
『シャドウワーク』完成披露で吉岡里帆と奈緒が相思相愛!「お香を焚くと里帆ちゃんを思い出す」「いつもそばにいるよ♪」
2026年8月20日、TOHOシネマズ日比谷にて、映画『シャドウワーク』完成披露上映会が開催。W主演の吉岡里帆、奈緒ら豪華キャスト陣と監督が登壇した。作中の緊迫感とは一転、プライベートのこだわりを明かす「おうちルール」の暴露で爆笑の連続となった和気あいあいの舞台挨拶を詳細レポート!(動画&フォト)
夫の暴力から逃れ、シェルター〈おうち〉に身を寄せた紀子(吉岡里帆)。そこは「持ち回り」というルールで成り立つ平穏な場所だったが、彼女たちが全国のシェルターと連携し、互いのパートナーを葬り去る「交換殺人」を行っているという衝撃の真実を知る。
一方、自身もエリート夫(北村匠海)からの暴力に苦しむ刑事・薫(奈緒)は、ある不審死の捜査から〈おうち〉に辿り着く。
交錯する思惑のなか、20年間暴かれなかった完全犯罪の均衡が崩れ始める。声なき女性たちの極限の決断を描くサバイブクライムサスペンス。
舞台挨拶レポート
■トークノーカット動画レポート
■フォトレポート
‐ まずは本作の主人公、夫から暴力を受け、声なき痛みを抱える女性(紀子)を演じられました吉岡さん、お願いします。
吉岡里帆(紀子 役)
皆さん、こんにちは。紀子役を演じました吉岡里帆です。今日はお忙しい中お越しいただき、本当にありがとうございます。とても面白くスリリングな、そして温かい物語ができたと思っております。今日はぜひ、楽しい時間になるよう努めますので、よろしくお願いいたします。
‐ 本作の主人公、夫からの圧力に苦しめられながらも真相を追い続ける刑事・カオルを演じられました奈緒さん、お願いします。
奈緒(薫 役)
カオル役を演じました奈緒です。今日は足をお運びいただき、本当にありがとうございます。短い時間ですが、今日はこうやってみんなでここに立つことができて、すごく幸せな時間を過ごせるなと、とても楽しみに参りました。ぜひ最後までよろしくお願いします。
‐ 絶望の中にいた紀子に救いの手を差し述べる看護師・みち子を演じられました美保さん。
美保純(路子 役)
今日はありがとうございます。本当にちょっと問題ある感じの女性の役で、この映画で自分がどうやって映っているのか、すごく楽しみでした。そして、とっても涼しい季節になってきて、この映画にぴったりだなと思いました。ありがとうございます。
‐ おうちで暮らす女性の1人、明るさの裏に傷を抱える繊細なしのぶを演じられました酒井さん。
酒井若菜(しのぶ 役)
しのぶ役を演じました酒井若菜です。本日は皆さん、お越しくださいまして本当にありがとうございます。キャスト一同、スタッフの皆さんもそうですが、この日を迎えることを本当に心待ちにしておりました。今日は短い時間ではありますが、皆さんとお話しさせていただけるのを楽しみにしております。よろしくお願いいたします。
‐ おうちで暮らす女性の1人、優しく聡明な波を演じられましたファーストサマーウイカさん。
ファーストサマーウイカ(奈美 役)
皆さん、こんにちは! お忙しいところありがとうございます。波役のファーストサマーウイカです。これ、応募してきてくださった方もいらっしゃるんですよね?
すごい競争率だったみたいで、おめでとうございます!
本当に今日を迎えられて幸せです。ちょうど1年くらい前に撮影をしていたんですけれど、久しぶりにこうやって<おうち>メンバーが揃うのもとても嬉しいです。きっと和やかなイベントになると思うんですけれど、作風とのあまりの温度差に、皆さん風邪を引きそうになると思います(笑)。作風はかなりスリリングですが、そこも含めて楽しんでいただけたらと思います。今日はよろしくお願いします。
‐ おうちで暮らす女性の1人、無邪気な末っ子的存在・りんを演じられました佐月絵美さん。
佐月絵美(凛 役)
はい。……ウイカさんの後でお喋りしにくいんですけれど(笑)
佐月絵美です。映画『シャドウワーク』でりん役を演じました。私、このような大きな劇場に立たせていただくのが初めてで、すごく緊張しているんですけれど……(客席から温かい拍手と「がんばって」との声援)あ、ありがとうございます!
