草彅剛主演『アルトゥロ・ウイの興隆』神奈川・京都・東京にて再演決定
2021年11月14日からKAAT神奈川芸術劇場にて再演が決定している草彅剛主演『アルトゥロ・ウイの興隆』の詳細が決定した。
ヒトラーが独裁者として上り詰めていく過程をシカゴのギャングの世界に置き換えて描いた問題作に、ファンクミュージックを散りばめた、演出家・白井晃の意欲作。ギャング団のボスを演じる草彅剛を再び主演に迎え、共演には、神保悟志、渡部豪太、松尾諭、小林勝也などが続投。さらに『サンソン—ルイ16世の首を刎ねた男—』で白井晃作品初参加となった榎木孝明、2012年『幻蝶』以来9年ぶりの白井作品出演となる七瀬なつみが、新たに座組に加わる。
劇中の音楽は、キング・オブ・ソウルと呼ばれるジェームス・ブラウンの楽曲を中心に構成され、オーサカ=モノレールによる生演奏だ。
2020年1月の初演時は神奈川でのみ上演し、チケットは完売となった本作。
再演では神奈川での22公演に加え、京都で10公演、東京で9公演を上演される。ファンクミュージックに彩られた、刺激的で斬新な音楽劇となる。
【作品について】
「こんなやつがかつてほとんど世界を支配しそうになったのです!/諸国民がやつを屈服させ、やつの主となりました。それでも/ここで勝利を喜ぶのはまだ早すぎます。/やつが這い出てきた母胎は、まだ生む力を失っていないのですから」 ~エピローグより~
1933年ブレヒトはナチスに追われ、15年に及ぶ亡命の旅に出ます。アメリカへ渡ったブレヒトは英雄として神格化されるギャングたちの映画に興味を持ち、ギャング団の資料を集めたと言われています。その中で、禁酒法時代にシカゴの高級ホテルを住まいとし、密造酒製造販売、売春業、賭博業を組織化し、勢力を拡大していったアル・カポネにヒトラーとの共通点を見つけ、41年に戯曲の執筆に着手します。衝撃をあたえた本作の初演は 1958年にドイツ・ヴュルテンブルグ州立劇場にて上演。1956年にブレヒトがこの世を去った後でした。
日本では、1969年に田中邦衛主演、劇団俳優座による『ギャング・アルトゥロ・ウイ~おさえればとまるアルトゥロ・ウイの栄達』のほか、2005年に新国立劇場が招聘したマルティン・ヴトケ主演、ベルリナー・アンサンブルによる公演があり、大きな話題を呼びました。
この作品は、ヒトラー率いるナチスがあらゆる手段を使い独裁者として上り詰めていく過程を、シカゴのギャングの世界に置き換えて描いたという大胆な作品。作品の中にはヒトラー「興隆」の過程が劇中にちりばめられていて、彼の君臨を許した当時の社会環境が冷ややかな姿勢で描かれています。
第一次世界大戦後、敗戦国となり莫大な賠償金を課され、未曾有のインフレに苦しめられたドイツ。そんな荒廃した生活の中で、ヒトラーとナチスは民衆の不満に応え、民衆からの絶大な支持を勝ち取ることによって権力を握っていきました。
ナチス支配の終焉からおよそ 70 年経った現代、日本のみならず世界中で露になっている格差の問題は、まだ終息をみないコロナ禍においてますます拡大し、社会には不安が蔓延しています。この世の中の不満を救い取り、新たな独裁者が現れたとしたら・・・。今も昔も、独裁者を誕生させるのはそのような「空気」を生み出す民衆の心なのではないかというブレヒトの警鐘が現代にも響いてくるようです。
『アルトゥロ・ウイの興隆』
STORY
シカゴギャング団のボス、アルトゥロ・ウイは、政治家ドッグズバローと野菜トラストとの不正取引に関する情報をつかんだ。それにつけこみ強請るウイ。それをきっかけに勢力を拡大し、次第に人々が恐れる存在へとのし上がります。
見る見るうちに勢いを増していくウイを、はたして抑えることができるのだろうか・・・?
【作】ベルトルト・ブレヒト
【演出】白井晃
【音楽・演奏】オーサカ=モノレール
【出演】
草彅剛
松尾諭 渡部豪太 中山祐一朗 細見大輔 粟野史浩
関秀人 有川マコト / 深沢敦 七瀬なつみ 春海四方
小川ゲン 古木将也 ワタナベケイスケ チョウヨンホ 林浩太郎
Nami Monroe FUMI suzuyaka
神保悟志 小林勝也 / 榎木孝明
2021年11月14日(日) — 12月 3日(金) KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
2021年12月18日(土) — 12月26日(日) ロームシアター京都 メインホール
2022年 1月 9日(日) — 1月16日(日) 豊洲PIT
【チケット一般発売開始】2021年10月23日(土)10:00〜
【公式サイト】:https://arturoui-stage.com/
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