【インタビュー】仲吉玲亜「思ったより明るくて喋るって言われます」映画『水深ゼロメートルから』
大ヒット作『アルプススタンドのはしの方』に続く高校演劇のリブート映画化企画第2弾となる『水深ゼロメートルから』でメインキャストを務める仲吉玲亜(なかよし れいあ/18歳)。2021年の舞台版に続く映画出演の想いや俳優としての抱負などを聞いた。
本作は、高校3年生当時の中田夢花が顧問の先生と相談しながら丁寧に紡いだ繊細な戯曲を自身の手で脚本化&映画化されたもの。
『カラオケ行こ!』『天然コケッコー』『リンダ リンダ リンダ』など、数々の青春映画の傑作をものにしてきた山下敦弘監督が、フレッシュなキャスト陣と共闘し、水のないプールをミニマムな舞台装置として、それぞれに悩みを抱える少女たちの揺れる心と向き合い、掛け替えのない時間をすくい上げている。
キャストには、ココロ役で濱尾咲綺、ミク役で仲吉玲亜、チヅル役で清田みくり、ユイ役で花岡すみれが出演するほか、野球部マネージャーのリンカ役には三浦理奈、山本先生役はさとうほなみが務める。
また、本作の音楽も手掛けたスカート(澤部渡)による秀逸な主題歌「波のない夏」にはゲストボーカルとして adieu(上白石萌歌)が参加。プールの底で揺らめく少女たちの葛藤と解放を解くような優しさと深い余韻を心に残すだろう。
仲吉玲亜 インタビュー&撮り下ろしフォト
■舞台から映画への苦戦
‐2021年の舞台版に続いて、映画版でもミク役で出演が決まったときのお気持ちは?
仲吉玲亜(ミク 役)
もともと舞台だけだと思っていたので、映画化が決まったと聞いたときは、驚いたと同時にとても嬉しかったです。
‐なるほど。いったん舞台として終わったと思っていた作品を、新たな映画版として再び出演することへの気持ちの持って行き方はどうされましたか?
仲吉玲亜
チヅル(演:清田みくり)以外は舞台から引き続き同じメンバーで、気持ちを作るというよりは、このメンバーとまたこの大好きな作品をできるっていう喜びと、舞台と映画で変わったこともあったり、見せ方とかも全然違ったので、もう一回舞台をやるっていう感じではなく、新しい感じで始めるという気持ちでした。
‐演じられたミクという女の子のキャラクターをどう捉えられていますか?
仲吉玲亜
ミクは内気で大人しく、周りの意見も自分の内に溜めていきがち。
プライドは持っているのですが、それまでやってきた阿波おどりの“男踊り”が、男女の差を意識し始めて、踊れなくなっています。
‐先ほど、舞台と映画との見せ方の違いの話がありましたが、具体的には?
仲吉玲亜
脚本自体は大きくは変わっていないのですが、舞台ではお客さんがいるので、演者の熱量をお客さんに感じていただくことが大事だったので、ちょっとオーバーにお芝居をしました。
ミク自身の性格は全く変わらないんですけれど、ミクとしての想いをワッと伝えるシーンでも、映画では自然体でリアリティあるお芝居の見せ方を求められたのが大きな違いです。
‐映画化発表時のリリース内の仲吉さんのコメントに「舞台から映画への苦戦があった」とありますが、それが今おっしゃった、お芝居の見せ方の違いということでしょうか?
仲吉玲亜
はい、そうなんです。やっぱり舞台版で演じたときのクセが残っていて、まずそこの修正が必要だったことと、映画版では本物のプールで演じているので、共演者との距離感も全然違うので、大きな声を出さないと相手に届かなかったりとか。
前のミクのどこを引き継いで、どこを変えるかということに苦戦しました。
‐そういう点を山下監督に相談されたと?
仲吉玲亜
はい。もう何度も相談して、ひとつひとつ試しながら撮影に臨みました。
■リアル女子高生でした
‐舞台版の上演は2021年11月ですから、当時はまだコロナ禍真っ最中でしたね。
仲吉玲亜
そうです。稽古中はずっとマスクをしていたので、相手の表情が見えにくいという苦労はありました。
‐改めて当時の上演を振り返っていかがでしたか?
仲吉玲亜
とても楽しかったです。舞台の経験があまり無いのにメインとしての出演だったので、最初は不安と緊張が大きかったのですが、共演者同士、年齢も近く、とても仲が良かったので、まるで学校のような感じではありました。
‐舞台上演当時は、リアル女子高生だったんですよね?
