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『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

「現場には“あみ子時間”が流れていた」大沢一菜×井浦新×尾野真千子 映画『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

2022年6月20日(月)、新宿武蔵野館にて、映画『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶が行われ、大沢一菜(主人公・あみ子役)、井浦新(父・哲郎役)、尾野真千子(母・さゆり役)、森井勇佑監督が登壇。

本作は「むらさきのスカートの女」で第161回芥川賞を受賞した今村夏子のデビュー作で、第26回太宰治賞、第24回三島由紀夫賞をW受賞した「こちらあみ子」を実写映画化。
主人公は、広島に暮らす小学5年生のあみ子。少し風変わりだが純粋なあみ子の行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていく過程を、少女の無垢な視線で鮮やかに描き出す。
実写映画化となった本作で、主人公のあみ子を演じるのは、応募総数330名のオーディションの中から見いだされた新星・大沢一菜(おおさわ・かな)。圧倒的な存在感で“あみ子の見ている世界”を体現していく。

舞台挨拶レポート

■トークノーカット動画

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■フォトレポート

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

井浦新/大沢一菜/尾野真千子/森井勇佑監督

一般のお客さんに本作を観ていただくのはこの日が初めて。上映後の劇場内のお客さんの空気感を聞かれた森井勇佑監督は「どうなんでしょうね。是非お客さんの感想を聞いてみたいです。」と嬉しさ半分、不安半分の表情。
続けて、大沢一菜(おおさわかな)のどんなところに“あみ子”を感じたかという質問に森井監督は、「僕が惹かれたのは、一菜がとても元気で、素直で、嘘をつかないところ。そして、何より根本的に優しいところです。あみ子には優しさ必要だと思っていたので、それがにじみ出ているからです。」と、大沢一菜に惚れこんでキャスティングしたことを明かした。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

尾野真千子/森井勇佑監督

それを聞いた、あみ子の父・哲郎を演じた井浦新も、「監督が『一菜があみ子を超えた』というコメントを見た。普通は俳優が役に寄っていくものだけど、一菜の場合は逆に役が一菜に寄って行っていて、それはすごいことですよね。一菜本人が持っている思いやりの出し方の不器用さ。それが“あみ子”を超えていく大きな要因だったと思う」と大沢一菜を絶賛。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

井浦新/大沢一菜

母・さゆりを演じた尾野真千子も「監督は、ほんとに(大沢)一菜のことを好きになっちゃってたよね。」としみじみ。だが、監督同様、尾野も大沢のことが大好きになりすぎて、大沢が他のスタッフを慕うことがあると、やきもちを焼くほどだったという。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

大沢一菜/尾野真千子

広島ロケの印象を聞かれた、あみ子役・大沢一菜は「みなさんとの撮影は楽しかった!」と慣れない舞台挨拶に照れながら回答。そして「あみ子が弟のお墓をお母さんに見せるシーンで、お母さんが叫んで号泣するシーンにびっくりしました。」と、尾野真千子の真に迫る芝居に驚いたことを明かすと、井浦新も「それは、尾野真千子だからね!」と尾野の芝居の素晴らしさを絶賛。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

大沢一菜(あみ子 役)

また、山での撮影の思い出を聞かれた大沢一菜が「でっかい蛾やトンボが寄ってきて大変だった」と振り返ると、森井監督曰く「(一菜は)好きな虫と苦手な虫がいるよね。ダンゴ虫は好きだよね」と話す。実際、大沢はダンゴ虫であることを隠して、尾野に手渡すというイタズラをし、「何十年ぶりかにダンゴムシを触りましたよ(笑)」と尾野から暴露される一幕があり、会場は笑いに包まれた。ちなみに、大沢は尾野のことが大好きだということで、だからこそのイタズラだった模様。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

一方で、主演、座長として大沢が現場に居たこと、大沢(あみ子)のペースで撮影現場の空気が作られ、「僕らはそこに気持ちを置いて気持ち良く巻き込まれながら撮影に臨んだ。一菜が疲れて寝たらみんなも『寝よう』ってなって一緒に寝て、置きたら撮影再開した。」と井浦新は「撮影現場には“あみ子時間”が流れていた」と振り返った。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