‐ 大丈夫ですよ、ここはホームです。おうちだと思ってくださいね。
ファーストサマーウイカ
(いたずらっぽく)おうちだけど、お父さんはいないよね?(笑)
‐ お父さんはいないですね(笑)続いて傷ついた女性たちを静かに温かく支える家の家主・昭江を演じられました風吹ジュンさん。
風吹ジュン(昭江 役)
昭江を演じました風吹ジュンです。こうやって皆さんと揃ってここに立てることがとても嬉しいです。現場が本当に楽しかったので、こうして久しぶりに再会するのが、自分でも驚くほどワクワク、ドキドキしています。本当にいい作品が仕上がったと思います。どうぞ今日は楽しんでいってください。ありがとうございます。
‐ そして、𠮷野竜平監督です。
𠮷野竜平監督
監督の𠮷野です。手前味噌ではありますけれど、本当に面白い映画になっていると思います。今日はこの舞台挨拶と映画の上映、とにかく楽しんで帰っていただけたら嬉しいです。今日はよろしくお願いします。
吉岡里帆への質問:オファーから役作り、撮影現場の空気感について
‐ まずは吉岡さんにお伺いします。本作のオファーを受けて、また脚本を読まれて、どのような準備をされてきたのか。役作りに関してもお伺いしたいのですが、脚本を読まれて、まずはどのようなことを感じましたか?
吉岡里帆
はい。本の構成上、奈緒さん演じるカオルと、私が演じる紀子という女性の二本の軸で物語が進んでいくんですよね。絶対に交わらなかったはずの2人が交わっていく部分のミスリードと言いますか、サスペンスの要素があります。そしてDVという、すごく辛い描写もたくさんあるんですけれど、その悲しい描写と、<おうち>というシェルターの柔らかくて優しくて温かい空気感が混じり合ったときに、不思議な化学反応を起こして、皆様を物語の世界へとグッと引き込んでくれる作品だなと感じました。これは絶対に演じさせていただきたいと、熱い思いが湧き上がったのを覚えています。
‐ 紀子を演じるにあたっては、具体的にどのような準備をされたのでしょうか?
吉岡里帆
私が演じた紀子は、DV被害を受けていて、友達や家族がそばにいないのですごく孤独で、誰も信じられない、本当に孤立した人間です。そんな彼女が、<おうち>で温かくてかっこいい女性たちと出会い、どんどん変化して成長していく。その『変化』の過程を一番大切に演じました。
‐ 今おっしゃっていただいた通り、シェルター<おうち>でのシーンと、紀子が向き合っている厳しい現実のシーンとでは、彼女がまとう雰囲気がガラッと変わる印象的な描写でした。劇中の<おうち>は疑似家族のように安らげる場所でしたが、実際の撮影現場はどのような雰囲気だったのでしょうか?
吉岡里帆
映画の内容とは反して、本当に楽しかったです。風吹さんもおっしゃっていましたが、とても和やかで、反対に『内容(サスペンス)を考えると、こんなに和やかでいいのかな』と怖くなってしまうくらい、私はすごくリラックスして過ごしていましたね。実際に一軒家を使って撮影をしているんですけれど、そのおうち自体の持つ力もかなり大きかったのかなと思います。
‐ 生活感があって安らげそうな場所でしたよね。
奈緒
実家感がありましたよね。
吉岡里帆
はい! 実家感がありました。
奈緒への質問:薫の役作り、北村匠海さんとの緊迫シーンについて
‐ 奈緒さんが演じている薫は、刑事として本当に凛と佇んでいる反面、夫からの抑圧も受けているという複雑な役どころです。この役作りに関してはどのようなことを意識されていましたか?