仲吉玲亜
そうです。高校1年生でした。映画版も撮影当時(2023年)は高校3年生でやっぱりリアル女子高生でした。
‐高校生活始まりの年と終わりの年で、同じ作品でお芝居ができたというのは貴重な体験でしたね。
仲吉玲亜
はい、そう思います!
■学校の宿泊行事のよう!
‐この作品の舞台は徳島県で、セリフもこの地方の方言ですが、映画の撮影のときは、すぐに馴染めましたか?
仲吉玲亜
映画版の台本を手にして読んでみると、少し忘れかけているところもありましたけど、でも大体のイントネーションは覚えていました。
‐舞台版でも共演された、濵尾咲綺(はまお さき/ココロ役)さん、花岡すみれ(はなおか すみれ/ユイ役)さんと、今度は映画での再共演となりました。再びの共演はいかがでしたか?
仲吉玲亜
安心感でいっぱいでした。一度共演したメンバーなので、舞台のときの感じも知ってるし、映画版に臨むにあたって悩むこともみんな一緒だったので、みんなで話し合いました。
‐撮影期間中の現場の雰囲気などはどうでしたか?
仲吉玲亜
みんなほんとに仲が良くてアットホームな雰囲気でした。毎日一緒に夜ご飯を食べに行ったり、ご飯は監督が一緒のときもありました。
そして、メインキャストはお風呂も一緒に入って、寝る直前まで部屋で一緒にいて、次の日の撮影の話をしたりしていました。なので、学校の宿泊行事という感じもあって、とても楽しみました。
■高校時代の思い出
‐本作は、高校2年生の夏休みのときを描いていますが、仲吉さんご自身の高校生時代の思い出として印象に残っているものはありますか?
仲吉玲亜
一番印象に残っていることは、高校3年生のときの文化祭です。高校時代はコロナ禍だったので、文化祭も体育祭も小規模でマスクをしながらで、イベントとしてあまり楽しめなかったんです。でも3年生のときにようやく、そういった制限が無くなったので、存分に楽しむことができたからです。
3年生のときの文化祭の発表会で、やっぱり高校生としての思い出を残したくて、仲の良い友だちと一緒にダンスをしたんです。そのとき、他の子が名前を呼んでくれたりして、まるで学園ドラマのような雰囲気になって、とても楽しかったです。
‐ちなみにどういうダンスを?
仲吉玲亜
全身着ぐるみタイプのクマやキャラクターもののパジャマを着て、TikTokで流行っている曲をメドレーで踊ったり、スカートの衣裳でアイドルの曲のダンスをコピーしたりしました。
‐なるほど。1、2年生のときはまだコロナ禍による制限が厳しかったから、ギリギリ3年生で楽しい思い出が作れて良かったですね。
仲吉玲亜
良かったです!
■実はミクとはぜんぜん違う私
‐2020年のドラマ出演が俳優デビューだそうですが、そもそも俳優の道に進まれたきっかけは?
仲吉玲亜
祖父母の家に行って、買い物に出かけているときに、スカウトしていただいたのがきっかけです。最初はモデルをやってみたいと思っていたんですが、演技レッスンを受けるうちに、演技って楽しいなって思うようになりました。
‐では、今は俳優さんを中心に頑張っていこうということでしょうか?
仲吉玲亜
はい、そうです!
‐俳優としての今後の抱負があれば教えてください。
仲吉玲亜
たくさんあるんですけど、まずはもっともっと多くの方に「仲吉玲亜」を知っていただきたい!と思っています。
‐出演してみたい作品ジャンルはありますか?
仲吉玲亜
私はコメディが大好きなので、コメディーもやってみたいですし、カッコいい女性に憧れるので、喧嘩が強い女性役や、それこそヤンキーな女性役もやってみたいです。
‐この作品で演じられた“ミク”とはぜんぜん違いますね(笑)
仲吉玲亜
全然違います!
‐個人的にふだんご覧になる作品は?
仲吉玲亜
それこそアクションものが多いです。マーベル作品とか大好きですし、喧嘩系の作品もよく観ます(笑)
あとは、やっぱりコメディーとか面白い作品が好きです。
‐伺っていると、仲吉さんご自身の性格もミクとはぜんぜん違う?
仲吉玲亜
違いますね(笑)
‐『水深ゼロメートルから』の4人のメインキャラクター(ココロ、ミク、チヅル、ユイ)のうち、仲吉さんに一番近いのは?
