「映画を通じて若者の活躍の場への繋げられたら」「奈良でふたたび、大河ドラマの撮影を」加藤雅也が語る思い
「なら国際映画祭 2020」にて、「俳優 加藤雅也セレクション」として3つの短編作品が特別招待作品として上映。9月21日にエヴァンズ・キャッスル・ホールで行われた上映後トークコーナーに、加藤雅也と上本聡監督が登壇し、短編作品と、その制作を通しての若手映画人育成についての思いを語った。
「なら国際映画祭」の特別招待作品は、同映画祭にゆかりのある映画人が出演・推薦する映画作品が上映されるプログラム。2020年の第6回は、その他のプログラムに「俳優・映画監督 齊藤工監督作品」、「俳優 永瀬正敏セレクション」など。
加藤雅也は、奈良市出身で、奈良の観光大使も務める。
「俳優 加藤雅也セレクション」3作品のうち、短編映画『決着』(2020)は、同映画祭ワールドプレミア。脚本・編集・監督は上本聡で、奈良を舞台に、静かな街で暮らす独りの殺し屋を加藤が演じるハードボイルドアクションだ。
その他に、『ゴッサム・ジャンブル・カフェ』(監督:Yuki Saito/15分/2015 ※1)、『ホテル・エルミタージュ』(監督:TEAM HERMITAGE/16分/2018 ※2)。
※1:『ゴッサム・ジャンブル・カフェ』(SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2015)
※2:『ホテル・エルミタージュ』(SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2018)
加藤雅也 × 上本聡監督 トークレポート
■短編映画制作を通した若者の活躍の場へ繋げられたら
トークコーナーでの冒頭、加藤雅也は、コロナ禍の厳しい状況の中、映画を観に来てくれた来場者に感謝の意を込めてあいさつ。
そして、「皆さんは短編映画を観る機会があまりないとは思いますが…」と前置きしつつ、1本目に上映された『ゴッサム・ジャンブル・カフェ』を撮影した当時無名の監督が、今やTVドラマ「おっさんずラブ」の監督を担当するようになった話や、2本目に上映された『ホテル・エルミタージュ』は実験的な映画で、まだ無名のフランス人のカメラマンと撮影した話を紹介した。
続けて加藤は、「短編映画は短い中にストーリーをつぎ込むことが難しい。いわば、“長編映画=小説”に対して、和歌とか短歌とか、その内容を聞き手の感じ方に委ねられているのが短編。でも、短編映画がより多くスクリーンで上映されて、若いクリエイターたちの収入や将来の活躍の場での活動に繋がれば良い。」と、短編映画の特徴とその意義についての考えも語った。
「なら国際映画祭」は“映画を通して、次世代を担う若者を育てていく”というテーマを持っているが、加藤もそれに賛同。これから活躍していくクリエイター達と短編映画の上映ができたことを嬉しく思っていると感想を述べた。
若手育成の観点では、上本監督も今年、会津若松市で3日間、夏休み中の中学生と短編映画を制作するワークショップを開催し、初めは内気だった子たちも、映画作りを通して表情が明るくなり、コミュニケーション能力が上がっていく様子を見ることができたことや、短編映画を通じた教育への参加の意思を表した。
■奈良で再び大河ドラマを
加藤は、『決着』が、奈良県橿原市今井町を中心に撮影されていること、その理由として、奈良独特の夜の暗さがハードボイルドの雰囲気に似合っているからだと明かした。
また、加藤は、自身が「なら国際映画祭2020」初日のレッドカーペットを歩いた時のエピソードとして、オンライン中継映像を観ていた友人から、周りの虫の鳴き声が聴こえてくることが素敵な雰囲気を醸し出していたと聞かされたことを紹介し、地元に住んでいる者では気づくことができない奈良の魅力を再認識できたことを振り返った。
上本監督は、「ここにしかない風景、歴史があって、夜の静けさがあって、そういった場所だからこそ、映し撮れる風景が奈良にあることが分かった。」、「今回の撮影でますます奈良が好きになった。」、「また、撮影地を探しに奈良に来たいし、また周囲の監督・クリエイター達にも奈良の魅力を宣伝したい。」と語った。
それを受けて、加藤は「1年に1本はエンタメ系の作品を奈良の街で撮りたいと思っていて、フィルムに残る古い建物や街並みを残す役割が映画にはある。」、さらに「奈良に大河ドラマ(の撮影)を持ってくる大きな夢がある。奈良県のみんながやろうと思ったら、いつかきっと実現すると思う。」と、その目標と強い思いを会場に呼び掛けた。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。