奈緒
撮影に入る前の打合せの時から、監督に『カオルという人は、いい人でなくていいです。正義を貫く仕事をしながらも、いい人として演じなくていいです』という演出をいただいていました。ですので、正義感を持って警察官を志したものの、その正義が(夫の暴力によって)壊されてしまった背景がある、という部分を大切に演じさせていただきました。あとは、現場で𠮷野監督が声のトーンをはじめ、色々な演出をとても細かくしてくださったので、私は監督の言う通りに、一生懸命演じました。
‐ 監督、刑事としても本当にかっこいい女性でしたよね。
𠮷野竜平監督
そうですね。よくある刑事ドラマの女性主人公っぽさとは違うものを目指そうという話をしました。「学校の体育の先生の延長のような感じでやってください」とお互いにアイデアを出し合いながら作っていきましたね。
‐ 奈緒さん、劇中で北村匠海さん(薫の夫・晋一役)とのシーンは、観ているこちらもグッと辛くなるような緊迫感があり、お二人の凄まじいお芝居に引き込まれました。北村さんとお二人で、撮影前に何かお話しされたことはあったのでしょうか?
奈緒
北村さんとは今回初めて一緒にお芝居をさせていただいたんですけれど、事前に演技について話し合うことは特にありませんでした。今振り返ると、お芝居の中で初めて対峙するときの緊張感を保つために、お互いにあえて余白を残しておくような、適度な距離感を作っていたように感じます。そのため、台本を読んでいる以上に、実際に北村さんを目の前にしたときに「本当に怖い」という感情がリアルに湧き上がってきました。それまで自分の頭の中で想像でしか埋められていなかった背景が一瞬で埋まるような、そんなシーンを一緒に作らせていただけたので、北村さんには大変感謝しています。
‐ 普段の北村さんは本当に穏やかな方ですから、劇中の演技はギャップが凄いですよね。
奈緒
そうですね、本当に穏やかな方です(笑)
美保純への質問:看護師・路子を演じる工夫と、撮影現場の爆笑秘話
‐ 絶望している女性たちを<おうち>へとつなぐのが、美保さん演じる看護師の路子です。穏やかな語り口の奥に強い芯を秘めている印象ですが、どのようなことを考えて役作りをされていたのでしょうか?
美保純
とにかく「女優に見えないように」ということです(笑)。すごく変な表現ですけど、「そのままの感じで」と監督に言われました。でも単に私そのままというわけではなく、初めて会うような感じで。それから、路子は少し足が不自由な役だったのですが、撮影中に吉岡里帆さんから「あれ、美保さん、足悪いんですか?」って本気で心配されて……。
吉岡里帆
初めて見た時に心配になって・・・完全に騙されました(笑)
美保純
だから「お芝居がうまくいっているな」って思って。
吉岡里帆
劇中で荷物を持つか持たないかというシーンがあるんですけれど、持とうとして結局持たないっていう演技がめっちゃ面白かったです(笑)
「重くない?大丈夫?」と言いながら、持ってくれるのかと思いきや持ってくれないという(笑)
美保純
そんなに親切すぎないんですよ(笑)
‐ なるほど、役者然としたお芝居というよりは、より生活に馴染むようなお芝居を意識されていたのですね。
美保純
割と私は馴染んでいたと思いますよ。ちゃぶ台も。何しろ私は「ちゃぶ台世代」ですからね(笑)。ちゃぶ台をひっくり返すようなシーンはないですけど、すごく馴染んでいたと思います。
吉岡里帆
美保さんで思い出したんですけど、ちょっとしたシーンのときに「これ、缶チューハイとか持てないかな?」っておっしゃっていたのがすごく印象的でした(笑)
美保純
ああ、初日の日ね! おうちに来るときに。
吉岡里帆
そう、おうちに最初に来る時に(笑)。でも、持ち道具のスタッフさんが「いや、台本にないです……」ってなっていて。
美保純
「じゃあ仕方ないね」って諦めました(笑)。
吉岡里帆
そのくらい本当に自然体で、驚かされました。あと、美保さんってどうしても色っぽさが隠しきれてなくて、そこも好きでした!
美保純
え、そう?(笑) 自分としては、かなりストイックにボーイッシュに演じたつもりだったんだけどな。
吉岡里帆
いやいや、色気がダダ漏れしてました(笑)
美保純
私、エロいですかね?
吉岡里帆
はい!
美保純
ありがとう!
酒井若菜への質問:バックボーンが描かれない「しのぶ」の演じ方
‐ 酒井さんが演じられたしのぶは、バリバリのキャリアウーマンでありながら、訳あってこの<おうち>で暮らしています。演じるにあたって、どのようなことを意識されましたか?
