自分の運命に懸命に向き合う娘という難役を堂々と演じ切り、スクリーンに鮮烈な印象を残す。
一男の妻・江津子を演じるのは、奈緒。女優として、母親を演じるのがひとつの目標だったという言葉の通り、一男と出会い、ひかりを授かるも、とある事実に気づいた矢先に他界してしまった女性役に体当たりで挑んだ。
共演は毎熊克哉、臼田あさ美、永野宗典、徳井健太(平成ノプシヨプシ)、光石研という実力派がズラリ。誰もが応援せずにはいられない父娘を頼しく支えている。
本企画は、映像クリエイター支援プログラム「TSUTAYA CREATOR’S PROGRAM」の2016年準グランプリ受賞企画『ファイディング・ダディ(仮)』が、正式タイトル『マイ・ダデイ』として映画化されたもの。監督・共同脚本は『ファイディング・ダデイ』を企画した金井純―。2020年、あいみょんが製作したDISH//の楽曲「猫」をベースにした、ドラマ「猫」の監督・脚本を務めるなど着々と活動の幅を広げている新鋭が、ムロツ∃シと待望の初タッグを組む。共同脚本はHulu配信ドラマ「ミス・シャーロック/Miss Sherlock」などの、及川真実が務めた。
愛する娘を救いたい――。確かめようのない過去。妻の愛を信じたい。ひとりの父親・ひとりの男の切ないほどに必死な姿。誰も見たことのない【新しいムロツ∃シ】に、あなたはきっと涙する。
ストーリー
小さな教会の牧師・御堂一男(ムロツヨシ)は、中学生になる一人娘のひかり(中田乃愛)とふたり暮らし。
一男は、優しくて、面白くて、お人好しで、誠実な人。8年前に最愛の妻を亡くしてから、“苦労がない”と言ったら嘘になるし、“すごく裕福”とも言えないけれど、娘とふたりで穏やかな日々を送っている。“牧師”というみんなから慕われる仕事もあって(儲からないけど…)、自分を頼りにしてくれる職場もあるし(バイトだけど…)、そして何より、可愛い娘が素直な子に育ってくれている(今はちょっぴり難しい年頃だけど…)。
だから一男は、幸せだった。娘が病に侵されるまでは・・・・・。
ムロツヨシ
奈緒 毎熊克哉 中田乃愛
臼田あさ美 徳井健太(平成ノブシヨブシ) 永野宗典 光石研
監督:金丼純一 脚本:及川真実・金丼純―
音楽:岡出莉菜
主題歌:「それは愛なんだぜ!」カーリングシトーンズ(ドリーミュージック)
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
制作プロダクション:ROBOT
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021「マイ・ダデイ」製作委員会(カルチュア・エンタテインメント イオンエンターテイメント ベンチャーバンクエンターテインメント 毎日新聞社 ローソンエンタテインメント ROBOT)
公式サイト:https://mydaddy-movie.jp/
公式Twitter:@mydaddy_movie
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