【インタビュー】佐久間由衣「自信を無くしていた舞台出演。初心に返って再挑戦」舞台『ヴェニスの商人』

草彅剛にとってシェイクスピア作品初挑戦となる舞台『ヴェニスの商人』（12/6開幕）に、莫大な財産を相続した貴婦人・ポーシャ役として出演する。前回の初舞台で自信喪失したという彼女が再び舞台に挑むことを決心した想いを聞いた。（直筆サインプレゼントあり）

 

演劇史の巨人、ウィリアム・シェイクスピア。時代を超えて愛され続ける数々の名作を世に残しているが、中でも『ヴェニスの商人』は深い人物描写と痛快な展開で圧倒的な人気を誇る最高傑作のひとつ。

演出を手掛けるのは、第21回読売演劇大賞・最優秀演出家賞に輝き、現代演劇界で最も実力のある演出家の一人である森新太郎。古典の常識を覆す新しいアプローチで、歴史ある名作を現代のエンターテインメントに生まれ変わらせる。

 

そして、主演を務めるのは、シェイクスピア作品初挑戦となる草彅剛。確かな実力と唯一無二の個性を併せ持ち、日本を代表する俳優として活躍する草彅が、稀代の悪役・シャイロックをどのように演じるのか、2024年最大の注目作が幕を開ける…。

佐久間由衣 インタビュー＆撮り下ろしフォト

■思いっきり飛び込んでみたい

‐佐久間由衣さんご自身にとって、二度目となる舞台出演で、シェイクスピア作品へ挑戦される想いをお聞かせください。

 

とても緊張しています。普段、演劇をやられている方でもシェイクスピア作品は難しいとお聞きしたこともあるので、まだ舞台の経験が少ない自分がシェイクスピア作品に出させていただくのはとてもハードルが高いなと思っています。演出の森さんをはじめ、キャストの方々のお力をお借りして思いっきり飛び込んでいきたいです。

‐松岡和子さん訳の台本を読まれた印象は？

 

とても面白く読ませていただきました。もともと台本をいただく前に森新太郎（演出）さんに映画をお勧めしていただいていたので、ストーリーは知っていました。映画もとても面白くて、これが演劇になったらより面白いんだろうなって想像は膨らませていました。

セリフがとても魅力的で、例えば「愛してる」っていうことは一言で伝わるのに、シェイクスピアになると5分もかけて伝えるのがすごく面白い。どこをどのように愛していて、私はその人と出会ったことでどのように変化したというところまで事細かく自分の気持ちを相手に伝えるんです。

これは、お芝居をする身としても、セリフが感情そのもので、読んでいてもとても楽しいし、お芝居で実際にセリフとして口に出すのも楽しみだなって思っています。

■初舞台の前回は、２歩ぐらい後ろに下がった感覚

‐佐久間さんにとって初めての舞台挑戦となった「てにあまる」について改めて振り返っていただき、出演前と後とで、ご自身の成長を感じられたことがあれば教えてください。

 

成長を感じることはできずに、２歩ぐらい後ろに下がったっていう感じでした（笑）

やっぱり舞台に立たれている方って本当に素晴らしいんだなっていうのを、目の前で感じた日々だったので、藤原竜也さん、柄本明さん、同世代の高杉真宙くんだったり、舞台でのエネルギーの出し方って、こんなにも凄まじくて難しいものなんだなっていうのを目の前で感じて、自分に自信をなくしてしまいました。

ただ、元々持っていた自信ってそもそも何だったんだろうなっていうところも自分と向き合ったりして、俳優としての自分が、一回しっかりとバラバラに破壊されたので、そこからもう一回積み上げていくチャンスをいただいたと思って、とても衝撃的な経験でした。

 

‐2歩下がった状態で、今回はどういう取り組みにしていこうと思われていますか？

 

「てにあまる」の舞台は、自分で作り上げた世界から飛び出すことができなくて、役を狭く作ってしまったので、とても苦しかったんですけど、今回はまっさらな気持ちで皆さんと作り上げていくということを大事にしながら飛び込んでいきたいなと思っています。

シェイクスピアだからということ以前に、このカンパニーには初心に返って挑みたいなって思います。

 

‐目標としては、後ろに下がった状態から少しでも前へという感じでしょうか？

 

そうですね。せめて一歩は進みたいなと思います。

■シェイクスピア作品の魅力

‐シェイクスピア作品は世界中で愛されているんですけど、まだまだ知らない人も多いと思います。現時点で佐久間さんが台本を読んだりする中で、シェイクスピア作品の魅力について感じられたことがあれば教えてください。

 