酒井若菜
そうですね。本編の中では、しのぶのバックボーンや、彼女が今どういう状況にあって、誰からDVを受けたのかといったことは一切描かれていません。ただ、撮影に入る前に、監督がしのぶの細かいプロフィールを書いて渡してくださったので、それを頼りに役を紐解いて、作り上げていきました。
‐ 監督から渡されたそのプロフィール以外にも、何かお話しされたことはあったのでしょうか?
酒井若菜
監督がキャストの皆さんそれぞれにプロフィールを用意してくださっていて、それをもとに「僕はしのぶというキャラクターはこういう感じだと思うんですけど、どう思いますか?」といったお話を、マンツーマンで1時間ほどじっくりディスカッションする時間を作ってくださいました。
ファーストサマーウイカへの質問:<おうち>での「奈美の役割
‐ 演じられた奈美は、とても料理が上手なんですよね。後から入居してきた紀子も奈美の料理に魅了されていきますが、おうちの仲間たちは「友達であり、家族であり、他人でもある」という特別な関係です。その中で、奈美という役をどのように捉えて演じられましたか?
ファーストサマーウイカ
風吹さん演じる昭江さんが「社長」で、美保さん演じる路子さんが「秘書」だとしたら、私の奈美は「常務」というか、現場のリーダー的な役割を担っているのかなと考えていました。
おうちに来る女性たちは、それぞれ家庭で深く傷ついて避難してきているので、そう簡単に心を開いてはくれません。
しかもこのおうちにはルールがあって、家事も「持ち回り」。さらに、ただのシェルターではなく、裏では「交換殺人」を行って、お互いに共犯者にならなければいけないという過酷な現実があります。まず信用してもらわなければ、そんな簡単には手伝ってもらえませんよね。
だから、警戒してやってくる彼女たちに対して、まるで“捨て猫”が懐くのを待つように、ありったけの愛情を注ぎ込んで温かく迎える。そういう役割だと思って演じていました。あ、紀子を捨て猫扱いしちゃってごめんなさいね(笑)
吉岡里帆
私たちって捨て猫だったんですか!(笑)でも、紀子は騙されたわけではないんですけれど、美味しいご飯を食べさせてもらっているうちに、本当に少しずつ、少しずつ……。
ファーストサマーウイカ
そうそう、餌を食べてね(笑)
吉岡里帆
はい、完全に懐いてしまっていました(笑)
ファーストサマーウイカ
まんまとね(笑)。そのように、最初はなぜ私にこの役のオファーが来たのか、その無償の愛や優しさを表現するのが難しいと感じていましたが、監督とプロフィールを前に打ち合わせを重ねる中で、徐々に奈美というキャラクターが見えてきました。<おうち>という場所で、みんなが安心するための「盾」を担う役なのかなと、今は思っています。
‐ お話を聞いていると、確かに劇中の紀子と奈美の関係性や、あの懐の深い雰囲気と繋がりますね。
ファーストサマーウイカ
実は、人を騙すのが得意なのかもしれません(笑)
佐月絵美への質問:金髪の役作りと、監督からのアドバイス
‐ 佐月さんは、<おうち>の中では最年少の凛を演じられました。金髪姿という、外見的にもインパクトのある役作りをされていましたが、演じる上で意識したことや、監督からアドバイスされたことなどがあれば教えてください。
佐月絵美
はい。あの金髪は、凛が本来過ごすはずだった思春期を暴力のせいで過ごすことができず、その失われた時間をこのおうちでやり直している、あるいは、新しい自分になりたくて自分でブリーチしたという背景設定がありました。
私自身は凛と重なる部分があまりなくて、撮影に入るまでとても不安だったんですけれど、監督から「凛をただの可哀想な女の子だと思わないでね」と言われた言葉がすごく心に残りました。この子にも、一瞬であっても愛おしい時間や楽しかった過去があったはずだと思えたとき、自分の過去の楽しかった記憶とリンクさせながら現場に入ることができました。
‐ ご自身で初めて金髪にされてみて、いかがでしたか?