本作で尾野真千子と初共演となった井浦新は、「尾野さんは、全力で一菜と一緒にいるのを見てすごいなと思った。撮影の時は前室から同じテンションでいるし、オフの日も一菜と一緒に食事に行ったり、駄菓子屋に行ったり」と尾野の俳優としての取り組みに改めて感心。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

それを受けて尾野は「私が後から現場に入った時は、井浦さん含めて、現場全体が“あみ子”に向かっていて、なんとかみんなに追いつきたい、“あみ子”からお母さんと呼ばれたい」という気持ちから大沢と接したことを明かした。その一環で、尾野は井浦のことを現場ではずっと“お父さん”と呼んでいたそう。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

また、6月16日は大沢一菜の11歳の誕生日だということで、この日、本作の録音助手(通称:カラコン、大沢が大好きなスタッフのひとり)から、バースデープレゼントの花束と、大沢が誕生日ケーキより大好きだというスイカ一玉が贈られた。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

井浦と尾野からも「おめでとう!」と祝福の言葉をかけられつつ、舞台挨拶の幕が閉じた。

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

『こちらあみ子』完成披露上映会舞台挨拶

森井勇佑監督/井浦新/大沢一菜(前列中央)/尾野真千子

■フォトギャラリー

[記事・動画:三平准太郎/写真:金田一元]

映画『こちらあみ子』

たのしいこともさびしいことも――
ひとりの少女が教えてくれる、
私たちが“かつて見ていたはずの世界”
主人公は、広島に暮らす小学5年生のあみ子。少し風変わりな彼女のあまりに純粋な行動が、家族や同級生など周囲の人たちを否応なく変えていく過程を鮮やかに描き出す『こちらあみ子』。
原作は「むらさきのスカートの女」で第 161 回芥川賞を受賞した今村夏子が、2010 年に発表した処女作「あたらしい娘」(のちに「こちらあみ子」に改題)。本作で太宰治賞、三島由紀夫賞を W 受賞して以降、新作を発表するたびに現代文学ファンの間で大きな話題を呼んでいる。あみ子を演じるのは、応募総数 330 名のオーディションの中から見いだされた新星・大沢一菜。演技未経験ながら圧倒的な存在感で“あみ子の見ている世界”を体現し、現場の自由な空気の中でキャラクターをつかんでいった。両親役には、日本を代表する俳優である井浦 新と尾野真千子。監督は、大森立嗣監督をはじめ、日本映画界を牽引する監督たちの現場で助監督を務めてきた森井勇佑。原作と出会って以来、映画化を熱望してきた監督が、原作にはないオリジナルシーンやポップでグラフィカルな映像描写で新たな風を吹き込み、念願の監督デビュー を果たす。そして、繊細な歌声とやわらかなクラシックギターの音色で聴く者を魅了し続け、国内だけでなく海外からも人気を集める音楽家、青葉市子が音楽を手がける。

芥川賞受賞作家・今村夏子のデビュー作を映画化感情と感性を刺激する映像と共に描く
無垢で、時に残酷な子どものまなざし
あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに登下校してくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお 母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。だが、彼女のあまりに純粋無垢な行動は、周囲の 人たちを否応なく変えていくことになる。誕生日にもらった電池切れのトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ 子」―――。奇妙で滑稽で、でもどこか愛おしい人間たちのありようが生き生きと描かれていく。
ひとり残された家の廊下で。みんな帰ってしまった教室で。オバケと行進した帰り道で。いつも会話は一方通行で、得体の知れな いさびしさを抱えながらもまっすぐに生きるあみ子の姿は、常識や固定概念に縛られ、生きづらさを感じている現代の私たちにとって、かつて自分が見ていたはずの世界を呼び覚ます。観た人それぞれがあみ子に共鳴し、いつの間にかあみ子と同化している感覚を味わえる映画がここに誕生した。

大沢一菜 井浦新 尾野真千子
監督・脚本:森井勇佑
原作:今村夏子(ちくま文庫)
音楽:青葉市子

予告編

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7月8日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

こちらあみ子

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