仲吉玲亜
チヅルです(笑)
『水深ゼロメートルから』を観てくださった方とお会いすると、皆さんが「あれっ?ミクじゃないな・・・」って驚かれるので。思ったより明るくて喋るんだなって(笑)
なので、4人のキャラクターの中で、ミクは実は一番私から遠い性格のキャラクターです(笑)
‐そのほか、オフの日の好きな過ごし方は?
仲吉玲亜
買い物が大好きです!何も買わなくてもいろいろ見に行くだけでも楽しいんです。
あとは、散歩が好きなので、2駅、3駅歩いて、いろんなところに出かけて、食べることも好きなので、美味しそうなお店を見つけたら入ってみたり。
家にいるよりは外にいる方が好きですね。
‐好きな食べ物は?
仲吉玲亜
麺類はぜんぶ好きです!長ければぜんぶ好き(笑)
‐仲吉さんのプロフィールの特技に、ドラム、歌、ダンス、水泳などが書かれていますが、ご自身の腕前の評価は?
仲吉玲亜
水泳は小さい頃からやっていて、中学生の時は1位、2位取れるぐらい早かったんですが、高校以降やっていないので今の実力はわからないです(笑)
歌とダンスは独学ですが、父が音楽をいろいろやっている影響もあって、趣味としては得意です。
ドラムは、中学時代、吹奏楽として叩いていて、高校3年生になる少し前にまた習い始めました。
‐なるほど。では、歌や楽器が得意なキャラクターを演じるのも合ってそうですね。
仲吉玲亜
やってみたいです!「けいおん!」のような作品とか。
‐最後に「水深ゼロメートルから」について、これからご覧になる方に向けて、ご自身の役どころ含めた、見どころをご紹介ください。
仲吉玲亜
この作品に登場する女の子それぞれが違う悩みを抱えているんですが、男女の差の話やなど、こういう悩みって学生時代あったなって、映画を観る方の世代や性別関係なく、幅広く共感できる部分が大きいと思いますので、いろんな方に観ていただきたいです。
また、観る人によって心に刺さる登場人物のセリフが違って、人によって主人公も変わってくるかもと思いますので、何回か観て楽しんでいただきたいです。
私が演じたミクは、いろんな人の意見を聞いて、自分の悩みを頑張って解消して、次の一歩を踏み出そうとする女の子なので、何かを始めようとする勇気が無い人にとって、背中を推してくれるきっかけになれば嬉しいです。
■撮り下ろしフォトギャラリー
[インタビュー・写真:三平准太郎]
仲吉玲亜(なかよし れいあ)プロフィール
2005年生まれ。東京都出身。18歳。
テレビ東京『病院の治し方~ドクター有原の挑戦~』で女優デビュー(2020年)。ドラマ・舞台・CMなど多数出演中。近年ではライオン「バファリンルナ i」、ロッテ「クーリッシュ」などのCM、NHKラジオ『中高生の基礎英語 in English』、舞台『清らかな水のように~私たちの 1945』(我那覇文役)、MBS『バツイチがモテるなんて聞いてません』(横沢花梨役)、フジテレビ『心霊内科医 稲生知性』(黒沢雪美役)、映画『交換ウソ日記』に出演。さらに本年はカンテレ・フジテレビ開局65周年特別ドラマ『GTO リバイバル』にて相徳学院生徒(須之部さくら役)としても出演。
関連動画
『水深ゼロメートルから』完成披露上映会 舞台挨拶
映画『水深ゼロメートルから』
《STORY》
このプールの底から、
本当の「私」が始まるーーー
高校2年の夏休み。
ココロとミクは体育教師の山本から、特別補習としてプール掃除を指示される。 水の入っていないプールには、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。
渋々砂を掃き始めるふたりだが、 同級生で水泳部のチヅル、水泳部を引退した3年の先輩ユイも掃除に合流。
学校生活、恋愛、メイク……。
なんてことのない会話の中で時間は進んでいくが、 徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いが交差していく……。
出演:濵尾咲綺 仲吉玲亜 清田みくり 花岡すみれ 三浦理奈 / さとうほなみ
監督:山下敦弘
脚本:中田夢花
原作:中田夢花 村端賢志 徳島市立高等学校演劇部
製作:『水深ゼロメートルから』製作委員会
製作幹事:ポニーキャニオン
制作プロダクション:レオーネ
配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
© 『水深ゼロメートルから』製作委員会
公式サイト:https://suishin0m.com/
公式X:https://twitter.com/suishin0m
公式Instagram:https://www.instagram.com/suishin0m
予告編
2024年5月3日(金)全国公開!
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