佐月絵美
初めてブリーチしたんですけれど、「イェーイ!」って感じで、すごく嬉しかったです(笑)。お仕事で自分の髪型をガラッと変えられるのがとても楽しくて、新鮮でした。
風吹ジュンへの質問:作品を通して見つめ直した「暴力」
‐ 風吹さんは、すべてを背負って生きてきた昭江を演じられましたが、おうちの中では「母」であり「主」であり、まとめ役、さきほどのウイカさんの言葉を借りると「社長」のような存在ですが、演じてみていかがでしたか?
風吹ジュン
本当におうちのメンバーは、凛ちゃんをはじめみんな個性豊かで、劇中とは全然違う印象を皆さん持たれています。
私自身、この作品に関わらせていただいたことで、「暴力とは何だろう」と深く考えるようになりました。テレビのニュースなどで児童虐待や様々な暴力のニュースを見るたびに、その背景をすごく意識するようになったのは、この作品の大きな影響です。
監督からは、衣装合わせの時に「花柄が似合う昭江」ということで花柄の衣装を提案していただいたのですが、ただ優しいだけではなく、おうちを率いる強さも必要だと思い、髪を伸ばしてしっかり三つ編みにするなど、自分なりにキャラクターの外見を考えさせていただきました。
暴力に関連して、最近テレビのニュースなどでも「戦争トラウマ」という言葉を耳にすることがあると思います。暴力の根源や虐待の連鎖は、そこから始まっているのではないかという話もありますよね。戦争で心に深い傷を負った人々が家に帰ってから暴力を振るうようになり、それが家族の中の出来事であるがゆえに秘密にされ、虐待を止められなくなってしまう。
そして、虐待を受けて育った人が、また別の誰かを虐待してしまうという「終わりのない連鎖」。よく凶悪事件の犯人が、実は過去に虐待を受けていたというニュースを見かけますが、なぜこの悲しい連鎖が止められないのだろうと、この作品を通して痛感しました。
この映画はサスペンスとして確かに面白いですし、エンターテインメントとしての魅力に溢れています。でも、それだけではなく、世の中には救いを求めている人々がたくさんいるという現実にも気づかせてくれます。これから映画をご覧になる皆様も、エンタメとして楽しみつつ、ふと「なぜ彼は暴力を始めてしまったのだろう」「どうしてこの連鎖を止められないのだろう」と、彼らの背景にあるものに少しでも思いを馳せていただけたら嬉しいです。
𠮷野竜平監督への質問:被害者を記号として描かない「生身のリアリティ」
‐ <おうち>の女性たちを温かく、時に厳しく描き出した𠮷野監督。佐野広実さんの大人気小説を映画化するにあたって、どのようなことを心がけて演出されたのでしょうか?
𠮷野竜平監督
原作の人気小説を映像化し、生身の役者さんに演じてもらう上で心がけたのは、キャラクター一人一人が異なる事情を抱えているという点、そして何より「被害者になるために生まれてきた人」としては描きたくない、ということでした。
実際に映画の準備段階でシェルターなどを取材させていただいたのですが、映画やドラマで描かれがちな「内向的で、弱くて、自分の意見が言えない被害者像」とは異なり、実際にお話を伺った方々は本当に普通の人たちでした。時には口喧嘩をするようなごく普通の女性たちが、たまたま暴力の被害者となっておうちに集まっている。そうした現実を反映したかったので、彼女たちを単なる「可哀想な被害者」という記号として描くことは絶対に避けたかったんです。
‐ だからこそ、酒井さん演じるしのぶのように、一見ステレオタイプな被害者には見えない、強さや明るさを持ったキャラクターが描かれているのですね。
酒井若菜
そうですね。撮影前に監督と話し合った中で、シェルターにいる女性たちや、身近で被害に遭われてきた方々の多くは、「実はものすごく明るい」という現実を事前に共有していたのが大きかったです。
だから、おうちのシーンでは、みんなで結構ゲラゲラ笑いながら撮影していました。どんよりとした沈んだ空気感は出さず、より明るく、フレンドリーに演じることを意識しました。アプローチの方法はキャラクターそれぞれですが、しのぶに関しても「明るい雰囲気で見せていこうね」ということを事前にお話ししていました。
‐ 被害者だからといって、常に悲しい顔をしていなければいけないなんてルールはありませんからね。
酒井若菜
本当にそうですね。意外と、普段は心の中の影を他人に見せなかったりするので。
企画コーナー:譲れない「我が家のおうちルール」
‐ ここからは少し雰囲気を変えまして、皆様のプライベートに迫る質問です。劇中の<おうち>には「持ち回り」などのルールがありますが、皆様がご自身の中で決めている「これだけは譲れない!」という【我が家のおうちルール】やこだわりがあれば、ぜひ教えてください!