私もそうですけど、日本人にとっては、文化も違いますし、時代も言葉も違うので、どうしても遠い存在の作品に感じてしまいがちです。

でも、「ヴェニスの商人」の台本を読んだ時に、誰かに対する愛とそれに対する障壁や友情、階級、その時代の価値観は確かに違うんですけど、人間として情熱的になる部分は、今と繋がっているなっていうことをしっかりと感じることができました。

例えば、「これってガールズトークってことだよな」とか、日常に落とし込んでいけるようなことがたくさん散りばめられていたので、すごく楽しく読ませてもらいました。その気持ちがお客さんにも届けばいいなって思います。

 

‐今のお話と少し重なりますけども、シェイクスピアを全く知らないっていう方に、この舞台を観に来てもらうために、少しハードルを下げるためのアドバイスをするとしたら？

 

私自身もそうでしたが、そういう方たちだからこそ「ヴェニスの商人」からスタートしてほしいなって思います。

確かに言葉などで難しい部分もあるけど、物語の構成としてはシンプルでとても楽しく観られる戯曲だと思います。

■もう一度舞台に挑戦させてもらいたい

‐今回、草彅剛さんが主演ですが、佐久間さんは草彅さんとは初共演ですか？

 

初めましてです。

 

‐初共演となることについてのお気持ちは？

 

とても光栄で、今から楽しみです。

 

‐先ほど、映画版を観ることを薦められたという演出の森新太郎さんとは、そのほかどういったお話をされましたか？また「てにあまる」で俳優として破壊されたとおっしゃってましたが、本作出演を決心されたのは？

 

私が舞台に対してなかなかポジティブな気持ちになれていないという葛藤があることを全部素直にお話させてもらいました。

森さんには、「てにあまる」の舞台を観ていただいていたので、何も包み隠すことはないなと思ったからです。

そのときの印象をお聞きしたら「一生懸命食らいついてる感じがして良かったよ」って言って背中を押していただきました。

そして、草彅剛さんという存在もとても大きく、カンパニー全体としても素敵なので、もう一度舞台に挑戦させてもらいたいなって思いました。

■鍵だけポケットに入れて、ボーッとしながら散歩

‐オフの日はどのように過ごしていますか？

 

散歩が大好きなんです。10分とかでも時間があれば散歩します。カバンも持たず、鍵だけポケットに入れて、ボーッとしながら散歩しています。

 

‐今回のように舞台だと各地の公演に周ったりしますが、体調管理で気をつけられていることは？

 

睡眠時間をしっかりと確保することです。たくさん寝ることを心がけています。

‐ちなみに、先ほど、長井短さんにもお話を伺ったんですが、彼女は「この舞台の稽古が始まるまでに『ゼルダの伝説』の新作をクリアする！」って宣言されてました。

 

そうなんですね。確かにゲームが好きっておっしゃってました（笑）

 

‐本公演が始まって長井さんとお話するタイミングがあれば「『ゼルダの伝説』クリアした？」って聞いてみてください（笑）

 

聞いてみます（笑）

 

‐最後にご自身の役柄、本舞台の見どころを含めたメッセージをお願いします。

 

元々私自身、シェイクスピアの演劇を観に行くことはとても敷居が高いような印象を持っていたんですけど、実際に自分がその中に飛び込んでいって、台本を読み進めていくと、自分たちの身近に感じることもあるし、普遍的なテーマだなって思えました。友情、憎しみ、愛、恋といった人間誰もが持っている感情が随所に散りばめられている作品だからです。

シェイクスピア作品を観る機会がこれまでなかった方も、今回をきっかけに是非観ていただけたら嬉しいなと思います。観に来ていただいた方々に、楽しかったな、また観たいなと思っていただけるように、お稽古頑張ります！

1995年3月10日生まれ、神奈川県出身。2015年に初主演ドラマ「トランジットガールズ」にて本格的に女優デビュー。その後、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」「らんまん」に出演し話題に。映画『“隠れビッチ”やってました。』や『君は永遠にそいつらより若い』で主演を務め、第32回東京国際映画祭「東京ジェムストーン賞」、ELLEシネマアワード2019「ライジングスター賞」の2つを受賞。 2024年は映画『おいハンサム！！』や、『キングダム 大将軍の帰還』に出演している。

【インタビュー＆撮り下ろしフォト】#佐久間由衣「自信を無くしていた舞台出演。初心に返って再挑戦」

舞台『#ヴェニスの商人』#草彅剛@venice_stage

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— NB Press Online (@NB_Press_Online) November 28, 2024

■撮り下ろしフォトギャラリー

[インタビュー・写真：三平准太郎／ヘアメイク：宮本佳和／スタイリスト：柳田真樹]

 

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