吉岡里帆:家の中ではキレ者です!
吉岡里帆
はい! 私のおうちルールは、仕事が忙しいときはとにかく時間が惜しいので、「簡単な作業は瞬速で終わらせる」と決めて、実行しています!
ファーストサマーウイカ
具体的には?
吉岡里帆
例えば、お風呂から上がって体を拭くのって、めちゃくちゃ簡単な作業じゃないですか。それをいかに最速で終わらせるか、どう動けば最短ルートになるかを常に頭の中でシミュレーションしているんです(笑)
自分が「簡単だ」と思う家事や作業を、どれだけ短縮できるかに並々ならぬこだわりを持っています。他には、ベッドメイキングも、何度もシーツを引っ張って整えるんじゃなくて、一発で「バサッ!」と決める、みたいな(笑)
私、家の中ではかなりのキレ者です!(部屋の中で綺麗なターンを見せる仕草をしながら)。
奈緒:香りで気分転換&京都のお香で吉岡さんを想う
奈緒
私は「香り」です。家では常にお香などを焚いていて、香りで気分を切り替えることが多いです。朝起きたらハーブのスプレーをシュッと吹きかけたり、寝る前にも枕元に置いてあるスプレーを振ったり。
最近、舞台の観劇で京都に行く機会があって、その時に京都のお香を買ったんです。それを家で焚いていると、吉岡さんのことを思い出します。吉岡さんは京都のご出身なので、お香の香りに包まれながら「里帆ちゃん、今何してるかなぁ」って自然と考えていますね。
吉岡里帆
いつもそばにいるよ〜!♥
奈緒
ふふ、ありがとうございます(お互いに微笑み合う)。家の色々な場所に、様々な香りアイテムが置いてあるのが私のルールですね。
美保純:身長を超えた「サボテン」に話しかける毎日
美保純
私はですね、コロナ禍の時に、これくらい(膝下の高さ)の小さくて可愛い「バンザイサボテン」を購入したんですよ。それが今や、私の身長を超えてこんなにデカくなっちゃったんです!
一同
ええーっ!?
吉岡里帆
なんかちょっと怖くないですか?
美保純
ちょっと怖いでしょ? 私が思っていた成長のサイズと全然違って(笑)。だから、毎日そのサボテンに話しかけてるんです。「お前だけは捨てないぞ」って(笑)
でも、そうやって大事に育てていたら、最近サボテンがちょっと斜めに傾いてきたんですよ。
吉岡里帆
(美保さんに)甘えてるんじゃないですか?(笑)
美保純
甘えてるのかな?
‐ でもトゲのある甘えん坊さんなんですね(笑)
酒井若菜:愛しい「エバーフレッシュ」に朝晩ハグ!
酒井若菜
実は私も美保さんと少し被るんですけど、植物が大好きなんです。我が家には「エバーフレッシュ」というネムの木系の植物がいるのですが、その子が本当に可愛くて。朝起きた時と、夜寝る前に、その観葉植物に「ギュッ」と抱きつくのが私の譲れないルールです。
一同
へえ〜、可愛い!
酒井若菜
エバーフレッシュって、夜になると眠るように葉っぱが閉じて、朝になるとパッと葉っぱが開いて起きるんです。葉っぱもすごく柔らかいので、優しく包み込むようにして「ぎゅーっ」て抱っこしています♪
美保純
今度私のバンザイサボテンと、そのエバーフレッシュ交換しようよ!(笑)
酒井若菜
えっ!?(笑)
吉岡里帆
さっき大事にするって言ったじゃないですか!?
ファーストサマーウイカ
(サボテンはトゲがあるから抱きついたら)血だらけになるよ(笑)
美保純
血だらけ?(笑)
ファーストサマーウイカ:注文前の「お持ち帰り確認」
ファーストサマーウイカ
はい! 私の我が家ルールは、飲食店に行った時、注文する前に必ず「これ、お持ち帰りできますか?」と聞くことです!
もし「余ったら持って帰って大丈夫ですよ」と言われたら、「じゃあもう一品、炒飯も多めに頼んじゃおうかな!」って太っ腹になれるんです。
でも、「お持ち帰りはできません」と言われたら、残すわけにはいかないので、絶対に腹八分目で抑えて注文しなければいけません。特に中華やタイ料理屋さんとかに行った時は、席に着いてすぐに「容器は無料ですか?」「持って帰れますか?」と確認します。これが私の絶対的なルールです。
でも、「容器代50円かかります」と言われたら、「ああっ、50円か……」ってちょっと悩みます(笑)「ラップでもいいんですけど……」って交渉してみたりして、それでもダメそうなら、おとなしく控えめに注文しますね(笑)
佐月絵美:母と階段越しに言い合う「おやすみ」
佐月絵美
私は、小学生の頃の思い出なんですけれど……。2階の寝室で寝る時に、母が私と兄を寝室まで連れて行ってくれて、母が「おやすみ〜」って言って1階へ降りていくんです。
佐月絵美
(酒井に)ちょっと、今ここで「おやすみ」って言ってもらってもいいですか?
酒井若菜
(優しい声で)おやすみ〜
小学生の佐月絵美&お兄さん
「戸締り火の用心!あと事故なし〜」って二人で(照)
一同
可愛い〜!!
佐月絵美
それを毎日毎日やっていって、いつの間にかルーティン化されてました。今はもうやってないんですけど、今、思い出したら大切な時間だったなって。
吉岡里帆
なんかキュンってきました。
風吹ジュン:スケジュールチェック&徹底した水回り掃除
風吹ジュン
私は、年齢的にも色々と忘れっぽくなってきているので(笑)、前日のうちに必ず翌日のスケジュールや持ち物を細かくチェックする、というのが絶対のルールですね。あと、日常の家事のこだわりとしては、「水回りは使ったらその都度必ず綺麗に洗う」と決めています。
𠮷野竜平監督:トイレの電気つけっぱなしで運気アップ!
𠮷野竜平監督
少しスピリチュアルなことに詳しい友達から、「トイレの電気は消さない方が運気が上がるよ」と言われまして(笑)
なので、外出する時も寝る時も、家の中のトイレの電気はずっとつけっぱなしにするようにしています。実は、この習慣を始めたのが、ちょうどこの映画『シャドウワーク』の撮影に入る少し前くらいからなんです。こうして映画が完成して、今日素晴らしい舞台挨拶を迎えられて、本当に面白い作品に仕上がったので、この「トイレの電気つけっぱなしルール」の効果は絶対にあったと確信しています!
まあ、こういうのは気持ちの問題ですから、これからも続けていこうと思います。
クロージングメッセージ
奈緒
この『シャドウワーク』という作品に最初に出会い、原作や脚本を読ませていただいた時、そして完成した映画を観た時、私の中でこの作品は「たった一つの分かりやすい答えを提示する映画」ではないと感じました。観てくださった一人一人が、上映が終わった後に、自分なりの答えを探すような作品です。
映画の冒頭でも、ある苦しい現実が文章で描き出されますが、現実社会において、影を抱え、傷ついている人たちが一人でも減るような、そんな優しい社会が実現することを心から信じています。
ぜひ映画を観た後に、お一人お一人がじっくりと考える時間を持っていただき、もしよろしければその想いを周りの方と共有していただけたら嬉しいです。SNSなどの感想も、私たちキャスト・スタッフ一同、本当に励みになりますので、ぜひたくさんの感想をお待ちしております。
吉岡里帆
奈緒さんからもお話がありましたが、世の中の出来事において「善」と「悪」は、簡単には説明がつかないことばかりだと思います。この映画は、まさにその境界線を深く問いかける作品です。皆様にとっても、何が「悪」で何が「善」なのかを、映画が観終わった後に考えるきっかけにしていただけたら、これほど嬉しいことはありません。私自身も、この作品を撮影しながら「何が本当に正しいのだろう」と分からなくなり、頭が混乱してしまうような瞬間が何度もありました。
映画を観て「楽しかった、面白かった」とスカッとする時間も素晴らしいですが、映画という体験を通して、自分自身の心と向き合い、深く思考する時間こそが、何ものにも代えがたい掛け替えのない時間になるのだと、改めて実感しています。
ぜひ、皆様も劇中の彼女たちの選択を通して、自分自身と自問自答してみてください。そして、自分の心の中にある弱い部分に対して、「弱い心、舐めるなよ!」と、どこか自分を鼓舞するような強い気持ちを持って演じていましたので、皆様の心にも何か届いていたら嬉しいです。
𠮷野竜平監督
今回、メインキャストの皆様はもちろんですが、セリフが一言だけのキャストに至るまで、これほど完璧に全員のキャラクターがバチッとハマったと感じられたのは、僕の監督人生の中でも初めてのことで、本当に奇跡的な出会いだったと深く感動しています。
今、こうしてステージの上に並んでいる皆様は、ものすごいオーラをまとった、まさに「ザ・役者」という輝きを放っていますが、いざスクリーンに映し出される映画の中の彼女たちは、本当に皆様の街中にいるような、あるいは電車の隣の席に座っているような、ごく普通の空気感をまとっています。ぜひ、その劇中と今日の舞台挨拶とのギャップも楽しんで、比較しながら観ていただけたら嬉しいなと思います。
そして、もしこの映画を気に入っていただけましたら、ぜひお友達や周りの大切な方々に薦めていただき、来月(9月25日)の公開に向けて、一緒にこの作品を盛り上げていただけたら幸せです。本日は本当にありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
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[動画・写真・記事:三平准太郎]
映画『シャドウワーク』
《INTRODUCTION》
佐野広実の人気小説を映画化。主人公の紀子を演じるのは、『正体』で第48回日本アカデミー賞・最優秀助演女優賞など多くの演技賞を受賞した吉岡里帆。もう一人の主役・薫には東京ドラマアウォード2025主演女優賞を受賞し「東京サラダボウル」を始め映画・ドラマ・舞台など多岐にわたり唯一無二の存在感を放つ奈緒。幅広い作品で多様な人物を生き抜いてきた二人が初の映画ダブル主演を果たし、本作では覚悟と揺らぎ、爆発寸前の緊張感を体現している。共演は、風吹ジュン、美保純、酒井若菜、ファーストサマーウイカ、佐月絵美、北村匠海、原嘉孝(timelesz)、清水尚弥ら独自の世界観を確立する俳優たち。監督は『君は永遠にそいつらより若い』の𠮷野竜平が務め、善悪では語れない社会の歪みに鋭く切り込む。
《STORY》
この<おうち>では、家事も始末も持ち回り。
日常的に暴力を振るう夫から逃げてきた紀子。しかし居場所を突き止められ行き場を失ってしまう。
絶望の中にいた紀子に、入院先の看護師・路子が救いの手を差し伸べる。
連れて行かれたのは、三浦海岸の外れにひっそりと建つ施設。配偶者や親から暴力を受けた女性たちを匿うシェルターだ。
彼女たちはその場所を<おうち>と呼び、そこでは食事や掃除、暮らしのすべてが「持ち回り」というルールで成り立っていた。
穏やかで守られた日々を取り戻していく紀子だが、少しずつ違和感を覚え始める。
そして遂に<おうち>の組織犯罪の構造を知ってしまう。
一方、とある事件を追う刑事・薫が、<おうち>に近づこうとしていた──。
- メインカット
- 場面写真1
- 場面写真2
- 場面写真3
- 場面写真4
- 場面写真5
- 場面写真6
- 場面写真7
- 場面写真8
- 場面写真9
出演:吉岡里帆 奈緒
美保純 酒井若菜 ファーストサマーウイカ 佐月絵美
北村匠海 原嘉孝(timelesz)
風吹ジュン
監督・脚本:𠮷野竜平
原作:佐野広実『シャドウワーク』(講談社文庫)
制作プロダクション:トリックスターエンターテインメント
配給:ショウゲート
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
©佐野広実/講談社 ©2026「シャドウワーク」製作委員会
2026年9月25日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
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